【読】小説「北の詩(うた)と人 アイヌ人女性 知里幸恵の生涯」
まだ読んでいる途中だが、いい小説だ。
須知徳平 『北の詩(うた)と人 アイヌ人女性・知里幸恵の生涯』
岩手日報社 2016/5/20発行 429ページ 2,750円(税別)
この本を知ったのは、東京新聞の記事(2016/7/23)だった。
さっそく図書館にリクエストして、購入してもらった。
<東京新聞:アイヌ神謡集 知里幸恵と国語学者・金田一京助 父の遺稿 40年経て出版:首都圏(TOKYO Web)>
http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201607/CK2016072302000195.html
須知徳平さんという人を、私はこれまで知らなかった。
以下、東京新聞記事と本書巻末年表より。
1921年(大正10年)、岩手県に生まれ、通っていた旧制盛岡中学には、OBに石川啄木や金田一京助など文学関係者が多く、在学中に同人誌を出すなど有形無形の影響を受けたという。
卒業後、旧満州に渡った後、国学院大学で学び、戦後は岩手県や北海道で中学、高校の教師を務めた。
1956年、文筆活動のため上京。
1962年、児童向けミステリー「ミルナの座敷」で第三回講談社児童文学新人賞を受賞。
翌1963年、中世の三陸を舞台に閉ざされた村を描いた「春来る鬼」で吉川英治賞を受賞。
1983年から盛岡大学の教員(文学部非常勤講師、助教授、教授)となった。
2009年、心不全のため87歳で死去。
■
この作品は、1977年に岩手日報に連載された。
<岩手日報 Web News> http://www.iwate-np.co.jp/ より
<社告 小説「北の詩と人」 5月20日発売>
http://www.iwate-np.co.jp/syakoku/book/kitanoutatohito/kitanoutatohito.htm
知里幸恵(幸惠)の生い立ちを描き、若いながらユーカラに詳しかった背景に迫り、家族との別れや、金田一京助との出会いとその師弟愛を描いている、伝記的な小説だ。
■
私は、知里幸恵への関心が深く、これまで彼女の遺した『アイヌ神謡集』をはじめとする作品や、藤本英夫さんが書いた評伝を読んできた。
ブログ記事 2008年10月18日 (土)
【読】知里幸恵をめぐる四冊: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-03c5.html
※上のブログ記事中にある、私のWebサイトのリンクは、サイト移行に伴い変更されている。
「晴れときどき曇りのち温泉」 ― 資料蔵(アイヌ資料編)
http://yamaoji.web.fc2.com/k_ainu.html
■
こんどの、須知徳平さんの小説は、幸恵さんの旭川での少女時代のエピソードがたくさん書かれていて、興味ぶかい。
幸恵さんは、1903年(明治36年)生まれ。
私の父方の祖母(故人)と、ほぼ同年代である。
そういう縁で、よけい親しみを感じる。
知里幸恵 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A5%E9%87%8C%E5%B9%B8%E6%81%B5
知里 幸恵(ちり ゆきえ、1903年(明治36年)6月8日 - 1922年(大正11年)9月18日)は、北海道登別市出身のアイヌ人女性。19年という短い生涯ではあったが、その著書『アイヌ神謡集』の出版が、絶滅の危機に追い込まれていたアイヌ民族・アイヌ伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらしたことで知られる。
近年、マスコミや各地のセミナー等でその再評価の声が高まっており、また幸恵への感謝から「知里幸恵」記念館の建設運動が活発化している。2008年10月には、NHKの『その時歴史が動いた』で幸恵が詳細に取り上げられ、インターネット書店「アマゾン」の「本のベストセラー」トップ10に『アイヌ神謡集』が入った。また、『アイヌ神謡集』は、フランス語・英語・ロシア語にも翻訳されており、2006年1月には、2008年度ノーベル文学賞受賞者フランス人作家ル・クレジオが、そのフランス語版の出版報告に幸恵の墓を訪れている。
なお、弟に言語学者でアイヌ人初の北海道大学教授となった知里真志保がおり、幸恵の『アイヌ神謡集』の出版以降、大正末期から昭和にかけて、新聞・雑誌などからはこの姉弟を世俗的表現ながらも「アイヌの天才姉弟」と評された。
【関連サイト】
知里幸恵 銀のしずく記念館
http://www9.plala.or.jp/shirokanipe/
知里幸惠編訳 アイヌ神謡集 (青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001529/files/44909_29558.html
知里幸恵 日記 (青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000276/files/45694_23934.html
知里幸恵 手紙 (青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000276/files/46482_28582.html
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