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2015年12月31日 (木)

【演】千両みかん

大晦日。

きのう買ってきたみかんを食べてみると、これがたいへん甘くて美味しい。
今年は果物の当たり年らしい。
(表年と裏年が交互に訪れるという話を聞いた)

みかんは冬場の果物だが、今では年中食べられる。

前にも書いたことだが、みかんを食べていると 「千両みかん」 という上方落語の演目をおもいだす。

元々は笑福亭(笑富久亭)一門のネタだったのか?
私には桂枝雀の演じる 「千両みかん」 が忘れられない。
もちろん、枝雀の師匠だった桂米朝や、江戸東京の噺家も演じている。

― Wikipedia 千両みかん ―
千両蜜柑(せんりょうみかん)は、古典落語の演目。原話は、明和9年(1772年)に出版された笑話本「鹿の子餅」の一遍である『蜜柑』。松富久亭松竹の作とも伝わっている。元々は上方落語の演目の一つで戦後に東京へ移植された。
主な演者として、上方の3代目桂米朝や6代目笑福亭松鶴、東京の5代目古今亭志ん生や林家彦六などがいる。

 

― Amazonより ―
桂枝雀を知らずして、日本のお笑いは語れない!
日本の落語界にあって、独特なみぶり手ぶりによる芸風と、英語落語というまったく新しい分野を切り開いた桂枝雀。
皆が同じ演目を競い合う古典落語の中にあって、独特の枕、ハイトーンの巻き舌による英単語、大げさに体全身を使ったアクションは、斬新でいて、なおかつ基本に忠実です。
現在テレビなどで活躍中の上方のお笑い芸人の全ての基本が、ここに凝縮されています。

千両みかん
平成元年10月13日放送
ABC「枝雀寄席」より

この『千両みかん』という作品は、上方落語の笑福亭の祖といわれている、松富久亭松竹の作品と伝えられています。
患いついた船場の若旦那の純粋な気持を、親旦那から託された第三者がその理由を聞き出してやって、方々をかけずり廻るという、 ストーリー展開は、『崇徳院』などでもお馴染みです。

 

本棚の奥にしまいこんであった 『現代上方落語便利事典』 (相羽秋夫/少年社/1987年)を引っぱりだしてみた。

<あらすじ>ネタバレになるので省略
<季節>夏 <場所と時間>船場の商家・八百屋A・八百屋B・鳥屋・天満の青物市場内のみかん問屋・再び商家 <登場人物>若旦那、医者、番頭、大旦那、八百屋A、八百屋B、鳥屋、みかん問屋の番頭 <はめもの>なし <所載の出版物>省略
<解説>初代笑富久亭松竹作。オチの粋さが絶品である。東京でも同題で演じられる。

――とある。

船場の商家の若旦那のワガママから(憎めないワガママだが)、番頭どんが真夏に蜜柑を探し回る、というのがあらすじだが、オチが泣かせる。たしかに”粋”である。

演題の「千両みかん」は、季節はずれの蜜柑一個に千両の値がついてしまうところから。
この噺が作られた時代、真夏に蜜柑など求める方がまちがっている――というのが、この噺を聴くときの前提。
現代の、一年中どんな果物でも手に入れられる贅沢さを忘れて、野菜や果物本来の”旬”をおもいださないと、面白くないだろう。

商家の番頭どんが、必死になって天満の「青物市場(あおもんいちば)」で蜜柑を探し回るところが、この噺の盛り上げどころか。
そして、ひょんなことから、やっとみつけた蜜柑一個に千両の値がついてしまうところから、オチ(上方ではサゲという)に持っていくところが、演者の腕の見せどころだろう。

聴く機会のない方は、下記サイトをどうぞ。

千両みかん(せんりょうみかん)/落語: 落語あらすじ事典 千字寄席
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2004/11/post_33.html
 トップページ
 落語あらすじ事典 千字寄席 http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/

ネット検索していてみつけたサイトだが、なかなか充実している。
さっそく、ブックマークに追加。


年末に他愛もないことを書いてしまった。

米朝さんも今年亡くなってしまって、さびしい。
今頃、向こうで枝雀さんと酒でも飲んでいるのだろうか。

Shijaku_hagaki

みなさん、よいお歳を。

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