カテゴリー「【演】演芸日誌」の43件の記事

2015年12月31日 (木)

【演】千両みかん

大晦日。

きのう買ってきたみかんを食べてみると、これがたいへん甘くて美味しい。
今年は果物の当たり年らしい。
(表年と裏年が交互に訪れるという話を聞いた)

みかんは冬場の果物だが、今では年中食べられる。

前にも書いたことだが、みかんを食べていると 「千両みかん」 という上方落語の演目をおもいだす。

元々は笑福亭(笑富久亭)一門のネタだったのか?
私には桂枝雀の演じる 「千両みかん」 が忘れられない。
もちろん、枝雀の師匠だった桂米朝や、江戸東京の噺家も演じている。

― Wikipedia 千両みかん ―
千両蜜柑(せんりょうみかん)は、古典落語の演目。原話は、明和9年(1772年)に出版された笑話本「鹿の子餅」の一遍である『蜜柑』。松富久亭松竹の作とも伝わっている。元々は上方落語の演目の一つで戦後に東京へ移植された。
主な演者として、上方の3代目桂米朝や6代目笑福亭松鶴、東京の5代目古今亭志ん生や林家彦六などがいる。

 

― Amazonより ―
桂枝雀を知らずして、日本のお笑いは語れない!
日本の落語界にあって、独特なみぶり手ぶりによる芸風と、英語落語というまったく新しい分野を切り開いた桂枝雀。
皆が同じ演目を競い合う古典落語の中にあって、独特の枕、ハイトーンの巻き舌による英単語、大げさに体全身を使ったアクションは、斬新でいて、なおかつ基本に忠実です。
現在テレビなどで活躍中の上方のお笑い芸人の全ての基本が、ここに凝縮されています。

千両みかん
平成元年10月13日放送
ABC「枝雀寄席」より

この『千両みかん』という作品は、上方落語の笑福亭の祖といわれている、松富久亭松竹の作品と伝えられています。
患いついた船場の若旦那の純粋な気持を、親旦那から託された第三者がその理由を聞き出してやって、方々をかけずり廻るという、 ストーリー展開は、『崇徳院』などでもお馴染みです。

 

本棚の奥にしまいこんであった 『現代上方落語便利事典』 (相羽秋夫/少年社/1987年)を引っぱりだしてみた。

<あらすじ>ネタバレになるので省略
<季節>夏 <場所と時間>船場の商家・八百屋A・八百屋B・鳥屋・天満の青物市場内のみかん問屋・再び商家 <登場人物>若旦那、医者、番頭、大旦那、八百屋A、八百屋B、鳥屋、みかん問屋の番頭 <はめもの>なし <所載の出版物>省略
<解説>初代笑富久亭松竹作。オチの粋さが絶品である。東京でも同題で演じられる。

――とある。

船場の商家の若旦那のワガママから(憎めないワガママだが)、番頭どんが真夏に蜜柑を探し回る、というのがあらすじだが、オチが泣かせる。たしかに”粋”である。

演題の「千両みかん」は、季節はずれの蜜柑一個に千両の値がついてしまうところから。
この噺が作られた時代、真夏に蜜柑など求める方がまちがっている――というのが、この噺を聴くときの前提。
現代の、一年中どんな果物でも手に入れられる贅沢さを忘れて、野菜や果物本来の”旬”をおもいださないと、面白くないだろう。

商家の番頭どんが、必死になって天満の「青物市場(あおもんいちば)」で蜜柑を探し回るところが、この噺の盛り上げどころか。
そして、ひょんなことから、やっとみつけた蜜柑一個に千両の値がついてしまうところから、オチ(上方ではサゲという)に持っていくところが、演者の腕の見せどころだろう。

聴く機会のない方は、下記サイトをどうぞ。

千両みかん(せんりょうみかん)/落語: 落語あらすじ事典 千字寄席
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2004/11/post_33.html
 トップページ
 落語あらすじ事典 千字寄席 http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/

ネット検索していてみつけたサイトだが、なかなか充実している。
さっそく、ブックマークに追加。


年末に他愛もないことを書いてしまった。

米朝さんも今年亡くなってしまって、さびしい。
今頃、向こうで枝雀さんと酒でも飲んでいるのだろうか。

Shijaku_hagaki

みなさん、よいお歳を。

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2013年1月 8日 (火)

【雑】プラネタリウム

朝からよく晴れているが、遠くの山は霞んで見えない。
気温は11度まであがった(16時現在)。
それでも、おもてに出ると、冷え冷えとしている。
東京の冬らしい天気。

きのう、自転車で高木神社をまわったあと、東大和市立中央図書館に寄ってきた。
市立郷土博物館のプラネタリウムのポスターが貼ってあり、パンフレットが置いてあった。

Planetarium1Planetarium2

この博物館には何度か行ってみたことがあるが、まだプラネタリウムを見学していない。
面白そうな番組なので、明日あたり行ってみようと思う。

郷土博物館 - 東大和市公式ホームページ
http://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/35,0,366,html

プラネタリウム冬番組「アイヌの星空とシンシンの中国星座ガイド」
http://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/34,24904,359,686,html


図書館でCDを二枚借りてきた。

八代亜紀、初の本格ジャズ・アルバム「夜のアルバム」。
私は八代亜紀が好きだ。

八代亜紀 「夜のアルバム」
 ユニバーサル ミュージック
 
 UCCJ-2105
 2012年10月

もう一枚は、米朝一門の落語会のCD。

「米朝一門会 (株)米朝事務所設立20周年記念」
 米朝/南光/さこば/枝雀/他
 東芝EMI PCDZ-1333
 1994年

残念ながら、Amazonに画像がなかった。

【参考】
東芝EMI (落語)
http://www.emimusic.jp/rakugo/

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2012年2月17日 (金)

【演】枝雀さんの貴重な音源が…

EMIからDMが届き、私の好きな故・桂枝雀師の貴重な音源(CD)が発売されることを知った。
うーん、喉から手がでる。
宝くじが当たったら、買おう。

1965~1980 NHKラジオアーカイブスより「桂枝雀 落語選集」
 1965~1980 NHKラジオアーカイブスより、上方落語の爆笑王、桂枝雀のラジオ蔵出し音源を満載した豪華カートンBOX入り10枚組CD!!
 演目解説や月亭可朝×小佐田定雄対談、貴重な資料写真などを掲載した豪華ブックレット付き

内容紹介
~上方落語の爆笑王、桂枝雀のラジオ蔵出し音源を満載した豪華カートンBOX入り CD10枚組~
<収録演目>
※印については、演目自体が初めてのCD化となる貴重な音源です。
01 煮売り屋 1965/6/28 (桂小米時代) ※
02 江戸荒物 1970/9/18(桂小米時代) ※
03 宿替え  1972    (桂小米時代)
04 ふたなり 1972/6/21  (桂小米時代)
05 宿屋仇 1972/11/11  (桂小米時代)
06 いらちの愛宕詣り 1973/6/14 (桂小米時代)
07寝床 1973/11/7
08 饅頭こわい 1974/3/9
09 不動坊 1974/9/12
10 かぜうどん 1974/11/7
11 天神山 1975/1/16
12 七度狐 1975/3/13
13 こぶ弁慶 1975/6/19
14 九日目 1976/11/18 ※
15 住吉駕篭 1978/5/18
16 延陽伯 1979/3/17
17 舟弁慶 1979/5/24
18 矢橋船 1979/7/19 ※
19 八五郎坊主 1979/11/22
20 雨乞い源兵衛 1980/7/24
全20演目収録!

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2011年10月31日 (月)

【楽】【演】講談・浪曲・歌のゆうべ 「琴瑞」 10/28

もう三日たってしまったけれど。
私には最高のイベントだったな。

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2011年10月28日(金)
 江東区深川江戸資料館・小劇場
市川俊夫プロデュース
  第一回 「琴瑞(ことたま)」

 講談 宝井琴調 (二席)
 浪曲 瑞姫
 歌 西川郷子 (上々颱風)

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「琴瑞」(ことたま)とは、変わったタイトルだが、理由があった。
宝井琴調(たからい・きんちょう)さんの「琴」+瑞姫(たまき)さんの「瑞」。
「琴」を「きん」と読ませるとタイヘンなことになるので、やむなく「こと」と振りがなを振った。
――という裏話を、琴調さんと瑞姫さんが共にしゃべって、笑わせてくれた。

会場は、深川江戸資料館の二階にある小劇場。
定員300名(固定席232)という小さなホールは、そこそこの観客で埋まっていた。
客席には、和服姿のご婦人もちらほら。

 深川江戸資料館
  http://www.kcf.or.jp/fukagawa/

 ※以下、当日の進行は下記のブログを参考にさせていただいた。
  (私の記憶のあいまいなところを補うためにも)
  当日の番組(演目)についても、詳しく書かれている。
  (ちょいと辛口の批評だけれど)
  ネット検索で、たまたま見つけたサイトである。

  稲田和浩/演芸作家が行く:琴瑞の会 - livedoor Blog(ブログ)
  http://blog.livedoor.jp/ganbaresinsaku/archives/52012486.html

定刻の午後6時半に幕があいた。
プログラムに載っていない女性の浪曲は、前座の人だった。
一龍斎貞鏡。美形である。

いったん幕がおりて、次は、宝井琴調さんの講談。
浪曲とは舞台セットが大きく変わって、釈台(昔の勉強机のような小さな座り机)を前にして正座し、張り扇と拍子木を使う。
上方落語でも、演者や演目によっては使われる小道具だ。
張り扇で一発、バチンと釈台を叩いて一礼するのが、はじめの挨拶のスタイル。
これが私には新鮮だった。

講談を生で聴くのは初めての体験。
落語のようで落語とはまたちがう、ストーリー性がたまらない。
聴衆をぐいぐい引きこんでいく話術には、ただただ敬服する。
落語のように「枕」があって、これまた笑わせてくれる。

また幕がおり、セットが変わって瑞姫(たまき)さんの浪曲。
華のある女性浪曲師だ。
バックの三味線(この日は二丁)が、これまた、たまらない。
シブい。

この後、中入り(小休憩)。
いよいよ待望の西川郷子さん(伴奏:小沢あきさんのギター)のステージ開幕。

ステージのセットが、いかにもこの日の催しの雰囲気。
金屏風に緋毛氈というもの。
西川さん(以後、郷ちゃんと書く)用のマイクと譜面台がステージ中央に。
その後ろに、小道具(さとちゃんの楽器)を置いた台。
左側に、ギターの小沢さん用の椅子とマイク、譜面台。

郷ちゃんではなく宝井琴調さんが上手から登場。
郷ちゃんと琴調さんの、なれそめを話す。
私は知らなかったが、上々颱風と本牧亭で共演して以来のつきあいだとか。
なるほど。郷ちゃんの歌が講談・浪曲の集いとジョイントしたわけだ。

琴調さんが兄弟子・金柳さん(この日、たまたま見えていたとか、普段着)を呼び、ひとしきり昔話やら宣伝やら。
ここで、琴調さんが郷ちゃんを呼び、上手から郷ちゃん、ひょこひょこと登場。
ステージに合わせてか、シックな衣装と履物。
いつものように少し緊張している様子が感じられたものの、堂々としている。
琴調さん、金柳さん、退場。
郷ちゃんが、ギターの小沢あきさんを呼び、ライブが始まった。

一曲目は新曲。
「夢よひそかに」(仮題)という曲だという。
ときどき譜面台の歌詞カードを見ていたので、まだできて間もないのかも。
すてきな歌だ。

全部で6曲(だったと思う)。
アルバム未収録だが、「つんてれれ」という歌が江戸風味で、面白い。
いかにも郷ちゃんらしい軽妙洒脱な歌で、いつものように「振り」というか「踊り」がまた、いい。

「鉄塔とグラヂオラス」「道の果て月の、転がる」「傾いた人」「朝まだき」 の4曲は、アルバム「郷音(hibiki)」収録曲。
会場には上々颱風ファン、郷ちゃんファンもいたが、おそらく西川郷子を初めて聴く、という人も多かったはず。
私の前の席のご婦人は、「きれいな声ねぇ」とおっしゃっていた。
会場を魅了したことだろう。

ある人が、「お内裏様とお雛様」と評していたが、西川郷子・小沢あきの「チーム」(郷ちゃんの表現)は、すてきな舞台で、すてきな音楽を聴かせてくれた。
音響のいい小屋だったな。

郷ちゃんのステージの後、琴調さんがもう一席。
市川俊夫さん作の新作。
これも面白かった。

また、第二回もやるそうなので(来年か?)、楽しみにしたい。

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2011年2月12日 (土)

【演】松本留五郎

さきごろ手にいれた、CDつきマガジン 「落語 昭和の名人 完結編」 第一巻、桂枝雀のCDを聴いた。

Shouwa_meijin_shijaku1_2隔週刊 落語 昭和の名人 完結編
 2/22号
 第一回配本 二代目 桂枝雀 (壱)

2011年2月8日発売
小学館 490円(創刊記念特別価格)






代書
 27分49秒
 昭和57年8月19日
 関西テレビ「とっておき米朝噺し」にて放送
親子酒 24分11秒
 昭和56年  10月7日
 大阪サンケイホール「枝雀十八番」にて収録


「代書」(「代書屋」とも)は、枝雀の十八番(おはこ)のひとつ。
代書屋(いまで言う司法書士・行政書士)を訪ねるアホな主人公、松本留五郎は、枝雀がつくりあげたキャラクターである。
この噺の原作者は、四代目桂米團治(米朝の師匠)。
米團治自身が代書屋を営んでいたことがあり、その経験にもとづいて生まれた噺、ということはよく知られている。
その後、愛弟子の桂米朝から三代目桂春團治に伝わり、春團治の十八番になっているという。

米朝が米團治の三十三回忌追善で演じた音源(カセットテープ)を聴いたが、代書屋の客のひとりを中国人とし、今なら「差別的」と指摘されそうな、かなりきわどい内容。
(このときの米朝の口演が、四代目米團治のオリジナルに近いようだ)

その点、枝雀の「代書」は安心して聴いていられる。

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― 解説書より (前田憲司) ―
 原作の米團治は代書屋を主人公に、訪れる4人の客とのやりとりを描いた。応対する代書屋の困惑ぶりが笑いに拍車をかけ、噺の奥行きが増した。続く米朝と春團治は、客は履歴書の男ひとりに絞ったが、全体を通しての演出は米團治のものをふまえ、代書屋の描写に力点を置いている。
 ところが枝雀は、主人公を客の松本留五郎にした。もちろん、代書屋の困り顔や、ふと漏らすボヤキにも似たせりふで、展開に緩急をもたせてはいる。だがそれ以上に、陽気で底抜けに明るい客の、天衣無縫の言動を強烈に表現し、〝松本留五郎〟をスターにしてしまったのだ。

「親子酒」の音源は、私がレコードで持っている「枝雀十八番」(昭和56年、大阪・サンケイホールでの六日間連続独演会)で演じられたときのもの。
今回、このCDであらためて聴いてみて、酔客(息子)とうどん屋のやりとりが枝雀一流の演出で、たまらなくおかしい。

Shijaku18ban_3   

― 解説書より (前田憲司) ―
 東西落語会を通じてお馴染みの噺でオチも同じだが、導入部分が東西で異なる。東京では、酒好きの親子が互いに禁酒の約束をする場面から始まり、……(略)。
 上方の演出では、枝雀も演じているように禁酒の約束はなく、冒頭、父親が酔っぱらって帰宅。その後の息子の酔態ぶりが大きな聴かせどころ、見せどころとなる。この件を独立させて『うどん屋』『三人上戸』という演題で演じることもある。


このCDに収録されている演目は、いずれも枝雀絶頂期のもので、天才落語家の笑いの世界に身をゆだねるることができる。


こういう面白い本がある。

Hiraoka平岡正明 『哲学的落語家!』
 2005/9/20発行 筑摩書房
 326ページ 2200円(税別)

平岡さんらしい、爽快な一冊。

― 帯より ―
<江戸っ子平岡正明 上方爆笑王に挑む>
<俺が落語に目覚めたのは数年前だ。/志ん生・文楽から現在の若手までを/ヨーイ、ドンで聞いた。/最も衝撃を受けたのは「彼」。/どえらい上方落語の爆笑王だ。/「彼」の思想性の大きさよ。/俺はナマの高座を聞いていない。/残された音と映像だけから/「彼」の思想の深さを言いたい。/松本留五郎の鼓腹撃壌を、/夢野久作との相似を、/天地の逆転を。/この一冊を泉下の「彼」に捧げる。>


平岡さんも死んでしまった……。


【註】 鼓腹撃壌(こふくげきじょう)
満腹で腹鼓をうち、地面を踏みならすことから、人々が平和で安楽な生活を喜び楽しむさま。太平の世のたとえ。
出 典 『十八史略』
http://www.sanabo.com/words/archives/2002/08/post_2271.html より


(2011/2/15 加筆)

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2011年2月 8日 (火)

【演】「落語 昭和の名人」

日曜の午後、TBSラジオ番組で 「爆笑問題の日曜サンデー」 というのがある。
おもしろいので、家にいるときは、よく聴いている。
http://www.tbs.co.jp/radio/nichiyou/

先週(2/6)、「27人の証言」のコーナー(14時から)で、上方落語の桂枝雀がとりあげられていた。
http://www.tbs.co.jp/radio/nichiyou/syogen/20110206.html

プロデューサー・澤田隆治さんの「証言」コーナーの最後に、小学館から発売される「CDつきマガジン」の予告があった。
全26巻、初回は桂枝雀、2月8日発売というので、発売初日の今日、さっそく買ってきた。
創刊記念特別価格 490円というのもうれしい(二巻目からは税込1190円)。


小学館 CDつきマガジン隔週刊
 落語 昭和の名人 完結編 全26巻

http://www.shogakukan.co.jp/pr/rakugo2011/
 ※試聴コーナーあり

Rakugo_showa_meijin_pamph1

Rakugo_showa_meijin_pamph2

昭和の名人、といっても、存命の噺家(立川談志や柳家小三治など)は、はいっていない。
五巻目も枝雀。たのしみだ。
私は東京(江戸)落語よりも上方落語が好きなので、上方落語の何人かの名前もうれしい。

五代目 桂文枝、二代目 桂春團治、四代目 桂文團治、初代 橘ノ圓都、三代目 林家染丸、四代目 桂文紅、三代目 林家染語楼、三代目 桂文我。

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2010年4月30日 (金)

【演】【読】富くじ

このあいだ読んだ本 『江戸の演芸』 に、富くじのことが詳しく書かれていた。
「富くじ」 とは、現代の 「宝くじ」 にあたる。

Aoki_edo_engei青木宏一郎 『江戸の演芸 ――自然と行楽文化』
  ちくま新書 1998年 206ページ 660円(税別)

園芸とか盆栽に、さほど関心はないのだが、「江戸」とつくとつい読んでみたくなる。
読んでみると、園芸に限らず江戸文化論とでもいうのか、なかなか面白い内容だった。

「富くじ」 の項では、思わず膝を打った。
上方落語 「高津の富」 (こうづのとみ、東京では「宿屋の富」)に登場する富くじは、このようなものだったのか。
写真入りで紹介されている。

<……富くじも、寺社の費用調達の手段であるとともに、人々の関心を集めた。関西ではかなり古くから行われていたが、江戸では十七世紀の後半から町人が胴元になって商売にしたのが初めらしい。……寺社にとっては安易な集金手段であり、一方庶民にとっても一攫千金の夢を見られるとあって、すたれるどころか毎日のようにどこかの寺社の境内で富興業が行われるほどであった。……>
(『江戸の園芸』 P.94)


一攫千金 ―― 数日前に買った宝くじがハズレだった。
こうして一生夢をみながら死んでしまうのだろうか。

当たれ!宝くじ ―― 憂歌団にこんなタイトルの歌があったっけ。


Tomikuji

私の好きな上方落語の桂枝雀が演じる 「高津の富」 のなかで、富札に書かれた番号を、慌ててさかさに読むシーンがある。
「子(ね)の千三百六拾五番」 を、「番の五拾六百……」 と読みかけて、あべこべだと気づく趣向だが、こうして富札の写真をみると少し無理があるなと思う。
まあ、クスグリとして笑えるのではあるが。


【参考】
相羽秋夫 著 『現代上方落語便利帳』 (少年社 1987年) P.160 より

高津の富 こうづのとみ 古典
あらすじ 百万長者とふれこみの男が、宿屋の亭主に高津神社の富くじを買わされ、虎の子の一分までとられてしまう。大ぼらを吹いた手前、そのくじが当ったら半分は亭主にやると約束する。翌日、高津にやってきて、当りくじを照合すると、なんと一等の千両が当っているではないか。男は震える足で宿屋に帰るとそのまま寝てしまう。……
高津神社は、大阪市南区高津町に現存する。東京では「宿屋の富」と名を変える。当りくじを照合するくだりに落語のリアリズムが冴える。

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2009年8月30日 (日)

【演】小米時代の音源

縁あって、ある方から小米(こよね)時代の音源をいただいた。
私が枝雀の落語を聴き始めたのは、1980年代にはいってからだった。

米朝の一番弟子だった十代目 桂小米が、二代目 桂枝雀を襲名したのが1973年(昭和48年)。
私は遅れてきたファンだから、後追いで小米時代の雰囲気を想像するしかなかった。
(初期の枝雀落語には、小米時代の雰囲気が残っていたと聞く)

今回いただいたMD二枚には、1968年(昭和43年)から72年(昭和47年)にかけての音源が七話はいっている。
「青菜」「寝床」「饅頭こわい」「夏の医者」「延陽伯」「代書屋」「軒づけ」。
どれも、枝雀が終生演じ続けた演目である。

まず、「青菜」(昭和44年7月27日)を聴く。
枝雀時代になっても早口だったが、それに輪をかけて早口である。
テンポがいい、とも言えるが、収録時間の関係からか急いで語っているようにも思える。
それと、声がかん高く、ときどき裏返るのは、小米時代の特徴。
この特徴は初期枝雀の頃まで続いたが、演じ方の研究を深めて、だんだんと落ち着いてきたのだろう、と私は考えている。

「青菜」は、ばかばかしい噺ではあるが、随所にクスグリがたくさんあるので聴衆のノリ具合がよくわかる。
とにかく、一言一言が、どっと受けるのだ。
ポンポンポン、とはなしを進めて客をひきつける技は、さすが。
人気者だったことがよくわかるし、後の枝雀の芸風につながる「秘密」を垣間見る気がする。

円熟期の枝雀の音源とくらべてみると、なかなかおもしろい。
貴重な音源を送ってくださったUさんへ、この場からあらためてお礼申しあげます。


写真は、1976年(昭和51年)10月1日、大阪サンケイホールで収録された音源。
東芝EMI TY-40064 「青菜、天神山」

Shijaku5

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2009年8月15日 (土)

【演】喜平橋落語の会(第三回)

盛夏の昼さがり、友人夫妻が訪ねてきてくれた。

お昼をいっしょに食べたあと、恒例の「喜平橋落語の会」を開催。
落語の会、といっても桂枝雀のDVD観賞会なのだが。

Shijaku_dvd_06_2『枝雀落語大全 第六集』
 高津の富/不動坊
 EMIミュージック・ジャパン GSB-1206

高津の富
 昭和63年(1988年)6月13日放送
 TBS 『落語特選会』
 (東京国立劇場)より収録
不動坊
 平成4年(1992年)2月14日放送
 ABC 『枝雀寄席』
 (ABCホール)より収録

「高津(こうづ)の富」は、私の大好きな噺のひとつ。
もともと上方の落語で、東京にはいってきて「宿屋の富」という演題になっている。
高津神社の境内で抽選がおこなわれていた「富くじ」、今でいうところの宝くじの噺だ。

枝雀の得意ネタのひとつで、これまでさまざまな演出のものを見たり聴いたりしてきた。
今回観たものは、演出が若干ちがっていた。
高津神社で富くじのあたり番号をたしかめる場面での、「一文なしのからっけつおやじ」の反応が、私の馴染んできたものとちがうが、これはこれで面白かった。
(どちらかというと、「ねーの、ねーの」と繰り返すバージョンのほうが好きなんだが)

同じDVDに収録されている「枝雀散歩道」で、弟子の桂九雀は、枝雀がこの噺をホールで演じたときの客席の反応を語っている。
枝雀の高座がはじまると客席の反応ががらりと変わり、ぐいぐいと舞台に引きつけられていく様子を、弟子入り前の九雀はホールの後ろの方の席から見ていたという。
枝雀の英語落語のことも話していて、外国人が英語落語に引きこまれていく様子も話している。
枝雀の一面を垣間見る思いがした。

「不動坊」は、どんな噺だったか忘れていたが、途中で思いだした。
ストーリーじたいは他愛のないものだが、枝雀の演出はさすが。
おおいに笑った。

さて、四回目の「落語会」はいつになるだろうか。

 

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2009年5月 5日 (火)

【演】喜平橋落語の会(第二回)

午後、雨の中を友人夫妻が訪ねてきてくれたので、第二回の落語鑑賞会を開催。

「喜平橋落語の会(第二回)」
上方落語 桂枝雀のDVDを一枚、四人で鑑賞。

Shijaku_dvd_06『枝雀落語大全 第二集』
 くしゃみ講釈/鷺とり
 EMIミュージック・ジャパン GSB-1202

くしゃみ講釈
 昭和54年(1979年)11月25日放送
 ABC 『枝雀寄席』
 (ABCホール)より収録

枝雀が若いころから得意としていた噺。
同じDVDに収録されている「枝雀散歩道」(枝雀の思いでを関係者が語るもの)で、弟弟子の桂ざこば(ざこば襲名前は桂朝丸)が、枝雀の「くしゃみ講釈」がお客に大受けした時の体験談を語っている。
枝雀・朝丸の「兄弟会」、後に「二人会」をやっていた頃のこと。
あまりに大受けしたので、その後、朝丸がとてもやりにくかったことを、なかば恨みをこめて、しかし、兄弟子への哀惜が感じられる語り口でしゃべっている。

鷺とり
 昭和58年(1983年)1月30日放送
 ABC 『枝雀寄席』
 (ABCホール)より収録

これも若い頃からの得意ネタ。
私は、この「鷺とり」と「壺算」をレコードで聞いてから、すっかり枝雀落語のとりこになった。


今日も友人夫妻に、枝雀の死亡記事の新聞切り抜き(注)をあらためて読んでもらったのだが、枝雀が亡くなったのが1999年(平成11年)、五十九歳のときだ。
そうすると、このDVDに収録された高座は、枝雀がまだ三十代おわりから四十代はじめの頃のものだ。
絶頂期といっていい。

やはり、枝雀落語は映像でアクションを見ることで魅力が伝わってくる。
まさに枝雀落語の醍醐味を、たっぷり味わった。

手慣れたネタをトントンと語っていく進行はみごとなもの。
ときおり、くすぐりの部分を忘れてしまい、思いだそうとする、それもまた芸にしてしまう余裕が感じられる。

今回、「鷺とり」でも、例の「にわか」のところでそんな場面もあったが、安心して見ていられた。
もうひとつ気づいたのだ、鷺が腰帯にはさまれたまま目をさます場面(鷺が、風邪をひいたんだろうかと自問するところ)、ちょうど客席で誰かが大きなくしゃみをしたのだろう。
すかさず、それもギャグに取り入れてしまう芸の余裕。

やはりすごい人だった。


【注】
1999年(平成11年)4月20日の朝日新聞朝刊に、死亡記事が掲載された。
枝雀師が亡くなったのは、10年前の4月19日のことだった。


Shijaku18ban_2枝雀十八番
 昭和56年(1981年)10月1日~7日
 大阪サンケイホール
 六日間連続独演会のライブ録音
 (東芝EMI TYX-90098~106)
 9枚組LP

宿替え/寝床/蛇含草/代書屋/天神山/くっしゃみ講釈/延陽伯/高津の富/鴻池の犬/壺算/仔猫/夏の医者/鷺とり/口入屋/八五郎坊主/くやみ/愛宕山/親子酒

何度も聞いたレコードだ。
この独演会も、すごい評判を呼んだものだったらしい。


【参考】
最近発売された「枝雀十八番」という名演集のCD/DVDセットは、なぜかこの時の演目と同じものを集めているが、まったく別物である。
 Amazon 枝雀十八番(おはこ) [DVD]
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001P3SASA

また、昭和60年(1985年)9月30日~10月5日にも、同じ大阪サンケイホールで二度目の六日間連続独演会をおこない、ライブ盤レコードとして発売された。

Shijaku_18ban_1985枝雀十八番
 昭和60年(1985年)9月30日~10月5日
 サンケイホール(大阪)
 六日間連続独演会のライブ録音
 (東芝EMI TY-60063~71)
 9枚組LP

子ほめ/饅頭こわい/親子茶屋/煮売屋/船弁慶/雨乞い源兵衛/兵庫船/崇徳院/蔵丁稚/ちしゃ医者/こぶ弁慶/貧乏神/道具屋/質屋蔵/かぜうどん/つる/胴乱の幸助/茶漬えんま

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