【読】沢木耕太郎の「無名」を読む
9年前に出版された、沢木耕太郎の 『無名』 を、近くの図書館から借りてきて読んだ。
この春まで、古本屋で手に入れたこの本が私の手元にあったのだが、読まないまま3月の古本市にだしてしまった。
なぜ、今になって読んでみようという気もちになったのだろう。
それはたぶん、この夏、私自身が母を亡くしたからだろう。
沢木耕太郎 『無名』
幻冬舎 2003年9月15日発行
254ページ 1,500円(税別)
文庫版 幻冬舎文庫 2006年8月 560円(税込)
89歳で亡くなった父親を綴ったこの本は、私自身の体験と重なるところもあって、強い感銘を受けた。
何度か目頭が熱くなった。
もちろん、沢木さんの体験と私の体験は大きくちがっている。
片や父親、片や母親。
死に至る経緯や、肉親の死に向きあう姿勢、等々。
それでも、老齢の肉親を見送る悲しみが伝わってきて、印象深い読書となった。
<一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が、ある夏の終わりに脳の出血のため入院した。混濁してゆく意識、肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。病床の父を見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こし、その無名の人生の軌跡を辿る―。生きて死ぬことの厳粛な営みを、静謐な筆致で描ききった沢木作品の到達点。> ― Amazonサイトより ―
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント