【読】2023年12月に読んだ本(読書メーター)
12月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4168
ナイス数:175
チンギス紀 三 虹暈 (こううん)の感想
物語の舞台が大きく広がり、モンゴル族とその周辺から西域、さらに遠い南の地までのつながりが明かされてくる予感。たとえば、岳飛伝に登場する甘藷糖。なによりも「玄翁」という謎の人物が気になる。いずれ正体が明かされるのだろうが。狩りのシーン、戦闘シーン、食い物の話が、じつに生き生きしていて、これぞ北方ワールドという感じ。この巻は、ほぼ一日で一気に読んだ。
読了日:12月01日 著者:北方 謙三
チンギス紀 四 遠雷の感想
凄惨な戦いがあった。あっと驚く戦法がとられる、北方謙三らしい戦闘シーンだった。山中に鉄を作り出す拠点が作られるあたりは「岳飛伝」の南方の拠点を思い起こさせる。「狗眼」と呼ばれる隠密を生業とする一族が登場。「大水滸伝」の世界と似てきて、ますます面白くなってきた。だんだん読むペースが速くなってくる(笑)。
読了日:12月02日 著者:北方 謙三
チンギス紀 五 絶影の感想
ついに、梁山泊との繋がりが明かされた。うすうす感じていた玄翁の正体。楊令から胡土児へと受け継がれた吹毛剣。それが、なんとテムジンの手に。思えば、第2巻にその伏線はあった。年老いた宣凱が、それでも生きていたとは! 史実にとらわれず、自由に構想を膨らませる北方謙三ならではの仕掛けだ。これぞ小説(物語)の醍醐味。「大水滸伝」三部作を読んでおいて、よかった。それにしても、まだ5巻目。残り12巻の展開に期待が高まる。
読了日:12月04日 著者:北方 謙三
チンギス紀 六 断金の感想
テムジンが統べる領域が戦によって拡大。その領域内部も充実し、交易にも手を出して、これはまるで梁山泊の再現のよう。周辺国、部族との軋轢が強まり、風雲急を告げる。次巻の展開に期待が高まる。
読了日:12月09日 著者:北方 謙三
チンギス紀 七 虎落の感想
テムジン軍が負けるはずはないのだが、苦しい戦に勝利して、モンゴル族の領地をすべて手に入れる。それにしても、大水滸伝と同様に、大規模な戦闘シーンの騎馬隊の動きは、なかなかイメージできない。テムジンがやろうとしていることが、いよいよ梁山泊に重なってきた。全17巻の折り返し点が次巻かぁ。好漢ジャムカの末路が気になる。この先、どこかで登場するのだろうか。
読了日:12月12日 著者:北方 謙三
まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)の感想
2005年1月刊行。2001年の9.11までのパレスチナをめぐる中東の複雑な状況が、わかりやすく書かれている。歴史のおさらい、再確認、深掘りができたと思う。続編(2015年8月刊行)では、直近のパレスチナ、アラブの状況が書かれているようなので、続けて読んでみたい。
読了日:12月14日 著者:山井 教雄
続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」 (講談社現代新書)の感想
前作に続き、2005年から2015年までの中東・アフリカ・アラブ世界でのさまざまな動きが、わかりやすく書かれている。「アラブの春」がチュニジアに始まり、エジプト、リビア、シリアへと広がっていった様子や、ISが生まれた背景など、勉強になった。そして、パレスチナでは、2006年から2014年にかけてのイスラエルとパレスチナとの争いが、今年になってまた、激しさを増している。著者は漫画家のようだが、掲載されている漫画は挿絵的なもので、歴史的なポイントはしっかり押さえられていると思う。
読了日:12月16日 著者:山井 教雄
まるごとわかるびっくり!日本ふしぎ探検百科 2 遺跡・建造物のふしぎ探検の感想
図書館本。北海道から沖縄まで、日本全国の「ふしぎ」を「探検」する児童向け図鑑シリーズ全3巻の2巻目。1巻目:自然・風景。3巻目:動物・植物。この2巻目では、遺跡・建造物が集められている。江戸東京博物館の建築史家・米山勇さん監修と知って借りてみた。米山さんは、これまで一般向けの講座を何度も開催していて、おもに建築物に関するマニアックな話を興味深く聴講してきた。この本では、建築に限らず、建造物や遺跡が網羅されていて、興味深い。実際に訪ねてみたいものが多数あった。
読了日:12月18日 著者:米山勇
チンギス紀 八 杳冥の感想
全17巻の折り返し。ケレイト王国の主トオリル・カンと息子のセングムがテムジン軍へ反逆を企てるも失敗。逆に討ち取られて、テムジンの支配領土が拡がる。敗軍の将ジャムカ、領土を失って彷徨うタルグダイとラシャーンの行方が興味をそそる。梁山泊残党の子孫・候春も登場して、いよいよ物語のスケールが広がってきた。残り9巻が楽しみだ。
読了日:12月19日 著者:北方 謙三
チンギス紀 九 日輪の感想
ついにテムジンがチンギス・カンを名乗る。モンゴル族の長たちが集まる大会議で正式に”カン”と認められるのだ。テムジンの敵だったメルクト族のトクトアが、タイチウト氏の長だったタルグダイとその妻ラシャーンを匿い、さらにジャンダラン氏の長ジャムカの息子マルガーシも匿うことになる。このあたりのつながりを見せる展開が憎い。梁山泊の残党だった宣凱が死に、息子の宣弘とテムジンとの繋がりが濃厚に。大水滸伝「岳飛伝」で描かれた世界との連続が明かされてきた。そして、巻末、とうとうジャムカとの決着が…。この巻末部分、感動的だ。
読了日:12月22日 著者:北方 謙三
マゼラン船団 世界一周500年目の真実: 大航海時代とアジアの感想
毎日新聞書評(2023/12/2)で池澤夏樹氏が絶賛しているのをみて、図書館本を読んでみた。スペイン、ポルトガルといったヨーロッパ列強からみた「大発見時代」を、”発見された”側からの「大航海時代」と呼び変えたのは、日本の増田義郎(当時、東大助教授)らだったことを知る(本書終章)。マゼラン船団の「世界一周」も、マゼランがフィリピンで客死した後、船長エルカーノが率いる少数の生き残りだった。欧米では今もって「大発見時代」が使われている、そんな風潮に異議を唱える筆者ならではの、目から鱗の知見が得られる良書。
読了日:12月28日 著者:大野 拓司
砂の器(上) (新潮文庫)の感想
2024年1月、趙博(パギやん)の一人芝居(声体文藝館)で、この小説を原作として演じる予定。その予習の意味で、図書館から借りて読んでみた。事前知識として、ハンセン病がこの小説の内容にからんでいると知り、がぜん興味がわいた。上巻397ページをいっきに読了。松本清張の作品には馴染みがなかったが、さすがに物語の展開が上手い。犯人捜しというよりも、犯罪の背景を追う展開に、下巻425ページ(本文)を読むのが楽しみだ。余談だが、私の好きな現代作家の桐野夏生さんが清張ファンらしい。
読了日:12月29日 著者:松本 清張
砂の器(下) (新潮文庫)の感想
図書館本を三日間で読み切った。松本清張作品をまともに読んだことがなかったのだが、さすがだ。この小説は1961年刊行。当時の国鉄の列車事情は私にも馴染み深いものがあり、懐かしい。この長編を読んでみようと思ったきっかけは、上巻の感想に書いた。来年1月に観る予定のパギやん(趙博さん)の一人芝居は、たぶん映画化された内容に基づくものだろう。映画(1974年・松竹・野村芳太郎監督)も未見だが、DVDかネットで観てみたくなった。松本清張の他の代表作も、今さらだが、読んでみようかと思う。
読了日:12月30日 著者:松本 清張
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