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2023年8月の5件の記事

2023年8月27日 (日)

【雑】小松由佳さん講演会(2023/10/29)始動

この10月、私が長いあいだかかわってきた、ドキュメンタリーフォトグラファー・小松由佳さんの講演会を開催する。

主催は、私が所属する小平図書館友の会。
会場は、いつもの小平市中央図書館視聴覚室。
今回、ZOOMでのオンライン配信も予定している。

以下、私が担当している小平図書館友の会ブログに掲載した予告記事より。


小松由佳さん講演会 予告: 小平図書館友の会ブログ
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/kltomonokai/2023/08/post-ef6858.html

2023年10月29日(土) 講演会を開催します。


小平図書館友の会主催 講演会

 見えない山を登る

 〜シリア難民、生きる根を見つめて〜

講師 小松由佳さん

(ドキュメンタリーフォトグラファー)

【講師より】 山に魅せられ、世界第二の高峰K2(8611m/パキスタン)に日本人女性として初めて登頂した小松は、次第に風土に根ざす人間の暮らしに魅せられ、写真家へと転向します。その後、遊牧民の世界を訪ねて出会ったシリアが2011年以降に内戦状態となると、難民となっていく人々の取材を始めました。現在は、トルコ南部のシリア難民を継続して訪ね、難民を取り巻く状況の変化を取材しています。グローバル化が進む今、日本ではあまり報道されないシリア難民の現状について、皆様と考えていきたいと思います。

日時 2023年10月29日(日)13:30~15:30 (開場13:00)
会場 小平市中央図書館 3階 視聴覚室
 小平市小川町2-1325 (西武多摩湖線「青梅街道」駅下車 徒歩5分)


会場(小平市中央図書館視聴覚室)での対面講演とZoomによる配信です。
Zoomでは 会場での講演の様子をカメラで撮影して配信します。

いずれも 事前予約制(会場は60人限定)。

申込受付 10月1日(日)~
受付期間前のお申し込みは ご遠慮ください。

先着順。会場での聴講は定員になり次第締め切ります。
Zoom参加には 定員はありません。
お問い合わせ、お申し込み先は、下のちらしをご覧ください。

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2023/8/27 掲載

 

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2023年8月10日 (木)

【読】イラク水滸伝(高野秀行)

この、高野秀行さんの新刊。
売れているらしい。
7月26日に発売されて、ひと月たたないうちに2刷になったと聞いている。

『イラク水滸伝』 高野秀行
出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2023/7/26)
発売日 ‏ : ‎ 2023/7/26
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 480ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4163917292
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163917290

地元の図書館にリクエストしてあったのだが、なかなか入らず。
先日、書店に立ち寄ったとき、我慢できずに衝動買いしてしまった。

まだ四分の一も読んでいないが(分厚いのだ)、すこぶる面白い。
高野さんの文章は、読む者をひきつける。

― Amazonサイトより ―

権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む
謎の巨大湿地帯〈アフワール〉
―――そこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。

中国四大奇書『水滸伝』は、悪政がはびこる宋代に町を追われた豪傑たちが湿地帯に集結し政府軍と戦う物語だが、世界史上には、このようなレジスタンス的な、あるいはアナーキー的な湿地帯がいくつも存在する。
ベトナム戦争時のメコンデルタ、イタリアのベニス、ルーマニアのドナウデルタ……イラクの湿地帯はその中でも最古にして、“現代最後のカオス”だ。

・謎の古代宗教を信奉する“絶対平和主義”のマンダ教徒たち
・フセイン軍に激しく抵抗した「湿地の王」、コミュニストの戦い
・水牛と共に生きる被差別民マアダンの「持続可能な」環境保全の叡智
・妻が二人いる訳とは?衝撃の民族誌的奇習「ゲッサ・ブ・ゲッサ」
・“くさや汁”のようなアフワールのソウルフード「マスムータ」
・イスラム文化を逸脱した自由奔放なマーシュアラブ布をめぐる謎……etc.

想像をはるかに超えた“混沌と迷走”の旅が、今ここに始まる――
中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録が凝縮された
圧巻のノンフィクション大作、ついに誕生!

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2023年8月 3日 (木)

【読】素晴らしきラジオ体操

あることがきっかけで、この本を思い出した。

『素晴らしきラジオ体操』
 高橋秀実(たかはし・ひでみね)
 小学館文庫 2002/9/1発行
 264ページ 552円(税別)

今は、草思社文庫で出ているようだ。
2013年2月2日 発行 草思社文庫

<日本の夏休みの風物詩として慣れ親しんだ“ラジオ体操”を深く掘り下げたノンフィクション。そもそもの始まりは何時か、何の目的でどの様に普及していったのか? 知られざる側面に迫る。>

いわゆる「エンタメ・ノンフ」の傑作。
小学館文庫で読んはずだが、それはもう14年前のこと。
この本を知ったのは、高野秀行さんの『辺境の旅はゾウにかぎるだった。

その高野さんの本は、まだ手元にあるし、その後、文庫化(『辺境中毒!』と改題)されて、それも手元にある。

 

2019年5月28日の、この私のブログ記事に、当時のことが書いてあった。

【読】エンタメ・ノンフの面白本: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-a179.html

その頃知った、面白そうな本のいくつかは、読めないまま手放してしまったようだ。
今になって、読みたくなったりする。
困ったものだ。

ああ! ラジオ体操!
子どもの頃、夏休みに、毎朝通ったものだが、それからすっかり遠ざかってしまった。

この団地の造成工事現場では、毎朝、始業前に工事の人たちがラジオ体操をしている。
ベランダから、ときおり、その様子を見ている。

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2023年8月 2日 (水)

【読】角幡唯介さんと北極圏探検

所属している「小平図書館友の会」の会員向け交流紙に寄稿する、「おすすめの本」の紹介。
下に転載しておこう。

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角幡唯介 『極夜行』

文藝春秋 2018/2/10 333ページ
『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』
集英社 2023/3/25 284ページ
『裸の大地 第二部 犬橇事始』
集英社 2023/7/10 357ページ

角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年生まれ。ノンフィクション作家・探検家。早稲田大学探検部OB。

余談から――。角幡さんの実家は北海道芦別市でスーパーマーケットを営んでいたという(今は廃業)。私の母の実家があった美瑛町(芦別市から遠くない)に「カクハタ」という店があったことを、母が遺した日記で知り、親しみを感じた。
ここにあげた三冊は、角幡さんの北極圏(グリーンランド)探検(冒険?)の記録。本人は「漂泊」と表現している。野生動物を狩りながらの、行き当たりばったり的な旅だ。もちろん、当初の計画・目標はある。
犬を一匹だけ連れて橇を引いての徒歩旅から、やがて現地のイヌイットに倣って犬橇を使う狩猟の旅へ。その軌跡を追うのが面白い。GPSに頼らない、人力の、命がけといってもいい旅は身震いするほどの緊迫感にあふれている。
『極夜行』は「極夜」(一日中、太陽が出ない日、白夜の正反対)の中の過酷な旅。
『犬橇事始』では、はじめて犬橇に挑戦するも、エスキモー犬の調教の難しさが、これでもか、これでもかと執拗に綴られる。
「裸の大地」は三部作になるという。いつ出るかわからないが三作目が楽しみだ。

ウェブサイト
惑星巡礼 角幡唯介 | 集英社学芸部
https://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/wakuseijunrei/list.html

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単行本を図書館から借りて読んだが、たぶん、文庫化されたら買ってしまうだろうな。
(『極夜行』は、すでに文庫化されているが)

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2023年8月 1日 (火)

【読】2023年7月に読んだ本(読書メーター)

7月、北方謙三『岳飛伝』を読了。
「大水滸伝」三部作を通読したことになる。
最新刊の『チンギス紀』(文庫版は、まだ出ていない)も、そのうち、読んでみたい。

7月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4098
ナイス数:153

岳飛伝 11 烽燧の章 (集英社文庫)岳飛伝 11 烽燧の章 (集英社文庫)感想
文庫版解説(細谷正充=文芸評論家)が、この小説の魅力をうまくまとめている。そこからの引用。<本書は、過去の中国が舞台だが、(中略)人の心に違和感を覚えることはない。まさに現代の作家が、現代の読者に向けて書いた小説だからだろう。その一例が、女性の生き方だ。> 例として、崔如が息子の岳雷をたしなめるシーンと、秦容が公礼を妻にするシーンをあげている。たしかに、北方「大水滸伝」三部作に登場する女性たちの多くが、強く、魅力的だ。その点で、現代の読者に訴えるところが多いのだろう。残り6巻。この先の物語の展開が楽しみ。
読了日:07月02日 著者:北方 謙三

岳飛伝 12 瓢風の章 (集英社文庫)岳飛伝 12 瓢風の章 (集英社文庫)感想
この巻の文庫解説(西上心太=文芸評論家)が、これまた、いい。この小説が書かれた経緯と魅力が、わかりやすく書かれている。この巻の感想だが、南宋の辛晃率いる軍が南を襲い、秦容と岳飛が連携してこれを打ち破る経緯、密林での戦闘描写が、これまでの騎馬・歩兵による戦闘シーンよりも想像しやすく、迫力がある。謎の女・李師師が死に、梁山泊側の何人かも命を落とす。南宋の宰相・秦檜の動きからも目が離せず、南宋軍から追い出された韓世忠を梁山泊の水軍・李俊が打ち取る経緯も、読ませる。
読了日:07月05日 著者:北方 謙三

岳飛伝 13 蒼波の章 (集英社文庫)岳飛伝 13 蒼波の章 (集英社文庫)感想
ますます混迷を極める。金軍が南宋に侵攻。それも帝自らが率いる禁軍。この金の帝(海陵王)が、やたら戦をしたがるどうしようもない奴。兀朮と胡土児の活躍で、なんとか金に撤退する。このあたりがこの巻の白眉。胡土児の秘された出自が本人に知らされるのは、いつだろう。梁山泊最古参の史進と李俊が頑張っている。頼もしい。李俊軍による沙門島の奪還が爽快。その李俊が密かに思い続けていた瓊英(亡き張清の妻で張朔の母)を十三湊に訪ねるも、十日前に死んでいたというシーンには泣かせされた。残り4巻。物語の展開は予想もつかない。
読了日:07月07日 著者:北方 謙三

岳飛伝 14 撃撞の章 (集英社文庫)岳飛伝 14 撃撞の章 (集英社文庫)感想
いよいよ、南宋と岳飛・秦容連合軍の戦闘が少しずつ進む。これまでの正面切っての戦いと大きく違い、じわじわと。全面的な決戦はこの先か。中華の外では、李俊が十三湊で命の灯をひっそりと消す。梁山泊の古参が、またひとり舞台を去り、さびしい。いっぽう、王清が若妻とともに十三湊に落ち着きそうな気配で、ほっとした。史進、呼延凌も、いい年齢になり、そろそろ退場なのか。秦容、宣凱、王貴、張朔、候真ら第二世代の活躍が頼もしい。さらに彼らの次の世代も生まれ始めている。ついに残り三巻。どんな結末が用意されているのだろうか。
読了日:07月09日 著者:北方 謙三

岳飛伝 15 照影の章 (集英社文庫)岳飛伝 15 照影の章 (集英社文庫)感想
梁山泊軍と金軍の決戦が近い。南宋でも、岳飛と秦容が南宋総帥の程雲を翻弄。中華全土が決戦の戦場と化すのだろう。さらに、南の小梁山にも南宋水軍の手が…。吹毛剣を授けられ、北辺に追われた胡土児は、どうなる? さまざまな期待を持たせながら、いよいよシリーズ最後の2巻へ。
読了日:07月12日 著者:北方 謙三

 

岳飛伝 16 戎旌の章 (集英社文庫)岳飛伝 16 戎旌の章 (集英社文庫)感想
史進は死んだのか? 気を持たせる終わり方だが、続く最終巻で明らかになるのだろう。
読了日:07月14日 著者:北方 謙三

 

 

岳飛伝 17 星斗の章 (集英社文庫)岳飛伝 17 星斗の章 (集英社文庫)感想
北方「大水滸伝」三部作読了。昨年暮れから7か月かかった。この巻の幕引きは岳飛の静かな退場(なんとなく予想していた)。史進が生き延びたのも自然な流れ、というか作者のメッセージが込められているのか。梁山泊軍、南宋軍、金軍の最後の決戦シーンには、あいかわらず戦場のイメージが沸かず不満がある。何十万の大軍というのが私の想像力を超える。それはともかく『水滸伝』19巻、『楊令伝』15巻、『岳飛伝』17巻、計51巻を読み終えて感慨深い。胡土児の将来が気になる。『チンギス紀』に繋がるのだろうか。北上次郎の文庫解説がいい。
読了日:07月16日 著者:北方 謙三

裸の大地 第二部 犬橇事始裸の大地 第二部 犬橇事始感想
『極夜行』に続く角幡さんの著作。二部作に気づかず、第一部の前に読んでしまった(第一部はこれから読む)。人力橇から犬橇へ。角幡さんのグリーンランドでの探検・冒険の進化。世界的なコロナのパンデミックと重なり、当初の目標に届かなかったものの、彼のチャレンジは続くのだろう。巻末に地図の付録があるものの、地理的な把握は難しかったが、エスキモーたちと橇犬の関係がよくわかった。ペット犬だらけの日本では想像できない過酷な世界(犬をシメるという行為)。そこでの人間と犬たちの関係性に納得。相棒犬ウヤミリックの死が悲しい。
読了日:07月23日 著者:角幡 唯介

裸の大地 第一部 狩りと漂泊 (裸の大地 第 1部)裸の大地 第一部 狩りと漂泊 (裸の大地 第 1部)感想
図書館への予約の手違いで第二部を先に読んでしまったが、前編にあたるこの本も面白い。『極夜行』に続く著者の旅。人力橇と相棒犬・ウヤミリック。狩猟をしながらの「漂泊」を目指す。文明の利器(GPSなど)がなかった、ひと昔前のエスキモーのように。続編(第二部)にある、犬橇の旅・狩猟をしながらの旅へ向かう、その前段。食料が尽きかけ、餓死の直前、土壇場で思わぬ僥倖が…。
読了日:07月25日 著者:角幡 唯介

イトウの恋 (講談社文庫)イトウの恋 (講談社文庫)感想
『日本奥地紀行』を遺したイザベラ・バードの日本での旅の従者/通訳だった"イトウ"の話というので気になっていた小説。モデルはあるが、純然たるフィクション。面白かった。I・B(イザベラ・バード)とイトウ(伊藤鶴吉)のあいだに "あったかもしれない" 恋を軸に、イトウが残したとされる手記を偶然発見した新米中学教師とその教え子、イトウの子孫らしい劇画原作者の女性。これらが巧みに絡み合って、物語としての厚みがある。物語の最後、ストンとパズルのピースが嵌るような、みごとな展開。
読了日:07月28日 著者:中島 京子

失踪願望。 コロナふらふら格闘編失踪願望。 コロナふらふら格闘編感想
2021年4月から同年6月までのウェブ連載日記と、2編の書き下ろし。この間、2021年6月に、椎名氏はコロナに感染して意識を失い自宅から救急搬送されている。場所が自宅でなければ危なかったかもしれないと医師に言われるほどの、重篤な症状だったようだ。その入院前後の顛末が「新型コロナ感染記」に綴られている。もう一編の書き下ろし「三人の兄たち」には、氏の6歳年長の3人(編集者時代の先輩、野田知佑氏、椎名氏の兄)の思い出が(3人とも故人)。日記を含めて全編に細君の渡辺一枝さんへの感謝が何度も書かれているのが印象的。
読了日:07月29日 著者:椎名 誠

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