カテゴリー「鶴見和子」の9件の記事

2015年8月 6日 (木)

【読】赤坂憲雄×鶴見和子

こんな魅力的な本が出た。
図書館にリクエストしておいたら、購入してくれた。

さきほど図書館から借りてきたところ。

鶴見和子さんが、生前、赤坂憲雄さんとこういう仕事(対談)をしていたのだ。
今から9年前のことだったらしい。
知らなかった。

赤坂憲雄・鶴見和子
 『地域からつくる――内発的発展論と東北学』

 藤原書店 2015/7/31発行 243ページ 2,500円(税別)

― e-honサイト掲載情報に加筆 ―
[要旨]
生涯をかけて「内発的発展論」を追究した社会学者・鶴見和子(1918‐2006)が、鶴見に背中を押され「東北学」へ踏み出した赤坂憲雄との対話のなかで、死の3か月前に語り遺したこととは何か。東日本大震災を経て、地域社会の解体と、自然と人間との関係の苛烈な再編成に直面しているわれわれが、いま一度、地域に立脚した未来像を描く方途を探る。
[目次]
序論 三・一一以後の鶴見和子論のために (赤坂憲雄)
<幕間>凛として群れぬ生き姿――鶴見和子さんを悼む (赤坂憲雄)
第1部 対談 内発的発展論と東北学 (赤坂憲雄・鶴見和子)
 なぜ、東北へ赴いたのか
 「漂泊と定住」の枠組の解体 (講演 鶴見和子)
 「東北」はひとつではない
 地域から国境を越える
<幕間>柳田民俗学のかくし味 (鶴見和子)
      東北芸術工科大学東北文化研究センター (赤坂憲雄)
第2部 柳田国男から東北学へ
 柳田・民俗学・東北 (赤坂憲雄・鶴見和子)
  <講演>柳田国男と東北 (赤坂憲雄)
  <講演>『遠野物語』を原点として東北モデルを考えよう (鶴見和子)
  <対談>東北、その内発的発展への道 (赤坂憲雄・鶴見和子)
 柳田国男から内発的発展論へ―『鶴見和子曼荼羅4 土の巻』解説 (赤坂憲雄)
 <対談>地域志向の比較学 (赤坂憲雄・鶴見和子)
[著者紹介]
赤坂 憲雄 (アカサカ ノリオ)  
1953年生。学習院大学文学部教授。福島県立博物館館長。遠野文化研究センター所長。1999年、責任編集による『東北学』を創刊。
鶴見 和子 (ツルミ カズコ)  
1918年東京に生まれる。39年津田英学塾卒業、41年ヴァッサー大学哲学修士号取得。65年ブリティッシュ・コロンビア大学助教授、66年プリンストン大学社会学博士号(Ph.D.)取得、69年上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所所員(~89年。82~84年同所長)を経て、上智大学名誉教授。専攻、比較社会学。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。幼少より佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う(20歳で花柳徳和子を名取り)。

私が敬愛する二人の対話。
興味ぶかい本だ。
手もとに置いておきたい良書なので、じぶんでも購入しようと思う。

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2014年5月24日 (土)

【遊】国分寺「ライトハウス」と町田「高原書店」

午後、所用で相模原まで車ででかけた。

行きがけに、国分寺のうどんカフェ 「ライトハウス」 に寄って昼食。
ひさしぶりに店主の仁田さんにお会いした。

今日は暑かったので、冷たいうどんをいただいた。
妻は棒棒鶏うどん、私は冷やしかき揚げうどん。
揚げたてのかき揚げが、おいしかった。

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コインパーキングに車を置いたまま、すぐ近くにある 「おたカフェ」と「武蔵国分寺資料館」に寄ってみた。
長年このあたりに来ていながら、ここに寄るのは初めて。

資料館(有料・100円)には、時間の関係で入らなかったが、「おたカフェ」は緑の木立に囲まれ、落ちついた雰囲気。
また、こんどゆっくり来てみようと思う。
妻は「おたカフェ」でコースターを購入。

おたカフェ - 史跡の駅 -
 http://www.ota-cafe.com/

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相模原から町田へ。
二週間前に初めて行って気に入った古書店 「高原書店」 を再訪。

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店の場所を覚えたので、今回はすんなり到着。
一階の均一コーナーを見てから、二階、三階、四階と、ひと通り回ってみる。

この店は、基本が定価の半額。
欲しい本がたくさんあるのだが、やや値が張るため、何も買わず、もう一度一階の均一コーナーへ。

店に入ったときに見て気になっていた雑誌を買うことにした。
藤原書店発行の 「環」 28号(2007年冬号)、300円。
鶴見和子の追悼特集だ。
(鶴見和子は2006年7月31日、88歳で死去)

この雑誌が置かれていた300円均一コーナーを何気なく見ていたら、すぐそばに「太陽」の南方熊楠特集号(1990年11月号)を発見。
古本屋では、こういう嬉しい発見があるものだ。

二冊の雑誌を持って一階のレジへ。
代金648円(税込)を支払い、預けていた鞄を受け取って店を後にした。
今日の収穫だった。

 

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2009年1月13日 (火)

【読】南方熊楠という巨人

水木しげるのコミック 『猫楠 南方熊楠の生涯』 (角川文庫)がとても面白かった。

Mizuki_nekogusu『猫楠 neko-gusu 南方熊楠の生涯』
 水木しげる 角川文庫 1996年
 667円(税別)

コミックだから誇張も多いが、南方熊楠という類いまれな巨人の魅力がよく伝わってくる。
熊楠にまつわるさまざまなエピソードが上手にとりあげられている。
熊楠ファンだけでなく、水木しげるファンにもおすすめしたいと思うほど。

「猫楠」というタイトルは、熊楠が猫好きだったことから、猫を狂言回しの役割で登場させて、物語をすすめているところから付けられたのだろう。


ひさしぶりに、南方熊楠の波乱に満ちた生涯を追いかけてみて、熊楠にまつわる本や、熊楠自身の著作(難しいが面白い)も読んでみたくなった。

私が南方熊楠にであったきっかけは、古本市でみつけた一冊の文庫本だった。
それまで、南方熊楠の名前とウワサは聞いていたので、読んでみようかなと思って買ってみたのだった。

Hirano_kumagusu_gaiden平野威馬雄(ひらの・いまお)
 『くまぐす外伝』
 ちくま文庫 1991年 835円(税別) 472ページ

有名な熊楠の「履歴書」が巻末に掲載されている。
<「あなたの研究所設立のために、喜んで寄付をしたいが、あなたの事は、ただ、えらい学者だという事しかわかっていないので、このさい、ごくかんたんでいいから、あなたの略歴を、しらせてください」と、望んだ日本郵船重役矢吹氏は、この未曽有に長大な「リレキ書」を受け取ってどんなにおどろいたことであろう。>
(平野威馬雄 同書 P.369)
文庫サイズでも86ページにわたる、長大な履歴書だ。

今気づいたのだが、この文庫本の解説は水木しげるが書いている。
(解説 「霊的存在」 を見た熊楠 水木しげる)


神坂次郎が書いた伝記も面白かった。

Kousaka_kumagusu神坂次郎(こうさか・じろう)
 『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』
 新潮文庫 1991年 667円(税別) 502ページ

「縛られた巨人」 というネーミングが、在野の、ほとんど無名な(国内では)民間学者として生涯をおくった熊楠をうまく表現している。
この文庫本の巻末対談は、北杜夫と神坂次郎による。
北杜夫も熊楠のことはよく知っていたのだ。




学術的な専門書だが、鶴見和子さんの書いた本がとてもよかった。

Tsurumi_kumagusu鶴見和子 『南方熊楠』  ―地球志向の比較学―
 講談社学術文庫 1981年 1100円(税別) 318ページ

私は、この本で鶴見和子さんという、信頼できる学者さんに出会った。
鶴見さんは、鶴見俊輔さんの姉上。

柳田國男を長く研究していた著者は、熊楠に出会ったことで大きなショックを受けたそうだ。
熊楠とがっぷり四つに取り組んでいる好著といえる。
内容は難しかったが、鶴見和子さんが生涯かけて取り組んだテーマに引き寄せて、熊楠の業績をたんねんにたどっている。

<南方熊楠について、わたしは晩学である。……この本を書かせていただいたことは、わたしにとって、眼から鱗の落ちるような経験であった。>
(本書 初版はしがき 鶴見和子)


南方熊楠は、膨大な、珠玉のような著作の魅力とともに、おそろしく人間的な魅力を持つ巨人である。


Kumagusu_jyuunishikouKumagusu_zuihitsu南方熊楠 『十二支考』
 岩波文庫(上・下) 1994年
 800円・760円(税別)

益川勝実編 『南方熊楠随筆集』
 ちくま学芸文庫 1994年
 1300円(税別)

どちらもまだ読んでいないが、そろそろ「原典」にあたろうかな、と思う。
古典にしろなんにしろ、原点に直接触れることの大切さを、近ごろ痛感している。

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2008年4月26日 (土)

【読】古本の収穫

絶版になっていてネットの古書販売でもいい値段がついている本を、大型古書店で発見。
ちょっとした収穫。
しかも、安い。
こういうことは嬉しい。

Fujimoto_kindaichi藤本英夫 著 『金田一京助』
 新潮選書 1991.8.20

だいぶん前だが、図書館から借りて読んだことがある。
コンビにでところどころコピーまでした本。

金田一京助をとりまく、柳田國男、石川啄木、金成マツ(知里幸恵の叔母にあたる)や知里幸恵・真志保 姉弟らとの人間くさい関係がていねいに描かれている。

知里姉弟については、『銀のしずく降る降る』、『知里真志保の生涯』の二冊が、同じ新潮選書から出版された。
後に、前者は『銀のしずく降る降るまわりに』と改題され、後者は同じ題名で草風館から出版。
さらに、知里幸恵については、『知里幸恵 十七歳のウエペケレ』(草風館)という力作もある。
私が敬愛する著述家だ。

もう一冊、同じ古書店で少し前に入手した本。
こちらも絶版になって久しい。
古書店の新書コーナーの棚でみつけたときは、まさかこんな店にあるとは思いもしなかったので、びっくりした。

Tsurumi_koukishin鶴見和子 著 『好奇心と日本人』
 講談社現代新書 1972.3.28

発売当時の価格 370円 というのが、時代の古さを物語る。

鶴見和子さんも、私が敬愛する学者さんだ。
1918年生まれだから、まだ五十代前半の頃の著作だ。
鶴見さんは、2006年夏、亡くなった。

藤本さんも、ネットで調べたところでは、すでに故人となられている。
(2005年暮れ、死去)

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2006年8月 1日 (火)

【読】鶴見和子さん

鶴見和子さんが亡くなったそうだ。
http://www.sanspo.com/sokuho/0801sokuho054.html
http://www.daily.co.jp/newsflash/2006/08/01/219628.shtml
何故かスポーツ新聞の記事がはやい。

ぼくがひそかに尊敬していた学者さんだった。
南方熊楠への目をひらかせてくれた方だ。

「晴れときどき曇りのち温泉」 この一冊
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/books.html

Tsurumi_minagataTsurumi_kazuko(左) 『南方熊楠 地球志向の比較学』
 日本民族文化体系 4 講談社 1978年
(右) 『鶴見和子の世界』
 藤原書店 1999年


『南方熊楠』 は、文庫化(講談社学術文庫)される前のオリジナル版。
日曜日に古本市で手に入れたばかりだ。
二日後に訃報に接したということに、なにやら因縁を感じる。

このブログでも、鶴見和子さんについてとりあげたことがある。
【読】鶴見和子の柳田論(2006/2/22)
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_7ea2.html
【読】鶴見和子と柳田国男(2006/2/23)
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_af32.html
【読】勇気をくれた言葉(2006/2/24)
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_9e09.html

淋しい・・・。

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2006年6月11日 (日)

【読】新聞書評欄

新聞を読まなくなって久しい。
ひとつには、時間がないということもあるが、新聞に目をとおすのも「習慣」だと思う。
この習慣が、いつ頃からかなくなったのである。
生きていくうえで、とくに不便も感じないので、新聞を読まなくてもいいのだ、と、開き直っている。

ところで、今日、久しぶりに朝日新聞の書評欄を見ていたら、「老いの底力」と題して、吉本さんの『老いの超え方』が紹介されていた。
その記事に、鶴見和子さんの対談の本も紹介されていて、興味をひかれた。

Beijukaidan_1金子兜太・鶴見和子 著
『米寿快談』 藤原書店 2006/5/30出版
藤原書店
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/index_2.html

鶴見さんは、1918年(大正7)6月10日のお生まれだから、今年、米寿をむかえられた。
藤原書店のこの本の紹介記事には、つぎのように書かれている。
<反骨をつらぬいてきた俳句の巨星、金子兜太と、脳出血で斃れてのち短歌で思想を切り拓いてきた国際的社会学者、鶴見和子。米寿を目前に初めて出会った二人が旧知のごとく語らい、定型詩の世界に自由闊達に遊ぶなかで、いつしか生きることの色艶がにじみだす円熟の対話。>

ぼくは、鶴見さんの書かれた 『南方熊楠』(講談社学術文庫) で、いっきにファンになった。
→「晴れときどき曇りのち温泉」 この一冊
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/books.html

鶴見和子さんは、鶴見祐輔を父に、鶴見俊輔を弟にもち、さらに、母親は後藤新平の娘という、いわばサラブレッドの家系。 そんなことはご本人のお仕事に関係ないのだが、立派な仕事をされた方である。
柳田國男の研究から南方熊楠へ関心を向け、熊楠の仕事を丹念に分析、再評価された。
そんなところが、ぼくが鶴見和子さんにひかれる一因なのかもしれない。

この、鶴見さんと金子兜太さんという俳人(ぼくの知らなかった方だが)の対談、いつか読んでみたいと思う。

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2006年2月24日 (金)

【読】勇気をくれた言葉

鶴見和子さんについて、もうすこし書く。
『コレクション 鶴見和子曼荼羅』シリーズ(藤原書店・1998年)のカバー見返しに、こんな言葉があった。

― 若き命に 鶴見和子 ―

 ひとりの人間の生命はちりひじのように、かすかでみじかい。ひとりの人間の生涯に、その志は実現し難い。自分より若い生命に、そしてこれから生まれてくる生命に、志を託すよりほかない。
 コレクション<鶴見和子曼荼羅>に、私の生きこし相(すがた)と志とを描いたつもりである。その萃点は、内発的発展論である。それは、人間がその生まれた地域に根ざして、国の中でそして国を越えて、他の人々と、そして人間がその一部である自然と、共にささえあって生きられるような社会を創っていくことを志す。その志を、これまで思い及ばなかったような独創的な形相(かたち)と方法(てだて)で展開してほしいと希求する。

 身のうちに死者と生者が共に棲みささやき交す魂ひそめきく

 生命細くほそくなりゆく境涯にいよよ燃え立つ炎ひとすじ


これを読んで、身がひきしまる思いがした。ちょっと大げさだけど。
これまでなんとなく悲観的な思いを抱いて生きてきたが、そうじゃないよ、と言われたような気がする。
「こころざし」・・・ながいこと忘れていたこのことばに、勇気づけられた。

《参考》
 「萃点」「内発的発展論」・・・鶴見さんの思想の核となるキーワード。
 「萃点」は、南方曼荼羅に出てくる考え方で、ひとことでは説明できない。
 (鶴見和子著『南方熊楠』講談社学術文庫などを参照願いたい)
 「内発的発展論」は、「土着的発展」つまり、西洋的な近代化をモデルとすることなく、自己の社会の中から自立的に近代化のモデルを作りだすことを指す。やはり、ひとことでは説明が難しいが、鶴見さんの考え方の核をなす。
 「ちりひじ」・・・広辞苑にしか載っていないような言葉だが、「塵泥」と書く。

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2006年2月23日 (木)

【読】鶴見和子と柳田国男

鶴見和子さんの 『漂泊と定住と』(筑摩書房・1977年)から、学ぶことが多い。
ぼくは、どうやら読まず嫌いで柳田国男のイメージをもっていたようだと、反省。

この鶴見さんの本は、すでに付箋だらけだ。
図書館に返すまえに、ノートにとらなくちゃ。
興味ぶかい記述、感心したこと、知らなかったこと、そういったことがいっぱい詰まった、宝の山のような一冊(ぼくにとっては)。

とりあえず、この本に触発されて読んでみようと思った本を二冊あげておこう。

kyoudougensou吉本隆明 『改訂新版 共同幻想論』 (角川文庫・1982年)

ずいぶん前に一度読んだが、再読してみようと思う。
難解といわれているが、ぼくには面白かった。
『遠野物語』と『古事記』の二冊だけを原典として、「個人幻想・対幻想・共同幻想」というユニークな思想を展開している。

鶴見和子によれば、「日本の知識人の柳田学への評価」には「四つの型」があるという。
(表現は、ぼく流にかえてある)
1)柳田には体系だった理論がないからダメだが、柳田の研究成果は利用価値がある、という評価・・・石田英一郎、家永三郎など。
2)柳田の理論にはふれず、その研究成果を利用して創造的な業績をあげた人々・・・神島二郎、吉本隆明など。
3)柳田の理論のある面は積極的に評価しながらも、決定的な面で欠陥があるとして批判する立場・・・安永寿延(柳田には天皇制批判がないという)、益田勝実(柳田の世相解説が政治的現実にあいわたらないという)など。
4)柳田民俗学に価値を認め、その理論の積極的意義を高く評価する態度・・・橋川文三、花田清輝など。

鶴見さんは、「きら星の如く並ぶ柳田学研究者ならびに批評家を網羅したわけではないが」とことわりながら、「第四の論者たちに最大の敬意を表する」という。

ところで、もう一冊、読んでみようとおもったのがこれ。

yanagita_sesou柳田國男 『明治大正史 世相篇 新装版』 (講談社学術文庫・1993年)

鶴見さんは、この本を高く評価し、柳田国男の思想を論じている。
(「常民と世相史 ―社会変動論としての『明治大正史世相篇』―)
その一節。

<柳田には理論がないといわれるが、決してそうではない。帰納的に引き出してきた、比較的、抽象段階の高い操作仮説を、柳田はいく組も持っていたと思う。>
<古いものが遅れたもので、新しいものが進歩したものでもない。新しいものと古いものとの上下の価値観をとっぱらったことが、柳田国男の一つの功績だと思う。>

鶴見さんの『漂泊と定住と』には、他にも書ききれないほどたくさんの興味深い記述がある。
何度も読みかえしては、気になるところに付箋を貼り続けている・・・。
図書館への返却期限は、一週間先。

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2006年2月22日 (水)

【読】鶴見和子の柳田論

鶴見和子という人がいる。

社会学者。元・上智大学教授。1918年生まれ。
父は政治家・小説家の鶴見祐輔(第一次鳩山内閣の厚生大臣をつとめた)、弟は社会学者の鶴見俊輔。
戦前、津田英学塾(現・津田塾大)を卒業後、アメリカへ留学。日米開戦後の昭和17年に帰国。
戦後、雑誌「思想の科学」創刊にかかわり、論客として活躍。
プリンストン大学院で博士号を得たあと、コロンビア大学の助教授となる。
・・・といった略歴を読むと、なんだかとっつきにくい学者さんのようだが、ぼくはこの人に厚い信頼をおいている。

柳田国男を研究しつくし、南方熊楠についても深い論考を重ねている。
ぼくの本編サイト「晴れときどき曇りのち温泉」にも紹介した。
→資料蔵 人名編 「南方熊楠」の項
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/kura.html#minakata
→この一冊 『南方熊楠』 (講談社学術文庫)
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/books.html

この鶴見和子さんの柳田国男論が気になっていたが、ようやく図書館から借りてきた。
書き下ろしではなく、あちこちに発表した論文をあつめたものだ。

tsurumi『漂泊と定住と 柳田国男の社会変動論』
 筑摩書房 1977年
(目次から)
われらのうちなる原始人
 ― 柳田国男を軸にして近代化論を考え直す ―
国際比較における個別性と普遍性
 ― 柳田国男とマリオン・リーヴィ ―
常民と世相史
 ― 社会変動論としての『明治大正史世相篇』 ―
社会変動のパラダイム
 ― 柳田国男の仕事を軸として ―
おくれてきたものの科学技術革命への寄与
 ― 日本と中国の場合 ―
柳田国男研究の国際化
差別と非暴力抵抗の原型
 ― 『遠野物語』、『毛坊主考』、『先祖の話』など ―
漂泊と定住と
 ― 柳田国男のみた自然と社会とのむすび目 ―

ちなみに、マリオン・リーヴィという人は、鶴見さんが学んだプリンストン大学大学院の教授で社会学者。柳田国男を博士論文のテーマにするようにすすめてくれた人だという。
<わたしの学問上の師は、ふたりである。柳田国男先生とマリオン・リーヴィ教授である。ただし、柳田先生については、わたしは自称の(そして不肖の)弟子である。>
(『漂泊と定住と』あとがき)

この本、読みはじめると止まらなくなった。
いい本にめぐり会ったと思う。
なお、鶴見和子さんの選集的なものとして、『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(藤原書店、全9巻・別巻1)という好著がある。
ぼくは、土の巻(柳田国男論)と水の巻(南方熊楠のコスモロジー)の二冊を手に入れた。
ちょっと値がはるが、それだけの価値のある本だと思う。

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