【読】2022年12月に読んだ本(読書メーター)
12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2071
ナイス数:98人間の土地への感想
2年ぶりの再読(初読は2020年10月)。小松由佳さんの講演を、その年の1月、関野吉晴さんの「地球永住計画」で初めて聴いてから現在まで、この本に書かれている体験の後日の経緯を含めて、小松さんの活動を追いかけている。あらためて読み直してみて、すっかり忘れていることも多く、感慨あらた。<民族的背景の違いを、相手の尊厳として認めることで、私たち夫婦は共生しようとしている。(P.243)>――現在、夫君のラドワンさん、二人のお子さんといっしょに、共生の道を探り続けている姿も知っているだけに、心に沁みる内容だった。
読了日:12月15日 著者:小松 由佳
日本に住んでる世界のひとの感想
いい本に出会えた。18組20人の「日本に住んでる世界のひと」へのインタビュー。通り一遍のインタビューではない。著者とインタビューした人たちとの関係性が強く感じられて、ほのぼのとしたきもちになる。遠い国から日本に移住した人たちの事情はまちまち。故国の状況もまちまちだが、みんな日本を気に入ってくれて、懸命に生きている姿に打たれる。なかには難民申請が認められずにいる人も。著者のカラーのイラスト(表紙の絵、本文中の挿絵)に、ほっこりする、文章もやわらかくて、いい。この著者の他の本も読んでみたくなった。
読了日:12月17日 著者:金井 真紀
一億年の森の思考法ーー人類学を真剣に受け取るの感想
文化人類学とは、人間の生活様式全体(生活や活動)の具体的なありかたを研究する人類学なんだそうで、本書も興味深い内容。学問的な記述が難しい部分も多いが、なんとか読了。「一億年の森に住まう」ボルネオ島(カリマンタン島)に住まう「焼畑民カリス」と「狩猟民プナン」の調査(フィールドワーク)を続けてきた文化人類学者の著者が提示する視点には、目を見開かされるものが多い。まさしく「世界は広い」。
読了日:12月20日 著者:奥野 克巳
世界はフムフムで満ちている: 達人観察図鑑 (ちくま文庫 か 83-1)の感想
先頃読んだ『日本に住んでる世界のひと』 (大和書房/2022年刊)で知った著者の本。読了後、デビュー作だと知った。見開き2ページにイラスト入りで(これまた味がある)さまざまな職業の「達人」へのインタビューを100人分掲載(単行本では88人、文庫版で12人加筆)。どこにでもいそうな人たちなのだが、<自分の持ち場を丁寧に照らしている>と著者が言う、その「達人」ぶりを掬いあげる妙技に感心した。文庫版あとがきに記された、ラジオ子ども相談室に寄せられた少女の悩みへの回答のくだりでは、不覚にも涙が。いい本です。
読了日:12月20日 著者:金井 真紀
トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)の感想
二か月かけて他の本と併読しながら、ようやく読了。中身の濃い新書だった。120ほど前のトラクターの誕生から、その後の発達・改良、将来への展望まで、世界史的な視点で綿密に調べあげている。人や牛馬の力で土を耕すことから解放した一方、「ダストボウル」(化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって土壌の団粒構造が失われ、さらさらの砂塵になり、強い風に煽られて空気中に舞う現象=砂塵の器/P.62)、騒音・振動が運転者に及ぼす悪影響など、初めて知った。戦車への技術流用という歴史も興味ぶかい。(続く)
読了日:12月22日 著者:藤原 辰史
水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)の感想
なかなか手が出なかった「水滸伝」。北方謙三版なら読めそうだと思って着手。この文庫1巻目の解説(北上次郎)が、その魅力をよく伝えている(先に解説を読んだ)。登場人物がやたら多くて混乱するが、最終章「地霊の星」の手に汗握る展開がすばらしい。2巻目が楽しみ。
読了日:12月27日 著者:北方 謙三
水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)の感想
二巻目にはいって、なんとか主要な登場人物の顔が浮かぶようになってきた。この巻の冒頭、武松のエピソードは悲しい。最終章で、ついに「替天行道」の旗印を掲げた「梁山泊」が誕生する。今年2022年最後に読了した本。
読了日:12月31日 著者:北方 謙三
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