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2023年10月 1日 (日)

【読】2023年9月に読んだ本(読書メーター)

9月は、あまりたくさん読めなかった。

高野秀行さんのエンタメ・ノンフをひさしぶりに読んだ。
小松由佳さんの著作を、再読、再再読。

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1687
ナイス数:117

土偶を読むを読む土偶を読むを読む感想
話題をさらった竹倉史人『土偶を読む』及び続編のこども向け図鑑『土偶を読む図鑑』(小学館)に対する考古学の視点からの正面切った批判。編著者・望月昭秀氏(考古学者ではない)によって逐一具体的に「ここがおかしいよ」と指摘される前半部分は、読むのがつらいほど。たしかに竹倉氏の論は杜撰で、直観(イコノロジー=見た目の類似)からの結論ありきで、裏付け――土偶に外観が似ている植物や貝類との同時代性(編年)の検証がない。「トンデモ論」と言われるとグウの音も出ない。竹倉氏の着眼点はよかったのだが、その断定口調も災いしたか。
読了日:09月01日 著者:望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊

世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)感想
高野秀行本の落穂ひろい。単行本は2011年に本の雑誌社から。本書に書かれているキーワード「間違う力」を書名にした『間違う力』の単行本が出たのが2010年。ほぼ同時期。書名になっている「世にも奇妙なマラソン大会」に、船戸与一さんの名前が『猛き箱舟』とともに出てきて、うれしくなった。ずいぶん昔に読んだ傑作小説(西サハラが舞台だったのだった。もうすっかり忘れているが)。高野さんのこの本に収録されているノンフィクション4作、どれも面白い。そのまま短編小説になりそうな。いつもながら文章のうまさに舌を巻く。おすすめ。
読了日:09月04日 著者:高野 秀行

またやぶけの夕焼け (集英社文庫)またやぶけの夕焼け (集英社文庫)感想
これも高野秀行本の落穂ひろい。タイトルが謎だなと思いながら、どんな内容かまったく知らないまま読み始めた。高野さんの少年時代の話(小説!)だった。椎名誠や沢野ひとしが書く少年時代の話を思い出させる。それにしても高野さんの人物描写は”キャラが立って”いる。文庫解説で北上次郎(目黒孝二、この人も椎名さんと親しい)が指摘しているように、高野さんが書いてきた「自伝的エッセイ」は、たちまち小説になる。それほど高野さんの筆力は秀でている。描かれている高野さんの少年時代、1970年代末の匂いが濃厚で、懐かしさを感じる。
読了日:09月07日 著者:高野 秀行

縄文時代の歴史 (講談社現代新書)縄文時代の歴史 (講談社現代新書)感想
少し前に読んだ『土偶を読むを読む』に対談者として登場していた「先史学者」の著書。新書ながら参考文献を明示しており、しっかりした内容。縄文時代の姿が、最新の科学的な分析技術の裏付けを示しながら論じられている。あとかぎにあるように「縄文人をサスティナブルでエコロジカルな考えを持ち、自然と共生した人々」と評価することの間違いを知った。現代人の幻想なのだろう。「ごく少ない人口下で、石器によって人力で自然を切り開いていたので、開発の度合いよりも自然の回復力の方が優っていただけ」という指摘は、目から鱗だった。
読了日:09月22日 著者:山田 康弘

人間の土地へ人間の土地へ感想
2020年の発売直後に読んでから、これが再再読。著者の小松由佳さんとは、ご縁があって、近日(2023年10月)私が所属している団体(某市の図書館友の会)が主催する講演会の講師としてお呼びしている。それもあって、あらためて読んでみた。小松さんの講演会を何度も聴いているが、この方の語りは「そのまま本になる」(関野吉晴氏の評)ような、論理的でわかりやすいものだ。この本も、小松さんの語りを彷彿とさせる文章。かつ、こころの中の熱い想いを淡々と語っている。あらためて2020年までの小松さんの歩みを確認した。
読了日:09月28日 著者:小松 由佳


オリーブの丘へ続くシリアの小道で: ふるさとを失った難民たちの日々オリーブの丘へ続くシリアの小道で: ふるさとを失った難民たちの日々感想
これも、小松由佳さんの本の再読。『人間の土地へ』に先立つこと4年、2016年3月の出版。2008年、はじめてシリアの地に立ち、沙漠(小松さんは砂漠ではなく、この漢字を使う)の暮らしを追う。やがて、2011年から始まったシリア内戦。内戦下のシリアの人々の災難、そして近隣国への逃亡。難民となった人々を追い、豊富な写真とともにレポートする。のちに結婚するラドワン氏との馴初めなどには触れず、ひたすらシリア難民を追って心を痛める。『人間の土地へ』を読まれた方へ、この本もお勧めしたいが、残念なことに新刊では入手困難。
読了日:09月30日 著者:小松 由佳

読書メーター

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