【読】2024年8月に読んだ本(読書メーター)
8月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2632
ナイス数:126
あのころ、天皇は神だったの感想
タイトルに惹かれ、図書館から借りて読んだ。先の大戦、アメリカに住んでいた日系人の排斥、強制収容を体験した家族の様子が小説の形で描かれている。翻訳で読んでも伝わってくる詩的で端正な文章が魅力的。章ごとの人称の変化も巧み。作者の自身の祖父母と母、母の弟(作者の叔父)の苦難が淡々と描かれている。いい作品だ。『屋根裏の仏さま』という続編も、機会があれば読んでみたい。訳者あとがきで紹介されている「日系アメリカ人の歴史ポータルDensho」も読んでみたい。→http://nikkeijin.densho.org
読了日:08月02日 著者:ジュリー・オオツカ
エベレストには登らないの感想
大好きな書き手なので、タイトルに惹かれて購入、読んでみた。2019年末に刊行されていたこの本は、見落としていた。雑誌「BE-PAL」に連載された短いエッセイを集めたものなので読みやすい。2017年に雑誌掲載された文章が最後。ちょうど『極夜行』が刊行される直前なので、犬橇を始める前の時期だ。本書の最後のエッセイに、犬橇への転換を思いたった事情が書かれている。現在も「BE-PAL」連載が続いているようなので、その後の文章を集めた単行本の刊行が待たれる。
読了日:08月07日 著者:角幡 唯介
探検家、36歳の憂鬱の感想
積読本、ようやく読了。十数年前の文章を集めたエッセイ集。ところどころ理屈っぽいところもあるが、面白かった。なかでも「震災――存在しなかった記憶」では、東日本大震災のとき北極圏にいたために震災を体験できなかったことの”欠落感”が綴られていて、興味深い。帰国後、被災地を訪れたときの体験談(大槌町で出会った被災者との邂逅)がいい。その他、雪崩体験、富士登山ブームの考察、熱気球冒険家の神田道夫さんの話なども、よかった。角幡さんの『探検家、40歳の事情』『探検家の憂鬱』『探検家の事情』などのエッセイ集も読みたい。
読了日:08月10日 著者:角幡 唯介
探検家の事情 (文春文庫 か 67-2)の感想
『探検家、40歳の事情』(文藝春秋/2016年)の文庫版。単行本を増補・改訂、改題。単行本と文庫本の両方を図書館から借りてみて、はじめて同じ本だと知った(書名が微妙に違っていたので、ひょっとして別の本かと誤解)。前作『探検家、36歳の憂鬱』(これも『探検家の憂鬱』と改題、増補・改訂して文庫に)の続編。36歳当時の『憂鬱』よりも面白かった。4年のあいだに著者の境遇、体験が大きく変化している。巻末に追加されている宮坂学ヤフー会長との対談も興味深い。角幡さん、探検記やドキュメントもいいが、エッセイも読ませる。
読了日:08月13日 著者:角幡 唯介
探検家の憂鬱 (文春文庫 か 67-1)の感想
つい最近、親本の単行本『探検家、36歳の憂鬱』を読んだばかりだったので、この文庫は増補部分だけ読んだ。「極地探検家の下半身事情」は、扱っているテーマを照れることなく考察していて好感が持てる。単行本にもあったブログ記事の抜粋の、文庫追加分も面白い。ネット公開されているらしい角幡さんのブログも読んでみたい。巻末「文庫版あとがきに代えて」という副題の「イスラム国事件に対して思うこと」は、この衝撃的な事件に対する、冒険家・角幡さんならではの感じ方、受け止め方が前面に出ていて、共感した。
読了日:08月13日 著者:角幡 唯介
JAL123便墜落事故真相解明: 御巣鷹山ファイルの感想
JAL123便墜落事故をネットで調べていて知った。墜落原因を自衛隊の無人標的機衝突による垂直尾翼破壊とし、さらに証拠隠滅のため自衛隊のミサイルによる”とどめ”とする、いちばん過激な説を展開。当時の新聞・週刊誌記事の引用などによって自説の裏付けをしているのだが、かなり強引な(見てきたような)記述が続く。なによりも文章と本の構成が稚拙――「である」の乱発にうんざり。それでも「あったかもしれない」説のひとつとして気にはなる。私自身は、無人標的機の衝突→垂直尾翼の破壊があったと思う(圧力隔壁説はウソだと思う)。
読了日:08月23日 著者:池田 昌昭
JAL123便は自衛隊が撃墜した: 御巣鷹山ファイル2の感想
ざっと流し読み。前作『御巣鷹山ファイル JAL123便墜落「事故」真相解明』(文芸社1998年1月)の続編。前作と比べて特に目新しさはなく、くどくどしい文章に嫌気がさして、著者の独白めいた部分は読み飛ばした。書名が示すように、著者はJAL123便の最後は自衛隊機によるミサイル射撃(右エンジンに命中)によって、いわば”とどめ”を刺された形で墜落したという(仮説だが、あたかも真相のように断定)。せっかく当時の新聞記事を引用しているのだから、もっと綿密な検討経緯がわかる記述にすればいいのに。構成がめちゃくちゃ。
読了日:08月24日 著者:池田 昌昭
JAL123便空白の14時間: 御巣鷹山ファイル3の感想
シリーズ3冊目。これも、ざっと流し読み。帯に「…ボイスレコーダーを無人標的機の接触から墜落までを独自の仮説で大胆に再現!」とあるが、著者の大胆な仮説――自力でなんとか不時着しようとしていたところを自衛隊機から発射されたミサイルによって”撃墜”された――の裏付けが希薄。「第Ⅱ部 仮説・ボイスレコーダー」も著者の妄想でしかなく、読み飛ばし。挿入されている図表の説明もなく、どこまで裏付けに基いているのかも不明。この著者の本を知るきっかけになったネット記事にも「眉唾」との評があったが、同感。参考資料として読んだ。
読了日:08月25日 著者:池田 昌昭
探検家の日々本本 (幻冬舎文庫)の感想
長いこと積読本だった単行本で読み始め、途中から文庫版(あらたに購入した)に乗り換えて読了。角幡さん、そうとうな読書家だ。巻末の書名索引を見て、その幅広い読書に驚いた。書評的な文章も参考になるが、読み込んだ本をテーマに書かれた長めのエッセイも読み応えがある。2015年2月発行(単行本)。ちょうど「極夜行」を計画していた頃の、探検への思いが詰め込まれている。
読了日:08月26日 著者:角幡 唯介
日航123便墜落事件 隠された遺体の感想
青山透子さん(ペンネーム)の最新刊。第二章「看護婦が見た隠された遺体」で新事実が明らかにされる。JAL123便の機長の遺体が8月12日の事故後の翌々日14日(検死の初日)に発見され、遺体安置所に運ばれて検死を受けていたこと。機長の制服もない丸裸だったこと。乗客が付ける酸素マスクが付けられていたこと。一般乗客とは別の出入口から安置所に搬入・搬出されたこと。これらが当時、検死にあたっていた看護婦の証言から明らかにしている。事故機機長の遺体が闇に葬られたということで、いよいよ墜落原因隠蔽工作が疑われる。
読了日:08月30日 著者:青山 透子
読書メーター
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