【演】花筏(桂枝雀)
今日は、桂枝雀の音源をいくつか聴いてすごしている。
こんな変ったカセットテープがあった。
枝雀の演ずる 「花筏」(はないかだ)を聴く。

四代目 桂 米団治 三十三回忌追善
●四代目 桂米団治 親子茶屋
●桂 米次郎 かきわり盗人
●桂 枝雀 花筏
●桂 米之助 仔猫
●桂 米朝 代書
昭和58(1983)年4月24日収録
京都府立文化芸術会館
(米団治の演目のみ昭和26年収録)
桂米団治(四代目)は、桂米朝の師匠。
米次郎、米之助も、米団治の弟子。
枝雀の演じる 「花筏」 は、何度聴いてもみごとな出来だと思う。
脂がのっていた時期なのだろう。
枝雀なりに工夫した噺の展開が新鮮だし、随所にちりばめられた「くすぐり」にも、うまいなあと唸らせられる。
この噺には、「人の情」というものがこめられていて、おかしな噺なのに、ほろりとさせられる。
そこが好きだ。
花筏 (相羽秋夫 『現代上方落語便利事典』より)
大関花筏が病気になった。 しかし播州での十日間興行が決まっている。 考えあぐねた親方は、提灯屋の徳さんを花筏に仕立て上げて連れていくことにした。いっても土俵へ上がれぬ病気だと称して、ぶらぶらしておればいいといわれ、多額の報酬に負けて徳さんは行きうけた。 ところが、酒は飲むは飯は食べるはで、土地の人が病気でないと見破ってしまった。 そこで地元の素人相撲千鳥ヶ浜と千秋楽に一番とることになってしまった。……
提灯屋の徳さんが、調子にのって 「宿屋のおなごし」 のところへ夜這いに行ったのが知れて、そんな元気があるならと、相撲をとらされるはめになるところが、おかしくてたまらない。
最後の、千鳥ヶ浜とニセ花筏(徳さん)が土俵のうえで仕切りをするところの両者の心理描写が、圧巻。
詳しくは書かないけれど。
サゲ(オチ)も、すっきりしていていい。
ところで――
このテープにはいっている、米朝演じる 「代書」 は、四代目米団治が作った噺。
「代書屋」 とも呼ばれる。
(昭和13年頃、米之助時代に、自ら代書屋をしていた経験をもとに作ったもの)
この時の口演は、米団治の演じ方を再現したものだと、米朝はいう。
桂枝雀の爆笑版とはずいぶんちがう味わいだが、なるほど、元の噺はこうだったのだなと思う。
主人公の名前も、松本留五郎ではなく、タナカヒコジロウ。
<差別的表現があるとの配慮から、今日では途中で切られる>(相羽秋夫 『現代上方落語便利事典』) という噺だが、この米朝の口演では最後のサゲまで演じられている。
貴重な録音かもしれない。
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