【読】敗戦の日をめぐって
戦後70年ということで、このところずっと、新聞、テレビ、ラジオなどメディアが喧しかった。
この時期だからということでもなく、ずいぶん前から「あの戦争」のことを調べて考えている。
私じしん、知らないことが多すぎる。
そんな日々の読書。
所属する小平図書館友の会の読書サークル、次回の課題本を読んだ。
半藤一利 『日本のいちばん長い日 決定版』
文春文庫 2006/7/10発行 (2015/6/20 第24刷)
371ページ 600円(税別)
単行本 1995年6月 文藝春秋刊
1965年に大宅壮一名義で刊行されていたものを、あらためて半藤一利名義に戻したそうだ。
そのあたりの事情があとがきに書かれている。
この夏、二度目の映画化ということもあって、売れているらしい。
私は今回はじめて読んだ。
ドラマ仕立ての、迫真のドキュメンタリーで、面白かった。
昭和天皇の「終戦の詔勅」(玉音放送)の前後に、これほどのドラマがあったことは知らなかった。
ただ、徹底抗戦を叫んで最後まで反乱を続けた軍人たちについて、「採点」(評価)が甘いのでは、と感じられた。
「君たちの気持ちはよくわかる」――と、「国を思う」彼らの真情を擁護する考え方がある。
どうも、そういう日本人のメンタリティーが、あの戦争を継続した背景にあるような気がする。
もう一冊、読書会の副読本に指定されている本を読みはじめた。
『日本人はなぜ戦争へと向かったのか ――メディアと民衆・指導者編』
NHKスペシャル取材班 編著 新潮文庫
2015/7/1発行 264ページ 520円(税別)
この本も面白い。
当時のメディア(おもに新聞)が、軍部顔負けのプロパガンダで民衆を煽り、戦争の深みに国を導いていたことを知った。
国民の多数も、戦争を積極的に支持していたのだ。
このことを考えずに「反省」や「反戦」を言うだけではダメ。
あるいは、軍部にだまされていた、というだけの弁解も、一種の思考停止だと思う。
だます方も悪いが、だまされる方も悪い、と言える。
■
このシリーズで、あと二冊でているので、読んでみたい。
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