カテゴリー「こんな本を手に入れた」の132件の記事

2009年12月 9日 (水)

【読】ヘスースとフランシスコ

図書館に予約していた本が届いたので、借りてきた。

好ましい感じの本だ。
本文の漢字にはルビがふってあり、この本が青少年を対象に書かれたことがわかる。
子どもたちに、こういう本を読ませたいと私も思う。

そういえば、写真家の星野道夫さん(故人)も、子ども向けの写真と文章の本を何冊も残している。
二人とも、人間が好きで、子どもが大好きなんだ、きっと。


Jesusu_francisco_1Jesusu_francisco_2『ヘスースとフランシスコ』
  ― エル・サルバドル内戦を生きぬいて ―
 長倉洋海  福音館書店
 2002/9/25初版発行 230ページ
 1600円(税別)

<中米の、そのまた真ん中の小国、エル・サルバドル。1982年、内戦の続いていたこの国に、ひとりの若い写真家が、自身の転機を求めて飛びこみます。難民キャンプで目を留め、フィルムに収めた三歳の少女の姿――結局彼はその後二十年にわたって、少女の成長と人々の暮らし、それを取り巻く社会の変貌を、幾度にもわたる訪問で追い続けることになりました。……ページをめくるごとに、"想い"にあふれた写真と文章とが熱く響きあいながら語りかけてきます。>  (本書カバー裏 より)

(左の画像) カバー写真 段ボールの仕切壁からのぞくヘスース、84年
(右の画像) カバー写真 結婚式の日


― 本書 「プロローグ――トウモロコシ畑で」 より ―

<ヘスースが、赤ん坊のジャクリーンを抱き上げ、空に高く差し上げた。ヘスースは十七歳、若い、若いお母さんだ。山間の小さな畑に風がわたり、ふたりの頬をなでていく。青空に掲げられたジャクリーンは、顔をクシャクシャにして笑っている。見つめるヘスースの顔も喜びであふれている。>

<一歳から十七歳までの十六年間を難民キャンプですごしたヘスースが、いまトウモロコシの畑で汗を流している。「緑の中で働くのが好きなの」と、うれしそうに話す。>

<キャンプを出て、農園で新しい生活を始めたヘスース。彼女のかたわらにはジャクリーンと夫のフランシスコがいる。農作業を終え、ジャクリーンを肩車したフランシスコと、鎌と弁当箱の入った籠を下げたヘスースが、山の路をたどる。トウモロコシ畑にはさまれた小路を上り下りしていく幸せそうな後ろ姿に、ぼくはシャッターを切った。>

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2009年12月 6日 (日)

【読】関野吉晴さんの対談集

地域の図書館には置いていないようなので、ネット注文で購入した。
対談相手の面々が魅力的。

対談集の類いが好きで、こういう本は長く手もとに置いておきたいと思う。


Sekino_taidan_2『関野吉晴対談集』
  ― グレートジャーニー 1993~2007 ―
 東海大学出版局 2007/6/21刊
 270ページ 2400円(税別)

船戸与一さんとの対談は、『諸士乱想』に収録されていて、すでに読んだ。
池澤夏樹、萱野茂、赤坂憲雄、椎名誠、といった、私の好きな人たちの名前が並んでいる。
たのしみな本だ。

読みおえた 『幸福論』 (長倉洋海さんとの対談)は図書館に返却したのだが、入れ替えに新本を買ってしまった。
それほど魅力的な本だ。
図書館の本には帯がなかったが、「作家・船戸与一氏激賞!」というキャッチがうれしい。

もう一冊、長倉洋海さんの本を図書館から借りてきた。
『フォト・ジャーナリストの眼』 (長倉洋海/岩波新書/1992年刊)

Sekino_nagakura_kofukuron2_2Nagakura_photo_journalist

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2009年12月 2日 (水)

【読】しあわせって、なんだっけ なんだっけ

かつて、こんなCMソングがあったな。
明石家さんま。
キッコーマン ポン酢しょうゆのあのCMは、好きだった。

まだ10ページほど残っているけど、二日間で読むことができた。
世界の「辺境地帯」(いい言葉ではない)を股にかけて活躍している行動的な二人の対談には、納得できることが多かった。
いつかまた読みかえしてみたい。そんなきもちになる本だった。

Sekino_nagakura_kofukuron『幸福論』 長倉洋海・関野吉晴
 東海大学出版会 2003年刊
 227ページ 2300円(税別)

関野 人間にとって幸福とはなにか。とっても大きなテーマなんだけれど、ぼくはスピードについてよく考えるんです。アマゾンにしてもヒマラヤにしても、あるいはエチオピアにしても、ぼくが出会った先住民たち、動くスピードってほとんど時速五キロくらい。……それにしてもぼくらの世界は時速八〇キロくらいで動いているでしょう。……

長倉 飛行機でいろんな国に行って、ときどきふっと思うのは、人間がこんな楽していいんだろうかってことなんです。だから、なんだか考えが古いのかもしれないけど、人間にとっては歩く速度が自然で、新幹線とか飛行機とか、ああいう速いものに乗ると不自然な疲れを感じます。……

♪ かぎりないもの それが欲望 ♪ (井上陽水)

♪ つみあげすぎた世の中は 生きてることがみえないよ ♪
  (山崎ハコ/工藤順子)


関野吉晴さんの 「グレートジャーニー」 シリーズは、児童書もふくめ多数出版されているけれど、手頃なところから新書を二冊手にいれた。

Sekino_great_journey_1_2Sekino_great_journey_2関野吉晴
 『グレートジャーニー ――地球を這う』

 ①南米~アラスカ篇
   ちくま新書(カラー新書) 390
   2003/3/10 第一刷発行
   188ページ 950円(税別)
 ②ユーラシア~アフリカ篇
   ちくま新書(カラー新書) 568
   2005/11/10 第一刷発行
   206ページ 950円(税別)

関野さんは、こどもを写真に撮るのが好きだと言っている。
カバーのこどもの顔、なんともいえない、いい写真だ。


【参考まで】
グレートジャーニー  ― Wikipedia ―
『グレートジャーニー』は、フジテレビジョン系で不定期に放送されるドキュメンタリー番組。人類の足跡を南アメリカ・チリナバリーノ島からタンザニアまで(北ルート)逆ルートから遡って行く旅の過程を、探検家・関野吉晴が歩く。最近は「地球デイプロジェクト」(2008年3月21日放送分)の一環として、ヒマラヤから日本までの南ルートを、日本人が日本に到達するまでを歩いた。

【さらに補足】
人類は、四百万年前、東アフリカに誕生したと言われ、百数十万年前、アフリカを飛び出してアジアに広がり、やがて極北の地を経て、ついには南米大陸の最南端、パタゴニアに達した。
この人類拡散の長大な旅を、イギリス生まれの考古学者 ブライアン・M・フェイガンは「グレートジャーニー」と呼んだ。 (関野吉晴 『グレートジャーニー ①』 ちくま新書 より要約)

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2009年12月 1日 (火)

【読】関野吉晴さんの写真集

『幸福論』(関野吉晴・長倉洋海/東海大学出版局 2003年版) といっしょに図書館から借りてきた、大判の写真集。

Sekino_amazon『アマゾン源流 インカの旅 未知の流れ』
 関野吉晴
 日本テレビ放送網株式会社
 1985/3/30刊 32cm 159ページ
 3900円
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000J6WFYE

関野吉晴さんは医師であり、写真家としての腕もそうとうなものだ。
今日から読みはじめた長倉洋海さんとの対談 『幸福論』 にも、ところどころ、関野さんと長倉さんのカラー写真が載っている。
どれも、大自然のなかで生きる人々のすばらしい表情をとらえた写真で、眺めているとほっとするものばかりだ。

この写真集も、大判ならではの迫力がある。

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2009年11月22日 (日)

【読】関野吉晴さん

Sekino_nagakura_kofukuronこんな本を手に入れた、のではなく、図書館から借りてきた。
タイトルがいいな。

『幸福論』 長倉洋海・関野吉晴
 東海大学出版会 2003/11/1発行
 227ページ 2300円(税別)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/448603130X
<地べたを這いながら辺境への往還を続ける探険家・関野吉晴と写真家・長倉洋海が、深い旅の実感から「人の幸福」の答えを語り合う。哲学なき時代に紡ぎ出した根元的な「幸福論」。 >

すこし前に読んだ船戸与一さんの対談集 『諸士乱想』(徳間文庫)で、私は関野吉晴さんを知った。
あ、そうだ。この『諸士乱想』には写真家の長倉洋海(ながくら・ひろみ)さんも対談相手として登場、船戸さんと興味ぶかい対談をしていた。

― 本書 著者紹介 より ―

関野吉晴  探検家・医師
 1949年、東京都墨田区生まれ。一橋大学法学部、横浜市立大学医学部卒業。一橋大学在学中に探検部を創設し、アマゾン全流を下る。医師として勤務する傍ら、中南米への旅を重ね、1993年には人類がアフリカから南米大陸に拡散した未道のりを逆ルートで辿る「グレート・ジャーニー」をスタート。2002年にタンザニアのラエトリにゴール。1999年、植村直己冒険賞受賞。近著に『グレートジャーニー「原住民」の知恵』(光文社文庫)、『グレートジャーニー 地球を這う』(ちくま新書)、『インカの末裔と暮らす アンデス・ケロ村物語』(文英堂)、『グレートジャーニー人類5万キロの旅(13) チベットの聖なる山へ』(小峰書店)など。

長倉洋海  写真家
 1952年、北海道釧路市生まれ。同志社大学法学部卒業。通信社カメラマンを経てフリーランスに。アフリカ、中東、東南アジア、中南米など世界各地の紛争地帯を訪れ、そこに生きる人々の姿を追う。第12回土門拳賞受賞。『獅子よ瞑れ アフガン1980-2002』(河出書房新社)、『アフガニスタン 敗れざる魂』(新潮社)、『ヘスースとフランシスコ エル・サルバドル内戦を生き抜いて』(福音館書店)など写真集、著書多数。


Funado_taidan『諸士乱想 トーク・セッション18』 船戸与一
 徳間文庫 1998年刊

Session 3 長倉洋海
 撮るこころ・撮られるゲリラ
Session 10 関野吉晴
 探検と医療とチャレンジと

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2009年11月12日 (木)

【読】つぎはこれだ(船戸与一)

船戸与一 『蝶舞う館』 (講談社 2005年刊) を読みおえた。
エンディングがいまひとつだったが、エピローグがいかにも船戸さんらしく、読後感は爽快だった。

次はこれだな。
Amazonで1円。送料の方がずっと高い。
ちかごろ、このての1円本が多いが、どういうことなんだろう。

Funado_santo_monogatari_2船戸与一 『三都物語』
 新潮社 2003/9/25刊行
 396ページ 1800円(税別)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104623016
出版社/著者からの内容紹介
割れるような歓声さえ、魂の飢えを満たしはしない。
異国の球場に招かれた助っ人たちが味わったのは、黒社会の触手、野球賭博の蜜、そして未だ癒えぬ内戦の匂い。
横浜、台中、光州を舞台に男たちの生き様を描く、異色ハードボイルド小説。




あらためてWikipediaで調べてみて、船戸さんの膨大な著作に驚いた。
こうしてみると、著作の半分ぐらいは読んでいるかもしれない。
ずっとまえに読んで内容を憶えていないものも多いが、たぶん読んだと思われるものも含め、◎印をつけてみた。
買ったまま読んでいない(読んだ気になっただけの)ものもあるはずなので、自信はない。


― 以下 Wikipediaより ―

船戸 与一(ふなど よいち、本名:原田建司、1944年2月8日 - )は、冒険小説家。山口県下関市に生まれる。山口県立下関西高等学校、早稲田大学法学部卒業。在学中は探検部(第三期生)に所属(先輩には西木正明らがいる)。アラスカのエスキモーを訪問し、本名で共著『アラスカ・エスキモー』を刊行した。
小学館、祥伝社などの出版社勤務を経てフリーになり、執筆活動を始める。1979年『非合法員』(講談社)で冒険小説家としてデビュー。
他に豊浦志朗の筆名で『叛アメリカ史』等のルポルタージュ、外浦吾朗の筆名で『ゴルゴ13』、『メロス』の劇画原作も著している。

著書(50音順)

夜来香(イエライシャン)海峡(講談社、2009年)ISBN 9784062152587
蝦夷地別件(新潮社、1995年)ISBN 4-10-602738-0、ISBN 4-10-602739-9◎
エドワルド・フェブレスの素描(徳間文庫 日本冒険作家クラブ編「幻!」収録、1991年)

海燕ホテル・ブルー(角川書店、1998年;徳間文庫、2005年)ISBN 4-04-873111-4◎
かくも短き眠り(毎日新聞社、1996年)ISBN 4-620-10543-0◎
蟹喰い猿フーガ(徳間書店、1996年)ISBN 4-19-860420-7◎
河畔に標なく (集英社、2006年)ISBN 4-08774804-9◎
カルナヴァル戦記(講談社、1986年)ISBN 4-06-202741-0◎
黄色い蜃気楼(双葉社、1992年)ISBN 4-575-23128-2◎
キラー・ストリート(ハルキ文庫 日本冒険作家クラブ編「夢を撃つ男」収録、1999年)
金門島流離譚(毎日新聞社、2004年)ISBN 4-620-10681-X
降臨の群れ(集英社、2004年)ISBN 4-08-774691-7
午後の行商人(講談社、1997年)ISBN 4-06-208850-9◎
国家と犯罪(小学館、1997年)ISBN 4-09-389511-2◎
群狼の島(双葉社、1981年;角川文庫、1985年)ISBN 4-04-163801-1◎

三都物語(新潮社、2003年)ISBN 4-10-462301-6
諸士乱想—トーク・セッション18(ベストセラーズ、1994年)ISBN 4-584-18023-7
銃撃の宴(徳間文庫、1984年)ISBN 4-19-567657-6
新宿・夏の死(文藝春秋、2001年)ISBN 4-16-320020-7◎
神話の果て(双葉社、1985年;講談社、1988年)ISBN 4-06-184216-1◎
砂のクロニクル(毎日新聞社、1991年:新潮社、1994年)ISBN 4-620-10447-7◎
祖国よ友よ(双葉社、1980年;角川書店、1986年)ISBN 4-04-163802-X

猛き箱舟(集英社、1987年)ISBN 4-08-772601-0◎
伝説なき地(講談社、1988年)ISBN 4-06-193964-5◎
血と夢(双葉社、1982年;徳間書店、1988年)ISBN 4-19-568511-7◎
蝶舞う館(講談社、2005年)ISBN 4062131242◎
東京難民戦争(未完 未刊行)

虹の谷の五月(集英社、2000年)ISBN 4-08-774467-1◎
ノロエステからの伝令(徳間文庫 日本冒険作家クラブ編「血!」収録、1988年)

蛮賊ども(角川書店、1987年)ISBN 4-04-163803-8◎
緋色の時代(小学館、2002年)ISBN 4-09-379104-X、ISBN 4-09-379105-8
非合法員(講談社、1979年;徳間書店、1984年)ISBN 4-19-567595-2◎
炎流れる彼方(集英社、1990年)ISBN 978-4087487077◎

風の払暁 -満州国演義1-(新潮社、2007年)ISBN 978-4-10-462302-0◎
事変の夜 -満州国演義2-(新潮社、2007年)ISBN 978-4-10-462303-7◎
群狼の舞 -満州国演義3-(新潮社、2007年)ISBN 978-4-10-462304-4◎
炎の回廊 -満州国演義4-(新潮社、2008年)ISBN 978-4-10-462305-1◎
灰塵の暦 -満州国演義5-(新潮社、2009年)ISBN 978-4-10-462306-8◎
緑の底の底(中央公論社、1989年)ISBN 4-12-001868-7◎
蝕みの果実(講談社、1996年)ISBN 4-06-208340-X
メビウスの時の刻(中央公論社、1989年)ISBN 4-12-001868-7◎

夜叉鴉(新潮文庫 新潮社編「時代小説 読切御免第一巻」収録、2004年)ISBN 4-10-120835-2
藪枯らし純次(徳間書店、2008年)ISBN 978-4-19-862470-5
山猫の夏(講談社、1984年)ISBN 4-06-201386-X◎
夢は荒れ地を(文藝春秋、2003年)ISBN 4-16-321910-2◎
夜のオデッセイア(徳間書店、1981年、1985年)ISBN 4-19-567830-7◎

流沙の塔(朝日新聞社、1998年;徳間文庫、2006年)ISBN 4-02-257160-8、ISBN 4-02-257161-6◎
龍神町龍神十三番地(徳間文庫、2002年)ISBN 4-19-891797-3◎

船戸与一以外の名義の著作
豊浦志朗、硬派と宿命:はぐれ狼たちの伝説(世代群評社、1975年)
豊浦志朗、叛アメリカ史(ブロンズ社、1977年;筑摩書房、1989年)ISBN 4-480-02310-0◎
原田建司、佐藤政信、小島臣、アラスカ・エスキモー(朝日新聞社、1968年)

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2009年10月23日 (金)

【読】高野秀行さんの新刊

まったく偶然に、こんな本を書店でみつけた。
時間つぶしに立ち寄った、上野のTSUTAYAでのこと。
高野さんの新刊がでていたことも知らず、旅行コーナーの棚をなにげなく見ていたら目にはいったのだ。
こういうことって、あるんだな。

Takano_asia_uma_2『アジア未知動物紀行』
 ― ベトナム・奄美・アフガニスタン ―
 高野秀行 講談社
 2009/9/1発行 260ページ 1400円(税別)

書棚から抜きだし、手にとって、しゃれた装幀に感心。
案の定、内澤旬子さんのイラストだった。

高野さんお得意の、UMA(ユーマ=未確認不思議動物)ものである。
電車のなかで「あとがき」を斜め読みしていると、興味ぶかい話が書かれていた。
柳田國男の『遠野物語』――高野さんが書くものの雰囲気からすると、意外な人物だ。
読書家の高野さんのことだから、この名著を読んでいてとうぜんなのだが。

<この三つの旅で、途中から私の頭にこびりついて離れなかったのは、柳田國男『遠野物語』だった。>

なんだ、なんだ、と驚きながら続きを読む。

<『遠野物語』は民俗学的な記録ではない。遠野出身の一青年が自分の知っている話を柳田に語って聞かせたものだ。天狗や川童(かっぱ)、幽霊などの物の怪や怪異現象がふんだんに登場するが、これはみな昔から伝わる話でなく、柳田國男が生きていたのと同時代の話である。>

ふん、ふん、そのとおりだが……。

<私は最初に読んだとき、「現地に行けばいいのにな」と思った。現場第一主義で、一次情報しか信用しない私なら絶対にそうする。ところが柳田は動かなかった。ただ青年の語る山の人の話を簡潔にまとめた。そして序文に『願はくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ』と書いた。/不思議な話を、不思議なままに読者の前に放り出したのである。>

このあたりが高野さんの真骨頂だと思うので、もう少し引用する。

<だが、柳田はその後、怪物や怪現象を民俗学的に研究するようになる。山の人の怖さを解体し、自分たち平地人の知識で理解しようとした。…(略)…どうやら、柳田國男は日本中の村々を武装解除して回り、二度と『遠野物語』の世界に帰ることはなかったようである。>

うーん。
鋭い「柳田批判」で、的を射ているし、私も同感だ。
続けて、高野さんは 「私は柳田國男と逆の道をたどっているような気がする」 と書いている。

高野さんが書くものの面白さは、徹底した 「現場主義」 というか、とにかく現地で体験してから考えるところにある。
読んでいて、わくわくするのだ。

楽しみな本ではある。
今日の収穫。

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2009年10月15日 (木)

【読】【楽】ピーター・バラカン

今日、本屋に立ち寄ったところ、こんな面白そうな本がみつかった。

Peter_barakan_black_musicPETER BARAKAN
 200CD+2 BLACK MUSIC
ピーター・バラカン 選
 『ブラック・ミュージック アフリカから世界へ』

 Gakken 2009/9/28 250ページ 2100円(税別)

ピーター・バラカンさんが選んだ、ブラック・ミュージックのCD紹介。
いいガイドブックだと思う。

アフリカ(西アフリカ、南部アフリカ、中央アフリカ、東アフリカ)、カリブ海/ラテンアメリカ(カリブ海、ラテンアメリカ)、アメリカ(ニュー・オーリンズ/ルイジアナ、ブルーズ/R&B、ジャズ、ゴスペル/ソウル/ファンク)。
このように分類され、さまざまなCDが紹介されていて興味ぶかい。
ほとんど私のよく知らないミュージシャンばかりだが、聴いてみたいものがたくさんある。
バラカンさんを信用して、おすすめCDをすこしずつ買って聴いてみようと思う。

ところで、バラカンさんは、英語の日本語(カタカナ)表記に強いこだわりがあり、bluesはブルー、Miles Davisはマイル・デイヴィス、Thelonious Monkはセロニアス・ンク、Jimmy Smithはジ・スミス、といったぐあい。
何もそこまで、と思うものの、納得できる。

Peter_barakan_mokey_money『猿はマンキ、お金はマニ』
 ― 日本人のための英語発音ルール ―
 ピーター・バラカン  NHK出版
 2009/1/25 127ページ 800円(税別)

この本もおもしろかった。
私たちの英語の発音がいかに奇妙なものか、痛感したものだ。

はなしは横道にそれるが、バラカンさんは私と同い年だ。
音楽に関して、信頼できる人だ。
土曜日の朝、NHK-FMで放送しているバラカンさんの音楽番組は、週末の楽しみで、毎週愛聴している。

NHK-FM : WEEKEND SUNSHINE DJ: PETER BARAKAN
http://www.nhk.or.jp/sunshine/pc/

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2009年9月 3日 (木)

【読】江戸レファレンスブック

昼休み、勤務先のちかくにあるBOOK OFFで、またこんな本をみつけてしまった。
タイトルにひかれて手にとってみると、これがなかなかおもしろそうなのだ。

Kurihara_ooedo_chousa『大江戸調査網』 栗原智久 著
 講談社選書メチエ 380  2007/1/10発行
 215ページ 1500円(税別)

<単位に貨幣に衣・食・住……。/江戸の世界のあれこれを調べるための現代の諸書と江戸時代に書かれた江戸随筆を “江戸レファレンスブック” として紹介。/読んで楽しく、自分で調査してなお楽しい、画期的「ツール本」の誕生!>

レファレンスブックとは、図書館の世界でつかわれている言葉、だそうだ。
英語の意味は、「レファレンス=reference=参考・参照」だが、「図書館で、資料・情報を求める利用者に対して提供される、文献の紹介・提供などの援助。参考調査業務」(広辞苑)ということらしい。

この本では、「江戸レファレンスブック」をおもしろく紹介している。
「単位」「貨幣」「暦・時」「衣」「食」「住」「生業(なりわい)」「言葉」「地図・絵図」「辞(事)典・年表」といった章にわかれている。

一例をあげると、第七章「生業」では、「近世風俗志『守貞縵稿』」(喜田川守貞)にでてくる、江戸の物売りとして――鮮魚売り、枯魚売り、菜蔬売り、糊売り、花売り、針売り、箒売り、銅器売り、炭売り、醤油売り、塩売り、漬物売り、飴売り、菓子売り、蕃椒粉売り、小間物売り、烟草売り、筆墨売り、還魂紙(浅草紙)売り、植木売り、瓦器売り、竿竹売り、さぼん(しゃぼん)売り、銭さし売り、甘酒売り、……(あまりにも多いので、以下略)――と、多種多様な職業(生業)があげられていたりする。
江戸時代の都市生活の「豊かさ」を物語っていて、まことに興味ぶかい。

この本、索引もしっかりしているので、江戸辞典のようにも使え、かつ、いろんな書物を知ることができて、本好きで江戸好き(それはこの私だが)にはたまらない。


「講談社選書メチエ」には、いい本がたくさんある。
もう一冊、ずいぶん前に、古本屋(こちらは、ブックセンターいとう)でみつけたもの。
これもタイトルにひかれて買った。

Matsumoto_naze_tatakau『人はなぜ戦うのか 考古学から見た戦争』 松本武彦 著
 講談社選書メチエ 213  2001/5/10発行
 260ページ 1700円(税別)

<縄文時代にはなかった戦争が、弥生時代、「先進文化」として到来した。/食糧をめぐるムラ同士の争いは、いかに組織化され、強大な「軍事力」となるのか。/傷ついた人骨・副葬武器・巨大古墳など、膨大な発掘資料をもとに列島の戦いのあとを読み解き、戦争発展のメカニズムに迫る。>

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2009年9月 2日 (水)

【読】江戸時代のエコロジー

執筆陣に萱野茂さんの名前があったので、図書館から借りて読みはじめた本。
いい本なので、ネット販売で新本を入手してしまった。

Edojidai_kankyo_hozen『江戸時代にみる 日本型環境保全の源流』
 農文協【編】  農山漁村文化協会
 2002/9/30発行  282ページ 1619円(税別)

序章に、石川英輔さんの「環境問題で悩まない100万都市江戸の社会システム」という一文がある。
内容は、石川さんの別の著書に書いてあったのと同じなので、このブログで紹介したことがあるかもしれない。
「ミクロコスモス」のことや、同時期のヨーロッパの都市との比較、それに、石川さんの悲観的な(しかし納得できる)未来観など、興味ぶかい。

<人間の肉体は、旧石器時代あたりの自然環境に適応しているので、厳しい環境に対しては極めて抵抗力が強く、飢餓状態の時にはいろいろなホルモンが分泌されて栄養不良に耐えられるようになている。ところが、栄養の取りすぎに対しては、ほとんで抵抗力がなく、……(中略)……/おかげで、三十年前には老人病といわれた症状が四十代から現れるようになって成人病と呼ばれ、ついには十歳前後の小児成人病患者まで増えて来た。(後略)>

<それでは、いったいどうすればいいのだろうか。/このまま進むほかないというのが私個人の結論である。出発点から間違っていた現代文明がにっちもさっちも行かなくなる時は、それほど遠くない将来に迫っているはずだ。/よほどひどい目にあってこりない限り人類が愚行を止めないことは、これまでの歴史が証明している。にっちもさっちも行かなくなるその日まで、正しいと信じている現在の方向へ日本人やアメリカ人が先頭に立ってまっしぐらに進み、いよいよこのままではどうにもならないことが本当にわかるまでけっして止まらないし、方向転換を真剣に考えるはずもない、と予想するのがもっとも自然ではなかろうか。>

いまさら江戸時代の生活に戻ることは不可能だが、これだけゴミを出し続ける(消費するだけで再利用・再生産を考えない)生活のスタイルが続くかぎり、人類の未来は暗い、と私も思う。
ペットボトルの「リサイクル」なんかじゃどうにもならないのだ。
それどころか、今いわれている「リサイクル」は、化石燃料(石油)をたくさん消費するらしい。

それでも、「江戸に学ぶ」ことは、今からでもできると思う。
江戸時代は、ほとんど「ゴミ」を出すことなく、徹底的に資源を再利用していたのだ。
それこそ、屎尿から紙くずから木を燃やした灰にいたるまで、利用しつくして、最後には自然に帰す仕組みがうまく働いていた。
ほんとうの意味での「リサイクル」(自然循環)。
現代とくらべてどちらが「環境に優しい」のか(イヤな言葉だ)、誰にでもわかるのだけれど、私も含めて、みーんな目をふさいで便利さを追い求めている。

現代の先進国と言われている世界の生活は、そもそも出発点から間違っている。
そう考えると、石川さんじゃなくても悲観的になってしまうだろう。

なんとかしたいなあ……。
こんなところで、ああだこうだとつぶやいてもどうにもならない、「人類」の大きなテーマなんだが。

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