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2023年7月の5件の記事

2023年7月31日 (月)

【読】沢木耕太郎さんと山崎ハコさん

角幡唯介さんの書くものが好きで、よく読んでいる。

まだ読み始めたばかりの、この本に、沢木耕太郎さんとの対談が掲載されている。

角幡唯介 『旅人の表現術』 集英社文庫 (2020/2/25) 335ページ

驚いたことに、沢木耕太郎さんが山崎ハコさんのデビュー・アルバムに言及している。

対談の前後の脈略を無視して、その部分だけを下にあげる。

「歩き、読み、書く ノンフィクションの地平」(上掲書 P.74)
 初出:「考える人」 2012年秋号[No.42]
 2012年10月4日刊行(新潮社)

沢木
(前略)
一九七〇年代にデビューした山崎ハコさんという女性歌手がいます。最初のアルバムが素晴らしい出来で、でも二枚目、三枚目はなかなかヒットしない。山崎さんがあるときこう言っていました。「それは当たり前だと気づきました。だって十七歳の全人生が最初の一枚にはこもっていたんです。そのあとの一年、二年をこめたものより一枚目がいいに決まってる。そう思えるようになりました」
(後略)

この、ハコさんの言葉を、沢木さんはどこで聞いたのだろうか。
(「あるときこう言っていました」)
とても気になる。

ネット検索などではみつからない。
沢木さんの対談集かインタビュー集などに載っているのだろうか?
それとも、何かの機会でハコさんと話したのか?

妙に説得力のある、ハコさんの言葉なのだが…。

 

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2023年7月16日 (日)

【読】読み終えたぞ、北方謙三「大水滸伝」三部作

昨年2022年の暮れから読み続けてきた、北方謙三「大水滸伝」三部作。
最後の『岳飛伝』最終巻を読み終えた。

じつに感慨深い。

読書メーターにあげた感想(255文字までという制限あり)を、載せておこう。

https://bookmeter.com/books/12716151

北方「大水滸伝」三部作読了。昨年暮れから7か月かかった。この巻の幕引きは岳飛の静かな退場(なんとなく予想していた)。史進が生き延びたのも自然な流れ、というか作者のメッセージが込められているのか。梁山泊軍、南宋軍、金軍の最後の決戦シーンには、あいかわらず戦場のイメージが沸かず不満がある。何十万の大軍というのが私の想像力を超える。それはともかく『水滸伝』19巻、『楊令伝』15巻、『岳飛伝』17巻、計51巻を読み終えて感慨深い。胡土児の将来が気になる。『チンギス紀』に繋がるのだろうか。北上次郎の文庫解説がいい。

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2023年7月15日 (土)

【演】2023/7/11 椿組公演「丹下左膳 '23」初日

2023年7月11日(火) 新宿花園神社境内特設ステージ(テント)
劇団椿組2023夏・花園神社野外劇
「丹下左膳 '23」
18:30開場 19:00開演 途中休憩あり 約2時間

椿組2023年夏・花園神社野外劇 「丹下左膳'23」
http://tubakigumi.com/upcoming-stage/

菊池豊:脚本 西沢栄治:構成演出
友川カズキ:主題歌 挿入歌:山崎ハコ

●2023年7月11日(火)~23日(日)12回公演 [18日(火)休演日]
新宿花園神社境内特設ステージ

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7月11日、猛烈な暑さのなか、初日公演を観てきた。

毎年のように、夏、ここでの椿組の野外劇に通っている。
・2008年 「新宿番外地」
・2019年 「芙蓉咲く路地のサーガ」 ~熊野にありし男の物語~
・2021年 「貫く閃光、彼方へ」
・2022年 「夏祭・花之井哀歌」

山崎ハコさんが挿入歌を担当(今年は作曲)し続けていて、私には必見の芝居。

劇場公演だったが、椿組のこんな芝居も観た。
・2023年2月11日 椿組 2023年公演
「まっくらやみ 女の筑豊(やま)」
音楽:山崎ハコ
2023/2/9~3/19

2023年2月11日(土): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2023/02/post-b4f5f3.html

昨年の花園神社公演は、出演者がコロナ感染で、初日一日で中止になってしまった。
その初日も、観られたのが幸運だった。

【2022/7/9(土)昨年の公演初日】

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椿組2022年夏・花園神社野外劇 「夏祭・花之井哀歌」
http://tubakigumi.com/history/history_hanazono_2022/index.html

今年の「丹下左膳 '23」は、丹下左膳、安寿と厨子王、忠臣蔵を混ぜ合わせた、一筋縄ではとらえられない複雑な筋立て。
ステージの仕掛けが、あっと驚くものだった。
ラストシーンにも度肝を抜かれた。
迫力満点、笑いあり、涙あり…野外劇ならではの醍醐味に酔った。

ハコさん作曲の挿入歌「お美夜の歌」は、主演のお美夜役・宮本裕子さんが歌った。
昨年の芝居では(一日だけの公演に終わったが)、ハコさんが美しい着物姿で劇中にあらわれて歌ったのだった。

花園神社、上々颱風の野外ライブに通ったのが、今では懐かしい。

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2023年7月 8日 (土)

【読】北方謙三「大水滸伝」三部作、あと4巻

昨年2022年暮れから、継続して読んでいる北方謙三の「大水滸伝」三部作。
『水滸伝』 全19巻
『楊令伝』 全15巻
『岳飛伝』 全17巻
いずれも集英社文庫。

北方謙三「大水滸伝」シリーズ ◆中国歴史小説『水滸伝』『楊令伝』『岳飛伝』◆|集英社
https://lp.shueisha.co.jp/dai-suiko/

『岳飛伝』13巻目まで読み終えて、最後の4巻を図書館から借りてきた。

 

『水滸伝』は、ブックオフで古本を買い集め、読み終えた後は、小平図書館友の会のチャリティ古本市に供出。
続く『楊令伝』は、地元の図書館から借りて読んだ。
『岳飛伝』は、文庫版が地元図書館になく、相互利用が始まった小平の図書館から借りて読んでいる。

文庫版にこだわるわけは、巻末の解説が読みたいから。

合わせて51巻の大作を読み続けるのは根気がいるが、それだけ魅力的な小説なのだ。
全巻読了後に、あらためて感想を書くつもりだ。
登場人物が膨大で、舞台も広いので(宋末から南宋時代の中国全土、さらに、西域、日本、南方まで)、内容の紹介は私には無理だが。

長い読書経緯を、記録としてメモ帳に残している読書記録から、コピペしておく。

●2022/12/24~12/27 北方謙三 『水滸伝 一 ―― 曙光の章』 集英社文庫 (2006/10/25) 388ページ 解説:北上次郎
●12/28~12/31 北方謙三 『水滸伝 二 ―― 替天光の章』 集英社文庫 (2006/11/25) 389ページ 解説:大沢在昌
●12/31~1/2 北方謙三 『水滸伝 三 ―― 輪舞の章』 集英社文庫 (2006/12/20) 388ページ 解説:逢坂剛
●2023/1/2~1/3 北方謙三 『水滸伝 四 ―― 道蛇の章』 集英社文庫 (2007/1/25) 390ページ 解説:池上冬樹
●1/4~1/5 北方謙三 『水滸伝 五 ―― 玄武の章』 集英社文庫 (2007/2/25) 390ページ 解説:志水辰夫
●1/6~1/8 北方謙三 『水滸伝 六 ―― 風塵の章』 集英社文庫 (2007/3/25) 388ページ 解説:吉田伸子
●1/8~1/11 北方謙三 『水滸伝 七 ―― 烈火の章』 集英社文庫 (2007/4/25) 389ページ 解説:縄田一男
●1/11~1/12 北方謙三 『水滸伝 八 ―― 青龍の章』 集英社文庫 (2007/5/25) 395ページ 解説:王勇
●1/13~1/16 北方謙三 『水滸伝 九 ―― 風翠の章』 集英社文庫 (2007/6/30) 390ページ 解説:馳星周
●1/16~1/18 北方謙三 『水滸伝 十 ―― 濁流の章』 集英社文庫 (2007/7/25) 398ページ 解説:大森望
●1/18~1/22 北方謙三 『水滸伝 十一 ―― 天地の章』 集英社文庫 (2007/8/25) 389ページ 解説:岡崎由美
●1/22~1/26 北方謙三 『水滸伝 十二 ―― 炳呼の章』 集英社文庫 (2007/9/25) 397ページ解説:張競
●1/26~1/29 北方謙三 『水滸伝 十三 ―― 白虎の章』 集英社文庫 (2007/10/25) 397ページ 解説:西上心太
●1-29~1/30 北方謙三 『水滸伝 十四 ―― 爪牙の章』 集英社文庫 (2007/11/25) 395ページ 解説:細谷正充
●1/30~2/1 北方謙三 『水滸伝 十五 ―― 折戟の章』 集英社文庫 (2007/12/20) 395ページ 解説:茶木則雄
●2/1~2/4 北方謙三 『水滸伝 十六 ―― 馳驟の章』 集英社文庫 (2008/1/25) 390ページ 解説:吉川晃司
●2/4~2/5 北方謙三 『水滸伝 十七 ―― 朱雀の章』 集英社文庫 (2008/2/25) 397ページ 解説:高井康典行(やすゆき)
●2/5~2/6 北方謙三 『水滸伝 十八 ―― 乾坤の章』 集英社文庫 (2008/3/25) 397ページ 解説:夢枕獏
●2/7~2/10 北方謙三 『水滸伝 十九 ―― 旌旗の章』 集英社文庫 (2008/4/25) 395ページ 解説:ムルハーン千栄子
●2/10~2/12 北方謙三 『北方謙三の「水滸伝」ノート』 NHK出版生活人新書300 (2009/9/10) 203ページ
●2/12~2/14 北方謙三(編著) 『替天行道 ―― 北方水滸伝読本』 集英社文庫 (2008/4/25) 419ページ

●2/21~3/2 北方謙三 『楊令伝 一 ――玄旗の章』 集英社文庫 (2011/6/30) 390ページ 解説:宮部みゆき
●3/4~3/7 北方謙三 『楊令伝 二 ――辺烽の章』 集英社文庫 (2011/7/25) 395ページ 解説:北上次郎
●3/8~3/13 北方謙三 『楊令伝 三 ――盤紆の章』 集英社文庫 (2011/8/25) 395ページ 解説:唯川恵
●3/14~3/19 北方謙三 『楊令伝 四 ――雷霆の章』 集英社文庫 (2011/9/25) 397ページ 解説:後藤正治
●3/21~3/24 北方謙三 『楊令伝 五 ――猖紅の章』 集英社文庫 (2011/10/25) 397ページ 解説:小久保裕紀
●3/28~3/29 北方謙三 『楊令伝 六 ――徂征の章』 集英社文庫 (2011/11/25) 398ページ 解説:吉田戦車
●3/31~4/2 北方謙三『楊令伝 七 ――驍騰の章』 集英社文庫 (2011/12/20) 396ページ 解説:宇梶剛士
●4/2~4/3 北方謙三『楊令伝 八 ――箭激の章』 集英社文庫 (2012/1/25) 398ページ 解説:武田双雲
●4/4~4/5 北方謙三『楊令伝 九 ――遥光の章』 集英社文庫 (2012/2/25) 398ページ 解説:川上健一
●4/6~4/10 北方謙三『楊令伝 十 ――坡陀の章』 集英社文庫 (2012/3/25) 396ページ 解説:水森サトリ
●4/11~4/17 北方謙三『楊令伝 十一 ――傾暉の章』 集英社文庫 (2012/4/25) 390ページ 解説:吉田伸子
●4/17~4/22 北方謙三『楊令伝 十二 ――九天の章』 集英社文庫 (2012/5/25) 390ページ 解説:今野敏
●4/23~4/24 北方謙三『楊令伝 十三 ――青冥の章』 集英社文庫 (2012/6/30) 390ページ 解説:張競
●5/3~5/4 北方謙三『楊令伝 十四 ――星歳の章』 集英社文庫 (2012/7/25) 390ページ 解説:東えりか
●5/4~5/5 北方謙三『楊令伝 十五 ――天穹の章』 集英社文庫 (2012/8/25) 388ページ 解説:イオアニス・メンザス

●5/29~5/31 北方謙三 『岳飛伝 一 ――三霊の章』 集英社文庫 (2016/11/25) 390ページ 解説:原泰久
●5/31~6/2 北方謙三 『岳飛伝 二 ――飛流の章』 集英社文庫 (2016/12/25) 390ページ 解説:池上冬樹
●6/2~6/4 北方謙三 『岳飛伝 三 ――嘶鳴の章』 集英社文庫 (2017/1/25) 394ページ 解説:張競
●6/6~6/7 北方謙三 『岳飛伝 四 ――日暈の章』 集英社文庫 (2017/2/25) 384ページ 解説:鳴海章
●6/7~6/8 北方謙三 『岳飛伝 五 ――紅星の章』 集英社文庫 (2017/3/25) 386ページ 解説:諸田玲子
●6/9~6/11 北方謙三 『岳飛伝 六 ――転遠の章』 集英社文庫 (2017/4/25) 392ページ 解説:小梛治宣
●6/13~6/15 北方謙三 『岳飛伝 七 ――懸軍の章』 集英社文庫 (2017/5/25) 390ページ 解説:桜木紫乃
●6/15~6/16 北方謙三 『岳飛伝 八 ――龍蟠の章』 集英社文庫 (2017/6/30) 392ページ 解説:川合章子
●6/16~6/19 北方謙三 『岳飛伝 九 ――曉角の章』 集英社文庫 (2017/7/25) 390ページ 解説:末國善己
●6/19~6/26 北方謙三 『岳飛伝 十 ――天雷の章』 集英社文庫 (2017/8/30) 385ページ 解説:東山彰良
●6/26~7/2 北方謙三 『岳飛伝 十一 ――烽燧の章』 集英社文庫 (2017/9/25) 388ぺージ 解説:細谷正充
●7/3~7/5 北方謙三 『岳飛伝 十二 ――瓢風の章』 集英社文庫 (2017/10/25) 394ページ 解説:西上心太
●7/6~7/7 北方謙三 『岳飛伝 十三 ――蒼波の章』 集英社文庫 (2017/11/25) 392ページ 解説:小山進

●北方謙三 『岳飛伝 十四 ――撃撞の章』 集英社文庫 (2017/12/20) 394ページ 解説:吉田伸子
●北方謙三 『岳飛伝 十五 ――照影の章』 集英社文庫 (2018/1/25) 395ページ 解説:宇梶剛士
●北方謙三 『岳飛伝 十六 ――戎旌の章』 集英社文庫 (2018/2/25) 394ぺージ 解説:山田裕樹
●北方謙三 『岳飛伝 十七 ――星斗の章』 集英社文庫 (2018/3/25) 391ぺージ 解説:北上次郎


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2023年7月 1日 (土)

【読】2023年6月に読んだ本(読書メーター)

北方謙三『岳飛伝』10巻目まで読んだ。
他に2冊。

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4044
ナイス数:137

岳飛伝 2 飛流の章 (集英社文庫)岳飛伝 2 飛流の章 (集英社文庫)感想
この巻で、また大きな展開が。子午山の公淑が静かに息を引き取り、王進がその後を追うように自死(といっていいだろう)する章はしんみりと胸に沁みる。王清と蔡豹は子午山を離れて自立。二人のこの先が気になる。また、自らの弱さを隠そうともしない岳飛の姿が魅力的。呉用を頭領とする梁山泊が思いをあらたに動き出し、金軍との大きな戦闘(決戦?)が始まる。若い宣凱は呉用の跡を継ぐのか? 次巻の展開がいよいよ楽しみ。北方大水滸伝の最終作は、じつに面白い。さすがだ。
読了日:06月02日 著者:北方 謙三

岳飛伝 3 嘶鳴の章 (集英社文庫)岳飛伝 3 嘶鳴の章 (集英社文庫)感想
3巻目。舞台がさらに南方まで広がり、この先のスケールの大きさを予感させる。カンボジアから、なんとビルマ(ミャンマー)まで! 梁山泊若手の活躍(宣凱、秦容、王貴、王清たち)からも目が離せない。老いてなお強い史進、人間味あふれる岳飛。さらに、前面に出てきた三人の個性的な若い女性たちも魅力的。北方謙三が描く人物の奥深さ! この巻の文庫解説(張強氏)は、北方大水滸伝の成り立ちを本家水滸伝と比較していて、たいへん興味深い。
読了日:06月04日 著者:北方 謙三

魂魄の道魂魄の道感想
これまで何冊も作品を読んだ作家の新刊(2023年2月刊)。2014年から2022年まで雑誌に発表された5編の中短編が集められている。生き延びた人たちの視点から沖縄戦での苦難と戦後の苦悩が語られる。ずっしりと重い内容。
読了日:06月05日 著者:目取真 俊


岳飛伝 4 日暈の章 (集英社文庫)岳飛伝 4 日暈の章 (集英社文庫)感想
南方であらたな試みを始めた秦容・李俊一行が、物語の広がりを予感させる。金軍と岳飛軍・南宋軍との大規模な戦闘シーンは、私には、あいかわらずイメージがつかみにくいが、波乱含みではある。北へ突出した岳飛軍は、南宋の秦檜たちの停戦への動きによって見捨てられるのだろうか。次巻に向かい、展開が楽しみだ。この巻の解説(鳴海章)が言う「遠大な物語でありながら、どのページを繰っても、熱く、7着ればいつでも血が噴き出しそうに躍動している」北方大水滸伝なんだな、と、あらためて思う。『岳飛伝』は全体のまだ四分の一弱(全17巻)。
読了日:06月07日 著者:北方 謙三

岳飛伝 5 紅星の章 (集英社文庫)岳飛伝 5 紅星の章 (集英社文庫)感想
呉用がひっそりと息を引き取った。その終焉シーンが、いい。西遼では韓成が「戦は、いやだ、人が死ぬ」と涙を流しながらも宣撫を続け、上青の許へ着く。その姿にもジーンとくる。遠く南方の宣凱たちの部隊では、ついに甘藷糖が完成。彼らの創意工夫が、すごい。さらに日本では、十三湊に着いた張朔が平泉の藤原基衡・秀衡父子に謁見する。物語の舞台はどんどん広がり、この先の梁山泊の交易のスケールがどこまで広がるのか。矛をおさめた岳飛の今後も、おおいに気になる。
読了日:06月08日 著者:北方 謙三

岳飛伝 6 転遠の章 (集英社文庫)岳飛伝 6 転遠の章 (集英社文庫)感想
文庫版カバー裏にあるように、「シリーズ前半、最大のクライマックスを迎える緊迫の第六巻」。まさか、岳飛がこの巻で死んでしまうことはないだろう(岳飛伝なのだから)と思いながらも、手に汗握る展開。頭領を失った岳家軍はどうなるのか。なにもかも失い、身ひとつで南方に逃亡する岳飛は? 全17巻のまだ三分の一だ。「水滸伝」「楊令伝」と続いてきて、登場人物たちの流れに大きな瑕疵がないのは、みごと。舞台のスケールがどんどん広がってきて、この先が楽しみだ。
読了日:06月11日 著者:北方 謙三

時々、慈父になる。時々、慈父になる。感想
この作家の熱心な読者でもないが、なんとなく読んでみようと図書館から借りてきた。面白かった。『スノードロップ』『パンとサーカス』は読んでいて、注目している作家ではある。「本書はフィクションです」とあるのが可笑しいが、ご自身の半生(ご子息誕生から現在まで)は、ほぼ実話だろう。ミロク(彌六)と名付けられたご子息が、活躍していることも知った。冒頭、エトロフ島訪問記が私には新鮮だった。芥川賞選考委員に選ばれ、石原慎太郎とやりあったくだりも面白い。全編を通じて反「アベ政治」への痛烈な批判は、この人らしく、いっそ痛快。
読了日:06月12日 著者:島田 雅彦

岳飛伝 7 懸軍の章 (集英社文庫)岳飛伝 7 懸軍の章 (集英社文庫)感想
湄公河(メコン川)の畔に落ち着いた岳飛。象の河で着々と「小梁山」を築き続ける秦容たち。西域では韓成が活躍。十三湊では藤原一族との結びつきを深める張朔。スケールの広がりに目を見張り、この先の展開への期待が増す。岳飛に懐いて子分のようになった猿の骨郎が可笑しい。
読了日:06月15日 著者:北方 謙三

 

岳飛伝 8 龍蟠の章 (集英社文庫)岳飛伝 8 龍蟠の章 (集英社文庫)感想
金国と南宋が組んで、梁山泊に挑んでこようとする。梁山泊致死軍の攪乱が頼もしい。海上でも大きな戦闘の予感。南方では「象の河」一帯(甘藷園、造船所、小梁山)の秦容・李俊らを頭とする梁山泊と、「湄公河」の岳飛たちが、ついに連携。南宋との戦が始まりそうで、この先の展開にますます期待が高まる。なお、この巻の文庫版解説(川合章子=歴史系フリーライター)には、歴史上の実在人物である岳飛と秦檜について詳しく書かれていて、きわめて興味深い。
読了日:06月16日 著者:北方 謙三

岳飛伝 9 曉角の章 (集英社文庫)岳飛伝 9 曉角の章 (集英社文庫)感想
全17巻の折り返し。撻懶の病死を契機に国内の矛盾が表面化してくる金国。水軍を強化して梁山泊の拠点(沙門島)と水軍を襲う南宋。この二国には滅亡の気配が感じられる。対照的に、梁山泊は秦容が率いる小梁山が発展を続け、岳飛との連携も進み、北方の高山の傭兵たちを配下に加えて、あたらしい国ができていく予感。このあたりの展開は、胸がすく思いだ。王清の悩みが微笑ましく、今後の命運が気になる。長大な物語(『水滸伝』19巻、『楊令伝』15巻に続く本作)を、まだしばらく楽しめそうだ。作者の技量にあらためて脱帽。
読了日:06月19日 著者:北方 謙三

岳飛伝 10 天雷の章 (集英社文庫)岳飛伝 10 天雷の章 (集英社文庫)感想
岳飛と秦容、それに蕭炫材が手を組み、南方の動きが激しくなった。水上戦で手痛い敗北を喫した南宋軍の動きも、興味深い。王貴と崔蘭がめでたく結ばれる一方で、蔡豹の悲しい死。あいかわらず、波乱万丈。ますます目が離せない。というか、次巻への期待が高まる。
読了日:06月26日 著者:北方 謙三

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