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2023年9月の8件の記事

2023年9月24日 (日)

【楽】ラブジョイ「妙」

贔屓にしている西川郷子さんが、カヴァーしている「bikke」さんのアルバムを、中古で入手。

Lovejoy ラブジョイ 「妙(みょう)」

西川さんが「星ノ飛ブ夜」というバンドで歌っている2曲を聴いてみたかった。
bikkeさんについては、その人となりをまったく知らなかったのだが、西川さんのMCで何度も彼女のことは聞いていた。
西川さんとは親しいらしい。
なかなか激しい演奏をする人と聞いていたが、どの楽曲もいい。
bikkeさんの歌声も、私は好きだ。

鉢植えの人 (作詞 加藤美郁 / 作曲 西村睦美)
野の人の 野のうた (作詞・作曲 bikke)

この2曲、西川さんがよくカヴァーして歌っている。
西川さんの歌唱もいいのだ。

「鉢植えの人」は、星ノ飛ブ夜のセカンドアルバムにも収録されている。

詳細は「星ノ飛ブ夜」の公式サイトで。
https://hoshinotobuyoru.wixsite.com/hoshinotobuyoru

このアルバム「妙」のリーフレットに載っている参加メンバーを見て、びっくり。
西川郷子さんがバックコーラスで参加(12曲目「天国を仰ぐ島」の一曲だけだが)。
さらに向島ゆり子さん(ヴァイオリン)も参加しているではないか。

思い切って買ってみてよかったな。

なお、ラブジョイ(Lovejoy)というバンドは、今はもう活動していないとのこと。
私は知らなかったが。

参考(2023/9/24ネット検索結果)
ラブジョイLovejoy活動終了のお知らせ - F.M.N. SOUND FACTORY
https://fmn-soundfactory.com/4253

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2023年9月17日 (日)

【楽】それぞれの朝(星ノ飛ブ夜の名曲)

先日、このブログに書いた「星ノ飛ブ夜」(バンド名)のアルバム「同じ日」。

入手してから、繰り返し、車載のSDカードで聴いている。

名曲揃い。
詞・曲よし、アレンジよし。
演奏よし。
バンドメンバーと応援メンバーとが奏でるサウンドは、なんとも言えない奥深さがある。
そして、なによりも西川郷子さんのしびれる歌声。
関根真理さんのバックコーラスも、素晴らしいのだ。

星ノ飛ブ夜のサイト
https://hoshinotobuyoru.wixsite.com/hoshinotobuyoru

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そのなかでも、私が好きな曲は
「それぞれの朝」
作詞:星ノ飛ブ夜
作曲:西川郷子

歌詞がリリカル。
これは、西川郷子さんが作り歌っている曲に共通する大きな魅力。
それにも増して、この「それぞれの朝」は、メロディーラインが素直で、こころに沁みる。

ライブでも、最近、よく歌っている。
聴くたびに、私は涙がでそうなほど、深い感銘を受ける。

ライブのMC(曲目紹介)で西川さん自身が言っているのだが、この曲は辺見庸の『もの食う人びと』に強くインスパイア―されて作ったという。

人は今、何をどう食べ、どれほど食えないのか。人々の苛烈な「食」への交わりを訴えた連載時から大反響を呼んだ劇的なルポルタージュ。文庫化に際し、新たに書き下ろし独白とカラー写真を収録。(Amazonより)

この本、ずいぶん前に私も読んだことがある。

どうやら手放してしまったようで、もう一度読んでみたいので、文庫版を買うことにした。
あるいは、図書館から借りた単行本を読んだのだったか。

余談だが、「星ノ飛ブ夜」のファーストアルバム「星ノ飛ブ夜」(これがアルバムタイトル)に収録の「夢見つつ深く植えよ想いのカケラを」は、メイ・サートンの『夢見つつ深く植えよ』に強くインスパイアーされたものだという。
この本も、図書館から借りてきて読んだことがある。
メイ・サートン、不思議な魅力のある女性だ。

辺見庸といい、メイ・サートンといい、いかにも西川さんらしい選書だと思う。

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【読】図書館にリクエストしたのはいいけれど(いつか読みたい本)

市内の図書館にリクエストしておいた本が、立て続けに届いた。

さて、読みかけの本もあって、すぐには読めない。

はじめの二冊は、図書館に入れてくれたので、いつでも読める。
三冊目は、都立図書館からの借用。
二週間で返却しなければいけないのだが、とにかく分厚い(本文528ページ)。
分厚いが、いちばん興味深い本だ。

いずれも、あの戦争にまつわる本。

NHKスペシャル取材班 『ビルマ 絶望の戦場』
 岩波書店 (2023/7/28) 298ページ

加藤拓 『「特攻」のメカニズム』
 中日新聞社 (2023/7/29) 215ページ

フレデリック・テイラー 『一九三九年 誰も望まなかった戦争』
 白水社 (2022/3/10) 528ページ

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2023年9月13日 (水)

【楽】星ノ飛ブ夜 セカンドアルバム

待ちに待った「星ノ飛ブ夜」のセカンドアルバムが、今日、届いた。
発売日2023/10/21に先駆けて、先行発売。
メールで注文したところ、メンバーの関根真理さんから郵送で。

Amazonより

上々颱風のボーカル西川郷子、アコースティックギター小沢あき、パーカッション関根真理からなる、星ノ飛ブ夜。2013年より東京を中心に、全国で数多くのライブを行なってきた。 2022年、関西ツアーでの石渡岬(tp,vo)、照喜名俊典(tuba,euph)、bikke(g/ex.LOVEJOY)、伊藤せい子(vo)との共演によって新しい音楽の可能性を見出しアルバム制作を開始する。 録音には多彩なミュージシャン達が参加。メンバー3人による共作の新曲、カバー曲を含む全11曲。 これまでの彼らの楽曲とは明らかに異なる振り幅の大きい色彩豊かな作品群。

『空は繋がっている。繋がった同じ空を見上げて、今日もひとりで、ふたりで、みんなで、共に生きていけたら』

珠玉の一枚。

参加メンバー:
星ノ飛ブ夜 hoshi no tobu yoru
西川 郷子 Satoko Nishikawa - Vocal, Kengari (korean cymbal)
小沢 あき Aki Ozawa - Guitar, Electric Bass, Chorus
関根 真理 Mari Sekine - Percussions, Chorus

Additional Musicians:
ボブ 斎藤 Bob Saito - Tenor Sax (1, 2, 5, 8, 9 ,11)
照喜名 俊典 Toshinori Terukina - Tuba, Euphonium (1, 2, 9, 11)
石渡 岬 Misaki Ishiwata - Trumpet (1, 2, 9, 11)
永田 雅代 Masayo Nagata - Piano, Melodica (3, 6)
伊藤 せい子 Seiko Itoh - Vocal, Chorus (1)

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2nd

このアルバムでは、しっとりと聴かせるバラードもいいし、サポートメンバー(ブラス、ピアノ、メロディカ、コーラス)が加わっての厚みのあるサウンドの曲もいい。
ライブでいつも聴いている曲目ばかりだが、あたらしいアレンジとサウンドが新鮮だ。

サポートメンバー
ボブ斎藤 Tenor Sax
照喜名俊典 Tuba, Euphonium
石渡岬 Trumpet
永田雅代 Piano, Melodica
伊藤せい子 Vocal, Chorus

このうち、ボブ斎藤さん、照喜名俊典さん、石渡岬さんの三人は、去る3月25日、高円寺のJIROKICHIでのライブにも参加して、熱いパフォーマンスを繰り広げていた。

【楽】星ノ飛ブ夜&フレンズ at JIROKICHI ライブ: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-78570c.html

星ノ飛ブ夜&フレンズ〜気がつけば10周年ライブ〜
【星ノ飛ブ夜】 Hoshi no Tobu-yoru
西川郷子 Satoko Nishikawa(vocal,鳴り物/ex.上々颱風)
小沢あき Aki Ozawa(guitar,chorus)
関根真理 Mari Sekine(percussion,chorus/渋さ知らズ)
【フレンズ】Friends
ボブ斉藤 Bob Saito(sax)
石渡岬 Misaki Ishiwata(trumpet)
照喜名俊典 Toshinori Terukina(tuba,euphonium)

2023年3月25日(sat) 高円寺JIROKICHI
KOENJI JIROKICHI,SUGINAMI-KU,TOKYO,JAPAN

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YouTubeにも、このときのライブ映像があがっている。
(2023/9/13現在)

https://youtu.be/ZrAI8C_UCSs?si=S1XQrSIfVKmqwPHt

バンド「星ノ飛ブ夜」の情報は、このバンドの公式サイトで。
https://hoshinotobuyoru.wixsite.com/hoshinotobuyoru

このバンドは、今月(2023年9月)、セカンドアルバム発売記念ライブで、東北ツアー。
10月は、関西ツアー。
東京での記念ライブは、10月21日(土)下北沢ラ・カーニャ。
もちろん、私も駆けつける。

進化を続ける「星ノ飛ブ夜」から目が離せない。

 

「星ノ飛ブ夜」のファーストアルバム(左)とセカンドアルバム(右)

 

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2023年9月11日 (月)

【読】縄文時代は、はたして

まだ半分ほどしか読んでいないが、縄文時代を知るための、いい本があった。

山田康弘 『縄文時代の歴史』
 講談社現代新書 (2019/719)325ページ

【Amazonの紹介文】

われわれの中にも縄文人は生きている!? 近年の発掘調査、および科学的な分析技術の飛躍的な発展により、旧来の縄文像は次々に塗り替えられることになった。最新の知見を元に、最も新しい縄文時代像を明らかにする。縄文ブームの今こそ必読。

縄文時代とは、日本列島において、土器が出現した1万6500年前から、灌漑水田稲作が開始される3000年~2500年前までの時代をさす用語です。
この時代には、狩猟・採集・漁労を主な生業とし、さまざまな動植物を利用し、土器や弓矢を使うなどして本格的な定住生活が営まれていました。1メートルにも及ぶ柱材を使用するような大型建物を作る技術や、クリ林の管理や漆工芸を始めとするきわめて洗練された植物利用技術を持ち、各地の環状列石や土偶に見られるように、複雑な精神文化がありました。また多数の集落が婚姻や交易などによってつながり合い、列島内には広範な社会的なネットワークがつくりあげられていました。
世界史上にも類例のないユニークな存在としても知られる縄文時代。最近のDNA分析によると、現代日本人の遺伝子にも、12パーセントほどは縄文人から受け継いだものが存在しているということです。著者によれば、日本人の円環的な死生観には、縄文人から受け継いだ要素が色濃く反映しているといいます。その意味において、縄文人は今もわれわれの中に生きている、そう言ってもよいのかも知れません。近年の縄文ブームも、もしかしたら、そのような親近感ゆえのことかも知れません。
近年の発掘調査、および科学的な分析技術の飛躍的な発展で新たな知見が次々に明らかにされたことにより、旧来の縄文像は一新されることになりました。千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館では、これら最新の研究の成果を元にして、縄文時代の展示をリニューアルしました。本書は、その責任者による、最も新しい縄文時代像を紹介するものです。

あとがきに、ハッとする文章があった。
現代人が縄文時代に対して持つ、通俗的なイメージを打ち砕くものだが、なるほどと思った。

以下、長めの引用。

(本書 あとがき P.322-323 より)

<近年、縄文人をサステイナブル(環境破壊をすることなく維持・持続できる)でエコロジカルな考えを持ち、自然と共生した人々と評価する向きもある。確かに、そのような評価は当時の人々の一面を照らすものかもしれないが、少ない人口下で定住生活を行い、食料のほぼ100%パーセントを自然の恵みに依存していた縄文人には、そもそも自然と共生する以外のオプションはなかっただろう。「自然と共生する」という発想自体がきわめて現代的なものであることにも気が付くはずだ。>

<また、縄文人は、必ずしも現代的な意味でサステイナブルでエコロジカルな思考を持った人々だったわけではなかった。定住生活が進展するに従って、縄文人は周辺環境にさまざまな働きかけを行うようになった。彼らは必要に応じて森を切り開き、焼き払い、そして有用な植物を管理して自分たちに都合のよい二次的な自然環境をつくり出していた。このような人間本位の自然開発のあり方は、本質的に現代と変わらない。

<ただ、ごく少ない人口下で、そして石器によって人力で自然を切り開いていたがために、人々の改変・開発の度合いよりも、そして人々による自然からの食糧および各種資源の収奪量よりも、自然の回復力の方が優っていただけだ。その意味では、縄文文化とは、現代における私たちの社会の初原型と言うことができる。(後略)>

<縄文時代と現代を比較し、縄文時代をある種の「楽園」「ユートピア」として語ろうとする論調の中では、しばしば「極端に少ない人口」という観点が抜け落ちていることも、あわせて指摘しておきたい。(後略)>

現代は、文明の行き詰まりを世界的に感じていて、ついつい、はるか昔の素朴な生活を美化しがちだが、そんなことはないのだな。だいいち、いまさら縄文時代の生活に戻れるわけもないし。

ただ、「自然の回復力」というキーワードは、人類滅亡を避けるためには重要な観点なんだろうと思う。
「再生可能な」とよく言われるが、たとえば、人間が作り出したプラスチック製品の「再生」などは、本来の「再生」とは程遠いチャチな幻想なのかも。
自然の回復力を待つことなく、反対に、どんどん収奪・破壊し、ほんらい自然が持っているはずの回復力を奪っている今の人類に、滅亡を避ける道はあるのか?

雑駁な文章で恥ずかしいが、こんなことを考えている。

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2023年9月10日 (日)

【読】「土偶を読むを読む」を読んだ(再掲)

少し前(9月5日)にアップした感想文。
手直しをしたので、再掲しておきたい。

望月昭秀/縄文ZINE(編著)
『土偶を読むを読む』
文学通信(2023/6/10)431ページ

話題をさらった竹倉史人著『土偶を読む』(晶文社2021)及び、続編のこども向け図鑑『土偶を読む図鑑』(小学館2022)に対する、考古学視点からの正面切った批判書。本の装幀も竹倉氏の上掲書を意識して(皮肉って)います(書影参照)。
私は以前、交流紙213号(2022年8月発行)に寄せた投稿で竹倉氏の著作を大いに持ち上げました。当時、竹倉説の杜撰さに気づかず、本書を読んだあとでは“だまされたのか”と思い至りました。当時の “目から鱗が落ちた”という感激も、いまでは“落とした鱗を拾い直した”という思いに変わりました。悲しいけれど……。
いずれにしろ、書かれていることを無批判に鵜吞みにするのはいけないな、と反省しています。

以下、本書のポイントをAmazonの紹介文を参考にして――
・「土偶の正体」は、竹倉史人『土偶を読む』によって本当に解き明かされたのか?
・竹倉氏は、考古学の実証研究とイコノロジー【注】研究を用いて土偶は「植物」の姿をかたどった精霊像という説を打ち出した。
・NHKの朝の番組で大きく取り上げられ、養老孟司ほか、各界の著名人たちから絶賛の声が次々にあがり、ついに学術書を対象にした第43回サントリー学芸賞をも受賞。この賞の選評で佐伯順子氏は――「『専門家』という鎧をまとった人々のいうことは時にあてにならず、『これは〇〇学ではない』と批判する“研究者”ほど、その『○○学』さえ怪しいのが相場である。『専門知』への挑戦も、本書の問題提起の中核をなしている」――と竹倉氏(人類学専攻で考古学については“門外漢”)の姿勢を大いに評価。ここで言われている“専門家”とは考古学分野の学者・研究者・学芸員などを指す。
・しかし、このような世間一般の評価と対照的に、『土偶を読む』は考古学界ではほとんど評価されていない。それは何故なのか。その理由と、『土偶を読む』で主張される「土偶の正体」、それに至る竹倉氏の論証をていねいに検証している。

【注】イコノロジー(iconology)
本来は図像解釈学(ずぞうかいしゃくがく)。
竹倉説においては、有名な土偶の外観写真=図像と、食用植物や貝類との形態の相似に着目し、土偶の正体(何をかたどり、どんな目的で作られたか)を類推(想像)、「土偶の真実」を明らかにした! と高らかに宣言していた。

いまになって思うのですが、竹倉氏の着眼点はとてもユニークで面白いものでしたたが、メディアや著名人、権威ある学術賞までが“お墨付き”を与えた形になり、まるで正当な学説であるかのような扱いを受けたところに問題があったのでしょう。竹倉氏も、ひとつの仮説(もっと言えば“思いつき”)、軽い「読み物」というスタンスで発表すればよかったのかも。

 

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2023年9月 5日 (火)

【読】「土偶を読むを読む」を読んだ

一年ほど前に、さんざん持ち上げた本がある。

今年になって、その本への正面切った批判書が出版され、あっと驚いた。

以下、私が所属している小平図書館友の会の交流紙(会員向け)に投稿する予定の駄文。

望月昭秀/縄文ZINE(編著)
『土偶を読むを読む』
文学通信(2023/6/10)431ページ

話題をさらった竹倉史人著『土偶を読む』(晶文社2021)及び、続編のこども向け図鑑『土偶を読む図鑑』(小学館2022)に対する、考古学視点からの正面切った批判書。本の装幀も竹倉氏の上掲書を意識して(皮肉って)います(書影参照)。
私は、以前、交流紙213号(2022年8月発行)に寄せた投稿で竹倉氏の著作を大いに持ち上げました。
本書を読んだあとでは、竹倉説の杜撰さに気づかずに“だまされた!”という思いに至りました。当時は “目から鱗が落ちた”と感激したのですが、いまは“落とした鱗を拾い直した”という思いを強くしています。悲しい。
何にしろ、本に書かれていることを無批判に鵜吞みにするのはいけません。反省。

以下、Amazonの紹介文から(一部補足)
「土偶の正体」は果たして本当に解き明かされたのか? 竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)を大検証!
考古学の実証研究とイコノロジー【注】研究を用いて、土偶は「植物」の姿をかたどった精霊像という説を打ち出した本書(竹倉氏の著作)は、NHKの朝の番組で大きく取り上げられ、養老孟司ほか、各界の著名人たちから絶賛の声が次々にあがり、ついに学術書を対象にした第43回サントリー学芸賞をも受賞。この賞では「『専門家』という鎧をまとった人々のいうことは時にあてにならず、『これは〇〇学ではない』と批判する“研究者”ほど、その『○○学』さえ怪しいのが相場である。『専門知』への挑戦も、本書の問題提起の中核をなしている」(佐伯順子)と評された。
しかし、このような世間一般の評価と対照的に、『土偶を読む』は考古学界ではほとんど評価されていない。それは何故なのか。その理由と、『土偶を読む』で主張される「土偶の正体」、それに至る論証をていねいに検証する。
【注】イコノロジー(iconology)
本来は図像解釈学(ずぞうかいしゃくがく)。
竹倉説においては、有名な土偶の外観写真=図像と、食用植物や貝類との形態の相似に着目し、土偶の正体(何をかたどり、どんな目的で作られたか)を類推(想像)、「土偶の真実」を明らかにした! と高らかに宣言していた。

 

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2023年9月 1日 (金)

【読】2023年8月に読んだ本(読書メーター)

2023年7月。
高野秀行さんの『イラク水滸伝』(自腹で購入)を読むのに時間がかかり、たくさん読めなかった。

8月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1825
ナイス数:106

子どもお悩み相談会-作家7人の迷回答 (単行本)子どもお悩み相談会-作家7人の迷回答 (単行本)感想
子ども相談室形式だが、実際の相談ではなく、面白みに欠ける。角田光代、高野秀行、三浦しをん、の三人の「回答」は、味わいがあって、良い。高野さんの「『ありがとう』と言わない民族は、世界的にはたいへん多い」との話。さすが、世界中を訪ね歩いている高野さんの言葉には説得力がある。子ども向けの本なので、さっと読めた。
読了日:08月02日 著者:角田 光代,高野 秀行,髙橋 秀実,津村 記久子,東 直子,町田 康,三浦 しをん

 

旅人の表現術 (集英社文庫)旅人の表現術 (集英社文庫)感想
角幡唯介さんの集英社文庫4冊目。雑誌掲載記事、対談、他者の本の解説文などを集めた雑文集。沢木耕太郎との対談、三浦しをんとの対談が面白かった。あらためて思ったのだが、角幡唯介さんの文章は、けっこう理屈っぽい。けっして嫌いではなく、彼の本は、出るたびに読んでいて、好きな書き手なのだが。
読了日:08月07日 著者:角幡 唯介

 

イラク水滸伝イラク水滸伝感想
分厚くて読み応えがあり、読み終えるまで予想外に時間がかかった。文化人類学者顔負けの、(謎の)イラク巨大湿地帯探検。高野さんらしいアプローチ。読んでいて肩が凝らない楽しさ。水滸伝になぞらえて「ジャーシム宋江」「マフディ盧俊義」「アヤド呉用」などと綽名を付けるあたりも、高野さんらしいウィット。木の舟「タラーデ」、目を瞠るばかりの美しい布「マーシュアラブ(アザール)」の発見は、高野さんならでは。いずれ英語版とアラビア語版を出したいという。すばらしい。図書館へのリクエストを待ちきれず自腹で購入。2200円は安い。
読了日:08月20日 著者:高野 秀行

アジア新聞屋台村 (集英社文庫)アジア新聞屋台村 (集英社文庫)感想
高野さんの著作の落穂拾い。タイトルが絶妙。多少フィクションが混じっているかもしれないが――登場人物はすべて仮名、著者の<自伝的>物語として読んで欲しいとの断り書きあり――高野さんがのめりこんだ奇妙な会社「エイジアン」での多国籍新聞編集の現場は、まさに「アジア新聞屋台村」。女性社長の劉さんを筆頭とする魅力的な人物たちと高野さんとのやりとりが生き生きと描かれている。どことなくクールな筆致、とっつきやすい文章が、いい。2005年-2006年雑誌連載。2006年単行本発行。2009年文庫化。高野さんの青春時代。
読了日:08月24日 著者:高野 秀行

極楽タイ暮らし―「微笑みの国」のとんでもないヒミツ (ワニ文庫)極楽タイ暮らし―「微笑みの国」のとんでもないヒミツ (ワニ文庫)感想
高野秀行本の落穂拾い二冊目。ずっと本棚に眠っていた。高野さんには膨大な著作があって、読むのが追いつかない。買っても読まないままの文庫本が、まだ何冊か。ひとつ前に読んだ『極楽タイ暮らし』にもチラッと出てきたこの本。タイ通を自任する高野さんならではの、タイの人々とその暮らし、考え方が生き生きと描かれた傑作。2000年刊。
読了日:08月28日 著者:高野 秀行

極楽アジア気まぐれ旅行 (ワニ文庫)極楽アジア気まぐれ旅行 (ワニ文庫)感想
これも高野秀行本の落穂拾い。姉妹作『極楽タイ暮らし』よりも、バラエティーに富んでいるぶん、面白かった。『アジア新聞屋台村』に描かれた多国籍新聞社(本書では「アジア屋台村新聞」と表記されている)の正体を知ることもできた。「ニューコム新聞社」といって、いまでも実在している。新聞以外にも多様な事業を営んでいるらしいところも、経営者(高野さんが紹介している台湾人女性)の姿が見えるようで興味深い(ウェブサイトを見ると、創業者のこの女性の名前はなかったが)。https://www.newcom.or.jp/
読了日:08月30日 著者:高野 秀行

読書メーター

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