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2021年9月 1日 (水)

【読】2021年8月に読んだ本(読書メーター)

8月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4815
ナイス数:110

ま・く・ら (講談社文庫)ま・く・ら (講談社文庫)感想
装幀と挿絵が南伸坊さんのこの本、南伸坊『装丁』(いい本だったが手放してしまった。この機に中古本を購入)で知っていて、いつか読もうと思っていた。「まくらの小三治」の噂は以前から聞いていたが、これほど面白い”まくら”を延々と、時には演目の落語をしないで”まくら”だけで高座が終わってしまうこともあるという。それでも小三治師の独演会は前売りがあっという間に売り切れてしまうと聞いたことがある。なるほど、と納得させられる面白さ。続編『もうひとつま・く・ら』も読みたい。コロナ禍の一服の清涼剤。
読了日:08月02日 著者:柳家 小三治


世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)感想
高野秀行さんのファンなので買ってあった積読本。日本中世史専攻の歴史学者・清水克行さんとの絶妙な対談。初めから終わりまで目を見開かされることばかり。高野さんお得意の「世界の辺境」と清水さんの専門領域「室町時代の日本」の話が縦横無尽に展開されていて、想像力をかきたてられ、自分の固定観念(日本の歴史の捉え方、世界の国々の見方)が気持ちいいほどひっくり返される。痛快。先に読んだ二人の読書会風対談集『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』(2018年刊行)に繋がる内容。清水さんの著書も読んでみたいと思う。
読了日:08月08日 著者:高野秀行,清水克行


辺境メシ ヤバそうだから食べてみた (文春文庫)辺境メシ ヤバそうだから食べてみた (文春文庫)感想
”辺境作家”を名乗る高野秀行さんが”ヤバそうな”食べ物を求めて、アフリカ、南アジア、東南アジア、東アジア、中東、南米などを訪ね回り、どんなに奇妙な食べ物・飲み物でも、現地の人が口にするものなら何でも試してみる。読みやすいレポート。イモムシ、アリ、ムカデ、さまざまな昆虫、ヤギの糞ならぬ未消化物、カエルのスープ、等々。我々にはゲテモノとしか思えない飲食物が、現地の人々のご馳走だったりする。なんと世界は広いことか。たんなる食レポートを超えて、文化人類学的と呼ぶべき考察が高野さんらしい。この文庫版にはオマケあり。
読了日:08月10日 著者:高野 秀行


親鸞(上) (講談社文庫)親鸞(上) (講談社文庫)感想
新聞連載当時に毎日読んでいた。その挿絵を集めた山口晃さんの『親鸞全挿画集』を眺めているうちに、読み直してみたいと思うようになった。文庫版全6冊の1巻目。人間親鸞の生々しい幼少期から青春期。新聞連載当時のワクワク感がよみがえる。さすが、物語り(ストーリーテラー)の名手である。
読了日:08月17日 著者:五木 寛之


親鸞(しんらん)(下) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫)親鸞(しんらん)(下) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫)感想
『親鸞』三部作の第一部(青春篇)完結。師の法然が讃岐に流され、みずから親鸞と名乗ることにした善信は藤井善信という流人として越後へ。河原での安楽坊遵西の処刑シーンが圧巻。新聞連載時の挿絵(山口晃画伯)を収めた『親鸞全挿画集』と並行して読みすすんでいる。続いて第二部「激動篇」へ。
読了日:08月19日 著者:五木寛之


親鸞(しんらん) 激動篇(上) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫)親鸞(しんらん) 激動篇(上) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫)感想
かつて新聞連載された『親鸞』三部作の第二部(上巻)。三部作中盤のクライマックスともいえる雨乞いの祈祷の場面が圧巻。全巻を通してドラマチックな物語の運びに感動しながら読みすすめている。神がかりとなったサトという娘と、親鸞の妻女・恵心の妹・鹿野の娘・小野の行く末は?
読了日:08月21日 著者:五木寛之


親鸞 激動篇(下) (講談社文庫)親鸞 激動篇(下) (講談社文庫)感想
越後から関東へ、そして再び京へ。ドラマチックな展開が続く。いよいよ完結編へと進む。山口晃『親鸞全挿画集』(新聞連載時の挿画をすべて集め、さらに山口画伯のコメント付き)の挿絵を見ながら小説を読みすすめている。『親鸞全挿画集』の感想は、読了後に。 余談だが講談社文庫の初版(2013年6月刊行)には、あきらかな誤植が2か所あった。改版で訂正されているのだろうか。
読了日:08月23日 著者:五木 寛之


親鸞 完結篇(上) (講談社文庫)親鸞 完結篇(上) (講談社文庫)感想
三部作の第三部上巻。謎の女性”竜夫人(りゅうぶにん)”が唐突に登場。やがて、親鸞とゆかりの深いあの女性だと知れる。親鸞をとりまくさまざまな人物が、皆、生き生きしている。なかでも唯円(歎異抄の作者とされている)が魅力的。いかにも新聞連載小説らしく、次々と予想しない展開が続き、引き込まれる。いよいよ最終巻にはいる。
読了日:08月25日 著者:五木 寛之


親鸞 完結篇(下) (講談社文庫)親鸞 完結篇(下) (講談社文庫)感想
三部作の最終巻。いっきに読了。五木さんが「あとがき」に書いているが、事実をもとにしたフィクション、「稗史(はいし)小説」(中国で民間に語りつがれる噂や風聞を、身分の低い役人が集めて献上したもの)と捉えて読むべきだろう。文庫版解説(末國善己)に「大胆不敵なフィクションの部分は多々あるが、親鸞思想の根本はいささかも踏み外さずに捉えている」と宗門からも高く評価されている、とあるが、なるほどと思う。親鸞をとりまく多彩な登場人物が皆、魅力的。ちなみに、新聞連載当時の挿絵を集めた山口晃『親鸞全挿画集』と同時に読んだ。
読了日:08月26日 著者:五木 寛之


山口晃 親鸞 全挿画集山口晃 親鸞 全挿画集感想
五木寛之の新聞連載小説『親鸞』三部作の挿絵をすべて集めた大部のカラー画集。私は小説(文庫版6冊)と並行して読んだ。すこぶる面白い体験だった。書き損じ、下書き、山口画伯のコメントもあり、五木さんとのバトル(登場人物の顔を描くなという小説家の強い要望に悩む)、言葉遊び・ダジャレ・連想といった自由闊達な挿絵の数々、親鸞の長男・善鸞の顔を卵(全卵)にしてしまう山口画伯の大胆さ、等々、この挿画集を手元に、小説『親鸞』を読むのも一興かも。なお、『親鸞』の”特装版”には挿絵もすべて掲載されているようだが、入手困難。
読了日:08月26日 著者:山口 晃


はじめての親鸞 (新潮新書)はじめての親鸞 (新潮新書)感想
2015年に開催された新潮講座「人間・親鸞をめぐる雑話」(3回講座)で話した内容。先頃読んだ小説『親鸞』三部作(2008年から2014年まで足かけ7年にわたって全国の新聞に連載)のベースになっている、五木さんの親鸞観・仏教観がよくわかった。仏教を巡ってインド・中国などを歩いたときに五木さんが感じたこと、小説『親鸞』が「琉球新報」にも連載された後で、仏教色の薄い沖縄での反応を五木さんが新聞社に尋ねたエピソードなどが興味深い。
読了日:08月28日 著者:五木 寛之


青春の門(第一部)筑豊篇(講談社文庫)青春の門(第一部)筑豊篇(講談社文庫)感想
ずいぶん前、刊行直後に読んだはずの「筑豊篇」。この大河小説は第二部「自立篇」まで読んでやめてしまったはず。今、このコロナ禍の時期、本を読むことが多くなったので、全巻読んでみようと思いたった。先日読んだ『親鸞』三部作に続き五木さんの作品。ちっとも古めかしさを感じさせない、生き生きとしたビルドゥングスロマン(教養小説)だと、あらためて感じる。登場人物のひとりひとりが魅力的だ。著者によって手を入れられた改訂新版(図書館本)。二年前に第九部「漂流篇」が刊行されたという。少しずつ最新刊まで読み通してみたい。
読了日:08月30日 著者:五木 寛之

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