【雑】地球永住計画2024.4.11(宇梶静江さん)
印象と記憶が薄れないうちに書き残しておく。
2024年4月11日(木) 19時~21時20分
武蔵野プレイス4階
「地球永住計画」
ゲスト:宇梶静江さん(アイヌの古布絵作家)
参加費:2000円
関野吉晴さんが代表をつとめる「地球永住計画」。
そのトークイベントには、これまで何度も足を運んだ。
今回は、アイヌの「古布絵作家」として知られ、近頃、映画化もされた宇梶静江さんが呼ばれた。
1933年生まれ、今年91歳になったという。
関野さんいわく、「地球永住計画」最高齢のゲスト。
始まる前に、関野さんが作った映画「うんこと死体の復権」の宣伝が流れた。
8月に、東中野のポレポレ東中野で公開とのこと。
映画は3月に完成しているのだが、映画を広めるための資金(宣伝費、バリアフリー字幕/音声ガイド制作費のための資金)を、クラウドファンディングで集めている。
私も、わずかだかクラウドファンディングに協力した。
会場入口で、宇梶静江さんの著作が割引価格で販売されていた。
手に入れたかった『大地よ! アイヌの母神、宇梶静江自伝』 藤原書店 (2020/3/3) 442ページ を購入。
書店で買うと税込2,970円の分厚い本だ。
― Amazonより ―
アイヌとして生き、アイヌの精神性を問う、女の一生。
昭和三陸地震(1933年3月3日)のさなかに生を授かり、幼年期から思春期、和人から差別を受けつつも、北の大地=アイヌモシリの自然の中で父母の慈愛に包まれて、貧しいながらも豊かな時を過ごした少女時代。勉学を志して20歳で札幌の中学へ。中学校卒業後、東京へ。
高度成長期、東京で結婚、そして出産。溢れかえる物質文明の中で、自分が求めてきたものは何かと懊悩する日々。そこから詩を書き始め、壺井繁治らと出会う。1972年2月8日の『朝日新聞』の「生活欄」に投稿した「ウタリたちよ、手をつなごう」が掲載され大反響となる。
やがて63歳にして世界で初めて〝古布絵〟によるオリジナルな表現手法を発見し、作品制作の活動に入る。アイヌとして生きる女性が、自らの内なるアイヌ、内なる大地を切り拓き、その生涯をかけてアイヌの精神性を問うた軌跡。
藤原書店は、いい本を出す出版社だ。
この日のトークイベントでは、関野さんが宇梶さんから話を引き出すのに苦心している様子がうかがえた。
宇梶さんの声・語りは、91歳とは思えぬしっかりしたものだった。
話はあちこちに飛んだが、ポイントは次のようなもの。
私のメモから拾ってみる。
・アイヌの自然観
いつもカムイが見ている
この世にムダなものはない
水を大事にしなさい(ワッカカムイ)
…子どもの頃から噛んで含めるように教えられてきた
・カムイがいつも見ている
・カムイは”見える”(宇梶さんは何度も見た)
・アイヌ社会での障がい者への視線
障がいを持っている人には、”別のモノが与えられている”
(特別な能力が与えられている)
アイヌ社会に障がい者差別はなかった
・アイヌの知恵
夜空をよく見る
土地の地質を判断できる(危ない土地に家を建てない)
災害(天災)の記憶の継承
和人の”科学”に劣らない、別の”モノ”
いっぽう、関野さんからは、アマゾンの熱帯林の先住民の話や、人類の進化の話など、興味深い話がたくさん。
幸福度は数式であらわすと、分母が「欲望」分子が「財産」
これまでは、分子にあたる「財産」を増やすことで幸福度をあげようとしてきた
「財産」を増やすのではなく、分母の「欲望」を減らすことで、幸福度はあがるはず
「欲望」は必要なものだが、肥大した欲望がダメ。「ほどほどに」
「Happy」みんなの幸福 ←→ 「Lucky」個人の幸福
最後に、北海道にできた「ウポポイ」を活性化させようと、美術館を作る計画が宇梶さんにはあるという。
「関野先生、協力してください」と、何度もおっしゃっていた。
蛇足だが、俳優の宇梶剛士さんが宇梶静江さんのご子息だということを、イベントの後、ネットで調べていて知った。
(2024/4/15 記)
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