カテゴリー「船戸与一」の82件の記事

2023年12月28日 (木)

【読】探し続けていた本

探し続けていた本を手に入れた。

船戸与一さんが、若い頃、早稲田大学探検部の一員としてアラスカ・エスキモーを調査したときのレポート。

『アラスカ・エスキモー』
早稲田大学ベーリング・アラスカ遠征隊
(佐藤政信・原田健司・小島臣平)
朝日新聞社 昭和43年(1968年)2月29日
定価 340円

※原田健司=船戸与一さんの本名

船戸さんは昭和19年(1944年)生まれだから、この本の刊行時は23歳か24歳だったはず。

「日本の古本屋」というサイトに、探している本として出しておいたところ、ようやくみつかった。
あきらめずに探すものだ。
うれしい。

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Wikipediaより
早稲田大学在学中は探検部(第三期生)に所属した。先輩には西木正明、後輩には高野秀行がいる。アラスカのエスキモーを訪問し、本名で共著『アラスカ・エスキモー』を刊行した。

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2023年1月 6日 (金)

【読】北方謙三と船戸与一

北方謙三『水滸伝』全19巻(集英社文庫)を、いま、夢中になって読んでいる。
5巻目を読み終えたところ。

壮大な物語だが、あくまでも北方謙三の「水滸伝」だ。
中国民間説話としての「水滸伝」を、思いきって再構築し、筋の通った活劇にしている。

ところで、私がずっと愛読してきた船戸与一さんと、この北方謙三氏の関係が気になって、ネット検索してみた。

ともに「日本冒険作家クラブ」(今はもうない)に所属、個人的にも親交があったはず。

日本冒険作家クラブ(Wikipediaより)
1981年の冒険小説ファンの団体日本冒険小説協会の発足を受けて、1983年5月、「作家の団体を」という森詠の提唱により、13人の発起人(田中光二、伴野朗、谷恒生、北方謙三、西木正明、船戸与一、南里征典、川又千秋、大沢在昌、内藤陳、関口苑生、森詠、井家上隆幸)を中心に創設。事務局長は井家上隆幸、会計役は大沢在昌だった。
その後はあまり顕著な活動がなかったが、1987年に再度、新生「日本冒険作家クラブ」として賛助会員を徳間書店として、書き下ろしアンソロジー『敵!』を発行。会報「冒険主義」を刊行開始。
1994年、大藪春彦に「功労賞」を授賞。
また、2001年から、会員が選考して編集者に授賞する「日本赤ペン大賞」を主催していた。
その後も、親睦団体として活動を継続したが、2010年に「役目を終えた」として解散された。

ネット検索で、船戸さんが亡くなった(2015/4/22)のすぐ後、北方氏のインタビュー記事にぶつかった。

「北方謙三」があなたの人生の疑問を一刀両断 | デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2015/08050815/

2015年8月5日のこの記事で、船戸さんの死を、こう語っている。(以下、記事から)

<この間、船戸与一って作家が亡くなりましたけど、生前、「がんで死ぬかボケて死ぬかどっちがいいか考えるんだけれど、どっちでもいいよな、死ぬんだから」と言っていた。彼は6年ぐらい闘病してましたよ。で、我々のところに手紙くれて、「あと1年で死ぬ」って。びっくりするじゃないですか。で、死ぬのかなあと思っていると、死なない。1年経っても死なない。2年経っても死なない。3年経っても死なない。4年経っても死なない。5年経っても死なない。「あの野郎、嘘言いやがったのか」と思いながら見舞いに行くと、やはり彼は闘病はしているわけですよ。体がぎゅっと縮んできてね。それで彼はその間に何やってたか、本当に書きたい小説を完成させたんです。『満州国演義』っていうんですけどね、これは本当に素晴らしい小説ですよ。それをね、きちんと完成させるまでは生命力を失わなかった。命の力を失わなかった。それが終わったら、ふうーっと少しずつ少しずつ力が抜けるように、なんかこう炎が消えていくように、すーっとそのまま亡くなってしまった。だけども、それを書いている間は生命力を失わなかった。人間はね、何かやろうとすることを持つ、やるべきことを持てばいいんです。
 何でもいいんです。持てばいいんです。もし、持つことができないっていうならば、その船戸与一の『満州国演義』を読んで。これはね、「がんで余命1年を宣告された人が書いた小説なんだ、だけどそんなはずないだろう」っていうような小説ですから、読めばいい。それでもダメだったら、私の『水滸伝』を読めばいい。>

船戸ファンの私には、嬉しい記事だったので書いてみた。

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2020年5月10日 (日)

【読】Book Cover Challenge 1冊目

Facebookで、こんなことをやっている。
いずれ、タイムラインの過去投稿に流れ去ってしまうので、このブロにも残しておきたい。

【7日間、ブックカバーチャレンジ】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ。
●参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する。
●本についての説明はナシで可、表紙画像だけアップ。
●その都度一人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。招待されてもスルーしてOK。

5月6日に投稿した1冊目は、船戸与一さんの『蝦夷地別件』(文庫3冊)。

本の説明は、Facebookのコメントとして書いた。

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敬愛する船戸与一さんの長編小説。1995年新潮社刊(単行本上下2巻)。
単行本で2度、文庫で2度読んだだろうか(憶えていないが)。
江戸時代、蝦夷地でのアイヌ蜂起(クナシリ・メナシの戦い)を広大なスケールで描く。私をアイヌの歴史・文化に目覚めさせた愛読書。

【参考】
1789年クナシリ・メナシの戦い|根室市
https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/.../tatakai/4719.html

2013年10月10日 (木) ~10月16日 (水)、演劇集団「ピープルシアター」によって舞台化されました。
私は舞台を観られなかったのですが、DVDで観ました。
profile of peopletheater
http://peopletheater.jp/profile.html
<…直木賞作家、故 船戸与一氏から全作品の上演許可を認められ、山本周五郎賞受賞作「砂のクロニクル」をはじめ、「蝦夷地別件」「新宿・夏の渦」と上演してきましたが、今後は氏の遺作である「満州国演義」を3年間に渡り3部作として上演…>

 

 

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2017年12月30日 (土)

【雑】2017年の思い出 (3)

2017年の振り返り。その後半、8月から12月まで。

7月は身辺慌ただしく、遊びに行くことがなかった。

8/5(土)
広徳寺「エスグラビティ」で、西川郷子さんのバンド「星ノ飛ブ夜」のライブ。
今年は、このバンドのライブに何度も足を運んだ。

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8/24(木)
「狛江中央公民館」へ、映画を見にいった。
M.A.P.の高山正樹さん主催の映画祭。
ずっと見たいと思っていた洋画「フリークス」と、もう一本は「第九条」という現代映画。

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8/27(日)
やはり、高山正樹さん主催の映画祭。会場は喜多見のM.A.P.。

M.A.P.のブログ M.A.P.after5
http://mapafter5.blog.fc2.com/

この日は、「赤軍PFLP―世界戦争宣言」(若松孝二・足立正生監督)、「日本心中」、「天皇と軍隊」の三本を見たあと、足立正生氏と鈴木邦男氏ほかのトークショーもあって、充実していた。
写真はない。

8/28(月)
八王子の「むしくい堂」という古書店で、岡崎武志さんと山本善行さんのトークショー。
写真がない。
できて間もない古書店。なかなか洒落た店構え。

古書むしくい堂│東京・八王子の古本屋
http://www.mushikuido.com/

9/9(土)
千歳烏山の「TUBO」で、「星ノ飛ブ夜」のライブ。

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9/17(日)
三鷹駅前の「武蔵野芸術劇場」で、「アフガニスタン山の学校支援の会」の総会と、写真家・長倉洋海さんのスライドトーク。

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10/8(日)
横須賀まで電車ででかけた。
「ルビア・エデン」という店で、「星ノ飛ブ夜」のライブ。
横須賀には、はじめて行った。ここは、西川郷子さんの郷里。
横須賀海軍カレーを食す。

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10/22(日)
両国の「シアターX(カイ)」で、芝居を観る。
ピープルシアターの「燃えあがる荒野」。これは、船戸与一原作「満州国演義」(全8巻)の演劇化。
今年話題を集めたいしだ壱成が敷島三郎役で出演していた。

ピープルシアター
http://peopletheater.jp/

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11/3(金)~11/5(日)
北海道へ。
友人夫妻の「MOTE(須藤もん&対馬照)」と井上としなりさんのライブツアーに同行して、札幌、芦別、小樽とまわった。
来年も行けるといいな。

札幌 「才谷屋」

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芦別 「珈琲 貘」

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小樽 「なまらや」

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11/24(金)
江戸東京たてもの園のライトアップを見に行った。

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11/26(日)
恒例の深大寺新そばまつりへ、友人夫妻と。

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12/2(土)
喜多見(狛江市)の「M.A.P.」へ。
「うちなー噺と琉球舞踊とぶくぶく茶」というイベントに参加。
藤木勇人さん(しぃさー)のうちなー噺が新鮮だった。
沖縄のぶくぶく茶も、はじめていただいた。

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うちな~噺家 志ぃさー 藤木勇人
http://shiser.jp/

12/18(土)
今年最後のライブ観戦。
洗足の「プリモ芸術工房」で、「星ノ飛ブ夜」と「山猫合奏団」のジョイントライブ。

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12/22(金)
姪の結婚式で大阪に行った。
せっかくなので、万博記念公園にある「国立民族学博物館(みんぱく)」を見学。
二時間ほど館内を歩きまわったけれど、展示物が膨大なため、駆け足になった。

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12/23(土)
大阪滞在。
ホテルの近くの「大阪歴史博物館」を見学。
ここも立派な博物館で、見ごたえがあった。
あまり時間がとれず、一時間ほどで駆け足の見学だった。
みんぱくとともに、また訪れたい場所だ。

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今年もたくさん遊んだ。
来年も元気で、あちこち出かけたいな。

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2017年5月15日 (月)

【遊】長倉洋海さんの写真展へ

楽しみにしていた山崎ハコさんのバースデイライブ。

5/13(土)と5/14(日)の二日連続、渋谷のホールが会場だった。
二日とも、会場に足を運んだ。

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ハコさんも、5/18に還暦をむかえる。
18歳のデビュー直後から注目し、追いかけてきた私も、同じように年齢を重ねた。
あれから40年を超える年月が流れたのだな。

Yamasaki_hako

山崎ハコの世界 (ハコさん公認のファンサイト)
http://www.hako.esy.es/

せっかく渋谷まで出るのなら、と、恵比寿の東京都写真美術館で5/14まで開催されていた、長倉洋海さんの写真展にも行ってみた。

会期中に、一度は行ってみたかったのだ。
これも、5/13と5/14の二日連続で足を運んだ。

「フォトジャーナリスト 長倉洋海の眼
  地を這い、未来へ駆ける――」

 2017年3月25日(土)―5月14日(日)
 東京都写真美術館 地下1階展示室

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ちょうど、土曜日曜は午後1時から、長倉さんのギャラリートークも開かれていて、二日間、まぢかで長倉さんのお話を聴くことができた。
なんという幸運!

いい週末だった。

写真展は、もちろん撮影禁止だが、ギャラリートークに限って写真撮影が許されていたので、喜んで長倉さんの写真を撮らせてもらった。
一日目はスマホで、二日目はデジカメを持っていった。

東京都写真美術館
https://topmuseum.jp/

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長倉さんのお話は、たいへん胸に沁みた。

5/13は、長倉さんが1983年から18年間にわたって取材を続けていた、アフガニスタンのアハマッド・シャー・マスード司令官の話。

そのなかで、船戸与一さんの小説 『血と夢』(1982年刊)の文庫版解説(2001年・徳間文庫)を、船戸さんからの依頼で書いたことを話されていた。

家に帰って本棚をみると、この文庫本があった。
私も船戸さんが好きで、たぶん、解説が長倉さんというので買ったものだろう。
すっかり忘れていた。

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5/14は、写真展の最終日だったせいか、ギャラリートークにも、たくさんのお客さんが集まった。

まぢかでお話を聴いて、ますます長倉さんの人がらに魅かれた。

撮影 2017/5/14(日) 東京都写真美術館

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長倉洋海ホームページ
http://www.h-nagakura.net/

写真展の図録 (もちろん会場で購入した)

新刊の豪華写真集 (欲しいけれど高価!)

長倉洋海さんのプロフィール ~ホームページより~

1952年、北海道釧路市生まれ。京都での大学生時代は探検部に所属し、手製筏による日本海漂流やアフガン遊牧民接触などの探検行をする。1980年、勤めていた通信社を辞め、フリーの写真家となる。以降、世界の紛争地を精力的に取材する。中でも,アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエルサルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。戦争の表層よりも、そこに生きる人間そのものを捉えようとするカメラアイは写真集「マスード 愛しの大地アフガン」「獅子よ瞑れ」や「サルバドル 救世主の国」「ヘスースとフランシスコ エルサルバドル内戦を生き抜いて」などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞した。

2004年、テレビ放映された「課外授業・ようこそ先輩『世界に広がれ、笑顔の力』」がカナダ・バンフのテレビ祭で青少年・ファミリー部門の最優秀賞「ロッキー賞」を受賞。2006年には、フランス・ペルピニャンの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ、写真展「マスード敗れざる魂」を開催、大きな反響を呼んだ。

【関連サイト】 (FUJIFIlMのサイト内)
長倉 洋海 | Fotonoma The Photographer
http://fotonoma.jp/photographer/2005_06nagakura/index.html

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2016年2月17日 (水)

【読】難しい問題――『帝国の慰安婦』を読みおえて

図書館から借りてきて、苦労しながら読み終えた本。
どう書こうか、迷う内容だったが、読書記録として書いておこう。

例によって、どこで知り、なぜ読もうと思ったのか、不明。
新聞の書評で知ったのかもしれない。
気になる本だったのだろうが、まるで憶えていないことが、われながら怖い。

図書館にリクエストしたところ、購入してくれたのか貸出中だったのかも忘れたが、しばらく待たされ、ある日、到着メールが届いた。
私の後にも予約がはいっているので、早々に返却しよう。

朴裕河(パク・ユハ) 『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』
 朝日新聞出版 2014/11/30発行 324ページ 2,100円

― Amazonより ―
<性奴隷か売春婦か、強制連行か自発的か、異なるイメージで真っ向から対立する慰安婦問題は、解決の糸口が見えないままだ。/大日本帝国植民地の女性として帝国軍人を慰安し続けた高齢の元朝鮮人慰安婦たちのために、日韓はいまどうすべきか。/元慰安婦たちの証言を丹念に拾い、慰安婦問題で対立する両者の主張の矛盾を突くいっぽう、「帝国」下の女性という普遍的な論点を指摘する。/2013年夏に出版された韓国版はメディアや関連団体への厳しい提言が話題になった。/本書は著者(『和解のために』で大佛次郎論壇賞受賞)が日本語で書き下ろした渾身の日本版。>

― e-honサイトより ―
[目次]
第1部 慰安婦とは誰か―国家の身体管理、民間人の加担
 強制連行か、国民動員か
 「慰安所」にて―風化する記憶
 敗戦直後―朝鮮人慰安婦の帰還
第2部 「植民地」と朝鮮人慰安婦
 韓国の慰安婦理解
 記憶の闘い―韓国篇
  韓国支援団体の運動を考える
 韓国憲法裁判所の判決を読む
 “世界の考え”を考える
第3部 記憶の闘い―冷戦崩壊と慰安婦問題
 否定者を支える植民地認識
 九〇年代日本の謝罪と補償を考える
 ふたたび、日本政府に期待する
 支援者たちの可能性に向けて
第4部 帝国と冷戦を超えて
 慰安婦と国家
 新しいアジアのために―敗戦七〇年・解放七〇年

デリケートで複雑な問題だから、迂闊に、ああだこうだと書くことができない。
私には、確固とした意見もないし。

ただ、私が持っているイメージというか認識の根底に、船戸与一の長編小説 『満州国演義』 に描かれている旧満州国の情景がある。

人によってこれほど「記憶」が対立する問題――旧日本軍による“強制性”の有無が争点になっているのだろうが――については、自分の目でよくよく調べてみないといけない、と思う。

その一方で、あんがい、文学作品に描かれていることが、(フィクションとはいえ)事実に近いようにも思う。
船戸さんの小説を持ちだしたのも、そんなきもちからだ。


今回読んだこの本、著者(朴さん)の主張にはうなずける点もあったが、引用している参考文献などの信憑性が、私には判断できなかった。
とにかく引用が多く、読みにくかった。

巻末の「あとがき」がわかりやすく、著者の言いたいことがまとめられている。
変則的な読み方かもしれないが、「あとがき」を最初に読むといいのかもしれない。

巻末の参考文献一覧に、読んでみたいものがたくさんあり、役にたった。
図書館で探してみようと思う。

柄谷行人 『世界史の構造』 岩波書店 2010年
千田夏光 『“声なき女” 八万人の告発 従軍慰安婦』 双葉社 1973年
谷川美津枝 『青年将校と慰安婦』 みやま書房 1986年
長沢健一 『漢口慰安所』 図書出版社 1983年
古山高麗雄 『二十三の戦争短編小説』 文藝春秋 2001年
村松武司 『遥かなる故郷――ライと朝鮮の文学』 皓星社 1979年
森崎和江 『からゆきさん』 朝日新聞社 1976年
山崎朋子 『サンダカン八番娼館』 筑摩書房 1972年
吉行淳之介 編 『幻の女たち』 立風書房 1972年
『コレクション戦争と文学 7 日中戦争』 (田村泰次郎「蝗」) 集英社 2011年

最後の全集は全巻手元にあるのだが、まだ読めずにいる。

コレクション/戦争×文学||文学全集|BOOKNAVI|集英社
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/zen_list.cgi?siries_isbn=X78-4-08-157001-0&siries_kanren_isbn=&mode=2

ちなみに、「従軍慰安婦」ということばが使われ始めたのは、千田夏光の著作からだという。

https://kotobank.jp/word/%E5%BE%93%E8%BB%8D%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6-686270#E4.B8.96.E7.95.8C.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E7.AC.AC.EF.BC.92.E7.89.88
世界大百科事典
<じゅうぐんいあんふ【従軍慰安婦】
 十五年戦争期に,戦地・占領地で日本軍の監督下に置かれ,軍人・軍属の性交の相手をさせられた女性。当時は〈軍慰安所従業婦〉などと呼ばれたが,戦後,千田夏光《従軍慰安婦》などにより,この用語が普及した。その本質は軍性奴隷である。総数は8万とも20万ともいわれる。日本軍が慰安婦制度を監督・統制していたのは周知の事実だったが,重大な人権侵害・性犯罪だとする認識が広まるのは,1991年に韓国人被害者が名乗り出てからである。>


ネット検索すると、うんざりするほど「従軍慰安婦」がいた/いなかったという、不毛な議論が繰り広げられているが、そういった議論には興味がない。

旧日本軍が関与して、意図的に、軍(兵士たち)のまわりに「慰安施設」を置いたことは確か。
さらに、軍と連携して、女衒業者が女性たちを集めていたことも、まちがいないはず。
「特務」のような、軍の影の機関も関わっていたと思われる。
(このあたり、船戸さんの小説などにリアルに描かれている)

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2015年9月30日 (水)

【読】やっぱり買ってしまうんだなあ

船戸与一さんの遺作、長編歴史小説。
『満州国演義』が文庫化されて、三冊目がでた。

新潮文庫、全九巻。
単行本と同じ冊数で、順次発売される。

四巻目から六巻目まで、2016年1月から3月、七巻目から九巻目まで、2016年6月から8月発売予定。

単行本を持っているのに、また文庫で揃えようとしている私。
これがファンの性(さが)なのか。

文庫だと、各巻末の解説が楽しみではある。
一巻目 『風の払暁』 解説:馳 星周
二巻目 『事変の夜』 解説:志水辰夫
三巻目 『群狼の舞』 解説:北方謙三

   

船戸与一|新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/writer/2721/

(1944-2015)山口県生れ。早稲田大学法学部卒業。1979(昭和54)年『非合法員』で小説家としてデビュー。1985年『山猫の夏』で吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。1989(平成元)年『伝説なき地』で日本推理作家協会賞を受賞。1992年『砂のクロニクル』で山本周五郎賞を受賞。2000年『虹の谷の五月』で直木賞を受賞。2014年、ミステリー文学発展への貢献により、日本ミステリー文学大賞を受賞した。主な作品に『夜のオデッセイア』『猛き箱舟』『炎 流れる彼方』『蝦夷地別件』『龍神町龍神十三番地』『緋色の時代』『夢は荒れ地を』『河畔に標なく』『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』「満州国演義」シリーズ全9巻などがある。

もしもこの先、長期入院でもすることがあれば、この文庫を病院に持ち込むかもしれない。
そんなことを夢想するなら、他にも持っていきたい本がある。

夢枕獏さんの『神々の山嶺』だ。
映画化されて、来年三月に公開されるという。
この映画は観てみたい。

 

映画『エヴェレスト 神々の山嶺』公式サイト 岡田准一主演。世界的大ベストセラー映画化!
http://everest-movie.jp/

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2015年7月25日 (土)

【読】船戸与一インタビュー

今日も朝から暑い。
ベランダ側の窓を開け放って扇風機をまわしているが、汗がじとーっと吹きだす。

図書館から借りてきた半藤一利さんの文庫を読了。
この時期、新刊書店でも図書館でも、あの戦争関連の本が並ぶ。
そのなかの一冊。

半藤一利 『十二月八日と八月十五日』
 文春文庫 2015/6/10発行 219ページ

文庫書下ろしだが、半藤氏の多くの著作からの寄せ集め。
あの戦争の開戦の日(昭和16年12月8日)と、終戦の詔勅の日(昭和20年8月15日)。
当時の人たち(主に作家や政治家といった知識人)の日記などを紹介している。
よくまとめられている。

12月8日、真珠湾とフィリピン米軍航空基地(クラークフィールド)への奇襲に始まる太平洋戦争開戦の日の世相。
真珠湾奇襲成功の報に日本人の多くが狂喜したことが、よくわかる。
日米開戦を誰もが熱狂的に支持したのである。
良いも悪いもない。
そういう時代だったのだということを、忘れないようにしたい。


この四月に惜しくも亡くなった船戸与一さんの、インタビューが載っている雑誌を買って読んだ。

『ジャーロ No.53』 光文社
 2015/3/25発行

ジャーロ|雑誌|光文社
http://www.kobunsha.com/shelf/magazine/past?magazinenumberid=2976

祝・日本ミステリー文学大賞受賞!
船戸与一 社会を、時代を突き通す刃の輝き
●書下ろし特別短編「稲妻の秋」
●ロング・インタビュー
「もう善悪論で言ってもしょうがない時代に来てる」
インタビュアー/井家上隆幸    
●船戸与一 作品リスト

船戸さんが、『満州国演義』と並行して、もうひとつの作品を準備していたことを知る。
未完と思われるその作品が気になる。
『侠骨の譜 千乗坊国次遺文』というものらしい。

 

船戸さんの書いたもののなかには今では手に入らないものも多い。
船戸与一全集を、どこかで出版してくれないなあ?

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2015年5月 4日 (月)

【読】全巻通読、「満州国演義」

今年の二月中頃から、三か月近くかけて全九巻を読み終えた。
われながら、よくやったと思う、なんちゃって。

この卷の最期、物語全体のエピローグにあたる数ページは、胸にずしんと響く、せつないエピソードだった。

船戸さんが遺してくれた、貴重な最後の作品。

船戸与一 『満州国演義』 新潮社

『満州国演義 1 風の払暁』 2007/04/20発行 383ページ
  昭和3年~ 事変まで
『満州国演義 2 事変の夜』 2007/04/20発行 415ページ
  昭和5年~満州事変、上海事変
『満州国演義 3 群狼の舞』 2007/12/20発行 420ページ
  昭和7年~ 満州国建国
『満州国演義 4 炎の回廊』 2008/06/20発行 462ページ
  昭和9年~ 二・二六事件
『満州国演義 5 灰塵の暦』 2009/01/30発行 470ページ
  昭和11年~ 南京大虐殺
『満州国演義 6 大地の牙』 2011/04/28発行 428ページ
  昭和13年~ 大戦前夜
『満州国演義 7 雷の波濤』 2012/06/22発行 478ページ
  昭和15年~ 太平洋戦争開戦
『満州国演義 8 南冥の雫』 2013/12/20発行 430ページ
  昭和17年~
『満州国演義 9 残夢の骸』 2015/2/20発行 472ページ (本文457ページ)
  昭和19年~昭和21年

               

こうして並べてみると、壮観だ。

全巻読破し終えたいま、ぼーっとしている。

【出版社のサイトから】
船戸与一『残夢の骸―満州国演義9―』|書評/対談|新潮社

[船戸与一『満州国演義』全九巻完結記念特集]
〈正史〉と〈叛史〉をつむぐ、すさまじい力業
  井家上隆幸(いけがみ・たかゆき) 書評家
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/462310.html より

下に一部を転載したが、この井家上さんの書評には「ネタバレ」あり。
上のリンクから全文をご覧になる方は、注意。

<原稿枚数は四百字原稿用紙で七千枚超か。昭和三年六月四日の高級参謀河本大作らによる満州軍閥の支配者・張作霖爆殺(満州某重大事件)に始まり、昭和二十一年五月の広島で閉じる〈大叙事詩〉『満州国演義』全九巻が完結した。>

<膨大な資料を渉猟していくなかで、船戸与一が指弾する、辻政信や瀬島龍三ら陸大出参謀の官僚的優秀さと視線の狭隘さ、失敗してもおよそ責任といった言葉とは無縁の厚顔さは、あの十八年の(全部とはいわない)一年でも体験していれば腑に落ちるというか。
 あるいは船戸与一の〈昭和史観〉を〈自虐史観〉と謗る向きもあるだろう。だがこれは、「認定された客観的事実と小説家の想像力。このふたつはたがいに補足しあいながら緊張感を持って対峙すべき」(あとがき)〈昭和史〉であり、〈自虐史観〉なんぞとは無縁である。>

【参考サイト】 船戸与一インタビュー
船戸与一さん「満州国演義」完結 : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20150303-OYT8T50180.html

<週刊誌での連載開始から10年、原稿用紙にして約7500枚。
 「満州国」の成立から敗戦による消滅までの激動の時代を描ききった船戸与一さん(71)の「満州国演義」が、2月刊の第9巻『残夢の骸むくろ』(新潮社)で完結した。日本ミステリー文学大賞にも決まった作家に心境を聞いた。……>

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2015年5月 3日 (日)

【雑】夏じたく

今日も、最高気温26度の夏日。

まだ仕舞っていなかったホットカーペットを干して、片づけた。
灯油ストーブは、先月中頃に仕舞った。

整理箪笥の引き出しに残っていた冬物を、半袖のシャツに入れ替えた。

大型連休だが、定年退職後の私には関係なくなった。
在職中は連休を利用して、春山やキャンプに行ったものだが、それも遠い思い出。

外出もせずに、家で本を読んで過ごす。

船戸与一 『満州国演義』(全九巻)の最終巻を、半分近くまで読みすすんでいる。

昭和20年(1945年)にはいり、徹底抗戦(一億総特攻!)の声もむなしく、敗戦濃厚。
ソ連の侵攻に備えるべき、という意見が黙殺され、ソ連による講和斡旋工作にジタバタする。

戦艦大和が沖縄に向かう途中で撃沈され、硫黄島や沖縄守備隊も全滅。
米軍による苛烈な本土空襲が続き、松代大本営構想も頓挫。
そんな時代がありありと描かれる。

一巻目のプロローグで描かれていた、慶応四年八月の、会津若松での悲惨なエピソードの謎が解き明かされた。

さて、この先、どんな幕切れをむかえるのだろうか。

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