カテゴリー「北方謙三」の9件の記事

2023年3月 1日 (水)

【読】2023年2月に読んだ本(読書メーター)

昨年の暮れから一か月半ほどかけて、北方『水滸伝』を読了。
続編の『楊令伝』(集英社文庫全15巻+読本)を図書館から借りてきて読み始めているところ。

2月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3517
ナイス数:153

水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58)水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58)感想
梁山泊軍と宋軍の戦は、ぎりぎりのところで思いもかけない展開を見せる。この巻で面白かったのは、巵三娘と王英とのエピソード、官軍から拾われた少年・趙林や、王進の許に預けられた張平の成長ぶり、官軍の奥深く入り込む候健の苦悩など。紙一重のところで全滅をまぬがれた梁山泊は、これからどうなる? 次巻に期待。
読了日:02月01日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)感想
梁山泊の豪傑が何人も殺されるいっぽう、青蓮寺の頭目も梁山泊の影の部隊・致死軍の急襲によって、ついに…。この巻でも、間諜・候健の息子・候真が前面に出てくる。漢=豪傑たちばかりでなく女性や少年たちの姿をきっちり描く北方謙三の筆は、すばらしい。巻末の文庫解説、あの”ロックン・ローラー”吉川晃司が”北方オヤジ”へ熱いオマージュを捧げていて、ちょっとびっくり。北方謙三ファン層の広さを知る。いよいよ残すところあと3巻。物語が大きく動きそうな予感。
読了日:02月04日 著者:北方 謙三

水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫 き 3-60)水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫 き 3-60)感想
双頭山への官軍の猛攻。春風山・秋風山からの胸のすくような脱出劇。致死軍と高廉軍との壮絶な決戦。盧俊義と魯達の死。子午山で王進に預けられている楊令と張平。等々、描き切れないほど、この巻は中身が濃い。残り2巻に向けて盛りあがっていく。
読了日:02月05日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)感想
たくましく成長した楊令の頼もしさ。『楊令伝』への布石か、舞台が北の遼の国まで広がり、遼に叛旗を翻す阿骨打(あくだ)という女真族の好漢(16巻目から登場)もクローズアップ。そして、私が好きだった林冲がとうとう…(あれほどの強敵=宋を相手の激闘で死んでいく好漢がいない方がおかしいのだが)。胸のすくような奇策でピンチを脱する梁山泊軍。作者の心憎い物語展開に胸を躍らせながら読了。いよいよ童貫率いる官軍との全面決戦となるのが最終巻なのだろう。あと1巻で終わってしまうのかと思うと、ちと寂しい。文庫巻末解説は夢枕獏。
読了日:02月06日 著者:北方 謙三

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)感想
昨年末から一か月半かけて全巻通読。さすがに達成感がある。最終巻、いい終わり方だ。替天行道の旗が宋江から楊令に手渡される。梁山泊の生き残りの何人かは、続編『楊令伝』にも登場するようだ。読んでみたい気もするが、全15巻かあ…。気分を変えて少し別系統の本を読んだ後にでも挑戦してみよう。(東京に雪が降った日に読了)
読了日:02月10日 著者:北方 謙三

北方謙三の「水滸伝」ノート (生活人新書 300)北方謙三の「水滸伝」ノート (生活人新書 300)感想
北方版『水滸伝』(集英社文庫)全19巻読破後、作者自身の”メイキング・オブ”ということで読んでみた。作者がこの大作に込めた想いは伝わってくる。続編の『楊令伝』をますます読みたくなる。
読了日:02月12日 著者:北方 謙三

 

替天行道 北方水滸伝読本 (集英社文庫)替天行道 北方水滸伝読本 (集英社文庫)感想
本編の北方版『水滸伝』を読んでいるときに、この本の「人物事典」には、ずいぶん助けられた。あらためて通読。『水滸伝』執筆・出版の裏話満載で面白かった。北上次郎ほかによる評論、対談、年表なども。「文庫版・特別増補の章」がいい。北方謙三デビュー当時からの担当編集者(Yこと山田裕樹氏)との絶妙なコンビネーションが『水滸伝』完成の大きなちからとなっていたことがよくわかる。蛇足だが「読本」を「とくほん」と読むのが正しいことを、この本のルビで知った。長い間「どくほん」と読んでいた(恥)。
読了日:02月14日 著者:北方 謙三

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層 (ちくま文庫)中央線がなかったら 見えてくる東京の古層 (ちくま文庫)感想
雑誌「東京人」2012年4月~9月号連載。2012年12月に刊行された単行本の文庫化。巻末の陣内秀信氏と三浦展氏の対談には触発されることが多い。中央線は私にも馴染みの深い鉄道。阿佐ヶ谷、中野界隈に住んでいたこともり、国分寺駅も通勤に使っていた。今も立川駅をよく利用する。そんな中央線を頭から消し去って、古い地形・川・湧水・古道をたんねんに辿ってみることで見えてくる、新宿~中野、高円寺、阿佐ヶ谷の昔の姿が新鮮(第一部)。私には第二部多摩編の方が面白かった。惜しむらくは巻頭のカラー地図が文庫では小さすぎる。
読了日:02月21日 著者:陣内 秀信,三浦 展

魂込め(まぶいぐみ)魂込め(まぶいぐみ)感想
7年ほど前、目取真俊の小説群をまとめて読んでいるので、この短編集も再読のはず。収録されている6編の物語は、どれも沖縄の風土と暮らしの匂いが濃厚。芥川賞受賞作「水滴」の後に書かれた作品群。何度か訪れたことのある沖縄本島や周辺の島々で感じた琉球弧の島々の独特な空気が蘇る。『水滴』も再読したい。明日2023/2/25、パギやんこと趙博さんが「水滴」の一人芝居を演じるのを観に行くので、思いたって読み返してみた。目取真俊、恐るべき作家だと、あらためて思う。
読了日:02月24日 著者:目取真 俊

水滴水滴感想
7年ぶりの再読。芥川賞受賞作「水滴」をパギやんこと趙博さんが一人芝居で演じるイベントがあり、その前に読み直してみた。1985年に沖縄タイムスに連載、加筆修正された「風音」もいいのだが、特攻隊で死んだ戦友の足跡をたどるテレビ局ディレクターが、ちょっと型通りの印象。「オキナワン・ブック・レビュー」の仮構も面白い試みだが、もう少しのひねりが欲しいと感じた。「水滴」は、さすがに傑作。
読了日:02月26日 著者:目取真 俊

沖縄と国家 (角川新書)沖縄と国家 (角川新書)感想
6年前の辺見庸と目取真俊の対談。図書館本。辺野古での座り込み、カヌーでの反対行動を続ける目取真俊、腰が据わっている。その発言は辺見庸をタジタジとさせるほどラジカル。第三章「沖縄戦と天皇制」には刮目させられた。旧日本軍の農民兵と学徒兵、どちらが残酷だったかと古山高麗雄に聞いたところ「そりゃあ、農民兵だよ」と言っていたという辺見庸に対して、出身階層というより社会経験の差だろうと返す目取真俊。沖縄戦での慰安婦の実態、縄ピーと呼ばれた沖縄の慰安婦たち。これまで私の脳裏に浮かばなかったことも。
読了日:02月28日 著者:辺見 庸,目取真 俊

パレスチナに生きるふたり ママとマハパレスチナに生きるふたり ママとマハ感想
パレスチナに通い、現地の人たちに溶け込んで取材を続け、ツイッターを中心とするSNSで発信を続ける高橋美香さん。ビリン村とジェニン難民キャンプで暮らすふたりの女性(美香さんのパレスチナでの居候先)に焦点をあてた新刊の写真絵本。パレスチナ問題は難しいと言われる。が、そこで暮らす人たちの日常をとらえた愛情あふれる写真の数々を見ると、土地を奪われ、日々、死(イスラエルによるに暴虐)と隣り合わせの状況にも、人間の営みがあることが伝わってくる。この本が、おとなたちだけでなく次世代のこどもたちに何かを伝えられることを。
読了日:02月28日 著者:高橋 美香

読書メーター

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2023年2月 2日 (木)

【読】2023年1月に読んだ本(読書メーター)

先月は、北方謙三の『水滸伝』を読み続けていた。
全19巻の16巻目まで進んだところ。

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4744
ナイス数:182

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)感想
2022年の大晦日から読み始めて新年2日に読了。三巻目になって、ようやく梁山泊をとり巻く人間たちの姿が私にも見えてきた。この巻の最終章、重要人物である宋江が、ついに役人という世を忍ぶ仮の姿を捨て、叛乱軍の首謀として動き始める。宋江の弟・宋清、彼らをサポートする武松、朱仝といった脇役が、この先、活躍していきそうな予感。1巻目、2巻目、3巻目と読み進むうちに、壮大な物語の展開に嵌ってしまいそう。頑張って最終巻まで読み通したい。
読了日:01月02日 著者:北方 謙三

水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)感想
シリーズ4巻目。どんどん増えてくる登場人物の多彩さ、地理的舞台の広さ、物語全体のスケールの大きさに圧倒されつつ、寸暇を惜しんで読むようになってきた。それほど読者を惹きつける小説。次巻に続く楊志と宋江に迫る危機。さて、どうなるか。
読了日:01月03日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)感想
この第5巻は、これまで以上に熱い。大きく本格的な戦闘がふたつ。仲間の裏切り、謀略。そして重要な頭目の死。これ以上書くとネタバレになるので詳しく書かないが、まさに息つく暇もないほどの展開。文庫巻末の志水辰夫による解説がいい(ネタバレがあるので本編の前に読まなくてよかった)。そこには、こうある。<それまで押さえに押さえてきたマグマのようなエネルギーが、地下から噴き上げて耳を聾せんばかりの大音響とともに爆発したのが、ほかならぬこの第五巻なのだ。>…続巻がますます楽しみになってきた。
読了日:01月05日 著者:北方 謙三

水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)感想
<面白いから、読め! この一行だけでいいのだ、本当は。>――巻末解説(吉田伸子)にこうある。まさにその通り。六巻目に入って、またあらたな人物が梁山泊の豪傑たちに加わる。その経緯が細かく描かれていて、人物像が目に浮かぶ。文体の簡潔さも、この物語の魅力。故井上ひさし氏が書評でこう指摘しているのも頷ける。――<文体の冒険 私がまず一番に注目したことは、北方さんがこの大長編の文章で、ほとんど形容句というものを使っていないことです。> https://allreviews.jp/review/1716
読了日:01月08日 著者:北方 謙三

水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)感想
この巻でも重要な人物が死んでいく。それが、ごく自然な展開で、さすが北方謙三。この先、どうなる? どうなる? と目が離せない展開。壮大な物語世界。時間がかかるが最終巻まで読み通したい。
読了日:01月11日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)感想
梁山泊軍勢と宋との大規模な戦(いくさ)。戦闘シーンの描写は迫力があるのだが、イメージがわかないのが残念。それでも、物語は次々と意外な展開が続いて、面白い。林冲の妻は? …時間に期待。この巻の文庫解説(王勇)も、とても参考になる。「水滸伝よもやまばなし」(「青春と読書」連載)、どこかで読めないかなあ。
読了日:01月12日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)感想
文庫解説(馳星周)がいい。<男はどう生き、どう死ぬべきか>という北方謙三の世界を揶揄しながらも、抗しがたい魅力に「参った」と。<百八人の北方謙三もどきが、これでもか、これでもかと男の生き様を説き、死に様を見せつける。百八人分のナルシシズムに翻弄されるのだ>――たしかに、この物語の「漢(おとこ)の世界」は、私にも鬱陶しい。馳星周氏が言うように「替天行道」は象徴であって、その中身が明かされない。彼らの「志」がいまひとつ理解できない(腐りきった国への怨恨は理解できるが)。それでも、この物語は抜群に面白いのだ。
読了日:01月16日 著者:北方 謙三

水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)感想
全19巻のちょうど折り返しの巻。大きな戦のさまがダイナミックに描かれていて、巻措く能わずといった感じで読み終えた。梁山泊にまた何人かの豪傑が加わり、いっぽうで何人かが命を落とす。この文庫の解説(大森望)もいい。北方謙三が「水滸伝」で描きたかったのが、あのキューバ革命だったという話――北方本人も『北方謙三の「水滸伝」ノート』NHK出版生活人新書/2009年に書いているのだが――にも納得。晁蓋と宋江がゲバラとカストロの関係、などと聞かされると、なにやら嬉しくなる。北方謙三の説話=自身の青春の熱さの再現だとか。
読了日:01月18日 著者:北方 謙三

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)感想
戦闘シーンはなかなかイメージが沸かないが、登場人物たちの内面描写が面白く、読むのをやめられない。この巻では、晁蓋の生死が気になり(これまで、だめかと思われていても命拾いをした豪傑がいたので)、男勝りの扈三娘(こさんじょう)が見せる恥じらいが面白い。官軍側(青蓮寺)にも、悪役ながら魅力的な人物が。晁蓋を狙う刺客も人間味あふれる。それにしても、登場人物の多さよ。巻頭の登場人物一覧をしょっちゅう見ながら読み続けている。
読了日:01月22日 著者:北方 謙三


水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)感想
この巻はひとつの山場。前の巻で晁蓋がやはり暗殺され――晁蓋の末期らしいシーンで終わっていたが、もしやと思っていた――、この巻では、梁山泊の経済的支柱だった蘆俊義が捕獲されて酷い拷問を受けたものの、奇跡的に救出される。拷問シーンは凄絶。官軍の将軍・関勝がじつに魅力的な人物。官軍側(青蓮寺)の者たちも陰影に富んでいて魅力的な人物として描かれている。それにしても登場人物が多すぎて、名前を見ても、はて、どのような経緯で梁山泊に参加したのだっけ? と思い出せなかったりする。ともあれ残り7巻の展開に期待したい。
読了日:01月26日 著者:北方 謙三

水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)感想
全19巻の三分の二ほどまできた。この巻でも激烈な戦闘が続き、何人かの主要人物と多数の無名戦士たちが命を落とす。あれだけの戦を続けていれば将兵が死んでいくのが当然で、惜しまれつつ戦死していく豪傑もいれば、あたらしく梁山泊に加わる豪傑もいる。この巻で印象に残ったのは、官軍の船から救い出された下働きの少年(趙林)だ。楊志の遺児・楊令とともに、殺伐とした大人の世界にこういう少年を登場させるところが心憎い。また、何人かの女性たちも魅力的だ。巻末解説(西上心太)もいい。余談だが、1巻目の解説者・北上次郎が亡くなった。
読了日:01月29日 著者:北方 謙三

水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)感想
梁山泊と宋軍との全面的な戦闘が幕をあける。この先の展開がますます楽しみになってきた。この巻でも、張平という気になる小年(張横の次男)が登場。隠棲する王進の許に預けられる。そこには楊令もいる。この二人の行く末も気になるところだ。梁山泊軍の新兵器の威力は、果たして?
読了日:01月30日 著者:北方 謙三

読書メーター

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2023年1月 6日 (金)

【読】北方謙三と船戸与一

北方謙三『水滸伝』全19巻(集英社文庫)を、いま、夢中になって読んでいる。
5巻目を読み終えたところ。

壮大な物語だが、あくまでも北方謙三の「水滸伝」だ。
中国民間説話としての「水滸伝」を、思いきって再構築し、筋の通った活劇にしている。

ところで、私がずっと愛読してきた船戸与一さんと、この北方謙三氏の関係が気になって、ネット検索してみた。

ともに「日本冒険作家クラブ」(今はもうない)に所属、個人的にも親交があったはず。

日本冒険作家クラブ(Wikipediaより)
1981年の冒険小説ファンの団体日本冒険小説協会の発足を受けて、1983年5月、「作家の団体を」という森詠の提唱により、13人の発起人(田中光二、伴野朗、谷恒生、北方謙三、西木正明、船戸与一、南里征典、川又千秋、大沢在昌、内藤陳、関口苑生、森詠、井家上隆幸)を中心に創設。事務局長は井家上隆幸、会計役は大沢在昌だった。
その後はあまり顕著な活動がなかったが、1987年に再度、新生「日本冒険作家クラブ」として賛助会員を徳間書店として、書き下ろしアンソロジー『敵!』を発行。会報「冒険主義」を刊行開始。
1994年、大藪春彦に「功労賞」を授賞。
また、2001年から、会員が選考して編集者に授賞する「日本赤ペン大賞」を主催していた。
その後も、親睦団体として活動を継続したが、2010年に「役目を終えた」として解散された。

ネット検索で、船戸さんが亡くなった(2015/4/22)のすぐ後、北方氏のインタビュー記事にぶつかった。

「北方謙三」があなたの人生の疑問を一刀両断 | デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2015/08050815/

2015年8月5日のこの記事で、船戸さんの死を、こう語っている。(以下、記事から)

<この間、船戸与一って作家が亡くなりましたけど、生前、「がんで死ぬかボケて死ぬかどっちがいいか考えるんだけれど、どっちでもいいよな、死ぬんだから」と言っていた。彼は6年ぐらい闘病してましたよ。で、我々のところに手紙くれて、「あと1年で死ぬ」って。びっくりするじゃないですか。で、死ぬのかなあと思っていると、死なない。1年経っても死なない。2年経っても死なない。3年経っても死なない。4年経っても死なない。5年経っても死なない。「あの野郎、嘘言いやがったのか」と思いながら見舞いに行くと、やはり彼は闘病はしているわけですよ。体がぎゅっと縮んできてね。それで彼はその間に何やってたか、本当に書きたい小説を完成させたんです。『満州国演義』っていうんですけどね、これは本当に素晴らしい小説ですよ。それをね、きちんと完成させるまでは生命力を失わなかった。命の力を失わなかった。それが終わったら、ふうーっと少しずつ少しずつ力が抜けるように、なんかこう炎が消えていくように、すーっとそのまま亡くなってしまった。だけども、それを書いている間は生命力を失わなかった。人間はね、何かやろうとすることを持つ、やるべきことを持てばいいんです。
 何でもいいんです。持てばいいんです。もし、持つことができないっていうならば、その船戸与一の『満州国演義』を読んで。これはね、「がんで余命1年を宣告された人が書いた小説なんだ、だけどそんなはずないだろう」っていうような小説ですから、読めばいい。それでもダメだったら、私の『水滸伝』を読めばいい。>

船戸ファンの私には、嬉しい記事だったので書いてみた。

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2023年1月 2日 (月)

【読】北方謙三版「水滸伝」に嵌る

年末に観た「新宿梁山泊」の芝居がきっかけで(劇団名に刺激されて)、大作「水滸伝」を読み始めた。
民間説話がベースになっている物語なので、定本といったものはない。
わが国では、吉川英治の「新・水滸伝」、柴田錬三郎の「われら梁山泊の好漢」といった翻案があり、原典(中国語版)を忠実に翻訳したものも多数あるようだ。
中国語版も、七十回本、百回本、百二十回本と、さまざまなバージョンがあるという。

若い頃、平岡正明や竹中労に関心を持っていた時期があり(今でも関心はある)、その影響から「水滸伝」を手に取ったことも。

ただ、読むことはできなかった。

いい機会だ。
北方謙三版「水滸伝」は、ブックオフなどで安く簡単に手に入るので、試しに読み始めたところ、これが面白くてたまらない。
集英社文庫で全19巻の大長編。
その第1巻の文庫解説が北上次郎(目黒孝二の別名)。
この北方版「水滸伝」の魅力を余すところなく紹介している。

の後、年末から年始にかけて第3巻まで読み進めて、いまは第4巻。

ちなみに、第2巻の解説は大沢在昌、第3館は逢坂剛。
錚々たるハードボイルド畑の作家たちが、北方版を絶賛している。

 

北方謙三版は、原典のテキストをベースにしながら、それを大胆に解体し、あらたな小説として作りあげている。

北上次郎の解説によると、
<二百数十年に渡って語り継がれてきた民間説話なので、中国語版は「ヘンな物語」> なのだそうで。
<人物のキャラクターがはっきりしないし、バランスも悪く、物語として壊れているといってもいい> とまで。

中国語版原典を翻訳しただけの版に手を出さなくてよかったと思う。
(若い頃、読もうと思ったのも駒田信二訳の、このてのものだった)

ただ、この北方版でも登場人物の多彩さ、人数の多さ、地名の煩雑さは障害になっている。
文庫の各巻冒頭に、登場人物一覧と当時の中国の簡単な地図が載っているが、なかなか頭にはいってこない。

第3巻あたりで、ようやく主要な人物の名前が区別できるようになった。

そんな悩みを抱えていたところ、同じ作者(北方謙三)が著した「読本」があることを知り、文庫の新本を年末に注文した。
書店が営業を始める頃には届くことだろう。

さらに、平岡正明が書いたこんな本も発見。
こちらはすでに絶版のようなので、中古を発注。
まもなく手元に届く。

『中国 水滸伝・任侠の夢 (世界・わが心の旅)』
単行本 – 1996/4/1
日本放送出版協会

平岡 正明 (著), 黄 波 (著)

「水滸伝」への思い強く、「水滸伝」を行動する男である著者が、乱世を生きた好漢の末裔が住む山東省へ旅立つ。徹底的に現地を取材した水滸伝研究書でもある。世界・わが心の旅シリーズ。

昨年、たて続けに読んだ「ゴールデンカムイ」(コミック、全31巻)のときのように、この小説に嵌りそうな予感。

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2023年1月 1日 (日)

【読】2022年12月に読んだ本(読書メーター)

12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2071
ナイス数:98

人間の土地へ人間の土地へ感想
2年ぶりの再読(初読は2020年10月)。小松由佳さんの講演を、その年の1月、関野吉晴さんの「地球永住計画」で初めて聴いてから現在まで、この本に書かれている体験の後日の経緯を含めて、小松さんの活動を追いかけている。あらためて読み直してみて、すっかり忘れていることも多く、感慨あらた。<民族的背景の違いを、相手の尊厳として認めることで、私たち夫婦は共生しようとしている。(P.243)>――現在、夫君のラドワンさん、二人のお子さんといっしょに、共生の道を探り続けている姿も知っているだけに、心に沁みる内容だった。
読了日:12月15日 著者:小松 由佳

日本に住んでる世界のひと日本に住んでる世界のひと感想
いい本に出会えた。18組20人の「日本に住んでる世界のひと」へのインタビュー。通り一遍のインタビューではない。著者とインタビューした人たちとの関係性が強く感じられて、ほのぼのとしたきもちになる。遠い国から日本に移住した人たちの事情はまちまち。故国の状況もまちまちだが、みんな日本を気に入ってくれて、懸命に生きている姿に打たれる。なかには難民申請が認められずにいる人も。著者のカラーのイラスト(表紙の絵、本文中の挿絵)に、ほっこりする、文章もやわらかくて、いい。この著者の他の本も読んでみたくなった。
読了日:12月17日 著者:金井 真紀

一億年の森の思考法ーー人類学を真剣に受け取る一億年の森の思考法ーー人類学を真剣に受け取る感想
文化人類学とは、人間の生活様式全体(生活や活動)の具体的なありかたを研究する人類学なんだそうで、本書も興味深い内容。学問的な記述が難しい部分も多いが、なんとか読了。「一億年の森に住まう」ボルネオ島(カリマンタン島)に住まう「焼畑民カリス」と「狩猟民プナン」の調査(フィールドワーク)を続けてきた文化人類学者の著者が提示する視点には、目を見開かされるものが多い。まさしく「世界は広い」。
読了日:12月20日 著者:奥野 克巳

世界はフムフムで満ちている: 達人観察図鑑 (ちくま文庫 か 83-1)世界はフムフムで満ちている: 達人観察図鑑 (ちくま文庫 か 83-1)感想
先頃読んだ『日本に住んでる世界のひと』 (大和書房/2022年刊)で知った著者の本。読了後、デビュー作だと知った。見開き2ページにイラスト入りで(これまた味がある)さまざまな職業の「達人」へのインタビューを100人分掲載(単行本では88人、文庫版で12人加筆)。どこにでもいそうな人たちなのだが、<自分の持ち場を丁寧に照らしている>と著者が言う、その「達人」ぶりを掬いあげる妙技に感心した。文庫版あとがきに記された、ラジオ子ども相談室に寄せられた少女の悩みへの回答のくだりでは、不覚にも涙が。いい本です。
読了日:12月20日 著者:金井 真紀

トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)感想
二か月かけて他の本と併読しながら、ようやく読了。中身の濃い新書だった。120ほど前のトラクターの誕生から、その後の発達・改良、将来への展望まで、世界史的な視点で綿密に調べあげている。人や牛馬の力で土を耕すことから解放した一方、「ダストボウル」(化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって土壌の団粒構造が失われ、さらさらの砂塵になり、強い風に煽られて空気中に舞う現象=砂塵の器/P.62)、騒音・振動が運転者に及ぼす悪影響など、初めて知った。戦車への技術流用という歴史も興味ぶかい。(続く)
読了日:12月22日 著者:藤原 辰史

水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)感想
なかなか手が出なかった「水滸伝」。北方謙三版なら読めそうだと思って着手。この文庫1巻目の解説(北上次郎)が、その魅力をよく伝えている(先に解説を読んだ)。登場人物がやたら多くて混乱するが、最終章「地霊の星」の手に汗握る展開がすばらしい。2巻目が楽しみ。
読了日:12月27日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)感想
二巻目にはいって、なんとか主要な登場人物の顔が浮かぶようになってきた。この巻の冒頭、武松のエピソードは悲しい。最終章で、ついに「替天行道」の旗印を掲げた「梁山泊」が誕生する。今年2022年最後に読了した本。
読了日:12月31日 著者:北方 謙三

読書メーター

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2022年12月25日 (日)

【読】いつも読みたい本ばかり(2022年総集編に代えて)

毎年、年末に「総集編」と題して一年間の振り返りをしている。

今年は、「読書メーター」というサイトでの毎月のまとめ記事をアップしてきたこともあり、別の形でここにまとめておこう。

読書メーター(読んだ本)
https://bookmeter.com/users/466409/books/read

「いつも読みたい本ばかり」、これは渡辺一枝さんの本の題名。

 

 Photo_20221225215601  

私も「読みたい本」が手元に山のようにある。
一生かけても読み切れないほどの「つんどく本」がありながら、図書館から借りたり、新刊・古本を買い求めたりしている。
「読みたい本」は増え続けるのに、読める時間には限りがある、このジレンマ。

増え続ける蔵書については、手元にあることの効用、ということも信じているのだが、はたして。

死ぬ前までには整理しなくては。
もしも、整理できずにぽっくり逝ってしまったら、馴染みの古本屋さんにまとめて引き取ってもらおう。
残された人たちには、なんでここまで溜め込んだのかと、呆れられることだろうな。

さて、今年一年間に読んだ本。
作者別にまとめてあげておこう。
なかには、読めなかったが、いつか読みたい本も混じっている。

★印は図書館本 ●印は手元にあって未読

岸政彦 ・・・今年知った人
『街の人生』 勁草書房 (2014/5/20) 306ページ ★
『マンゴーと手榴弾 -生活史の理論-』 勁草書房 (2018/10/20) 341ページ ★

五木寛之 ・・・この先、あまり読まないかも(昔の本で再読したいものはある)
『一期一会の人びと』 中央公論新社 (2022/1/10) 222ページ ★
『捨てない生きかた』 マガジンハウス新書 (2022/1/27) 197ページ ★
『重箱の隅』 文春文庫 (1984/11/25) 367ページ (単行本1979/5文芸春秋社刊)
 ※1975/12/10~1976/4/11夕刊フジ連載

『僕はこうして作家になった―デビューのころ―』 幻冬舎文庫 (2005/9/30) 255ページ ●未読
『にっぽん漂流』 文春文庫 (1977/11/25) 236ページ ※単行本をAmazonで購入 ●未読

■桐野夏生 ・・・たくさん読んだ(既刊の小説は、ほぼすべて)

桐野夏生: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat24350732/index.html

『砂に埋もれる犬』 朝日新聞出版 (2021/10/30) 494ページ ★

『バラカ(上)』 集英社文庫 (2019/2/25) 400ページ
『バラカ(下)』 集英社文庫 (2019/2/25) 468ページ
『夜の谷を行く』 文春文庫 (2020/3/10) 329ページ
『だから荒野』 文春文庫 (2016/11/10) 459ページ
『ジオラマ』 新潮文庫 (2001/10/1) 294ページ ※自著あとがき(解題)あり
『残虐記』 新潮文庫 (2007/8/1) 255ページ
『水の眠り 灰の夢』 文春文庫 (2016/4/10) 476ページ ※村野ミロシリーズ
『ローズガーデン』 講談社文庫 2003/6/15 279ページ ※短編集
『はじめての文学 桐野夏生』 文藝春秋 (2007/8/10) 273ページ ★
『リアルワールド』 集英社文庫 (2006/2/25) 282ページ
『奴隷小説』 文春文庫 (2017/12/10) 187ページ ※解説 白井聡 ★
『冒険の国』 新潮文庫 (2005/10/1) 166ページ ★
『天使に見捨てられた夜』 講談社文庫 (1997/6/15) 420ページ ★
『玉蘭』 文春文庫 (2005/6/10) 388ページ ★
『顔に降りかかる雨』 講談社文庫 (1996/7/15) 404ページ ★
『ダーク(上)』 講談社文庫 (2006/4/15) 296ページ ★
『ダーク(下)』 講談社文庫 (2006/4/15) 349ページ ★
『錆びる心』 文春文庫 (2000/11/10) 397ページ
『対論集 発火点』 文春文庫 (2012/12/10) 278ページ
『光源』 文春文庫 (2003/10/10) 428ページ
『とめどなく囁く』 幻冬舎 (2019/3/25) 445ページ ★
『白蛇教異端審問』 文春文庫 (2008/1/10) 303ページ ※エッセイ集
『ポリティコン(上)』 文春文庫 (2014/2/10) 494ページ ★
『ポリティコン(下)』 文春文庫 (2014/2/10) 468ページ ※解説:原武史 ★
『燕は戻ってこない』 集英社 (2022/3/10) 445ページ
『ロンリネス』 光文社文庫 (2021/8/20) 504ページ
『ハピネス』 光文社文庫 (2016/2/20) 450ページ
『魂萌え!(上)』 新潮文庫 (2006/12/1) 335ページ

『魂萌え!(下)』 新潮文庫 (2006/12/1) 292ページ
『抱く女』 新潮文庫 (2018/9/1) 362ページ
『猿の見る夢』 講談社文庫 (2019/7/12) 609ページ
『メタボラ』 文春文庫 (2011/8/10) 684ページ (ブックオフ 2022/3/21 ¥520)
『優しいおとな』 中公文庫 (2013/8/25) 371ページ
『路上のX』 朝日文庫 (2021/2/28) 510ページ
『グロテスク(上)』 文春文庫 (2006/9/10) 397ページ
『グロテスク(下)』 文春文庫 (2006/9/10) 453ページ
『I'm sorry, mama』 集英社文庫 (2007/11/25) 262ページ
『緑の毒』 角川文庫 (2014/9/25) 332ページ
『IN』 集英社文庫 (2012/5/25) 376ページ
『夜また夜の深い夜』 幻冬舎文庫 (2017/8/5) 430ページ
『デンジャラス』 中公文庫 (2020/6/25) 330ページ

【関連本】・・・桐野さんに凝って、こんな本にまで手を出した
現代女性作家読本刊行会(編)
『現代女性作家読本⑰ 桐野夏生』 鼎書房 (2013/11/15) 163ページ

松岡理英子・江國香織・角田光代・町田康・金原ひとみ・島田雅彦・日和聡子・桐野夏生・小池昌代
『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』 新潮社 (2008/10/30) 285ページ ★ ●未読

佐々木敦
『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 メディア総合研究所 (2011/7/24) 389ページ ★
 ※第10章 桐野夏生 「作家がものを書く」

阿川佐和子/東浩紀/岩田健太郎/桐野夏生/他
『私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2』 朝日新書831
(2021/8/30) 192ページ ★ ◎一部読

『小説新潮別冊 Shincho Mook The COOL! 桐野夏生スペシャル』 (2005/9/28) 159ページ ◎一部読

■原武史 ・・・この人の本は、今後も少しずつ読みたい
『最終列車』 講談社 (2021/12/8) 328ページ ★
『滝山コミューン一九七四』 講談社文庫 (2010/6/15) 343ページ ※解説:桐野夏生

『増補新版 レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史』 新潮選書 (2019/5/20) 442ページ ★ ●未読

■森達也 ・・・話題になった新作、他
『千代田区一番一号のラビリンス』 現代書館 (2022/3/20) 382ページ ★

『日本国憲法』 太田出版 (2007/1/30) 276ページ ★

■島田雅彦 ・・・東京新聞連載で読んでいたものを、単行本でいっきに
『パンとサーカス』 講談社 (2022/3/22) 597ページ ★

■朝倉喬司 ・・・この人にも関心がある
『戦争の日々―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント―(上)』 現代書館 (2009/1/25) 230ページ ★
『戦争の日々―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント―(下)』 現代書館 (2009/12/8) 238ページ ★

■左巻健男 ・・・何で知ったのか覚えていないが、たまにはこういう本も面白い
『こんなに変わった理科教科書』 ちくま新書1644 (2022/4/10) 257ページ

■藤原辰史(ふじはら・たつし) ・・・この人にも注目、読みたい本がたくさんある
『食べるとはどういうことか 世界の見方が変わる三つの質問』 農文協 (2019/3/1) 175ページ ★
『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』 中公新書2451 (2017/9/25) 270ページ
『[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』 共和国 (2016/7/10) 477ページ ●未読

『カブラの冬 第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆 レクチャー第一次世界大戦を考える』
 人文書院 (2011/1) 154ページ ●未読

■岡崎武志 ・・・ひさしぶりに読んだオカタケさんの近刊
『ドク・ホリディが暗誦するハムレット――オカタケのお気軽ライフ』 春陽堂書店 (2021/11/20) 238ページ ★

■南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ) ・・・岡崎武志さんつながり
『古本マニア採集帖』 皓星社 (2021/12/15) 271ページ ★

■河田桟 ・・・与那国島在住、馬と猫と暮らす人
『ウマと話すための7つのひみつ』 偕成社 (2022/10) 47ページ ★ ※池澤夏樹さんのネット記事で知った

■高野秀行 ・・・私の好きな高野さんの新刊、大ヒットして入手困難だった
『語学の天才まで1億光年』 集英社インターナショナル (2022/9/10・2022/10/26第3刷) 334ページ ★

高野秀行: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21181618/index.html

■向井透史(むかい・とし/古書現生店主) ・・・これもネットと新聞書評で知った

『早稲田古本劇場』 本の雑誌社 (2022/9/5) 377ページ ★

東京新聞書評(評者:内澤旬子) 2022年10月30日 掲載
<書評>『早稲田古本劇場』向井透史(とうし) 著 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
https://www.bookbang.jp/review/article/743416

■内澤旬子 ・・・私が大好きな内澤旬子さんの新刊、大ヒットらしい
『カヨと私』 本の雑誌社 (2022/7/16) 252ページ ★

<書評>『カヨと私』内澤旬子 著 2022年9月25日 (評者:服部文祥
https://www.tokyo-np.co.jp/article/204405

内澤旬子: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21379484/index.html

【関連本】
ヴェルマ・ウォーリス/亀井よし子(訳)
『ふたりの老女』 草思社 (1995/2/20) 190ページ ★ ※内澤旬子さんのツイッターで知った

宮田珠己/網代幸介(画)
『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』 大福書林 (2021/10/10) 367ページ
 ※内澤旬子さんのブログで知った ●未読

■群ようこ/牧野伊三夫(挿画)
『かもめ食堂』 幻冬舎文庫 (2008/8/10) 216ページ

■小松由佳
『人間の土地へ』 集英社インターナショナル (2020/9/30) 251ページ ※再読

小松由佳: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat24342002/index.html

■関野吉晴
『えほんのひろば 草原の少女プージェ』 小峰書店 (2006/12/26) 35ページ ★

関野吉晴: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21692270/index.html

■金井真紀(文・絵) ・・・今年の収穫
『日本に住んでる世界のひと』 大和書房 (2022/11/30) 239ページ ★

『世界はフムフムで満ちている――達人観察図鑑』 ちくま文庫 (2022/6/10) 237ページ

■奥野克巳 ・・・この本もネットで知った
『一億年の森の思考法 人類学を真剣に受け取る』 教育評論社 (2022/5/26) 279ページ ★

■野田サトル ・・・今年、シリーズ完結を機に、一気読み
『ゴールデンカムイ 1』 集英社 (2015/1/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 2』 集英社 (2015/2/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 3』 集英社 (2015/5/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 4』 集英社 (2015/8/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 5』 集英社 (2015/12/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 6』 集英社 (2016/2/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 7』 集英社 (2016/4/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 8』 集英社 (2016/8/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 9』 集英社 (2016/11/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 10』 集英社 (2017/3/22) ※再読
『ゴールデンカムイ 11』 集英社 (2017/8/22) ※再読
『ゴールデンカムイ 12』 集英社 (2017/12/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 13』 集英社 (2018/2/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 14』 集英社 (2018/6/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 15』 集英社 (2018/9/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 16』 集英社 (2018/12/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 17』 集英社 (2019/3/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 18』 集英社 (2019/6/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 19』 集英社 (2019/9/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 20』 集英社 (2019/12/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 21』 集英社 (2020/3/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 22』 集英社 (2020/6/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 23』 集英社 (2020/9/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 24』 集英社 (2020/12/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 25』 集英社 (2021/3/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 26』 集英社 (2021/6/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 27』 集英社 (2021/9/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 28』 集英社 (2021/12/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 29』 集英社 (2022/4/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 30』 集英社 (2022/6/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 31』 集英社 (2022/7/24) ※初読

【関連本】
中川裕
『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』 集英社 (2019/3/20) ※再読 (初読:2019/5/13)

瀬川拓郎(監修)
『カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史』 宝島社新書 (2019/6/24) 223ページ

アイヌ民族・アイヌ語: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat20297702/index.html

山岳関係、旅の本

高橋大輔
『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』 朝日新聞出版 (2020/8/30) 259ページ ★

山と渓谷社(編)
『日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで』 山と渓谷社 (2022/3/1) 446ページ ★

近藤謙司
『ぼくは冒険案内人』 山と渓谷社 (2014/12/5) 237ページ ★

『近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山 Kindle版』 ゴマブックス (2014/4/25) 115ページ
下川裕治
『「おくの細道」をたどる旅 路線バスと徒歩で行く1612キロ』 平凡社新書999 (2022/3/15) 235ページ ★

服部文祥
『You are what you read. あなたは読んだものにほかならない』 本の雑誌社 (2021/2/22) 261ページ ★

服部文祥: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat22703334/index.html

『お金に頼らず生きたい君へ 廃村「自力」生活記』 河出書房新社(14歳の世渡り術シリーズ)
(2022/10/30) 270ページ ※10/21「地球永住計画」トークイベント会場で購入(著者サイン本)


ジョン・クラカワー/梅津正彦(訳)
『空へ 悪夢のエヴェレスト 1996年5月10日』 ヤマケイ文庫 (2013/8/1) 509ページ

トミー・コールドウェル/堀内瑛司(訳)
『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡』 白水社 (2019/8/15) 449ページ ★

石川直樹
『 補新版 いま生きているという冒険』 新曜社 (2019/5/15) 311ページ ★

『ぼくの道具』 平凡社 (2016/1/20) 217ページ ★
アレックス・オノルド/デイビッド・ロバーツ/堀内瑛司(訳)
『ALONE ON THE WALL 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡』 山と渓谷社 (2016/3/5) 342ページ ★

以上、全部ではないが、主な本をあげてみた。
今日12/25現在、今年読んだ本は130冊
コミックで稼いでいるが、これは私の年間新記録。

そして、来年にかけて読破したいのが、北方謙三版「水滸伝」(全19巻)。
20代の頃から、何度も読もうとしたが果たせず。
「水滸伝」にはいろいろな版があるようだが、物語性に富んでいそうな北方版を選んでみた。
中古の文庫本を、とりあえず2冊買ってきて読み始めた。
こういう大河小説を読み通すには、気合と根気が必要。

北方謙三
『水滸伝 一 ―― 曙光の章』 集英社文庫 (2006/10/25) 388ページ ※解説:北上次郎

<北宋末、中国。砂塵をまいて、泥河をこえて、英雄たちが奔る! 原典を読み込み大胆に再構築、中国古典英雄譚に新たな生命を吹き込んだ、21世紀に蘇る決定版「水滸伝」いよいよ登場!> Amazonより

【了】

 

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2013年9月21日 (土)

【読】間宮林蔵の謎を解く(この本が面白い)

図書館から借りてきて、読みはじめたばかりだが。

小谷野 敦 著 『間宮林蔵<隠密説>の虚実』
 教育出版 1998/10/28発行 185ページ 1,500円(税別)

著者の小谷野さんについて、私はまったく知らないが、目のつけどころがいい。

北方謙三の『林蔵の貌』という小説では、寛政元年(1789年)の「クナシリ・メナシ」の叛乱(アイヌの蜂起)について全く触れられていなかった。
それが私には不満だった。

『林蔵の貌』の冒頭は、「越前三国で十四人の配下を持つ漁師の伝兵衛が、ある命により、野比と名乗る武士を蝦夷地に送り届けるため、日暮の海に舟を進めるところからはじめられる。丸二日かけて陸地に辿り着き、アイヌの村に身を寄せていた伝兵衛と野比は、上陸四日後の夕方、焚火の傍で仁王立ちになった赤鬼のような一人の男と出会う。/間宮林蔵である。」(集英社文庫解説/縄田一男)というシーン。

ここで、野比がアイヌの老人に対して「日本人」という言葉を使っていたことに、私は引っかかった。
アイヌに対する「日本人」の呼称は、当時なら「和人」であるべきだと思ったのだ。
まあ、それはいいとして、時代背景として、寛政元年のアイヌ叛乱のことが一言も触れられていないことも、私には不満だった。
もっとも、この叛乱が起きたのは、林蔵がまだ十歳になるかならないかの頃だったが。

小説としては面白く読んだのだが、そんなこともあって、林蔵が生きた時代のことを、もっと広い目で見直してみたいと思った。
そんなときに、この小谷野さんの本を知った。
ひさしぶりに面白そうな本に出会った。

北方謙三『林蔵の貌』の出版は1994年6月だから、北方さんも1998年刊行のこの本を知らなかったはず。
文庫版下巻の参考文献一覧には、洞富雄 『間宮林蔵』(吉川弘文館)という有名な本が載っていたが、小谷野さんによると、洞さんの本には問題もあるようだ。

 

洞 富雄 『間宮林蔵』
 吉川弘文館 人物叢書
 1950年、新装版1986年

 

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2013年9月20日 (金)

【読】ようやく読了、北方謙三「林蔵の貌」

四泊五日の北海道行きに持って行った小説。
ようやく読了した。
上巻を読みおえて、下巻にはいったところで持っていったのだが、案の定、それほど読めなかった。

北方謙三 『林蔵の貌』 (りんぞうのかお)
 上巻 404ページ 562円(税別) 下巻 382ページ 562円(税別)

いやあ、面白かったな。

間宮林蔵は謎の多い人物である。
Wikipediaによれば――
<間宮 林蔵(まみや りんぞう、安永9年(1780年) - 天保15年2月26日(1844年4月13日))は江戸時代後期の隠密、探検家である。近藤重蔵、平山行蔵と共に「文政の三蔵」と呼ばれる。名は倫宗(ともむね)。農民出身であり、幕府隠密をつとめた役人であった。>
とある。

探検家として、樺太が島であることを発見し、間宮海峡にその名を残しているが、「幕府隠密」としての行動については諸説あって、興味をそそられる。

<シーボルト事件を幕府に密告したとされている。天文方・高橋景保は間宮にとって大師匠にあたる高橋至時の息子であり、儒教道徳においては許し難い行動でありさすがは冷酷な隠密であるという非難がなされた。しかしこれは誤りで、当時、外国人との交通は届出しなければならず景保はこれを破ってシーボルトとやりとりしており、シーボルトから景保宛の書簡に間宮宛の包みも入っていたので林蔵は規定通り届け出たところ、景保とシーボルトの関わりが明らかになったという。
水戸藩へも出入りし、川路聖謨らと交友する。徳川斉昭や藤田東湖にも献策。>
 -Wikipediaより―

この小説では、上に掲げた間宮林蔵をめぐるドラマが描かれている。
もちろん、小説家の想像力によるところが大きいが、大事なところは史実をベースにしているようだ。

間宮林蔵について、すこし他の書物も読んでみようかな、と思う。
図書館にあるようだし。

 

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2009年11月18日 (水)

【読】船戸さんの対談集

15年も前の対談集だが、なかなか面白い。
船戸さんは、対談の名手でもあったのだ。

Funado_taidan『諸士乱想 トーク・セッション18』  船戸与一
 徳間文庫 1998/4/15刊
 325ページ 552円(税別)
 (親本 KKベストセラーズ 1994/6刊行)

 

 

 

18人の対談相手は――
張本勲、原田芳雄、長倉洋海、ファイティング原田、森雞二(棋士)、前田哲男、大藪春彦、黒田征太郎、荒勢(元力士)、関野吉晴、北方謙三、内藤陳、中村敦夫、鈴木邦男、辺見庸、大沢在昌、若松幸二(映画監督)、牧野剛

括弧内は私が補った。
錚々たる顔ぶれだ。
黒田征太郎との対談まで読んだところだが、今のところ、この黒田征太郎との対談がいちばん面白い。

ちなみに、本書のタイトル 「諸士乱想」 という言葉は、吉田松陰の 「処士横議」 をもじったものらしい。
といっても、「処士横議」 なんて、はじめて耳にした。

<処士とは、「身分」ではなく「志」によて立った吉田松陰のいう草莽の士、横議とは彼らが藩の境界を踏み破って全国的に展開した横断的議論> (巻末 家上隆幸氏の解説より)
―― ということらしい。

私には難しくてよくわからないけれど、タイトルにこめられた船戸さんの意気込みは、なんとなくわかる気がする。

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