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2023年10月の3件の記事

2023年10月20日 (金)

【演】映画「福田村事件」を観た

二日前、10月18日、吉祥寺の「アップリンク吉祥寺」で、映画「福田村事件」を観た。
以下、感想というよりも、ほとんど覚え書き。
あまりにも圧倒されて、通り一遍の感想、批評は、私にはムリ。

9月1日に公開されていた映画だ。
観てきた人の感想や、ネットで見聞きする評判を目にしていて、これは観なくてはと。

2時間を超える長尺。
映像もいいし、キャストもいい。
主役の若手俳優は、私の知らない人ばかりだが(最近の映画俳優に疎いので)、それぞれ存在感のある演技でひきつけられた。
また、私がよく知っている俳優陣が脇役で光っていた。
パギやん(趙博)、ピエール瀧、水道橋博士、柄本明といった面々だ。

まだ公開中なので、ネタバレになりそうなことは控えたいが、忘れてはいけない事件が、フィクションながら鋭く描かれていた。

映画『福田村事件』キャスト・登場人物・出演者一覧/あらすじ | ORICON NEWS
https://www.oricon.co.jp/special/64635/

購読している東京新聞の記事を、いくつか探してみた。
覚え書きとしてリンクを載せておく。

デマと誤解で9人殺害…「福田村事件」を映画にしたい 森達也監督がクラウドファンディング:東京新聞 TOKYO Web
(2022/4/18)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/172370

関東大震災100年 負の歴史 向き合う機会に 映画「福田村事件」1日から全国上映 森監督、善良な市民の変貌描く:東京新聞 TOKYO Web
(2023/8/30)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/273560

関東大震災100年 映画「福田村事件」から考える 関連資料や被害パネル展示 流山・森の図書館:東京新聞 TOKYO Web
(2023/9/5)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/274863

監督の森達也さんについては、著作を3冊ほど読んだことがあり、関心を持っていた。
ドキュメンタリーの監督で、今回が初の劇映画のはず。

「アップリンク吉祥寺」(シネコン)の、座り心地のいい椅子で、画面の美しさに魅かれながら観ていた。
ただ、セリフの一部が聞き取りにくかったのは、私の耳が遠くなったのか。

よくできた映画だと思う。

映画館で入手したパンフレットに、監督と、映画評論家・森直人氏との対談が掲載されていて、この映画ができるまでの経緯がよくわかる。
企画は荒井晴彦、脚本は佐伯俊道と井上淳一、それに荒井晴彦。

監督 森達也
脚本 佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
企画 荒井晴彦

森達也監督は、企画に乗ったかたちで始まったという。
印象的なラストシーンなどは、監督の強い希望だったというのも興味深い。

詳しくは、この映画の公式サイトで。
https://www.fukudamura1923.jp/

これも、映画館の売店で見て、購入した本。

長いが、Amazonサイトの紹介文を転載しておく。

<四国から千葉へやってきた行商人達が朝鮮人と疑いをかけられ、正義を掲げる自警団によって幼児、妊婦を含む9名が殺害された。
映画『福田村事件』(森達也監修)が依拠した史科書籍。長きに渡るタブー事件を掘り起こした名著。【森達也監督の特別寄稿付き】

「辻野さん、ぜひ調べてください。......地元の人間には書けないから」
その時から、歴史好きの平凡な主婦の挑戦が始まった。
「アンタ、何を言い出すんだ!」と怒鳴られつつ取材と調査を進め、2013年に旧著『福田村事件』を地方出版社から上梓したものの、版元の廃業で本は絶版に。
しかし数年後、ひとりの編集者が「復刊しませんか?」と声をかけてきた。
さらに数年後、とある監督が「映画にしたいのです」と申し入れてきた──。
福田村・田中村事件についてのまとまった唯一の書籍が関東大震災100年の今年2023年、増補改訂版として満を持して刊行!

【福田村・田中村事件】
関東大震災が発生した1923年( 大正12年)9月1日以後、各地で「 不逞鮮人」 狩りが横行するなか、 9月6日、 四国の香川県からやって来て千葉県の福田村に投宿していた15名の売薬行商人の一行が朝鮮人との疑いをかけられ、地元の福田村・田中村の自警団によって、ある者は鳶口で頭を割られ、ある者は手を縛られたまま利根川に放り投げられた。虐殺された者9 名のうちには、 6歳 ・ 4歳 ・ 2 歳の幼児と妊婦も含まれていた。犯行に及んだ者たちは法廷で自分たちの正義を滔々と語り、なかには出所後に自治体の長になった者まで出て、事件は地元のタブーと化した。そしてさらに、行商人一行が香川の被差別部落出身者たちだったことが、事件の真相解明をさらに難しくした。>

最後に、この映画とつながりのある、中川五郎さんのアルバム。
国立のギャラリービブリオで、中川さんが出演していたライブ会場で購入していた。

「どうぞ裸になって下さい」 中川五郎 コスモスレコーズ

2016年7月25日、東京下北沢ラカーニャで行われた中川五郎67歳のバースデイ・ライブ&レコーディング

【収録曲】
【Disc 1】
1. 運命 運命 運命
玄侑宗久:詞/中川五郎:曲
2. 言葉
奈良少年刑務所の受刑者:詩/中川五郎:曲
3. 愛情60
金子光晴:詩/中川五郎:曲
4. しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
高野文子:詞/中川五郎:曲
5. イマジン
ジョン・レノン:詞/曲〈中川五郎:日本語詞〉
6. どうぞ裸になって下さい
村山槐多:詩/中川五郎:曲
7. 90センチ
中川五郎:詞/曲
8. 真新しい名刺
金素雲:原作/アメリカ民謡:曲
【Disc 2】
1. Sports For Tomorrow[東京五輪招致スピーチにもとづき]
中川五郎:詞/トラディショナルブルース:曲
2. 二倍遠く離れたら
中川五郎:詞/曲
3. 消印のない手紙
桜井哲夫:詩/中川五郎:曲
4. 一台のリヤカーが立ち向かう
中川五郎:詞/曲
5. 1923年福田村の虐殺
中川五郎:詞/アメリカ民謡:曲
6. 風に吹かれ続けている
ボブ・ディラン:詞/曲〈中川五郎:日本語詞〉

さらに、森達也さんのこの本。
古本屋の店頭でみつけて(単行本)購入。

今年5月に読んだ後、手放してしまったのだが、福田村の事件に触れた部分は、覚えていない。
もう一度、図書館から借りて読んでみようかと思う。

そういえば、この小説もよかった。

読書メーターに書いた感想。

https://bookmeter.com/books/19154731

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2023年10月15日 (日)

【演】新宿梁山泊公演「失われた歴史を探して」2023.10.12

2023年10月12日(木)、下北沢の「スズナリ」で芝居を観てきた。
公演初日で満席だった。

新宿梁山泊 第75回公演「失われた歴史を探して」

作=金義卿 演出=金守珍
下北沢 ザ・スズナリ
2023.10.12(木)~15(日)

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新宿梁山泊 公式サイト
http://s-ryozanpaku.com/

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新宿梁山泊という演劇集団の芝居をはじめて観たのは、昨年の12月だったか。

■12月21日(水) 恵比寿「シアター・アルファ東京」
 新宿梁山泊公演「奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~」

昨年2022年の年末総集編ブログ記事に、ちょっとだけ書いた。

【遊】2022年に行ったイベント: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2022/12/post-cfc370.html

今回の芝居、関東大震災のときの朝鮮人虐殺(デマによる)がテーマ。
「スズナリ」も、私には初めての小屋だったが、こじんまりしていて、ステージも小さい。
そこで繰り広げられた芝居は、シンプルな舞台装置を使い、場の転換を工夫していて、見ごたえがあった。
幕間の、緞帳ならぬカーテンの前で繰り広げられた三人の登場人物の漫談風コントも面白かった。

パギやんこと趙博さんの演技も、迫力があった。
(昨年の芝居いらい、パギヤンの芝居やイベントを追いかけている)
芝居の終盤、ケンガリを叩きながらのパギやんの朝鮮語の歌も、よかった。

約2時間の公演の後で、アフタートークが30分ほどあった。
金守珍(劇団の代表、演出、出演)、大久保鷹(出演者)、パギやん(出演者)の三人。

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paggie-choのブログ
https://ameblo.jp/paggie-cho/

 

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2023年10月 1日 (日)

【読】2023年9月に読んだ本(読書メーター)

9月は、あまりたくさん読めなかった。

高野秀行さんのエンタメ・ノンフをひさしぶりに読んだ。
小松由佳さんの著作を、再読、再再読。

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1687
ナイス数:117

土偶を読むを読む土偶を読むを読む感想
話題をさらった竹倉史人『土偶を読む』及び続編のこども向け図鑑『土偶を読む図鑑』(小学館)に対する考古学の視点からの正面切った批判。編著者・望月昭秀氏(考古学者ではない)によって逐一具体的に「ここがおかしいよ」と指摘される前半部分は、読むのがつらいほど。たしかに竹倉氏の論は杜撰で、直観(イコノロジー=見た目の類似)からの結論ありきで、裏付け――土偶に外観が似ている植物や貝類との同時代性(編年)の検証がない。「トンデモ論」と言われるとグウの音も出ない。竹倉氏の着眼点はよかったのだが、その断定口調も災いしたか。
読了日:09月01日 著者:望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊

世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)感想
高野秀行本の落穂ひろい。単行本は2011年に本の雑誌社から。本書に書かれているキーワード「間違う力」を書名にした『間違う力』の単行本が出たのが2010年。ほぼ同時期。書名になっている「世にも奇妙なマラソン大会」に、船戸与一さんの名前が『猛き箱舟』とともに出てきて、うれしくなった。ずいぶん昔に読んだ傑作小説(西サハラが舞台だったのだった。もうすっかり忘れているが)。高野さんのこの本に収録されているノンフィクション4作、どれも面白い。そのまま短編小説になりそうな。いつもながら文章のうまさに舌を巻く。おすすめ。
読了日:09月04日 著者:高野 秀行

またやぶけの夕焼け (集英社文庫)またやぶけの夕焼け (集英社文庫)感想
これも高野秀行本の落穂ひろい。タイトルが謎だなと思いながら、どんな内容かまったく知らないまま読み始めた。高野さんの少年時代の話(小説!)だった。椎名誠や沢野ひとしが書く少年時代の話を思い出させる。それにしても高野さんの人物描写は”キャラが立って”いる。文庫解説で北上次郎(目黒孝二、この人も椎名さんと親しい)が指摘しているように、高野さんが書いてきた「自伝的エッセイ」は、たちまち小説になる。それほど高野さんの筆力は秀でている。描かれている高野さんの少年時代、1970年代末の匂いが濃厚で、懐かしさを感じる。
読了日:09月07日 著者:高野 秀行

縄文時代の歴史 (講談社現代新書)縄文時代の歴史 (講談社現代新書)感想
少し前に読んだ『土偶を読むを読む』に対談者として登場していた「先史学者」の著書。新書ながら参考文献を明示しており、しっかりした内容。縄文時代の姿が、最新の科学的な分析技術の裏付けを示しながら論じられている。あとかぎにあるように「縄文人をサスティナブルでエコロジカルな考えを持ち、自然と共生した人々」と評価することの間違いを知った。現代人の幻想なのだろう。「ごく少ない人口下で、石器によって人力で自然を切り開いていたので、開発の度合いよりも自然の回復力の方が優っていただけ」という指摘は、目から鱗だった。
読了日:09月22日 著者:山田 康弘

人間の土地へ人間の土地へ感想
2020年の発売直後に読んでから、これが再再読。著者の小松由佳さんとは、ご縁があって、近日(2023年10月)私が所属している団体(某市の図書館友の会)が主催する講演会の講師としてお呼びしている。それもあって、あらためて読んでみた。小松さんの講演会を何度も聴いているが、この方の語りは「そのまま本になる」(関野吉晴氏の評)ような、論理的でわかりやすいものだ。この本も、小松さんの語りを彷彿とさせる文章。かつ、こころの中の熱い想いを淡々と語っている。あらためて2020年までの小松さんの歩みを確認した。
読了日:09月28日 著者:小松 由佳


オリーブの丘へ続くシリアの小道で: ふるさとを失った難民たちの日々オリーブの丘へ続くシリアの小道で: ふるさとを失った難民たちの日々感想
これも、小松由佳さんの本の再読。『人間の土地へ』に先立つこと4年、2016年3月の出版。2008年、はじめてシリアの地に立ち、沙漠(小松さんは砂漠ではなく、この漢字を使う)の暮らしを追う。やがて、2011年から始まったシリア内戦。内戦下のシリアの人々の災難、そして近隣国への逃亡。難民となった人々を追い、豊富な写真とともにレポートする。のちに結婚するラドワン氏との馴初めなどには触れず、ひたすらシリア難民を追って心を痛める。『人間の土地へ』を読まれた方へ、この本もお勧めしたいが、残念なことに新刊では入手困難。
読了日:09月30日 著者:小松 由佳

読書メーター

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