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2022年3月の5件の記事

2022年3月21日 (月)

【読】五木さんの桐野夏生評

桐野夏生の小説が好きで、このところ古本の文庫を買っては読んでいる。

新刊の単行本は、図書館から借りたり(予約待ち行列ができているが)、待ちきれずに買ったこともある。
今日も市内のブックオフで手当たり次第に読んでいない文庫を集めて、レジに持って行ったところ、12冊で4100円。
できるだけ100円(税抜き)の棚から買いたいのだが、400~500円ぐらいのものが8冊。

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しばらく楽しめそうだ。

読んだ本をダブって買ってしまわないように、リストも作っている。
〇印が手元にあってまだ読んでいないもの。
●印が読み終えたもの。

読み終えた本は、どんどんブックオフに持って行っている。

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
 【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫)
●OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】)
・錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
 所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心
〇ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
 所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
●柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】)
・光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
・玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫)
・リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社)
〇グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
〇残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
〇I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
・魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年2月 新潮文庫【上・下】)・
・冒険の国(2005年10月 新潮文庫)
●アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
 所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス
〇メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
●東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
●女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
〇IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
●ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
・優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
・ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】)
〇緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
〇ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
〇だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
〇夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
・奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫)
 所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?
〇抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
●バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
・猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
●夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
〇デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
〇路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
・ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
・とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎)
●日没(2020年9月 岩波書店)
●インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)
●砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)
・燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

【小説 村野ミロシリーズ】
・顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
・天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】)
〇水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
〇ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】))
収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル
・ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】)

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

ところで、1999年刊行の『柔らかな頬』は、同年7月の第121回直木三十五賞を受賞している。

当時の選考委員だった五木寛之さんが、この作品をどう評価しているのか興味があった。
そういえば、こんな本が手元にあった。

『ぼくが出会った作家と作品 五木寛之選評集』 東京書籍 2010年刊

 

五木さんは、1978年(第79回)から2010年(第142回)まで、直木賞選考委員を勤めていたはず。

直木賞選考委員リスト
https://prizesworld.com/naoki/sengun/

この本から、第121回直木賞の五木さんの選評を抜き出してみる。
ちなみにこの回の受賞作は二作で、佐藤賢一『王妃の離婚』桐野夏生『柔らかな頬』だ。

 

<今回は天童荒太さんの「永遠の仔」を最後まで推したのだが、意外なほど不評で、桐野夏生さんの「柔らかな頬」と、佐藤賢一さんの「王妃の離婚」に圧倒的な支持が集り、二作受賞の運びとなった。(中略)
桐野夏生さんの「柔らかな頬」は、以前、候補になりながら受賞しなかった「OUT」とくらべて、新人の小説としての野心に欠けると思った。「OUT」は文字通り良俗的世界からブレイクアウトすることを志した作品である。制度としての直木賞のラインからはじき出されたところにこそ、「OUT」の真の栄光があったのではあるまいか。私は胸中にウメガイを抱いているかのように見えるこの作家が、ふたたび「OUT」の世界を描いて「平地人を戦慄せしめ」るであろうことを、ひそかに期待している。賞などというものは取ってしまえばこっちのものだ。あとは勝手にわが道をゆけばいいのである。(後略)>

いかにも五木さんらしいと思う。

「ウメガイ」とは、「サンカ」と呼ばれた人たちが持ち歩いた刀剣。
シンボル的な意味合いを持つ道具らしい。

「平地人を戦慄せしめ(よ)」は、有名な柳田国男の「遠野物語」序文に出てくるフレーズ。

 

『風の王国』『戒厳令の夜』を読むと、五木さんの 「サンカ」への関心・思い入れが、うかがい知れる。

桐野夏生さんは、五木さんのこの選評を目にしていると思うが、五木さんが言うように「良俗的世界からブレイクアウト」する人々を描き続けている。そこがこの作家の魅力だと思う。

 

 

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2022年3月15日 (火)

【読】かつての夕刊フジ連載エッセイ

きのう2022/3/14の日記ブログに書いたのだが、こんな懐かしい本を再読している。

2022年3月14日(月): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2022/03/post-9d6896.html

五木寛之 『重箱の隅』
文春文庫 1984/11/25 367ページ
単行本 1979/5 文芸春秋社刊
1975/12/10~1976/4/11 夕刊フジ連載

 

単行本の古本を持っているのだが、文庫版もずいぶん前に古本をネットで購入。
同じシリーズの文庫を4冊持っていて、五木さんのものだけ文庫がなかったので、ほしかったのだ。

このところ、新型コロナやらウクライナの動乱やらで、私の関心もそちらに向きがち。
同時代の動きをなんとか理解しようと、関連する本を読んできたが、どうにも気が滅入る。

そんな折、軽い本を読みたくなって、きのうから読み始めている。

さきほど本棚を探して、他の本を探し出した。
かつて「夕刊フジ」で山藤章二さんの挿画付きで連載していた軽妙なエッセイのシリーズだ。

私が持っている下の画像の4冊は、どれも新潮文庫。

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1970年代中頃、私が上京して職探しをしていた頃、夕刊フジというタブロイド紙にも元気があったな。

Amazonで探してみると、他の出版社からも何度も出ているようだ。
下の書影はAmazonへのリンク。

 

 

古い文庫本は、活字がちいさいのが、私にはちとつらい。

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2022年3月10日 (木)

【歩】河津桜並木

ブログ日記とかぶってしまうが、こちらにもあげておこう。

3月10日。
ようやく春めいてきた。

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自転車で、すぐ近くの空堀川堰堤へ。
そろそろ咲いているだろうと、行ってみた。
まだ若い樹だけれど、河津桜の並木。

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河原には白鷺らしき姿もあった。

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対岸から見る並木。

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2022年3月 5日 (土)

【遊】瑞穂の「つるしかざり展・ひなまつり展」

瑞穂町の「耕心館・けやき館」で開催中の「つるしかざり展・ひなまつり展2022」に、何年ぶりかで行ってみた。

3月2日(火)に家人とふたりで。
その後、今日3月5日(土)にも近所の人を誘って3人で、再び。

自宅から車で40分ほど。
旧青梅街道から日光街道経由。

2022年2月18日(金)~3月6日(日)

http://www.koshinkan.jp/tsurushikazari/

https://koshinkan.jp/exhibition02/index.html

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ひな人形の数は少ないが、つるし飾りが多数。

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蔵の中にも。

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かわいらしい内裏雛。

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今日は、耕心館の喫茶レストラン「ストーリア」で、気になっていたセットを食べた。

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耕心館の前庭には、山野草も。

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2022年3月 1日 (火)

【読】2022年2月に読んだ本(読書メーター)

2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1609
ナイス数:94

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのかワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか感想
難しい本だった。巻末解説(磯野真穂:文化人類学・医療人類学)が著者 の言いたかったことをうまくまとめてくれている。また、著者の日本におけるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン=子宮頸がんワクチンの「積極的勧奨中止」に関する記述に、不確かな内容があることを指摘もしている。人類がウィルスと付き合っていくためには、人類が作り出したワクチンというものとも、うまく付き合っていかなければいけないのだな、というのが読み終えて思ったこと。たしかに「ワクチンは打たれる側にとってはわけのわからない液体」(解説)ではある。
読了日:02月01日 著者:ハイジ・J・ラーソン


古本マニア採集帖古本マニア採集帖感想
「一箱古本市」を始めたことで知られる著者のインタビュー集。世間には本好きの人がこんなにいるんだと、驚く。古本の魅力は、新刊書店や図書館にもない、忘れ去られた作家の本や、昔の雑誌などを発見できることなんだと、あらためて思う。本や雑誌だけでなく、図書館が写された「図書館絵葉書」なんてものを蒐集している人とか、保育社の「カラーブックス」全909冊を集めてしまった人とか、すごいなあと。この本に登場する何人かは、ブログを書いていたりFacebookやTwitterを利用していると知り、ネットで見てみようと思う。
読了日:02月03日 著者:南陀楼 綾繁


世界史のなかの昭和史 (平凡社ライブラリー0905)世界史のなかの昭和史 (平凡社ライブラリー0905)感想
読み通すのに時間がかかったが、じつに面白い本だった。著者の『昭和史』(単行本2冊)を読もうとして、あまりのボリュームに挫折、手放していたのだが、この本は世界史(ヒトラーとスターリンに焦点をあてている)のなかでの昭和史という記述がわかりやすくて、いい。「歴史探偵」を自称する著者らしい”新藤史観”ともいえる歴史観は、とても理解しやすい。巻末の青木理氏との対談(2018年)も、つい最近の世情が話題になっていて、得るところが多かった。『B面昭和史』『昭和史』『昭和史戦後篇』も買ってあり、がんばって読んでみたい。
読了日:02月09日 著者:半藤 一利


捨てない生きかた(マガジンハウス新書)捨てない生きかた(マガジンハウス新書)感想
書名に惹かれて図書館から借り、いっきに読了。五木さんは、あえて「捨てない」ことの意味を説く。五木流文明論。身の回りのモノが捨て難く、あふれかえるモノたちをなんとかしなければ、という、強迫観念に悩まされている我が身にとっては、救われる話。「モノは記憶を呼び覚ます”依代(よりしろ)”」というのが五木さんの考え。”モノ”への執着を捨てて身軽にならなくては、と考えるのも”捨てることへの執着”だと言われると、なるほどと思う。歴史的建造物や街並み、古くからの地名、あるいは方言などもホイホイと捨てていく風潮はさびしい。
読了日:02月19日 著者:五木寛之


伝え守る アイヌ三世代の物語 (少年写真新聞社写真絵本)伝え守る アイヌ三世代の物語 (少年写真新聞社写真絵本)感想
写真家・宇井真紀子(眞紀子)さんの写真絵本。地元図書館にリクエストして収蔵してもらった。宇井さんの講演会・スライドトークには何度か足を運んで、よく存じあげているので、楽しみにしていた本だ。アイヌの家族三世代を10年がかりで追い、あたたかい写真を撮られた、いかにも宇井さんらしいていねいな仕事。今を生きるアイヌの人たち、なかでもアイヌの伝統を伝えていこうとしている少年少女の姿が、生き生きと描かれている。好著。
読了日:02月19日 著者:宇井眞紀子


世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)感想
「日本人は何も知らない」シリーズ第1作。3作目まで出ていて、ずいぶん売れている(読まれている)らしい。SNSで著者を知り読んでみた(2019年発行)。多くの日本人が知らない(と著者が言う)世界の意外なニュースや事実が紹介されていて面白い。池上彰の著作を思い起させる。意思決定を左右するのは「感情(emotion)」/効率化を追求するあまり無駄を排除することの問題点(図書館や書店に並んでいる本から知らなかったことが発見できるという例えがいい)/人生の幸福を決めるのは自己決定権/等々の指摘には、なるほどと思う。
読了日:02月22日 著者:谷本 真由美


だから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざしだから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざし感想
41歳で公務員を退職し、大阪から北海道の美瑛に移住した写真家の新刊。図書館にリクエストして入れてもらった。美瑛は私の母親の実家があった土地で、今も親戚がいて、身近な土地。著者とは面識はないが、SNSを通してその活動に注目している。美瑛といえば前田真三さんが”発見”した丘のある風景の美しさで有名だが、著者の中西さんは、前田真三のような風景写真から脱して、独自の写真世界を目指している。美瑛移住までの経緯、北海道での写真家生活、移住者としてのまなざし、自らが目指す写真(日本画からの影響)等々。美しい写真も満載。
読了日:02月26日 著者:中西敏貴

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