【読】2021年10月に読んだ本(読書メーター)
10月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1580
ナイス数:101村上さんのところの感想
村上春樹さんの小説、わりと好きで、一時期、短編・中編・長編とりまぜて読みふけったた時期がある。『村上春樹はくせになる』(清水良典)という本もあったが、そのとおりかも。この本は、読者からのメールでの質問に答える膨大な量の人生相談風読み物で、それなりに面白い。「図書館で借りて読んでもいいですか?」(回答:買ってくれなくても、いっこうに構わない。読んでくれれば)だとか、「つまらない文学より実用書を読め!(と、社長に言われた)」(回答:小説はすぐには役に立たないが、長いあいだにじわじわ役に立ってくる)。いかにも。
読了日:10月07日 著者:村上 春樹
([も]4-1)わが盲想 (ポプラ文庫)の感想
大好きな高野秀行さんの『移民の宴』に登場する”アブ”と呼ばれるスーダン出身で盲目の著者を知り、この本が出ていることも知った。高野さんが描いている通りの、ちょっとおっちょこちょいな、好人物だと感じる。来日までの経緯、日本での苦労(波乱に満ちた体験の数々)、そして何よりも奥さまとの超スピード婚と、2011年3月の大震災・福島第一事故直後に北九州まで避難しての出産と、驚くべき体験がユーモラスに記述されている。文章もみごと。読み終えて、あたたかい気持ちになった。いい本です。巻末に高野秀行さんとの対談を収録。
読了日:10月09日 著者:モハメド・オマル アブディン
軍隊マニュアルで読む日本近現代史 日本人はこうして戦場へ行った (朝日文庫)の感想
1971年生まれのまだ若い研究者による注目すべき研究。他の著書を読んだことがあるが、信頼できる人だ。親本は2004年刊行の光文社新書。明治の日清・日露戦争から昭和の戦争の中期にかけての「軍隊マニュアル」(巷間に氾濫していたことに驚いた)を蒐集、紹介し、日本人が戦争、徴兵制軍隊の存在をどのように受け入れていったのかという問題を考える内容。「玉砕」「敷島の大和心を人問わば朝日に匂う山桜花」などが、大正10年代にすでに現れていることに驚く。巻末解説は『日本軍兵士』(中公新書)を書いた吉田裕(1954年生れ)。
読了日:10月13日 著者:一ノ瀬 俊也
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書)の感想
三年前に読み、手放してしまったものを、再度入手して読み直した。著者はアジア・太平洋戦争を四期に分け、1944年8月から敗戦までを「第四期=絶望的抗戦期」とする。読み直して、あらためて感じたことは「あの戦争は負けるべくして負けた」ということ。これは、今の時代から見ての「後知恵」ではなく、当時も「勝てるはずがない」とわかっていながら「精神力」でなんとかできるかも、という”空気”に支配されていた(内心はともかく、建前で)せいではないだろうか。今も言えるが、”空気”に逆らわずに生きることは、あんがい楽なのかも。
読了日:10月16日 著者:吉田裕
ナニカアル (新潮文庫)の感想
林芙美子が戦後、密かにに残した「回想録」という形をとったフィクション。戦時中、軍部に協力したと思われている芙美子の内面(もちろん作者桐野の仮説・想像によるものだが)が生き生きと描かれている。戦時中、戦地に派遣された作家たちの姿と、その内心が伺い知れて興味をそそられる。あの時代、積極的にしろ消極的にしろ、軍部に従った作家たちのことを見直してみたいという気になった。桐野夏生の小説は、一作ごとに趣向が凝らされていて、この長い物語も最後まで飽きさせない。好き嫌いはあるだろうが、私が読み続ける理由もそこにある。
読了日:10月29日 著者:桐野 夏生
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