【読】2024年6月に読んだ本(読書メーター)
6月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2290
ナイス数:150
三省堂国語辞典から 消えたことば辞典の感想
「新明解国語辞典」(新解)は、よく知っていて、面白いなと思っていたが、その前身に「明解国語辞典」(明国)→「三省堂国語辞典」(三国)という歴史があったとは、知らなかった。「明国」「三国」という略称も、おかしい。いずれも編者の個性(編集方針)が色濃く出ている辞典。そこから消えたことばも、懐かしかったり、時代に密着したものだったり。言葉は時代とともに生きているものだと、あらためて痛感。面白い一冊だった。図書館本。
読了日:06月02日 著者:見坊 行徳,三省堂編修所
もっと悪い妻の感想
一年ほど前に出た桐野さんの新刊。といっても、次の新刊がもうすぐ出るらしい。新古書店で見かけて、よほど買って読もうかと思ったが、ページ数の割には高かったので、図書館に予約。順番がまわってくるまで、ずいぶん時間がかかった。桐野さんらしく、日常生活に潜む不気味さを抉り出す、よく出来た短編集(雑誌連載)だったが、いまひとつ満足できなかったのは残念。やはり長編で力を発揮する作家なのかもしれない。図書館から借りてきて、あっという間に読み終えた。
読了日:06月02日 著者:桐野 夏生
墜落の夏―日航123便事故全記録 (新潮文庫)の感想
日航機123便墜落事故から1年後に書かれた本。ずいぶん前に読んだかもしれないが、憶えていない。あらためて? 読んでみた。まだ事故調査報告書が出されていない時期(報告書「案」は出ていた)。事故原因と言われていた圧力隔壁破損説に基いて書かれているものの、それが尾翼破壊につながったとされることには、疑問を呈している。520人の死者とその遺族の境遇を(毎日新聞記事1985/9/12を引きながら)詳述していたり、生存者・落合さんへの単独インタビュー、関係者からの聞き取りなど、取材の丁寧さが光る。
読了日:06月09日 著者:吉岡 忍
だからあれほど言ったのに (マガジンハウス新書)の感想
タイトルにも魅かれて読んだ図書館本。内田樹が書いた本(文章)が好きだ。実際に会ったことも話を聞いたこともない人だけれど、”武芸者”らしい?率直な文章が好ましい。何よりも様々な気付きを与えてくれる。雑多な文章が集められた中では、子どもたちを「決して傷つけず『無垢な大人』に育て上げる」ことの大切さ、というテーマに共感。また、村上春樹の創作の秘密を解き明かす「村上春樹が描く『この世ならざるもの』」には思わず膝を打った。「日本国憲法は”空語”」「日本(政府)はアメリカの言いなり」などは、いつもの”内田節”。同感。
読了日:06月10日 著者:内田樹
一日一考 日本の政治 (河出新書)の感想
うるう年の2月29日を含む1年366日、1日ごとに「日本の政治」を考えるヒントになる短い文章(著名人や無名人)を挙げ、著者による短いコメントを付したもの。1日分が新書の1ページにまとめられているので、ときどき開いて読み続けた。6月18日(連合赤軍事件の公判、永田洋子の死刑判決の日)の項、桐野夏生『夜の谷を行く』から引用された部分。原武史さんと桐野夏生さんの対談を思い出した。天皇・皇室関係が多いのも、原武史さんらしい。引用された文章には、知らなかった人物も多く、刺激を受けた。
読了日:06月13日 著者:原武史
書くことの不純 (単行本)の感想
今年1月に出た角幡さんの新刊。元新聞記者の角幡さんの文章は、論理的でしっかりしているのだが、私にはなかなか難しい内容だった。加藤典洋、三島由紀夫、開高健らの作品・文章を引きながら、行為と表現にまつわる彼自身の悩みを縷々、書き綴っている。三島由紀夫『金閣寺』を読み込んでいることに、驚いた。読書家なんだな。角幡さんの登山観・冒険観が出ている部分は興味ぶかく、なかでも「羽生と栗城」の章が面白かった。夢枕獏『神々の山嶺』は私の愛読書なので。
読了日:06月17日 著者:角幡 唯介
ノイエ・ハイマートの感想
池澤さんのファンなので、この新刊を知って図書館から借りてきた。「短編と詩、引用などからなる雑多な構成」は意図的なもの。いかにも池澤さんらしい試みだ。”難民”をテーマに、フィクションでありながらリアリティーがあり、胸に迫る。なかでも、満州からの引揚者(これも難民)を描いた『艱難辛苦の十三個月』と、レバノンからの難民(密航者)を描いた『サン・パピエ』の2編がよかった。池澤さんのいい読者ではないが、過去の作品をあらためて読んでみようと思う。メルマガをまとめた『新世紀へようこそ』(正・続2冊)も読むつもり。
読了日:06月19日 著者:池澤 夏樹
オパールの炎 (単行本)の感想
桐野夏生さんの新作。「中ピ連」(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)の活動で、いっとき有名になった榎美沙子がモデル――ということを知らずに読み始めた。最後に明かされる”執筆者”(40歳のノンフィクションライター)が、主人公・塙玲衣子の関係者を取材して得られた証言を積み重ねて行く構成。桐野さんらしい凝った仕掛けだ。巻末の謝辞にある木内夏生氏は、どうやら榎美沙子の夫だった人物(ネット検索でどういう人物なのかわかる)。実名小説にしなかったのは、本人を含め関係者が存命だからか。面白い小説だった。
読了日:06月27日 著者:桐野 夏生
九十歳。何がめでたいの感想
上映中で評判になっている映画を、昨日観た。映画が面白かったので、原作を読んでみようと図書館から借りてきた。地元の図書館には6冊収蔵されているのだが、かろうじて1冊、貸し出されていないものがあった。佐藤愛子さんが書いた本は、たぶん初読。軽妙なエッセイ集。今日借りてきて、あっという間に読み終えた。8年前に週刊誌に連載されたものだが、90歳とは思えない元気な様子(今年、100歳を超えている!)。さわやかな読後感。この人の小説も読んでみようかなと思う。
読了日:06月30日 著者:佐藤愛子
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