【読】【楽】トンコリ
トンコリがでてきた。
松浦武四郎 、四十一歳のとき、最後の蝦夷地の旅(安政五年)。
箱館から日本海まわりで銭函までの海岸を除き、蝦夷地の全海岸と、十勝、阿寒など道北、道東の内陸部を縦横に踏みわたり、さらに、日高沿岸の川筋をひとつひとつ遡行する、という徹底した探索行である。
1月2日(陽暦3月7日)から、8月21日(陽暦9月27日)まで、203日間の旅。
彼は、旧暦五月の中頃、トコロ(常呂)川上流のプトイチャンナイという土地で、宿泊先でトンコリの演奏を聴く。
<その夜、老人は五弦琴(トンコリまたはトンクル)でチカフノホウエ(鳥の鳴声の曲)を弾いてくれる。 これは、春の日に沢山の鳥がさえずるさまをうつしたものでいかにもおもしろく、五弦でよくさまざまな鳥の鳴声を弾きわけられるものだとふしぎな気がした。>
― 『静かな大地』 第7章 シャリ・アバシリの惨状 ―
このエカシ(老爺)は、武四郎一行が帰路に立ち寄って、残った米やタバコを贈ると、そのお礼にトンコリをくれると言いだした。
武四郎は、一度は断ったものの、あまりに強く言われたため受け取っている。
この他、『近世蝦夷人物誌』(アイヌ人物誌)にも、樺太東海岸でトンコリを演奏する八十余歳の翁に出会ったことが書かれている。
江戸末期、松前と江戸幕府の支配下で、悪徳商人らの非道な扱いに苦しんでいたアイヌの人々は、トンコリのような伝統楽器を楽しむ余裕も奪われていたのだ。
滅びかけていたこの楽器を、OKI が現代に甦らせたことの意義は、とても大きい。
(トンコリの写真画像はWikipediaのサイトから拝借した)
【参考】 トンコリ奏者 OKI のサイト
CHIKAR STUDIO
http://www.tonkori.com/
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