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2016年1月16日 (土)

【読】気になっていた本 『独居老人スタイル』

今日は朝から風もなく、晴れて、きもちがいい。

近くの図書館へ、本を返却に行く。
ついでに、ギリシアに関する児童向けのやさしい本を借りてきた。
明日の読書会に備えて、すこしギリシア(ギリシャ)のことを調べておこうと思いたったので。

 

二年ほど前に知った本を図書館に予約してあったので、あわせて受けとってきた。
ずっと気になっていた本。
出版は2013年12月。

先ごろ読んだ高橋源一郎 『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書/2015年5月)に、この本が紹介されていたので、読んでみようという気になったのだ。

都築響一 『独居老人スタイル』
 筑摩書房 2013/12/10発行 351ページ 2,700円(税別)

表紙の絵にインパクトがあるが、これは、この本にもとりあげられている川上四郎という”日曜画家”が描いたものらしい。
まるでゴッホの自画像のようだ。

― 本書カバー裏より ―
<いま、世の中でいちばん情けない種族は「独居老人」ということになっている。
でも、独居老人って、そんなに憐れむべき存在だろうか。
これまでずいぶんひとり暮らしの、ものすごく元気な老人たちに出会ってきた。
だれもたいして裕福ではなかったけれど、小さな部屋で、好きなものに埋もれて、ストレスもなく、煩わしい人間関係もなく、もちろん将来への不安もなく――
ようするに毎日をものすごく楽しそうに暮らしてる、年齢だけちょっと多めの若者なのだった。……>

― e-honサイトより ―
[目次]
片付けるってのは、消極的なことですよ。―秋山祐徳太子(アーティスト)
早く壁にぶち当たりたいんです。―首くくり栲象(アクショニスト)
タバコと寿司屋と焼肉屋があれば、どこでもいいの!―鈴木惇子(スナック・ママ)
絵描きになるには毎日、家に居ればいいんだ。―美濃瓢吾(画家)
同年代の友達なんて、つまんないからひとりもいない!―水原和美(輸入用品雑貨店経営)
手伝ってくれるひとなんて、だれもいないんだよ。―田村修司(本宮映画劇場館主)
絵は病気なんですよ、つい飲んでしまうように、つい描いてしまう。―戸谷誠(画家)
なんにもしないでいられたら、それでいいんです。―ダダカン(アーティスト/ハプナー)
退屈しないよ、頭の中が休んでるヒマないからね―荻野ユキ子(早稲田松竹映画劇場お掃除担当)
やめちゃうのは学があるからだよ、学問がないから続いているの、それだけ。―新太郎(流し)
24時間ぜんぶ、自分のために使えるんやもん。―礒村遜彦(舶来居酒屋いそむら・主人)
電子書籍は野菜を直販するようなもんや、きたないけど売ってるんや―川崎ゆきお(漫画家)
歩くって、止まるのが少ないって書くんです。―プッチャリン(道化師)
彼氏はいるわよ、飲み友達ね。―坂東三奈鶴(日本舞踊家)
台本なんかいらねえ、ぶっつけ本番でやっちゃうもん。―三代目長谷川栄八郎(津軽三味線奏者/民謡歌手)
ようするに好きなんだね、女性が。―川上四郎(日曜画家)

著者紹介
都築 響一 (ツズキ キョウイチ)
1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN珍日本紀行』(アスペクト、のちちくま文庫)で、第23回木村伊兵衛賞を受賞。


木村伊兵衛賞を受賞したという、ちくま文庫 『ROADSIDE JAPAN珍日本紀行』 は、古本屋でよく見かけた。
何度か手にとって、買おうかどうしようか迷ったおぼえがある。
面白そうな本だった。

ところで、この『独居老人スタイル』という本を、高橋源一郎さんは、つぎのように紹介している。(朝日新聞「論壇時評」 2014/3/27)
長くなるが、以下に引用。

<都築響一の『独居老人スタイル』に描かれている、「ひとりで生きる」老人たちの生活は、読む者を驚かす。半世紀近くも、ビル清掃の仕事で生活費を得て、誰にも見せず、誰からの影響も受けず、自分だけの絵を描き続けてきた人、閉館した映画館を再開の見こみもないままひとり、仕事のかたわらメンテナンスし続け、退職してからは、気の向いた時だけ上映会を行うようになった人。経済的には恵まれているといえない老人たちの暮らしは、不思議な幸福感に満ちている。> (P.186)

<「孤独」は、人をより「自由」にすることができる。けれども、同時に、それは、人を底知れぬ不安に突き落とすこともできる。……
 やがてやって来る社会で、わたしたちはみんな「ひとり」になっていくのかもしれない。そこで、わたしたちは、どんな新しい「幸福」の形を見つけることになるのか、いまのわたしにはわからないのである。> (P.187-188)

まったく他人事ではなく、私もいずれ、「独居老人」になる可能性がある。
じぶんの老い先を考える年齢になってきた……。

できることなら、私も「元気な独居老人」でいたい。

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