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2016年2月17日 (水)

【読】難しい問題――『帝国の慰安婦』を読みおえて

図書館から借りてきて、苦労しながら読み終えた本。
どう書こうか、迷う内容だったが、読書記録として書いておこう。

例によって、どこで知り、なぜ読もうと思ったのか、不明。
新聞の書評で知ったのかもしれない。
気になる本だったのだろうが、まるで憶えていないことが、われながら怖い。

図書館にリクエストしたところ、購入してくれたのか貸出中だったのかも忘れたが、しばらく待たされ、ある日、到着メールが届いた。
私の後にも予約がはいっているので、早々に返却しよう。

朴裕河(パク・ユハ) 『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』
 朝日新聞出版 2014/11/30発行 324ページ 2,100円

― Amazonより ―
<性奴隷か売春婦か、強制連行か自発的か、異なるイメージで真っ向から対立する慰安婦問題は、解決の糸口が見えないままだ。/大日本帝国植民地の女性として帝国軍人を慰安し続けた高齢の元朝鮮人慰安婦たちのために、日韓はいまどうすべきか。/元慰安婦たちの証言を丹念に拾い、慰安婦問題で対立する両者の主張の矛盾を突くいっぽう、「帝国」下の女性という普遍的な論点を指摘する。/2013年夏に出版された韓国版はメディアや関連団体への厳しい提言が話題になった。/本書は著者(『和解のために』で大佛次郎論壇賞受賞)が日本語で書き下ろした渾身の日本版。>

― e-honサイトより ―
[目次]
第1部 慰安婦とは誰か―国家の身体管理、民間人の加担
 強制連行か、国民動員か
 「慰安所」にて―風化する記憶
 敗戦直後―朝鮮人慰安婦の帰還
第2部 「植民地」と朝鮮人慰安婦
 韓国の慰安婦理解
 記憶の闘い―韓国篇
  韓国支援団体の運動を考える
 韓国憲法裁判所の判決を読む
 “世界の考え”を考える
第3部 記憶の闘い―冷戦崩壊と慰安婦問題
 否定者を支える植民地認識
 九〇年代日本の謝罪と補償を考える
 ふたたび、日本政府に期待する
 支援者たちの可能性に向けて
第4部 帝国と冷戦を超えて
 慰安婦と国家
 新しいアジアのために―敗戦七〇年・解放七〇年

デリケートで複雑な問題だから、迂闊に、ああだこうだと書くことができない。
私には、確固とした意見もないし。

ただ、私が持っているイメージというか認識の根底に、船戸与一の長編小説 『満州国演義』 に描かれている旧満州国の情景がある。

人によってこれほど「記憶」が対立する問題――旧日本軍による“強制性”の有無が争点になっているのだろうが――については、自分の目でよくよく調べてみないといけない、と思う。

その一方で、あんがい、文学作品に描かれていることが、(フィクションとはいえ)事実に近いようにも思う。
船戸さんの小説を持ちだしたのも、そんなきもちからだ。


今回読んだこの本、著者(朴さん)の主張にはうなずける点もあったが、引用している参考文献などの信憑性が、私には判断できなかった。
とにかく引用が多く、読みにくかった。

巻末の「あとがき」がわかりやすく、著者の言いたいことがまとめられている。
変則的な読み方かもしれないが、「あとがき」を最初に読むといいのかもしれない。

巻末の参考文献一覧に、読んでみたいものがたくさんあり、役にたった。
図書館で探してみようと思う。

柄谷行人 『世界史の構造』 岩波書店 2010年
千田夏光 『“声なき女” 八万人の告発 従軍慰安婦』 双葉社 1973年
谷川美津枝 『青年将校と慰安婦』 みやま書房 1986年
長沢健一 『漢口慰安所』 図書出版社 1983年
古山高麗雄 『二十三の戦争短編小説』 文藝春秋 2001年
村松武司 『遥かなる故郷――ライと朝鮮の文学』 皓星社 1979年
森崎和江 『からゆきさん』 朝日新聞社 1976年
山崎朋子 『サンダカン八番娼館』 筑摩書房 1972年
吉行淳之介 編 『幻の女たち』 立風書房 1972年
『コレクション戦争と文学 7 日中戦争』 (田村泰次郎「蝗」) 集英社 2011年

最後の全集は全巻手元にあるのだが、まだ読めずにいる。

コレクション/戦争×文学||文学全集|BOOKNAVI|集英社
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/zen_list.cgi?siries_isbn=X78-4-08-157001-0&siries_kanren_isbn=&mode=2

             

ちなみに、「従軍慰安婦」ということばが使われ始めたのは、千田夏光の著作からだという。

https://kotobank.jp/word/%E5%BE%93%E8%BB%8D%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6-686270#E4.B8.96.E7.95.8C.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E7.AC.AC.EF.BC.92.E7.89.88
世界大百科事典
<じゅうぐんいあんふ【従軍慰安婦】
 十五年戦争期に,戦地・占領地で日本軍の監督下に置かれ,軍人・軍属の性交の相手をさせられた女性。当時は〈軍慰安所従業婦〉などと呼ばれたが,戦後,千田夏光《従軍慰安婦》などにより,この用語が普及した。その本質は軍性奴隷である。総数は8万とも20万ともいわれる。日本軍が慰安婦制度を監督・統制していたのは周知の事実だったが,重大な人権侵害・性犯罪だとする認識が広まるのは,1991年に韓国人被害者が名乗り出てからである。>


ネット検索すると、うんざりするほど「従軍慰安婦」がいた/いなかったという、不毛な議論が繰り広げられているが、そういった議論には興味がない。

旧日本軍が関与して、意図的に、軍(兵士たち)のまわりに「慰安施設」を置いたことは確か。
さらに、軍と連携して、女衒業者が女性たちを集めていたことも、まちがいないはず。
「特務」のような、軍の影の機関も関わっていたと思われる。
(このあたり、船戸さんの小説などにリアルに描かれている)

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