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2023年2月の2件の記事

2023年2月23日 (木)

【読】目取真俊『水滴』――パギやん一人芝居

今週土曜日、狛江のホールで、”パギやん” こと趙博(チョウ・バク)さんの一人芝居がある。

声体文藝館 水滴 (Facebookイベントページ)
https://www.facebook.com/events/1192902334674197

浪花の歌う巨人、パギやん一人芝居
徳正の足が突然膨れ出したは六月の半ば、空海雨の暑い日差しを避けて、奥座敷の簡易ベットで昼寝をしているときだった。……
原作:目取真俊
脚本・演出・演戯:趙博
オープニング・アクト:高山正樹、隈本吉成
2023年2月25日(土)18:30開場 19:00開演
木戸銭 弐千円
主催:M.A.P.
ご予約・お問合せ
03-3489-2246(M.A.P.)

パギやんについては、名前だけは知っていて、いつかその舞台・ライブを観たいと思い続けてきた。

昨年12月21日、恵比寿の「シアター・アルファ東京」という小劇場で、パギやんが出演する芝居を初めて観る機会があった。

新宿梁山泊 第73回公演
「奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~」
 作:趙博 演出:金守珍

じつに刺激的で、音楽あり、歌ありのスケールの大きな芝居だった。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」、マルコムX、そして金嬉老。
金嬉老役の演技に打たれ、パギやんの演奏・歌、マルコムXの演説・・・。
今もまだ、芝居で受けた感動がよみがえる。

この日の日記ブログ記事
2022年12月21日(水): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2022/12/post-d53964.html

さて、今週土曜日2/25の芝居。
原作の目取真俊『水滴』は、7年前に図書館から借りて読んでいる。
ブログ記事を探してみたところ、2016年年末の記事があった。
髙橋美香さんに出会ったのも、この年だったことを、あらためて思い出した。

【読】2016年総集編 今年読んだ本: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/2016-0049.html

図書館から、目取真俊の本を借りてきた。
『水滴』は、今日休館の中央図書館にあるため、明日、受け取る。

 

この作家の小説群は、7年前にまとめて読んだのだが、その鮮烈な印象は、今も残っている。
土曜日のパギやんの一人芝居が楽しみだ。

【補足】 2023/2/25追記
目取真『水滴』が1997年上半期 第117回芥川賞を受賞した際の、選考委員たちの選評が読めるネット記事がある。
池澤夏樹氏が強く推している。

芥川賞-選評の概要-第117回|芥川賞のすべて・のようなもの
https://prizesworld.com/akutagawa/senpyo/senpyo117.htm

ちなみに、選考委員たちの顔ぶれは、以下(上記サイトより)。
池澤夏樹さんも、まだ50代だったんだ。

選考委員
丸谷才一 男 71歳
日野啓三 男 68歳
黒井千次 男 65歳
田久保英夫 男 69歳
河野多恵子 女 71歳
宮本輝 男 50歳
池澤夏樹 男 52歳
古井由吉 男 59歳
石原慎太郎 男 64歳
三浦哲郎 男 66歳

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2023年2月 2日 (木)

【読】2023年1月に読んだ本(読書メーター)

先月は、北方謙三の『水滸伝』を読み続けていた。
全19巻の16巻目まで進んだところ。

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4744
ナイス数:182

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)感想
2022年の大晦日から読み始めて新年2日に読了。三巻目になって、ようやく梁山泊をとり巻く人間たちの姿が私にも見えてきた。この巻の最終章、重要人物である宋江が、ついに役人という世を忍ぶ仮の姿を捨て、叛乱軍の首謀として動き始める。宋江の弟・宋清、彼らをサポートする武松、朱仝といった脇役が、この先、活躍していきそうな予感。1巻目、2巻目、3巻目と読み進むうちに、壮大な物語の展開に嵌ってしまいそう。頑張って最終巻まで読み通したい。
読了日:01月02日 著者:北方 謙三

水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)感想
シリーズ4巻目。どんどん増えてくる登場人物の多彩さ、地理的舞台の広さ、物語全体のスケールの大きさに圧倒されつつ、寸暇を惜しんで読むようになってきた。それほど読者を惹きつける小説。次巻に続く楊志と宋江に迫る危機。さて、どうなるか。
読了日:01月03日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)感想
この第5巻は、これまで以上に熱い。大きく本格的な戦闘がふたつ。仲間の裏切り、謀略。そして重要な頭目の死。これ以上書くとネタバレになるので詳しく書かないが、まさに息つく暇もないほどの展開。文庫巻末の志水辰夫による解説がいい(ネタバレがあるので本編の前に読まなくてよかった)。そこには、こうある。<それまで押さえに押さえてきたマグマのようなエネルギーが、地下から噴き上げて耳を聾せんばかりの大音響とともに爆発したのが、ほかならぬこの第五巻なのだ。>…続巻がますます楽しみになってきた。
読了日:01月05日 著者:北方 謙三

水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)感想
<面白いから、読め! この一行だけでいいのだ、本当は。>――巻末解説(吉田伸子)にこうある。まさにその通り。六巻目に入って、またあらたな人物が梁山泊の豪傑たちに加わる。その経緯が細かく描かれていて、人物像が目に浮かぶ。文体の簡潔さも、この物語の魅力。故井上ひさし氏が書評でこう指摘しているのも頷ける。――<文体の冒険 私がまず一番に注目したことは、北方さんがこの大長編の文章で、ほとんど形容句というものを使っていないことです。> https://allreviews.jp/review/1716
読了日:01月08日 著者:北方 謙三

水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)感想
この巻でも重要な人物が死んでいく。それが、ごく自然な展開で、さすが北方謙三。この先、どうなる? どうなる? と目が離せない展開。壮大な物語世界。時間がかかるが最終巻まで読み通したい。
読了日:01月11日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)感想
梁山泊軍勢と宋との大規模な戦(いくさ)。戦闘シーンの描写は迫力があるのだが、イメージがわかないのが残念。それでも、物語は次々と意外な展開が続いて、面白い。林冲の妻は? …時間に期待。この巻の文庫解説(王勇)も、とても参考になる。「水滸伝よもやまばなし」(「青春と読書」連載)、どこかで読めないかなあ。
読了日:01月12日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)感想
文庫解説(馳星周)がいい。<男はどう生き、どう死ぬべきか>という北方謙三の世界を揶揄しながらも、抗しがたい魅力に「参った」と。<百八人の北方謙三もどきが、これでもか、これでもかと男の生き様を説き、死に様を見せつける。百八人分のナルシシズムに翻弄されるのだ>――たしかに、この物語の「漢(おとこ)の世界」は、私にも鬱陶しい。馳星周氏が言うように「替天行道」は象徴であって、その中身が明かされない。彼らの「志」がいまひとつ理解できない(腐りきった国への怨恨は理解できるが)。それでも、この物語は抜群に面白いのだ。
読了日:01月16日 著者:北方 謙三

水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)感想
全19巻のちょうど折り返しの巻。大きな戦のさまがダイナミックに描かれていて、巻措く能わずといった感じで読み終えた。梁山泊にまた何人かの豪傑が加わり、いっぽうで何人かが命を落とす。この文庫の解説(大森望)もいい。北方謙三が「水滸伝」で描きたかったのが、あのキューバ革命だったという話――北方本人も『北方謙三の「水滸伝」ノート』NHK出版生活人新書/2009年に書いているのだが――にも納得。晁蓋と宋江がゲバラとカストロの関係、などと聞かされると、なにやら嬉しくなる。北方謙三の説話=自身の青春の熱さの再現だとか。
読了日:01月18日 著者:北方 謙三

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)感想
戦闘シーンはなかなかイメージが沸かないが、登場人物たちの内面描写が面白く、読むのをやめられない。この巻では、晁蓋の生死が気になり(これまで、だめかと思われていても命拾いをした豪傑がいたので)、男勝りの扈三娘(こさんじょう)が見せる恥じらいが面白い。官軍側(青蓮寺)にも、悪役ながら魅力的な人物が。晁蓋を狙う刺客も人間味あふれる。それにしても、登場人物の多さよ。巻頭の登場人物一覧をしょっちゅう見ながら読み続けている。
読了日:01月22日 著者:北方 謙三


水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)感想
この巻はひとつの山場。前の巻で晁蓋がやはり暗殺され――晁蓋の末期らしいシーンで終わっていたが、もしやと思っていた――、この巻では、梁山泊の経済的支柱だった蘆俊義が捕獲されて酷い拷問を受けたものの、奇跡的に救出される。拷問シーンは凄絶。官軍の将軍・関勝がじつに魅力的な人物。官軍側(青蓮寺)の者たちも陰影に富んでいて魅力的な人物として描かれている。それにしても登場人物が多すぎて、名前を見ても、はて、どのような経緯で梁山泊に参加したのだっけ? と思い出せなかったりする。ともあれ残り7巻の展開に期待したい。
読了日:01月26日 著者:北方 謙三

水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)感想
全19巻の三分の二ほどまできた。この巻でも激烈な戦闘が続き、何人かの主要人物と多数の無名戦士たちが命を落とす。あれだけの戦を続けていれば将兵が死んでいくのが当然で、惜しまれつつ戦死していく豪傑もいれば、あたらしく梁山泊に加わる豪傑もいる。この巻で印象に残ったのは、官軍の船から救い出された下働きの少年(趙林)だ。楊志の遺児・楊令とともに、殺伐とした大人の世界にこういう少年を登場させるところが心憎い。また、何人かの女性たちも魅力的だ。巻末解説(西上心太)もいい。余談だが、1巻目の解説者・北上次郎が亡くなった。
読了日:01月29日 著者:北方 謙三

水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)感想
梁山泊と宋軍との全面的な戦闘が幕をあける。この先の展開がますます楽しみになってきた。この巻でも、張平という気になる小年(張横の次男)が登場。隠棲する王進の許に預けられる。そこには楊令もいる。この二人の行く末も気になるところだ。梁山泊軍の新兵器の威力は、果たして?
読了日:01月30日 著者:北方 謙三

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