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2019年8月18日 (日)

【読】ノーマ・フィールド

3月の終わりに投稿してから、5か月近く、このブログから離れてしまっていた。
毎日、日記ブログは書いてきたのだけれど。

ノーマ・フィールド(Norma M. Field)という人を、最近知った。

― Wikipedia より ―
<ノーマ・フィールド(Norma M. Field, 1947年 - )は、アメリカ合衆国の日本研究者、シカゴ大学名誉教授。
第二次世界大戦後の東京で、アメリカ人の父と日本人の母の子として生まれる。1974年、インディアナ大学で東アジア言語文学の修士号を取得。1980年に来日し研究。1983年、プリンストン大学で同博士号取得。シカゴ大学に奉職し、東アジア学科教授をへて名誉教授。
夏目漱石の『それから』の英訳(And Then)に続き、『源氏物語』論である『憧憬の輝き』(Splendour of Longing)で注目された。
1988年の再来日の折に昭和天皇の死去に至る日々を体験。ルポルタージュ『天皇の逝く国で』を著し、この著書の日本語訳によって日本でも一般に知られるようになった。>

私は、ある新書で、この人の『天皇の逝く国で』という本を知り、図書館から借りて読んだのがきっかけ。

中川成美 『戦争をよむ―70冊の小説案内』 岩波新書 (2017/7/20)

<克明な心理描写をまじえて戦争と人間の真実に分け入る小説作品は、戦争のリアルを伝える大切な語り部だ。物語のなかに封じ込められた、戦時下を生きる人びとの細やかな感覚と日々の葛藤と苦しみ、そして悲しみ。記憶の風化とともに失われていく、かつての時代の手がかりを求めて、戦争の文学を再読する。>

 

ノーマ・フィールド/大島かおり訳 『天皇の逝く国で [増補版]』 みすず書房 (2011/10/28)

<「自粛」「常識」という社会の抑圧に、抵抗できるか。
登場人物は体制順応という常識に抗った三人の日本人。
沖縄国体で日の丸を焼いた知花昌一、殉職自衛官の夫の靖国神社合祀に反対した中谷康子、天皇の戦争責任を明言して狙撃された長崎市長の本島等。
あれから20年余、増補版のために書かれた新たなあとがきを付す。
ノーマ・フィールドは、アメリカ人を父に、日本人を母に、アメリカ軍占領下の東京に生まれた。
高校を出てアメリカヘ渡り、現在はシカゴ大学で日本文学・日本近代文 化を講じる気鋭の学者である。
彼女は、昭和天皇の病いと死という歴史的な瞬間に東京にいた。そして天皇の病状が刻々報道され、自粛騒ぎが起こるなかで、日本人の行動様式と心性、そしてそこにさ まざまな形で顕在化したあまたの問題に想いを巡らせた。
登場人物は、〈体制順応という常識〉に逆らったために、ある日突然〈ふつうの人〉でなくなってしまった三人――沖縄国体で「日の丸」を焼いた知花昌一、殉職自衛隊員の夫の護国神杜合祀に抗した中谷康子、天皇の戦争責任発言で狙撃された本島長崎市長――と、もう一組、著者自身とその家族である。
かれらの市民生活の日常にそって、問題は具体的に考えられる。
基地内のアメリカン・スクールに通い、大方の日本人の知らない〈戦後〉を生き、いまも〈太平洋の上空に宙づりの状態〉にある著者が、みずからの個人史に重ねて描いた現代日本の物語。
[初版1994年2月/増補版(始まりの本)2011年11月発行] >

 

この本に打ちのめされ、図書館にあった他の本、ブックレットも読んでみた。

ノーマ・フィールド/岩崎稔/成田龍一 『ノーマ・フィールドは語る 戦後・文学・希望』
 岩波ブックレット781 (2010/4/7)
ノーマ・フィールド 『いま、<平和>を本気で語るとは 命・自由・歴史』
 岩波ブックレット990 (2018/12/5)
ノーマ・フィールド/大島かおり訳 『祖母のくに』
 みすず書房 (2000/5/12) 204ページ
ノーマ・フィールド/大島かおり訳 『へんな子じゃないもん』
 みすず書房 (2006/3/10) 253ページ

なかでも、次の2冊は、彼女の思想がぎゅっと濃縮されている良書だったので、図書館の本を読んだ後で、『天皇の逝く国で』とあわせて3冊、Amazonで中古本(古本)を購入してしまった。

  

ノーマ・フィールド:みすず書房
https://www.msz.co.jp/book/author/13912.html

ノーマ・フィールドは、1947年、米軍の軍属だったアメリカ人の父と、日本人の母とのあいだに生まれた。
進駐軍が日本を占領していた時期。
祖母の家に、両親、叔母たちといっしょに暮らし、米軍基地内の学校までスクールバスで通学。のちにアメリカンスクールに進学。
父親は、妻(ノーマの母)と娘を置いて、アメリカに帰国してしまう(両親は離婚)。

国籍はアメリカ、住まいの周囲は日本人ばかり。
学校ではアメリカの子どもたちと過ごしながら、アメリカ人と見られない。
そんな環境で育ったために、日本人でもアメリカ人でもない(あるいは両方)という意識が身についてしまう。

若くからアメリカに移住し、アメリカ人と結婚。
アメリカと日本のあいだを往復する。

上にあげた3冊の単行本には、幼い頃、彼女と暮らした祖母、母、叔母たちの回想と、日本という祖国へ向ける厳しく、あたたかいまなざしが詰まっている。
なかでも、『祖母のくに』『へんな子じゃないもん』には、脳溢血で倒れた後の祖母を見舞う毎日が、あたたかい筆致で綴られていて、感動的。

こういう著者との出会いは、得難いものだ。

【追記】
彼女の最近の写真を貼り付けようと思ったが、著作権に触れそうなので、下記リンク先の記事を参照願いたい。

「国家主義は史実を曲げる」 日本研究者187人声明:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASH574JV5H57UHBI017.html

有料会員限定記事 ※
ニューヨーク=中井大助、真鍋弘樹 2015年5月8日08時41分

※途中まで読めるし、ノーマ・フィールドの写真も見られる。
 魅力的な女性だ。

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コメント

しばらく更新されていなかったので、心配していました。復活されてよかったです。
小生昭和32年生まれですが、今夏もテントを担ぎほうほうの体で雲ノ平を縦走してきました。最近は山やってますか。

投稿: 青麦 | 2019年8月31日 (土) 11時22分

青麦さま
コメント、ありがとうございます。こちらのブログは、しばらくさぼっていました。これとは別に、毎日、日記ブログは書き続けています。ただ、日記の方はコメントを受け付けない設定にしています。
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/
山歩きからは、ずっと遠ざかっています(>_<)

投稿: やまおじさん | 2019年8月31日 (土) 21時24分

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