カテゴリー「塩見鮮一郎」の31件の記事

2015年11月 8日 (日)

【読】興味深い新書二冊(東京新聞書評)

最近手に入れた新書二冊。

今日の東京新聞日曜版読書欄に、書評が載っていた。
読まなくちゃ。

加藤典洋 『戦後入門』
 ちくま新書 1146 2015/10/10 635ページ 1,400円(税別)

東京新聞 2015/11/8(日) 朝刊 10面(読書)

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「護憲、護憲」と呪文のように繰り返すだけではダメでしょう。
憲法九条を「戦争をしない、できない」ように、明確に改訂する(九条を強化する)ことを考えないといけない。
私は、最近そう考えるようになった。
著者 加藤典洋さんの問題提起に賛成できる。
分厚い本だが、読みやすいというので挑戦してみよう。

― e-honサイトより ―
[要旨]
日本ばかりが、いまだ「戦後」を終わらせられないのはなぜか。この国をなお呪縛する「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか―。世界大戦の意味を喝破し、原子爆弾と無条件降伏の関係を明らかにすることで、敗戦国日本がかかえた矛盾の本質が浮き彫りになる。憲法九条の平和原則をさらに強化することにより、戦後問題を一挙に突破する行程を示す決定的論考。どこまでも広く深く考え抜き、平明に語った本書は、これまでの思想の枠組みを破壊する、ことばの爆弾だ!
[目次]
はじめに―戦後が剥げかかってきた
第1部 対米従属とねじれ
第2部 世界戦争とは何か
第3部 原子爆弾と戦後の起源
第4部 戦後日本の構造
第5部 ではどうすればよいのか―私の九条強化案
おわりに―新しい戦後へ

塩見鮮一郎 『戦後の貧民』
 文春新書 1042 2015/9/20発行 212ページ 800円(税別)

畏敬する塩見鮮一郎さんの、「貧民」シリーズとも呼ぶべき一連のドキュメントの最新作。

― e-honサイトより ―
[要旨]
昭和二十年夏、敗戦。焼け跡から立ち上がる日本人は逞しかった。復興マーケット、闇市、赤線…七歳で終戦を迎えた著者だから語りえた、あの時代の日本と日本人!
[目次]
序の章 占領(occupied)
第1章 大移動のはじまり
 兵士の帰還
 闇市の成立
 バタヤ部落とアリの町
第2章 米兵慰安婦と売春
 GHQと特殊慰安施設協会
 夜の女パンパン
 東京の赤線と青線
 戦争未亡人
 親なき子と混血児
第3章 さまざまな傷痕
 伝染病の蔓延
 見捨てられた皇軍兵士
 原爆被災者の地獄
 厳寒のシベリア
 戦後の部落

   

東京新聞 2015/11/8(日) 朝刊 10面(読書)

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2015年5月20日 (水)

【読】田中克彦「従軍慰安婦と靖國神社」

今日も本のはなし。

昨夜、塩見鮮一郎さんの 『ハルハ河幻想』 を読了。
構成に工夫がこらされている小説で、最後まで引き込まれるように読んだ。

ノモンハン事件(戦闘、戦争と呼ぶべきだろうが、教科書などではこう呼ばれている)に、がぜん興味がわいた。

ノモンハンといえば、高校時代の山岳部顧問の先生のことを思いだす。
片腕の肘から下がなく、義手をつけていた先生だが、ノモンハンの戦闘で失ったという噂を耳にしていた。
先生に確かめることのできないまま、だいぶん前に亡くなってしまった。

もっとも、ノモンハンの戦闘について、私はほとんど何も知らなかった。
いまだに謎の多い戦闘。

ある人のウェブサイトで知り、ネット注文してあった本を、今日、書店で受けとってきた。

田中克彦 『ノモンハン戦争――モンゴルと満洲国』
 岩波新書 1191 2009/6/19発行 241ページ 800円(税別)

― Amazonより ―
内容
一九三九年のノモンハン戦争は、かいらい国家満洲国とモンゴル人民共和国の国境をめぐる悲惨な戦闘の後、双方それぞれに二万人の犠牲をはらって終結した。誰のため、何のために?第二次大戦後、満洲国は消滅して中国東北部となり、モンゴルはソ連の崩壊とともに独立をまっとうした。現在につながる民族と国家の問題に迫った最新の研究。
著者略歴
田中/克彦
1934年兵庫県に生まれる。1963年一橋大学大学院社会学研究科修了。現在、一橋大学名誉教授。専攻は言語学、モンゴル学。

この著者のことを、私はまったく知らなかった。
有名な言語学者らしい。

市内の図書館の蔵書を調べてみると、たくさん著作があったので、一冊借りてきて読みはじめた。

田中克彦 『従軍慰安婦と靖國神社 一言語学者の随想』
 KADOKAWA 2014/8/24発行 175ページ 1,300円(税別)

― Amazonより ―
内容紹介
 日本の文化を政治問題にすべきじゃないんだ! 戦後69年経っても、解決の糸口すら見えない「従軍慰安婦」問題と「靖国神社」問題。日本人にとっては避けて通れないこの二つの問題に、闘う言語学者・田中克彦80歳が正面から向き合いました。
 この二つの問題を並べるなんて! と批判する人も多いでしょう。
 しかし田中は、この二つの問題の根底には「日本文化の問題」があるのだから、決して政治問題化すべきでないと説き、田中克彦ならではのエスプリの効いた論を展開しています。
 田中自身、戦中の疎開や戦後の教科書の墨塗りを経験した世代であるため、終戦を境に日本社会がどのように変わっていったかを肌で知っています。だからこそ、二つの問題を“歴史認識問題"と捉える現在の社会風潮が我慢ならないといいます。
 そこで、あくまでも“ココロの問題"としてこの二つの問題を捉え直し、「言いたいことが言えない世の中はおかしい!」と、ココロの趣くままに彼の気持を書きつづっています。
 まえがきには、「ぼくはおそらく、求められるところの<歴史認識>をはなはだしく欠く不勉強な大衆の一人であり、その上、歴史学とはいくつかの点で対立するか、あるいはかなり異なるものの見方をする言語学の影響を受けているために、本書はいくぶん異常な内容になるかもしれない。とはいえ、やはり黙って世間に同意しているかのように見られるのも居心地が悪い」と書いているよう、ほかに類書がない内容です。
 副題に「一言語学者の随想」とあるように、田中克彦初めてのエッセイ本です。

副題からわかるように、エッセイなのだが、従軍慰安婦と靖国神社について、本質を衝いて語っていると思う。
本の前半、従軍慰安婦について書かれた部分を読み終えたところ。

あとがきに書かれていることが面白い。

出版社がこの本の表紙に使う写真を、靖国神社を背景に撮ろうということで、神社に撮影申請したそうだ。
神社から断られた理由が、「神聖なほこらの名と、慰安婦とを同居させたような書名の本に写真を使われるのは困るといったような趣旨だったらしい」。 (P.174)

<ぼくはまたしても慰安婦たちが気の毒になった。皇軍のために、最もやりにくい仕事で協力しながら、こんな扱いをうけるとは。じつはこの本を書きあげたあと、せっかくの原稿だが、本にするのはやっぱりやめた方がいいかなという気持が少しはたらいたけれども、この話をきいて、ぼくの決意は固いものとなった。やっぱり、慰安婦になってくれた朝鮮のおねえさんたちに、日本人として、わび、感謝しなければならないと。>
(P.175 重ねてのあとがき)

デリケートな問題ではあるが、この本で著者が言っていることは、まっとうだと思う。

「慰安婦」はなかった(いなかった)と言い張ることのウソを、ずばり指摘する。
(どう考えても、日本軍の「慰安」施設・組織がなかったはずがない、と常識でわかる)

「慰安婦像」についても、あれは韓国人の日本憎悪の気持の深さを示している、という。
そこを考えないといけない。

「日本海」と「東海(トンヘ)」の呼称の、言語学的な比較も面白かった。

後半、靖国神社について、どう語っているのだろうか。
楽しみだ。

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2015年5月18日 (月)

【読】「ハルハ河幻想」が面白い

終日曇天、蒸し暑い日。

午前中、近くの眼科医で検診。
緑内障がゆっくり進んでいるらしい。
眼圧を下げる目薬を変えてくれた。
二種類になった。
これまで片目だけだったが、両目に、一日二回と一回。

まあ、一種の老化現象なので、つきあっていくしかないか。


塩見鮮一郎さんの 『ハルハ河幻想』 (せきた書房、1983年)を読んでいる。
導入部、登場人物たちの関係がわかりにくかったが、読みすすめるうちに引き込まれてきた。
ミステリー的な要素もあり、謎解きの面白さがある。

この小説について、ある人がウェブ・サイトに詳しく書いている。

「歴史の中の賤民と貧民 ―作家、塩見鮮一郎研究―」 というサイト。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/study-shiomi/

最近発見したサイトだ。
作者の自己紹介ページを見たところ、「わかけん」というハンドル・ネームで、そういえば塩見さんの掲示板の常連さんだった(ご本名は知らないが)。
そうだったのか。

上のサイトの ”第六章 作家塩見鮮一郎の「ふるさと」” に、この小説について詳しく書かれている。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/study-shiomi/connected/ep6.htm

私にはとても書けそうにない、気合のはいった「研究論文」だ。
(これは皮肉ではなく、塩見さんについて、じつに深く「研究」されている)
教えられることが多い。

そのサイトを読んで知ったのだ――そうだったのか、塩見さんはノモンハンと深いつながりがあったのか、と。
一般に「ノモンハン事件」と呼ばれているが、あれは戦闘、戦争だった(宣戦布告がなかっただけで)。
そんなことも書かれていて、我が意を得た。

船戸与一さんの 『満州国演義』(全九巻)にも、この戦闘のことが詳しく描かれていた。
その影響で、この塩見さんの小説を読みはじめたのだった。

全体の四割にさしかかったところ。
ひさしぶりに、小説を読むことの醍醐味にひたっている。

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2015年5月15日 (金)

【読】塩見鮮一郎 「ハルハ河幻想」

自転車にのって、一キロほど離れたところにある東村山市立富士見図書館へ。
取り置きしてもらっていた本を受けとる。

船戸与一 『満州国演義』 を読んでいたときに、この地名(ハルハ河)をみて思いだした本。
書名は憶えていたが、まだ読んでいなかった。

塩見鮮一郎という作家をご存じの方は少ないかもしれない。
私は、密かにこの人のファンを自認している。

塩見鮮一郎 『ハルハ河幻想』
 せきた書房 1983年6月1日発行 359ページ 1,800円(税別)

もちろん今では手にはいらない本で、置いている図書館も少ない。

ハルハ河は、1939年(昭和14年)の「ノモンハン事件」(ハルハ河戦争とも呼ばれる)の舞台になった場所。
この小説(帯にはノンフィクション・ノベルと書かれている)も、ノモンハンの戦闘が描かれているのだろう。
興味津々。

こういう本が文庫化されないのが不思議だ。
いつかどこかの古本屋で出会うかもしれない……。

せきた書房は、関田稔さんという方が経営していた出版社らしい。
この本の装幀は平野甲賀、いい装幀だ。

塩見鮮一郎さんのサイト
http://www014.upp.so-net.ne.jp/siosen/
塩見鮮一郎さんのブログ こぼし:So-netブログ
http://siosen.blog.so-net.ne.jp/

【参考サイト】

歴史の中の賤民と貧民:So-netブログ
http://shiomi-senichiro.blog.so-net.ne.jp/ より
せきた書房の関田稔さん:歴史の中の賤民と貧民:So-netブログ
http://shiomi-senichiro.blog.so-net.ne.jp/2014-01-12

せきた書房  1・12:こぼし:So-netブログ
http://siosen.blog.so-net.ne.jp/2014-01-12-2

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2014年12月29日 (月)

【読】2014年総集編(こんな本と出会った)

今年もたくさん本を読むことができた。
10月末にあつらえた近々両用眼鏡のおかげで、読書が楽になった。
目は大切にしよう。

今年は、昨日までに99冊読んだ。
(中断したり一部だけ読んだものは除く)
あと一冊で100冊。
私にとっては大台だが、数十ページの短い本もまじっているので、冊数だけでは測れない。

さいわい、「読書メーター」という便利なサイトがある。
読んだ本を登録しておけば、自動的に総ページ数がわかるのだ。
23,923ページとなっている。

 読書メーター - あなたの読書量をグラフで記録・管理
 http://bookmeter.com/

七割方の本は、図書館から借りたもの。
じぶんでもたくさん買っているのだが、買ってしまうと安心して読まないものだ。

膨大なリストになるが、せっかくメモ帳ソフトで記録をとっているので、月別に羅列しておきたい。括弧内は出版日付。

何かしら参考になれば、さいわいです。
これは、という印象深かった本は、太字にしてAmazonのリンクも貼っておきます。

■1月■
・門田隆将 『死の淵を見た男 ―吉田昌郎と福島第一原発の五百日』 PHP研究所 (2012/12/4)
・野口邦和 監修/新美景子 文 『カラー図解 ストップ原発 1 大震災と原発事故』 青木書店 (2011/12/9)
・野口邦和 監修/新美景子 文 『カラー図解 ストップ原発 2 放射能汚染と人体』 青木書店(2012/1/20)
・飯田哲也 監修/新美景子 文 『カラー図解 ストップ原発 3 電力と自然エネルギー』 青木書店 (2012/2/20)
・辻信一 監修/高橋真樹 文/水野あきら 絵 『カラー図解 ストップ原発 4 原発と私たちの選択』 青木書店 (2012/3/26)
・恩田勝亘 『福島原発現場監督の遺言』 講談社 (2012/2/20)
・大鹿靖明 『ドキュメント福島第一原発事故』 講談社 (2012/1/27)
・松岡正剛 『千夜千冊番外編 3・11を読む』 平凡社 (2012/7/11)
・赤坂憲雄 『北のはやり歌』 筑摩選書 0077 (2013/10/15)
・堤 未果 『ルポ 貧困大国アメリカ』 岩波新書 新赤版1112 (2008/1/22)
・堀江邦夫・文/水木しげる・絵 『福島原発の闇 ―原発下請け労働者の現実』 朝日新聞出版 (2011/8/30)
・堤 未果 『アメリカは変われるか? ―立ち上がる市民たち!』 大月書店 (2009/3/31)
・呉智英 『吉本隆明という「共同幻想」』 筑摩書房 (2012/12/10)

■2月■
・池上 彰 『そうだったのか!アメリカ』 集英社文庫 (2009/6/30)
・呉智英 『言葉の常備薬』 双葉社 (2004/10/30)
・呉智英 『言葉の煎じ薬』 双葉社 (2010/6/20)
・塩見鮮一郎 『江戸から見た原発事故 ―あの時こうしていたら……の近代日本史』 現代書館 (2014/1/30)
・呉智英 『言葉につける薬』 双葉社 (1994/9/10)
・北海道新聞社編 『原子力 負の遺産 ―核のごみから放射能汚染まで―』 北海道新聞社 (2013/8/28)
・長谷川集平 『およぐひと』 解放出版社 (2013/4/20)
・キャロル・オフ 著/北村陽子 訳 『チョコレートの真実』 英治出版 (2007/9/1)
・東京柳句会編 『友ありてこそ、五・七・五』 岩波書店 (2013/12/17) 入船亭船橋・永六輔・大西信行・桂米朝・加藤武・柳家小三治・矢野誠一
■3月■
・岡崎武志 『あなたより貧乏な人』 メディアファクトリー (2009/10/16)
・星川淳 『タマサイ 魂彩』 南方新社(2013/11/11)

・古市憲寿 『誰も戦争を教えてくれなかった』 講談社 (2013/8/6)
■4月■
・星川淳 『ベーリンジアの記憶』 幻冬舎文庫 (1997/9/11)

・石川明人 『戦争は人間的な営みである ―戦争文化試論』 並木書房 (2012/11/5)
■5月■
・内田樹 『街場のメディア論』 光文社新書  (2010/8/20)
・広瀬洋一 『西荻窪の古本屋さん ―音羽館の日々と仕事』 本の雑誌社 (2013/9/20)

・内田樹 『街場の憂国論』 晶文社 (2013/10/10)
・藻谷浩介・NHK広島取材班 『里山資本主義 ―日本経済は「安心の原理」で動く』 角川oneテーマ21 (2013/7/13)
・内田樹 編 『街場の憂国会議』 小田嶋隆・想田和弘・高橋源一郎・中島岳志・中野晃一・平川克美・孫崎享・鷲田清一 晶文社 (2014/5/10)
・伊藤痴遊 『明治裏面史 (上)』 国書刊行会 (2013/4/25)
■6月■
・伊藤痴遊 『明治裏面史 (下)』 国書刊行会 (2013/4/25)
・塩見鮮一郎 『探偵イザベラ・バード 明治開化殺人事件』 河出書房新社
・岡崎武志 『上京する文學 漱石から春樹まで』 新日本出版社 (2012/10/25)
・前川恒雄 『移動図書館ひまわり号』 筑摩書房 (1988/4/15)
・猪谷千香 『つながる図書館 ―コミュニティの核をめざす試み』 ちくま新書 (2014/1/10)
・内田樹 『日本辺境論』 新潮選書 (2009/11/20)
・夏堀正元 『明治の北海道 ―シリーズ日本近代史5』 岩波ブックレット (1992/3/19)
■7月■
・内田樹/小田嶋隆/平川克美/町山智浩 『9条どうでしょう』 毎日新聞社 (2006/3/10)
・内田樹/小田嶋隆/平川克美 『街場の五輪論』 朝日新聞出版 (2014/2/28)
・川本三郎 『マイ・バック・ページ ―ある60年代の物語』 平凡社 (2010/11/25)
・内田樹 『私家版・ユダヤ文化論』 文春新書 519 (2006/7/20)
・塩見鮮一郎 『解放令の明治維新 ―賤称廃止をめぐって』 河出ブックス (2011/6/20)
・柳田邦男 『「想定外」の罠 ―大震災と原発』 文春文庫 (2014/3/10)
・大森洋平 『考証要集』 文春文庫 (2013/12/10)
・笠井潔・白井聡 『日本劣化論』 ちくま新書 (2014/7/10)
・高野秀行 『謎の独立国家ソマリランド ―そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』 本の雑誌社 (2013/2/20)
・高野秀行 『未来国家ブータン』 集英社 (2012/3/30)

 

■8月■
・高野秀行 『イスラム飲酒紀行』 講談社文庫 (2014/7/15)
・池上彰 『おとなの教養』 NHK出版新書 (2014/4/10)
・池上彰 『そうだったのか!現代史』 (2007/3/25)
・辻信一/田中優子 『降りる思想』 大月書店 (2012/10/19)
・田中優子 『カムイ伝講義』 小学館 (2008/10/6) 339ページ ちくま文庫 (2014/5/10)
・白井聡 『永続敗戦論 ―戦後日本の核心』 大田出版(atプラス叢書 04) (2013/3/27)
・笠井潔・白井聡 『日本劣化論』 ちくま新書 (2014/7/10)
・豊下楢彦 『「尖閣問題」とは何か』 岩波現代文庫(学術273) (2012/11/16)
・水野和夫 『世界経済の大潮流 ―経済学の常識をくつがえす資本主義の大転換』 大田出版 (2012/5/17)
・ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ 『ラダック ―輝かしい未来』 山と渓谷社 (2003/7/10)
・下重暁子・黒田夏子 『群れない 媚びない こうやって生きてきた』 海竜社 (2014/6/10)
■9月■
・山本高樹 『ラダックの風息 ―空の果てで暮らした日々』 ブルース・インターアクションズ(スペースシャワーネットワーク) (2009/3/10)
・笠井潔 『8・15と3・11 ―戦後史の死角』 NHK出版新書388 (2012/9/10)
・保阪正康 『昭和史、二つの日 ―語り継ぐ十二月八日と八月十五日』 山川出版社 (2012/7/25)
・五十嵐惠邦 (いがらし・よしくに) 『敗戦と戦後のあいだで ―遅れて帰りし者たち』 筑摩書房(筑摩選書0050) (2012/9/15)
・勢古浩爾 『大和よ武蔵よ ―吉田満と渡部清』 洋泉社 (2009/7/17)

・水野剛也 『「自由の国」の報道統制 ―大戦下の日系ジャーナリズム』 吉川弘文館 (2014/7/1)
・五十嵐惠邦 『敗戦の記憶 ―身体・文化・物語 1945~1970』 中央公論新社 (2007/12/20)
・小林英夫 『シリーズ昭和史No.7 大東亜共栄圏』 岩波ブックレット (1988/8/3)
■10月■
・徳山喜雄 『安倍官邸と新聞 ―「二極化する報道」の危機』 集英社新書 (2014/8/17)
・内田樹 『憲法の「空語」を充たすために』 かもがわ出版 (2014/8/15)
・内田樹 『街場の共同体論』 潮出版社 (2014/6/20)

・豊下楢彦・小関彰一 『集団的自衛権と安全保障』 岩波新書 新赤版1491 (2014/7/18)
・豊下楢彦 『集団的自衛権とは何か』 岩波新書 新赤版1081 (2007/7/20)
・高野秀行・角幡唯介 『地図のない場所で眠りたい』 講談社 (2014/4/24)

・池澤夏樹 『終わりと始まり』 朝日新聞出版 (2013/7/30)

・佐原真・小林達雄 『対論 世界史のなかの縄文』 新書館 (2001/1/5)
■11月■
・礫川全次 『異端の民俗学 ―差別と境界をめぐって』 河出書房新社 (2006/4/20)
・礫川全次 『戦後ニッポン犯罪史』 批評社 (2000/6/10) 332ページ
・礫川全次 『日本人はいつから働きすぎになったのか ―<勤勉>の誕生』 平凡社新書744 (2014/8/12)
・デイビッド・ウォルトナー=テーブズ/片岡夏実訳 『排泄物と文明 ―フンコロガシから有機農業、香水の発明、パンデミックまで』 築地書館 (2014/5/20)
・勢古浩爾 『定年後7年目のリアル』 草思社文庫 (2014/8/8)
・井上ひさし 『二つの憲法 ―大日本帝国憲法と日本国憲法』 岩波ブックレット 812 (2011/6/7)
・森英樹 『憲法のこころに耳をすます』 かもがわブックレット 101 (1997/5/3)
・小西豊治 『憲法「押しつけ」論の幻』 講談社現代新書 1850 (2006/7/20)
・伊藤始・杉田秀子・望月武人 『五日市憲法草案をつくった男・千葉卓三郎』 くもん出版 (2014/9/21)
・半田滋 『日本は戦争をするのか ―集団的自衛権と自衛隊』 岩波新書 新赤版1483 (2014/5/20)
・長倉洋海 『ぼくが見てきた戦争と平和』 バジリコ (2007/5/15)
・佐藤優 『創価学会と平和主義』 朝日新書 481 (2014/10/30)
・池上彰・佐藤優 『新・戦争論 ―僕らのインテリジェンスの磨き方』 文春新書 1000 (2014/11/20)

・池上彰 『池上彰教授の東工大講義 学校では教えない「社会人のための現代史」』 文藝春秋 (2013/10/15)
・池上彰 『池上彰教授の東工大講義 この日本で生きる君が知っておくべき「戦後の学び方」』 文藝春秋 (2013/3/30)
■12月■
・杉浦康平 『文字の靈力 ―杉浦康平デザインの言葉』 工作舎 (2014/9/20)
・依田彦三郎 『ゴミは、どこへ行く? ―自動車、原発、アルミ缶、汚水の授業』 太郎次郎社 (1993/7/20)
・『レイチェル・カーソン ―「沈黙の春」で環境問題を訴えた生物学者』 筑摩書房 ちくま評伝シリーズ<ポルトレ> (2014/10/25)
・倉澤治雄 『原発ゴミはどこへ行く?』 リベルタ出版 (2014/11/7)
・松田哲夫 『縁もたけなわ ―ぼくが編集者人生で出会った愉快な人たち』 小学館 (2014/9/3)
・角幡唯介 『アグルーカの行方 ―129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』 集英社文庫 (2014/9/25)

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2014年8月12日 (火)

【読】「カムイ伝」と「カムイ伝講義」

田中優子・辻信一の 『降りる思想』 を、昨夜読了。

田中優子さんの 『カムイ伝講義』 を読んでみようと思う。
2008年10月に出版され、発売直後に購入したものの、読まないまま本棚に入っていた。
今年、ちくま文庫で文庫化もされた(それも入手していた)。

田中優子 『カムイ伝講義』
 小学館 2008/10/6発行 339ページ 1,500円(税別)
 ちくま文庫 2014/5/10発行 421ページ 1,000円(税別)

― ちくま文庫カバーより ―
江戸学の第一人者が、白土三平の名作漫画『カムイ伝』を通して、江戸の社会構造を新視点で読み解く。そこから今の時代が照射される。江戸の階級制度から現代の格差・貧困社会が、一揆の伝統から現代のデモが、そして江戸時代の肥料から未来の循環型社会が見えてくる。……

 

この本は、田中教授が法政大学社会学部の「比較文化論」で講義しながら、それと並行して小学館のサイトに連載していた「カムイ伝から見える日本」をもとに書き下ろしたもの。
講義は300名を超す大教室授業だったが、同時に2006年度の三年生のゼミでも『カムイ伝全集』が使われたという。 (本書あとがきによる)

6年前に単行本を手に入れたとき、テキストになっている白土三平「カムイ伝」も読んでみようと思いたった。
そこで、古本屋を中心に探し回って、文庫版「カムイ伝」だけは揃えていたが、これも読まないまま本棚に眠っていた。

白土三平 『カムイ伝』
 小学館文庫 全15巻 (第一部)

決定版カムイ伝全集 カムイ伝 第一部 全15巻セット

「カムイ伝」は全集が出ているが、高価で手が出ない。
手始めにこの文庫本15卷だけでも、田中さんの本と並行して読んでいこうと思うが、絵も字も小さいため目が疲れる。
これまで何度かそうだったように、今回もまた途中で挫折するかも。
やれやれ。

ためしに、Wikipediaで調べてみた。
「ガロ」、なつかしい。

― Wikipediaより ―

『カムイ伝』(カムイでん)は、白土三平による日本の長編劇画。1964年から1971年まで『月刊漫画ガロ』に連載された。連載中、『週刊少年サンデー』(小学館)に「カムイ外伝」を不定期連載している。1982年から1987年まで『ビッグコミック』(小学館)誌上に「カムイ外伝 第二部」を連載、そして同誌上に1988年から2000年まで「カムイ伝 第二部」が発表された。「カムイ伝 第三部」の発表は未定。「カムイ外伝」は別項目を参照。

作品内容
江戸時代の様々な階級の人間の視点から重層的に紡ぎ上げられた物語となっている。名脇役が数多く登場する壮大なスケールのこの物語は、1964年の連載開始から40年以上経過しながら未だ完結しておらず、白土自身も漫画家生活の大半をこの作品に費やしていることから、白土のライフワークとも言われる。
第一部
発表『月刊漫画ガロ』1964年12月号から1971年7月号までの全74回
単行本
1967年:ゴールデンコミックス『カムイ伝』全21巻
1979年:旧小学館文庫『カムイ伝』全15巻
1982年:小学館豪華愛蔵版『カムイ伝』全4巻
1988年:小学館叢書『カムイ伝』全15巻1995年:小学館文庫『カムイ伝』全15巻
2005年:ビッグコミックススペシャル『カムイ伝全集[第一部]』全15巻

【参考サイト】

カムイ伝講義 田中優子さん - 依田彰 - 著者に会いたい | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
[文]依田彰  [掲載]2008年11月30日
http://book.asahi.com/reviews/column/2011071702225.html

小学館:白土三平 画業50年記念出版 決定版カムイ伝全集全38巻
http://comics.shogakukan.co.jp/kamui/

なぜか、リンク切れだが……Google検索でみつけたページ
(上記の小学館サイト内、田中優子によるWeb書下ろしの一部と思われる)
http://comics.shogakukan.co.jp/kamui/article_write04.html

たぶん……田中優子氏のサイト (英語ベースだが日本語ページもある)
http://www.lian.com/TANAKA/index.html

【追記】

この本、もっと早く読んでおけばよかったと感じながら読みすすめている。
第二章 「夙谷の住人たち」 では、「カムイ伝」の重要な舞台・登場人物である 「夙谷(しゅくだに)」 の住人たちについて考察している。
(「夙谷」は、この物語の架空の地名)

「カムイ伝」の中では「非人」と呼んでいるが、「穢多」「非人」と呼ばれる被差別民だ。
ちなみに、私が使っている日本語変換(MS-IME)の辞書には、この二つの言葉が載っていない。

この章では、塩見鮮一郎さんが調べあげた「弾左衛門支配」「乞胸」等も、しっかり取りあげている。
江戸時代の差別構造を掘り下げた、興味ぶかい章だ。

第二章 夙谷の住人たち (目次)
穢多の存在理由/穢多の実像/河原の豊かさ/日本の村の多様性/かわた村の成立/弾左衛門支配/武士のなりわいとしての乞胸(ごうむね)/黄表紙に見える非人/身分制度の形骸化/組織内格差/社会の中での非人・穢多

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2014年7月 7日 (月)

【雑】過去最強クラスの台風接近中

今日も梅雨空。

午前中、仕事関係の勉強会の集まりへ。
スーパーで買い物して家に帰り、ラジオを聞きながら本を読んで過ごしていた。

雨がまた降りはじめた。

「過去最強クラス」と言われる強力な台風8号が、沖縄に接近中。

今週末には関東地方も影響を受けるのだろうか。
土曜日の昼の便で北海道に向かう予定なのだが……。

気象庁のサイトより
 http://www.jma.go.jp/jp/typh/1408.html

20140707_weathermap_2

過去最強クラスに発達のおそれ 台風8号あす沖縄に最接近 | 地震予測検証・地震予知情報 / 防災情報【ハザードラボ】
 http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/6/4/6453.html

過去最強クラスに発達のおそれ 台風8号あす沖縄に最接近
 気象庁によると、大型で非常に強い台風8号は、あす(8日)には沖縄に最も接近する見込みで、沖縄地方に接近するにともないさらに勢力を増し、特別警報発表の対象となる「数十年に一度程度」の規模にまで発達するおそれもあるとして、厳重な警戒を呼びかけている。
 大型で非常に強い台風8号は、今日(7日)午前9時45分現在、沖縄の南海上を時速20キロで北西に進んでおり、中心気圧は930ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルとなっている。
 台風8号は、沖縄地方に接近するにつれ、さらに勢力を増す見込みで、あす(8日)午前9時には宮古島の南東約80キロの海上に達し、中心気圧は910ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は75メートルと、猛烈な強さに発達すると予想されている。
 沖縄地方では、「数十年に一度程度」の規模の台風接近に関する特別警報について、「中心気圧が910ヘクトパスカル以下」、「最大風速が60メートル以上」などとの発表基準を設けているが、台風8号は、この発表基準を満たすレベルまで発達するおそれがあり、同地方では厳重な警戒が必要。


昨夜から読みはじめている本。
発売直後に買ってあったものの、まだ読んでいなかった。

畏敬する塩見鮮一郎さんの力作。

塩見鮮一郎 『解放令の明治維新 ――賤称廃止をめぐって』
 河出書房新社 河出ブックス 2011/6/20発行
 206ページ 1,300円(税別)

― Amazonより ―
明治4年、一片の太政官布告で、穢多非人ら賤民は解放された。しかし本当に解放されたのか。解放令以前以後の、血と涙、努力と思惑の社会政治学。
【目次】
はじめに
第1部 幕末の解放令
 1 アンクル・トムの解放
 2 弾左衞門の覚醒
 3 松本良順の奇策
 4 町奉行の方策
 5 軍病院の夢
第2部 解放への道筋
 1 公議所が発火点
 2 皇国統一戸籍
 3 大江卓の計略
 4 民部省と大蔵省
 5 死牛馬勝手の怪
第3部 解放令の波紋
 1 廃藩置県と解放令
 2 地租と解放令
 3 弾左衞門役所の終焉
 4 通達と波紋
 5 美作津山一揆
 6 筑前竹槍一揆
第4部 様々な解放と弾圧
 1 芸娼妓の解放
 2 香具師・虚無僧・乞胸など
 3 むすび
付章 髪結・三味聖・夙・算所村などの解放

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2014年6月 2日 (月)

【読】暑い一日、本を読む

今日も気温は31度まであがって、夏日だった。
コンビニまで買い物にでると、道端には、キンシバイの黄色い花や、ドクダミの白い花が盛りだった。

昨日の疲れもあり、家の中で寝転んで本を読んでいると、いつのまにかうたた寝していた。
昼寝はきもちがいい。

『明治裏面史(下巻)』を読み終えた。
面白かったが、明治期の知らない人名がたくさんでてくると、やはり疲れる。

『明治裏面史』 (上・下) 伊藤痴遊 著
 国書刊行会 2013/4/25発行
 (上巻) 201ページ 1,800円(税別)
 (下巻) 243ページ 1,800円(税別)

 

図書館は明日が休館日だから、明後日にも返却しよう。

すこし肩の凝らない本を読みたいな。
そう思って、本棚から引っぱりだした小説を読みはじめた。

一昨年10月に発売されて、すぐに買ったものだが、ずっと本棚に入れっぱなしだった。
塩見鮮一郎さんの小説。

塩見鮮一郎 『探偵イザベラ・バード 明治開化殺人事件』
 河出書房新社 2012/10/20発売 四六判 266ページ 1,900円(税別)

私は塩見さんの愛読者なので、安心して読める。
明治初期にイギリスから日本に来て、人力車で旅をした実在の女性、イザベラ・バードを探偵に仕立てたフィクション。

1878年夏、日本奥地紀行の旅の途次、イザベラ・バードは粕壁の街道沿いのお地蔵さまのかたわらに、令嬢の右手首を見つけた。通詞の伊藤とともにバラバラ殺人事件に巻き込まれる、いや首を突っ込むイザベラ。たちはだかる宿場戸長・雁塔谷大満。西洋合理主義は、はたして真犯人にたどりつけるのか。瞠目の歴史ミステリ。
― Amazon ―

   

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2014年2月10日 (月)

【読】都知事選挙が終わって

東京都の知事選挙が終わった。
私が支持した候補は落選。

2014/2/10(月) 東京新聞夕刊

201402100026

政府(自民党)といい、こんどの都知事といい、どうもいやな方向に向かっている気がする。
「世界一の東京にする」 という言葉がむなしい。


きのうから読んでいる塩見鮮一郎さんの本。
半分ほど読んだところ。

塩見鮮一郎
 『江戸から見た原発事故 ――あの時こうしていたら……の近代日本史』

現代書館 2014/1/30発行 190ページ 1,800円(税別)

こんな記述があった。
第三章 「近代超克ゲーム(戦前昭和の陰鬱)」 のおしまいのほうだ。

要領よくまとめられないので、書かれている内容をつぎはぎで引用する。
私もかねがね思っていたことが、うまく書かれていて共感した。

昭和20年3月10日の「東京大空襲」(米軍による夜間の低空からの焼夷弾投下=無差別絨毯爆撃)について、内田百閒や永井荷風が書いたものを紹介しながら、詳しく述べている。

また、塩見さん自身の岡山での空襲体験(昭和20年6月29日)を含む、全国の地方都市への空襲。
さらには、ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下。
それらについて、こう考察している。

<3・10の東京大空襲だけでも、人的・物的の被害は、関東大震災をうわまわった。それに加えて、中小の地方都市へくりかえされた絨毯爆撃、そして、二個の原爆投下。信じられないほど大規模なホロコーストが、非戦闘員にむけておこなわれた。日本史において大一番に特記される不幸な年度であった。……>

<荒廃は全国土におよび、家もない、仕事もない、食料もない、着るものもない国民が、幽鬼のように焼野原をさまよった。……>

なぜこのようなことになったのか。

<ドイツなら、なぜヒトラーが出現したのか、その政治的な過程をさぐり、第一次大戦後のワイマール共和国などを検討すればいい。日本では大東亜戦争の勃発前にもどるだけではなにもわからない。満州事変でもじゅうぶんではない。もっとまえに問題はある。日清・日露の両戦争のとき、すでに破滅へのレールが敷かれていた。……>

塩見さんは、明治維新から後、この国が目指してきたものが、そもそも間違っていたのではないか、と言う。
「この国」と私は書いたが、一部の指導者・権力者だけでなく一般国民も含め、まさに国家一丸となって目指してきたものである。

<……それにしても維新後の諸外国との軋轢はおおすぎる。西欧に伍した国家になろうとして、あせりにあせった結果なのなら、そのことは反省しなければならないだろう。日本が植民地にならないためには、帝国主義になるよりほかはなかったという弁明も聞くが、ほんとうにそうなのか。植民地にもならないし、帝国にもならない国はたくさんある。そういう可能性を模索すればよかったのではないか。しかし明治新政府は台湾を奪い、韓国を併合し、中国東北部へ侵略の範囲をひろげ、ついには東南アジアへ軍を送った。>

<結局、支払わなければならなかった代価はおおきい。……>

くりかえされる戦争を推進したのは、一部の権力者だけではない。大東亜戦争の初期には、国民の99・9パーセントが賛成し熱狂したのだ。……天皇、議会、軍部、財閥、地主、高等官僚、大学、新聞、ラジオ、そして「近代の超克」座談会に出席の知識人、かれらの責任をないがしろにするつもりはないが、昭和20年のカタストロフィーは、維新以降77年の政治・経済・社会のシステムがもたらしたものだ。そのなかで生きた「国民」の責任はやはり問うべきだ。……>

原文の数字は漢数字だが、アラビア数字に直して引用した。
また、「近代の超克」座談会についても、塩見さんが前段で詳しく触れているが、ここでは省く。
上の引用部(青字部分)は、本書P.100~104。
太字部分は、私が施したもの。

日本が植民地にならないためには、帝国主義になるよりほかはなかったという弁明も聞くが……

同じような弁明は、いかにも、昨今のある種の政治家・言論人が言いそうなことだ。

安倍内閣は漠然と「支持」されているだけのような気がする。
一種のムードとして、である。

今回当選した都知事も、積極的な支持の結果とは思えない。
なんとなくムードで選ばれてしまったように見える。
戦前の、あの「熱狂」が繰り返されないように、しっかり見ていきたいと思うのだ。

ちょっと肩にちからがはいってしまった……。
でも、塩見さんのこの本を読んで、いろいろ根底から考え直すことが多い。

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2014年2月 7日 (金)

【読】塩見鮮一郎 「江戸から見た原発事故」

図書館にリクエストしてあった塩見鮮一郎さんの新刊が届いたので、借りてきた。

塩見鮮一郎
 『江戸から見た原発事故 ――あの時こうしていたら……の近代日本史』

現代書館 2014/1/30発行 190ページ 1,800円(税別)

― Amazonより ―
原点を江戸時代に置くことではっきり分かる、明治・大正・昭和・平成そして原発事故。維新時の誤りを引きずり、繰り返す愚行。不甲斐ない祖国でどう生きたらいいのか。近代史を読み換えるための歴史私観。
著者略歴
塩見/鮮一郎 1938年、岡山市に生まれる。編集者を経て作家・評論家。

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題名からわかるように、2011年3月11日の東日本大震災、福島の原発事故を見据えて書かれた本だ。
まえがき(はじめに)には、次のように書かれている。
少し長くなるが、引用する。

― 本書 「はじめに」 より ―
<2011年(平成二十三年)、あの東日本大震災がなければ、このような本を書かなかった。ちゃんと言えば、地震と津波だけなら、やはり書かなかった。1995年(平成七年)の阪神・淡路大震災のときは、かたむいた家のあいだの道路を、おおくの人にはさまれて歩いた。写真を撮るのもはばかられる空気が支配していた。ニューヨークの9・11はテレビで見たが、民間の死者に哀悼の意をあらわすものの、背景になったアラブ問題についてのアメリカ政府の言い分に同調できないでいた。いずれにしろ、災害やテロからなにかをふかく感じたにしても、本一冊を書く勇気はなかった。>

<今回は、福島の原発事故のすさまじさである。一基だけのメルトダウンでも大事件なのに、三基もこわれた。溶けた炉心がどのような状態なのか、まる三年になろうとしているのにわからない。……>

<なにがこのような限界状況を日本にもたらしたのか。未来は予測できないので、過去の経緯について微力ながら再検討してみた。あれこれ愚考し、カメラの位置をうんとうしろに引いて、スパンをひろくとった。今回の事態の深刻さを勘案した結果で、千年に一度の非常時に直面していると思っている。>

五章で構成されている。

【目次】
はじめに
第一章 幻影エドの再現 (明治の滑稽)
第二章 震災後の恐怖 (大正の明暗)
第三章 近代超克ゲーム (戦前昭和の陰鬱)
第四章 市民と政治のたわむれ (戦後昭和の変転)
第五章 ついに君は見たか (平成の地獄)
[補]
はかない話 (ブログより)
原発クライシス (ブログより)
あとがき

― 本書 「はじめに」 より ―
<江戸から現代へ。明治・大正・昭和・平成と、わざと元号を使用して「四代実録」の体裁をとった。一章は江戸の叙景で、すこしばかり牧歌的になるが、現在とのコントrストを考えている。各章はかなり独立性がたかいので、おいそぎの方は、どこから読んでいただいてもよい。後半は、わたしの生きた時間とかさなる。長寿をいいことに自分のことをすこしだけ記した。>

私の敬愛する塩見さんが、明治から原発事故までの歴史を、どのように捉え、考えているのか、興味津々だ。

【参考】 塩見鮮一郎さんのサイト
 塩見鮮一郎のHP
 http://www014.upp.so-net.ne.jp/siosen/

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