【演】小米時代の音源
縁あって、ある方から小米(こよね)時代の音源をいただいた。
私が枝雀の落語を聴き始めたのは、1980年代にはいってからだった。
米朝の一番弟子だった十代目 桂小米が、二代目 桂枝雀を襲名したのが1973年(昭和48年)。
私は遅れてきたファンだから、後追いで小米時代の雰囲気を想像するしかなかった。
(初期の枝雀落語には、小米時代の雰囲気が残っていたと聞く)
今回いただいたMD二枚には、1968年(昭和43年)から72年(昭和47年)にかけての音源が七話はいっている。
「青菜」「寝床」「饅頭こわい」「夏の医者」「延陽伯」「代書屋」「軒づけ」。
どれも、枝雀が終生演じ続けた演目である。
まず、「青菜」(昭和44年7月27日)を聴く。
枝雀時代になっても早口だったが、それに輪をかけて早口である。
テンポがいい、とも言えるが、収録時間の関係からか急いで語っているようにも思える。
それと、声がかん高く、ときどき裏返るのは、小米時代の特徴。
この特徴は初期枝雀の頃まで続いたが、演じ方の研究を深めて、だんだんと落ち着いてきたのだろう、と私は考えている。
「青菜」は、ばかばかしい噺ではあるが、随所にクスグリがたくさんあるので聴衆のノリ具合がよくわかる。
とにかく、一言一言が、どっと受けるのだ。
ポンポンポン、とはなしを進めて客をひきつける技は、さすが。
人気者だったことがよくわかるし、後の枝雀の芸風につながる「秘密」を垣間見る気がする。
円熟期の枝雀の音源とくらべてみると、なかなかおもしろい。
貴重な音源を送ってくださったUさんへ、この場からあらためてお礼申しあげます。
写真は、1976年(昭和51年)10月1日、大阪サンケイホールで収録された音源。
東芝EMI TY-40064 「青菜、天神山」
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