【読】2023年3月に読んだ本(読書メーター)
2023年3月は、北方謙三『楊令伝』(『水滸伝』の続編)を読み続けている。
あいまに、岡崎武志さんの本を3冊。
3月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3301
ナイス数:108楊令伝 1 玄旗の章 (集英社文庫)の感想
北方『水滸伝』に続けて読み始めた。梁山泊の生き残りたち、楊令、梁山泊二世たちが、あらたな物語を展開していく予感。子午山の王進のもとに、あらたな梁山泊二世が預けられる。北の遼・金では”幻王”の正体が巻末で明かされ、次巻以降につながる。この先が楽しみだ。この巻の解説は宮部みゆき。
読了日:03月02日 著者:北方 謙三
楊令伝 2 辺烽の章 (集英社文庫)の感想
楊令が梁山泊に復帰。岳飛(実在の人物だと知った)という少年がこの巻で登場。なるほど、彼が後続の『岳飛伝』の主人公になるのか。この巻の解説は北上次郎(見黒孝二、つい先日、惜しくも亡くなった)。その解説によれば、『楊令伝』第九巻で大転換があるという。この先も楽しみな大作ではある。
読了日:03月07日 著者:北方 謙三
楊令伝 3 盤紆の章 (集英社文庫)の感想
この巻で物語は大きく動き始める。楊令が梁山泊の頭領として北から復帰。金と遼の戦い。江南では方臘というとてつもない宗教指導者が大きな叛乱を起こし、その懐に趙仁を名乗って潜入している呉用の運命や如何。まだまだ先は長い。
読了日:03月13日 著者:北方 謙三
楊令伝 4 雷霆の章 (集英社文庫)の感想
梁山泊二世たちの活躍が目立つ。楊令を筆頭とする、子午山の王進の許で鍛えあげられた若者たち。なかでも花飛麟が頼もしい将校に成長。この巻の終盤、子午山で修行した楊令、史進、鮑旭、馬麟、花飛麟、楊平の六人が集い、王母(王進の母)の死を焚火を囲んで悼むシーンにはジーンときた。あたらしい梁山泊の周辺で、にわかに戦の匂いが。次巻が楽しみだが、ここらで毛色のちがう別の本も読んでみようか、というところ。
読了日:03月19日 著者:北方 謙三
楊令伝 5 猩紅の章 (集英社文庫)の感想
江南での長い長い方臘の乱が、ようやく童貫軍によって鎮圧された。気分の悪くなりそうな宗教叛乱の鎮圧。信徒たちの「度人」という行為が不気味。趙仁がようやく呉用に戻って梁山泊に復帰(というか半ば拉致された格好)。北では金の阿骨打が死亡。青蓮寺の李富と聞煥章の競り合いも興味津々。全15巻のこの先の展開がまったく予測できない。まだ5巻目。道のりは遠い、という感じ。
読了日:03月24日 著者:北方 謙三
憧れの住む東京への感想
個人的にもよく知っている岡崎武志さんの新刊。ご本人から出版記念イベントの案内をいただいて知った本。三部作とも言える『上京する文學 春樹から漱石まで』(新日本出版社のち、ちくま文庫)『ここが私の東京』(扶桑社のち、ちくま文庫)に続く三冊目。赤瀬川原平、洲之内徹、浅川マキ、田中小実昌、山之口貘、耕治人の6人
表現者(いずれも上京者)の上京後の足取りが、緻密な下調べに依って、ていねいに描かれている。私もまた上京者。岡崎さん(大阪出身)の思いがよくわかる。なかでも浅川マキと山之口貘の章が、私には特にうれしかった。
読了日:03月28日 著者:岡崎武志
楊令伝 6 徂征の章 (集英社文庫)の感想
最終章にいたく感動。扈三娘が絶体絶命のピンチから脱出。聞煥章の死。童貫が子午山の王進を訪ねる。…思いがけない展開だった。楊令が洞庭山を訪れて呉用を梁山泊に復帰させる。いよいよ梁山泊軍と童貫率いる宋禁軍との戦が始まるのか。まだ6巻目。この先、どういう展開が待っているのだろう。
読了日:03月29日 著者:北方 謙三
ここが私の東京 (ちくま文庫 お-34-10)の感想
単行本も持っているが文庫で読んだ。文庫版には「草野新平」の章が追加されており、牧野伊三夫さん(画家で岡崎さんと親しい。本書の装画・挿画も担当)の解説文がある。この本の前に読んだ『憧れの住む東京へ』(2023年1月刊)の前作にあたる(単行本は2016年刊)。文庫巻末に追加されている岡崎さん自身の上京記「これが私の東京物語」が興味ぶかい。さまざまな”上京者”にそそぐ岡崎さんの眼差しは、優しく、あたたかい。それにしても、とりあげる人物たちについてよく調べあげたものだと感心する。
読了日:03月30日 著者:岡崎 武志
上京する文學 (ちくま文庫)の感想
岡崎さんの「上京者シリーズ」と呼びたい一連の著作の一冊目。2012年上梓の単行本を持っているが、書棚で眠ったまま。文庫化(2019年)されたものを買い求め、勢いで読んだ。単行本とは収録順序が違う。冒頭が村上春樹(単行本では斎藤茂吉)。書名の副題も「漱石から春樹まで」が「春樹から漱石まで」に変わっているのが興味を引く。そのほか、文庫版には岡崎さんが敬愛する野呂邦暢の章が加えられ、重松清による自身の上京記が「解説」代わりに添えられている。岡崎さんの人がらを感じさせるウイットに富んだ文章に、あらためて感心した。
読了日:03月31日 著者:岡崎 武志
読書メーター
| 固定リンク
「【読】読書日誌」カテゴリの記事
- 【読】池澤夏樹=個人編集 世界文学全集(2023.05.12)
- 【読】桐野夏生の新作(2023.05.07)
- 【楽】【読】五木寛之の夜 ふたたび(2023.05.04)
- 【読】池澤夏樹『また会う日まで』読了(2023.05.01)
- 【読】2023年4月に読んだ本(読書メーター)(2023.05.01)
「こんな本を読んだ」カテゴリの記事
- 【読】桐野夏生の新作(2023.05.07)
- 【読】池澤夏樹『また会う日まで』読了(2023.05.01)
- 【読】2023年4月に読んだ本(読書メーター)(2023.05.01)
- 【読】沢木耕太郎『天路の旅人』を読む(2023.04.15)
- 【読】2023年3月に読んだ本(読書メーター)(2023.04.01)
コメント