カテゴリー「こんな本を読んだ」の719件の記事

2023年3月 1日 (水)

【読】2023年2月に読んだ本(読書メーター)

昨年の暮れから一か月半ほどかけて、北方『水滸伝』を読了。
続編の『楊令伝』(集英社文庫全15巻+読本)を図書館から借りてきて読み始めているところ。

2月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3517
ナイス数:153

水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58)水滸伝 15 折戟の章(集英社文庫 き 3-58)感想
梁山泊軍と宋軍の戦は、ぎりぎりのところで思いもかけない展開を見せる。この巻で面白かったのは、巵三娘と王英とのエピソード、官軍から拾われた少年・趙林や、王進の許に預けられた張平の成長ぶり、官軍の奥深く入り込む候健の苦悩など。紙一重のところで全滅をまぬがれた梁山泊は、これからどうなる? 次巻に期待。
読了日:02月01日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)感想
梁山泊の豪傑が何人も殺されるいっぽう、青蓮寺の頭目も梁山泊の影の部隊・致死軍の急襲によって、ついに…。この巻でも、間諜・候健の息子・候真が前面に出てくる。漢=豪傑たちばかりでなく女性や少年たちの姿をきっちり描く北方謙三の筆は、すばらしい。巻末の文庫解説、あの”ロックン・ローラー”吉川晃司が”北方オヤジ”へ熱いオマージュを捧げていて、ちょっとびっくり。北方謙三ファン層の広さを知る。いよいよ残すところあと3巻。物語が大きく動きそうな予感。
読了日:02月04日 著者:北方 謙三

水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫 き 3-60)水滸伝 17 朱雀の章 (集英社文庫 き 3-60)感想
双頭山への官軍の猛攻。春風山・秋風山からの胸のすくような脱出劇。致死軍と高廉軍との壮絶な決戦。盧俊義と魯達の死。子午山で王進に預けられている楊令と張平。等々、描き切れないほど、この巻は中身が濃い。残り2巻に向けて盛りあがっていく。
読了日:02月05日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)水滸伝 18 乾坤の章 (集英社文庫)感想
たくましく成長した楊令の頼もしさ。『楊令伝』への布石か、舞台が北の遼の国まで広がり、遼に叛旗を翻す阿骨打(あくだ)という女真族の好漢(16巻目から登場)もクローズアップ。そして、私が好きだった林冲がとうとう…(あれほどの強敵=宋を相手の激闘で死んでいく好漢がいない方がおかしいのだが)。胸のすくような奇策でピンチを脱する梁山泊軍。作者の心憎い物語展開に胸を躍らせながら読了。いよいよ童貫率いる官軍との全面決戦となるのが最終巻なのだろう。あと1巻で終わってしまうのかと思うと、ちと寂しい。文庫巻末解説は夢枕獏。
読了日:02月06日 著者:北方 謙三

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)感想
昨年末から一か月半かけて全巻通読。さすがに達成感がある。最終巻、いい終わり方だ。替天行道の旗が宋江から楊令に手渡される。梁山泊の生き残りの何人かは、続編『楊令伝』にも登場するようだ。読んでみたい気もするが、全15巻かあ…。気分を変えて少し別系統の本を読んだ後にでも挑戦してみよう。(東京に雪が降った日に読了)
読了日:02月10日 著者:北方 謙三

北方謙三の「水滸伝」ノート (生活人新書 300)北方謙三の「水滸伝」ノート (生活人新書 300)感想
北方版『水滸伝』(集英社文庫)全19巻読破後、作者自身の”メイキング・オブ”ということで読んでみた。作者がこの大作に込めた想いは伝わってくる。続編の『楊令伝』をますます読みたくなる。
読了日:02月12日 著者:北方 謙三

 

替天行道 北方水滸伝読本 (集英社文庫)替天行道 北方水滸伝読本 (集英社文庫)感想
本編の北方版『水滸伝』を読んでいるときに、この本の「人物事典」には、ずいぶん助けられた。あらためて通読。『水滸伝』執筆・出版の裏話満載で面白かった。北上次郎ほかによる評論、対談、年表なども。「文庫版・特別増補の章」がいい。北方謙三デビュー当時からの担当編集者(Yこと山田裕樹氏)との絶妙なコンビネーションが『水滸伝』完成の大きなちからとなっていたことがよくわかる。蛇足だが「読本」を「とくほん」と読むのが正しいことを、この本のルビで知った。長い間「どくほん」と読んでいた(恥)。
読了日:02月14日 著者:北方 謙三

中央線がなかったら 見えてくる東京の古層 (ちくま文庫)中央線がなかったら 見えてくる東京の古層 (ちくま文庫)感想
雑誌「東京人」2012年4月~9月号連載。2012年12月に刊行された単行本の文庫化。巻末の陣内秀信氏と三浦展氏の対談には触発されることが多い。中央線は私にも馴染みの深い鉄道。阿佐ヶ谷、中野界隈に住んでいたこともり、国分寺駅も通勤に使っていた。今も立川駅をよく利用する。そんな中央線を頭から消し去って、古い地形・川・湧水・古道をたんねんに辿ってみることで見えてくる、新宿~中野、高円寺、阿佐ヶ谷の昔の姿が新鮮(第一部)。私には第二部多摩編の方が面白かった。惜しむらくは巻頭のカラー地図が文庫では小さすぎる。
読了日:02月21日 著者:陣内 秀信,三浦 展

魂込め(まぶいぐみ)魂込め(まぶいぐみ)感想
7年ほど前、目取真俊の小説群をまとめて読んでいるので、この短編集も再読のはず。収録されている6編の物語は、どれも沖縄の風土と暮らしの匂いが濃厚。芥川賞受賞作「水滴」の後に書かれた作品群。何度か訪れたことのある沖縄本島や周辺の島々で感じた琉球弧の島々の独特な空気が蘇る。『水滴』も再読したい。明日2023/2/25、パギやんこと趙博さんが「水滴」の一人芝居を演じるのを観に行くので、思いたって読み返してみた。目取真俊、恐るべき作家だと、あらためて思う。
読了日:02月24日 著者:目取真 俊

水滴水滴感想
7年ぶりの再読。芥川賞受賞作「水滴」をパギやんこと趙博さんが一人芝居で演じるイベントがあり、その前に読み直してみた。1985年に沖縄タイムスに連載、加筆修正された「風音」もいいのだが、特攻隊で死んだ戦友の足跡をたどるテレビ局ディレクターが、ちょっと型通りの印象。「オキナワン・ブック・レビュー」の仮構も面白い試みだが、もう少しのひねりが欲しいと感じた。「水滴」は、さすがに傑作。
読了日:02月26日 著者:目取真 俊

沖縄と国家 (角川新書)沖縄と国家 (角川新書)感想
6年前の辺見庸と目取真俊の対談。図書館本。辺野古での座り込み、カヌーでの反対行動を続ける目取真俊、腰が据わっている。その発言は辺見庸をタジタジとさせるほどラジカル。第三章「沖縄戦と天皇制」には刮目させられた。旧日本軍の農民兵と学徒兵、どちらが残酷だったかと古山高麗雄に聞いたところ「そりゃあ、農民兵だよ」と言っていたという辺見庸に対して、出身階層というより社会経験の差だろうと返す目取真俊。沖縄戦での慰安婦の実態、縄ピーと呼ばれた沖縄の慰安婦たち。これまで私の脳裏に浮かばなかったことも。
読了日:02月28日 著者:辺見 庸,目取真 俊

パレスチナに生きるふたり ママとマハパレスチナに生きるふたり ママとマハ感想
パレスチナに通い、現地の人たちに溶け込んで取材を続け、ツイッターを中心とするSNSで発信を続ける高橋美香さん。ビリン村とジェニン難民キャンプで暮らすふたりの女性(美香さんのパレスチナでの居候先)に焦点をあてた新刊の写真絵本。パレスチナ問題は難しいと言われる。が、そこで暮らす人たちの日常をとらえた愛情あふれる写真の数々を見ると、土地を奪われ、日々、死(イスラエルによるに暴虐)と隣り合わせの状況にも、人間の営みがあることが伝わってくる。この本が、おとなたちだけでなく次世代のこどもたちに何かを伝えられることを。
読了日:02月28日 著者:高橋 美香

読書メーター

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2023年2月23日 (木)

【読】目取真俊『水滴』――パギやん一人芝居

今週土曜日、狛江のホールで、”パギやん” こと趙博(チョウ・バク)さんの一人芝居がある。

声体文藝館 水滴 (Facebookイベントページ)
https://www.facebook.com/events/1192902334674197

浪花の歌う巨人、パギやん一人芝居
徳正の足が突然膨れ出したは六月の半ば、空海雨の暑い日差しを避けて、奥座敷の簡易ベットで昼寝をしているときだった。……
原作:目取真俊
脚本・演出・演戯:趙博
オープニング・アクト:高山正樹、隈本吉成
2023年2月25日(土)18:30開場 19:00開演
木戸銭 弐千円
主催:M.A.P.
ご予約・お問合せ
03-3489-2246(M.A.P.)

パギやんについては、名前だけは知っていて、いつかその舞台・ライブを観たいと思い続けてきた。

昨年12月21日、恵比寿の「シアター・アルファ東京」という小劇場で、パギやんが出演する芝居を初めて観る機会があった。

新宿梁山泊 第73回公演
「奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~」
 作:趙博 演出:金守珍

じつに刺激的で、音楽あり、歌ありのスケールの大きな芝居だった。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」、マルコムX、そして金嬉老。
金嬉老役の演技に打たれ、パギやんの演奏・歌、マルコムXの演説・・・。
今もまだ、芝居で受けた感動がよみがえる。

この日の日記ブログ記事
2022年12月21日(水): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2022/12/post-d53964.html

さて、今週土曜日2/25の芝居。
原作の目取真俊『水滴』は、7年前に図書館から借りて読んでいる。
ブログ記事を探してみたところ、2016年年末の記事があった。
髙橋美香さんに出会ったのも、この年だったことを、あらためて思い出した。

【読】2016年総集編 今年読んだ本: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/2016-0049.html

図書館から、目取真俊の本を借りてきた。
『水滴』は、今日休館の中央図書館にあるため、明日、受け取る。

 

この作家の小説群は、7年前にまとめて読んだのだが、その鮮烈な印象は、今も残っている。
土曜日のパギやんの一人芝居が楽しみだ。

【補足】 2023/2/25追記
目取真『水滴』が1997年上半期 第117回芥川賞を受賞した際の、選考委員たちの選評が読めるネット記事がある。
池澤夏樹氏が強く推している。

芥川賞-選評の概要-第117回|芥川賞のすべて・のようなもの
https://prizesworld.com/akutagawa/senpyo/senpyo117.htm

ちなみに、選考委員たちの顔ぶれは、以下(上記サイトより)。
池澤夏樹さんも、まだ50代だったんだ。

選考委員
丸谷才一 男 71歳
日野啓三 男 68歳
黒井千次 男 65歳
田久保英夫 男 69歳
河野多恵子 女 71歳
宮本輝 男 50歳
池澤夏樹 男 52歳
古井由吉 男 59歳
石原慎太郎 男 64歳
三浦哲郎 男 66歳

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2023年2月 2日 (木)

【読】2023年1月に読んだ本(読書メーター)

先月は、北方謙三の『水滸伝』を読み続けていた。
全19巻の16巻目まで進んだところ。

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4744
ナイス数:182

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)感想
2022年の大晦日から読み始めて新年2日に読了。三巻目になって、ようやく梁山泊をとり巻く人間たちの姿が私にも見えてきた。この巻の最終章、重要人物である宋江が、ついに役人という世を忍ぶ仮の姿を捨て、叛乱軍の首謀として動き始める。宋江の弟・宋清、彼らをサポートする武松、朱仝といった脇役が、この先、活躍していきそうな予感。1巻目、2巻目、3巻目と読み進むうちに、壮大な物語の展開に嵌ってしまいそう。頑張って最終巻まで読み通したい。
読了日:01月02日 著者:北方 謙三

水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)感想
シリーズ4巻目。どんどん増えてくる登場人物の多彩さ、地理的舞台の広さ、物語全体のスケールの大きさに圧倒されつつ、寸暇を惜しんで読むようになってきた。それほど読者を惹きつける小説。次巻に続く楊志と宋江に迫る危機。さて、どうなるか。
読了日:01月03日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)感想
この第5巻は、これまで以上に熱い。大きく本格的な戦闘がふたつ。仲間の裏切り、謀略。そして重要な頭目の死。これ以上書くとネタバレになるので詳しく書かないが、まさに息つく暇もないほどの展開。文庫巻末の志水辰夫による解説がいい(ネタバレがあるので本編の前に読まなくてよかった)。そこには、こうある。<それまで押さえに押さえてきたマグマのようなエネルギーが、地下から噴き上げて耳を聾せんばかりの大音響とともに爆発したのが、ほかならぬこの第五巻なのだ。>…続巻がますます楽しみになってきた。
読了日:01月05日 著者:北方 謙三

水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)感想
<面白いから、読め! この一行だけでいいのだ、本当は。>――巻末解説(吉田伸子)にこうある。まさにその通り。六巻目に入って、またあらたな人物が梁山泊の豪傑たちに加わる。その経緯が細かく描かれていて、人物像が目に浮かぶ。文体の簡潔さも、この物語の魅力。故井上ひさし氏が書評でこう指摘しているのも頷ける。――<文体の冒険 私がまず一番に注目したことは、北方さんがこの大長編の文章で、ほとんど形容句というものを使っていないことです。> https://allreviews.jp/review/1716
読了日:01月08日 著者:北方 謙三

水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)感想
この巻でも重要な人物が死んでいく。それが、ごく自然な展開で、さすが北方謙三。この先、どうなる? どうなる? と目が離せない展開。壮大な物語世界。時間がかかるが最終巻まで読み通したい。
読了日:01月11日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)水滸伝 8 青龍の章 (集英社文庫 き 3-51)感想
梁山泊軍勢と宋との大規模な戦(いくさ)。戦闘シーンの描写は迫力があるのだが、イメージがわかないのが残念。それでも、物語は次々と意外な展開が続いて、面白い。林冲の妻は? …時間に期待。この巻の文庫解説(王勇)も、とても参考になる。「水滸伝よもやまばなし」(「青春と読書」連載)、どこかで読めないかなあ。
読了日:01月12日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)水滸伝 9 嵐翠の章 (集英社文庫 き- 3-52)感想
文庫解説(馳星周)がいい。<男はどう生き、どう死ぬべきか>という北方謙三の世界を揶揄しながらも、抗しがたい魅力に「参った」と。<百八人の北方謙三もどきが、これでもか、これでもかと男の生き様を説き、死に様を見せつける。百八人分のナルシシズムに翻弄されるのだ>――たしかに、この物語の「漢(おとこ)の世界」は、私にも鬱陶しい。馳星周氏が言うように「替天行道」は象徴であって、その中身が明かされない。彼らの「志」がいまひとつ理解できない(腐りきった国への怨恨は理解できるが)。それでも、この物語は抜群に面白いのだ。
読了日:01月16日 著者:北方 謙三

水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)感想
全19巻のちょうど折り返しの巻。大きな戦のさまがダイナミックに描かれていて、巻措く能わずといった感じで読み終えた。梁山泊にまた何人かの豪傑が加わり、いっぽうで何人かが命を落とす。この文庫の解説(大森望)もいい。北方謙三が「水滸伝」で描きたかったのが、あのキューバ革命だったという話――北方本人も『北方謙三の「水滸伝」ノート』NHK出版生活人新書/2009年に書いているのだが――にも納得。晁蓋と宋江がゲバラとカストロの関係、などと聞かされると、なにやら嬉しくなる。北方謙三の説話=自身の青春の熱さの再現だとか。
読了日:01月18日 著者:北方 謙三

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)感想
戦闘シーンはなかなかイメージが沸かないが、登場人物たちの内面描写が面白く、読むのをやめられない。この巻では、晁蓋の生死が気になり(これまで、だめかと思われていても命拾いをした豪傑がいたので)、男勝りの扈三娘(こさんじょう)が見せる恥じらいが面白い。官軍側(青蓮寺)にも、悪役ながら魅力的な人物が。晁蓋を狙う刺客も人間味あふれる。それにしても、登場人物の多さよ。巻頭の登場人物一覧をしょっちゅう見ながら読み続けている。
読了日:01月22日 著者:北方 謙三


水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)感想
この巻はひとつの山場。前の巻で晁蓋がやはり暗殺され――晁蓋の末期らしいシーンで終わっていたが、もしやと思っていた――、この巻では、梁山泊の経済的支柱だった蘆俊義が捕獲されて酷い拷問を受けたものの、奇跡的に救出される。拷問シーンは凄絶。官軍の将軍・関勝がじつに魅力的な人物。官軍側(青蓮寺)の者たちも陰影に富んでいて魅力的な人物として描かれている。それにしても登場人物が多すぎて、名前を見ても、はて、どのような経緯で梁山泊に参加したのだっけ? と思い出せなかったりする。ともあれ残り7巻の展開に期待したい。
読了日:01月26日 著者:北方 謙三

水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)水滸伝 13 白虎の章 (集英社文庫 き 3-56)感想
全19巻の三分の二ほどまできた。この巻でも激烈な戦闘が続き、何人かの主要人物と多数の無名戦士たちが命を落とす。あれだけの戦を続けていれば将兵が死んでいくのが当然で、惜しまれつつ戦死していく豪傑もいれば、あたらしく梁山泊に加わる豪傑もいる。この巻で印象に残ったのは、官軍の船から救い出された下働きの少年(趙林)だ。楊志の遺児・楊令とともに、殺伐とした大人の世界にこういう少年を登場させるところが心憎い。また、何人かの女性たちも魅力的だ。巻末解説(西上心太)もいい。余談だが、1巻目の解説者・北上次郎が亡くなった。
読了日:01月29日 著者:北方 謙三

水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)水滸伝 14 爪牙の章 (集英社文庫 き 3-57)感想
梁山泊と宋軍との全面的な戦闘が幕をあける。この先の展開がますます楽しみになってきた。この巻でも、張平という気になる小年(張横の次男)が登場。隠棲する王進の許に預けられる。そこには楊令もいる。この二人の行く末も気になるところだ。梁山泊軍の新兵器の威力は、果たして?
読了日:01月30日 著者:北方 謙三

読書メーター

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2023年1月 6日 (金)

【読】北方謙三と船戸与一

北方謙三『水滸伝』全19巻(集英社文庫)を、いま、夢中になって読んでいる。
5巻目を読み終えたところ。

壮大な物語だが、あくまでも北方謙三の「水滸伝」だ。
中国民間説話としての「水滸伝」を、思いきって再構築し、筋の通った活劇にしている。

ところで、私がずっと愛読してきた船戸与一さんと、この北方謙三氏の関係が気になって、ネット検索してみた。

ともに「日本冒険作家クラブ」(今はもうない)に所属、個人的にも親交があったはず。

日本冒険作家クラブ(Wikipediaより)
1981年の冒険小説ファンの団体日本冒険小説協会の発足を受けて、1983年5月、「作家の団体を」という森詠の提唱により、13人の発起人(田中光二、伴野朗、谷恒生、北方謙三、西木正明、船戸与一、南里征典、川又千秋、大沢在昌、内藤陳、関口苑生、森詠、井家上隆幸)を中心に創設。事務局長は井家上隆幸、会計役は大沢在昌だった。
その後はあまり顕著な活動がなかったが、1987年に再度、新生「日本冒険作家クラブ」として賛助会員を徳間書店として、書き下ろしアンソロジー『敵!』を発行。会報「冒険主義」を刊行開始。
1994年、大藪春彦に「功労賞」を授賞。
また、2001年から、会員が選考して編集者に授賞する「日本赤ペン大賞」を主催していた。
その後も、親睦団体として活動を継続したが、2010年に「役目を終えた」として解散された。

ネット検索で、船戸さんが亡くなった(2015/4/22)のすぐ後、北方氏のインタビュー記事にぶつかった。

「北方謙三」があなたの人生の疑問を一刀両断 | デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2015/08050815/

2015年8月5日のこの記事で、船戸さんの死を、こう語っている。(以下、記事から)

<この間、船戸与一って作家が亡くなりましたけど、生前、「がんで死ぬかボケて死ぬかどっちがいいか考えるんだけれど、どっちでもいいよな、死ぬんだから」と言っていた。彼は6年ぐらい闘病してましたよ。で、我々のところに手紙くれて、「あと1年で死ぬ」って。びっくりするじゃないですか。で、死ぬのかなあと思っていると、死なない。1年経っても死なない。2年経っても死なない。3年経っても死なない。4年経っても死なない。5年経っても死なない。「あの野郎、嘘言いやがったのか」と思いながら見舞いに行くと、やはり彼は闘病はしているわけですよ。体がぎゅっと縮んできてね。それで彼はその間に何やってたか、本当に書きたい小説を完成させたんです。『満州国演義』っていうんですけどね、これは本当に素晴らしい小説ですよ。それをね、きちんと完成させるまでは生命力を失わなかった。命の力を失わなかった。それが終わったら、ふうーっと少しずつ少しずつ力が抜けるように、なんかこう炎が消えていくように、すーっとそのまま亡くなってしまった。だけども、それを書いている間は生命力を失わなかった。人間はね、何かやろうとすることを持つ、やるべきことを持てばいいんです。
 何でもいいんです。持てばいいんです。もし、持つことができないっていうならば、その船戸与一の『満州国演義』を読んで。これはね、「がんで余命1年を宣告された人が書いた小説なんだ、だけどそんなはずないだろう」っていうような小説ですから、読めばいい。それでもダメだったら、私の『水滸伝』を読めばいい。>

船戸ファンの私には、嬉しい記事だったので書いてみた。

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2023年1月 2日 (月)

【読】北方謙三版「水滸伝」に嵌る

年末に観た「新宿梁山泊」の芝居がきっかけで(劇団名に刺激されて)、大作「水滸伝」を読み始めた。
民間説話がベースになっている物語なので、定本といったものはない。
わが国では、吉川英治の「新・水滸伝」、柴田錬三郎の「われら梁山泊の好漢」といった翻案があり、原典(中国語版)を忠実に翻訳したものも多数あるようだ。
中国語版も、七十回本、百回本、百二十回本と、さまざまなバージョンがあるという。

若い頃、平岡正明や竹中労に関心を持っていた時期があり(今でも関心はある)、その影響から「水滸伝」を手に取ったことも。

ただ、読むことはできなかった。

いい機会だ。
北方謙三版「水滸伝」は、ブックオフなどで安く簡単に手に入るので、試しに読み始めたところ、これが面白くてたまらない。
集英社文庫で全19巻の大長編。
その第1巻の文庫解説が北上次郎(目黒孝二の別名)。
この北方版「水滸伝」の魅力を余すところなく紹介している。

の後、年末から年始にかけて第3巻まで読み進めて、いまは第4巻。

ちなみに、第2巻の解説は大沢在昌、第3館は逢坂剛。
錚々たるハードボイルド畑の作家たちが、北方版を絶賛している。

 

北方謙三版は、原典のテキストをベースにしながら、それを大胆に解体し、あらたな小説として作りあげている。

北上次郎の解説によると、
<二百数十年に渡って語り継がれてきた民間説話なので、中国語版は「ヘンな物語」> なのだそうで。
<人物のキャラクターがはっきりしないし、バランスも悪く、物語として壊れているといってもいい> とまで。

中国語版原典を翻訳しただけの版に手を出さなくてよかったと思う。
(若い頃、読もうと思ったのも駒田信二訳の、このてのものだった)

ただ、この北方版でも登場人物の多彩さ、人数の多さ、地名の煩雑さは障害になっている。
文庫の各巻冒頭に、登場人物一覧と当時の中国の簡単な地図が載っているが、なかなか頭にはいってこない。

第3巻あたりで、ようやく主要な人物の名前が区別できるようになった。

そんな悩みを抱えていたところ、同じ作者(北方謙三)が著した「読本」があることを知り、文庫の新本を年末に注文した。
書店が営業を始める頃には届くことだろう。

さらに、平岡正明が書いたこんな本も発見。
こちらはすでに絶版のようなので、中古を発注。
まもなく手元に届く。

『中国 水滸伝・任侠の夢 (世界・わが心の旅)』
単行本 – 1996/4/1
日本放送出版協会

平岡 正明 (著), 黄 波 (著)

「水滸伝」への思い強く、「水滸伝」を行動する男である著者が、乱世を生きた好漢の末裔が住む山東省へ旅立つ。徹底的に現地を取材した水滸伝研究書でもある。世界・わが心の旅シリーズ。

昨年、たて続けに読んだ「ゴールデンカムイ」(コミック、全31巻)のときのように、この小説に嵌りそうな予感。

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2023年1月 1日 (日)

【読】2022年12月に読んだ本(読書メーター)

12月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2071
ナイス数:98

人間の土地へ人間の土地へ感想
2年ぶりの再読(初読は2020年10月)。小松由佳さんの講演を、その年の1月、関野吉晴さんの「地球永住計画」で初めて聴いてから現在まで、この本に書かれている体験の後日の経緯を含めて、小松さんの活動を追いかけている。あらためて読み直してみて、すっかり忘れていることも多く、感慨あらた。<民族的背景の違いを、相手の尊厳として認めることで、私たち夫婦は共生しようとしている。(P.243)>――現在、夫君のラドワンさん、二人のお子さんといっしょに、共生の道を探り続けている姿も知っているだけに、心に沁みる内容だった。
読了日:12月15日 著者:小松 由佳

日本に住んでる世界のひと日本に住んでる世界のひと感想
いい本に出会えた。18組20人の「日本に住んでる世界のひと」へのインタビュー。通り一遍のインタビューではない。著者とインタビューした人たちとの関係性が強く感じられて、ほのぼのとしたきもちになる。遠い国から日本に移住した人たちの事情はまちまち。故国の状況もまちまちだが、みんな日本を気に入ってくれて、懸命に生きている姿に打たれる。なかには難民申請が認められずにいる人も。著者のカラーのイラスト(表紙の絵、本文中の挿絵)に、ほっこりする、文章もやわらかくて、いい。この著者の他の本も読んでみたくなった。
読了日:12月17日 著者:金井 真紀

一億年の森の思考法ーー人類学を真剣に受け取る一億年の森の思考法ーー人類学を真剣に受け取る感想
文化人類学とは、人間の生活様式全体(生活や活動)の具体的なありかたを研究する人類学なんだそうで、本書も興味深い内容。学問的な記述が難しい部分も多いが、なんとか読了。「一億年の森に住まう」ボルネオ島(カリマンタン島)に住まう「焼畑民カリス」と「狩猟民プナン」の調査(フィールドワーク)を続けてきた文化人類学者の著者が提示する視点には、目を見開かされるものが多い。まさしく「世界は広い」。
読了日:12月20日 著者:奥野 克巳

世界はフムフムで満ちている: 達人観察図鑑 (ちくま文庫 か 83-1)世界はフムフムで満ちている: 達人観察図鑑 (ちくま文庫 か 83-1)感想
先頃読んだ『日本に住んでる世界のひと』 (大和書房/2022年刊)で知った著者の本。読了後、デビュー作だと知った。見開き2ページにイラスト入りで(これまた味がある)さまざまな職業の「達人」へのインタビューを100人分掲載(単行本では88人、文庫版で12人加筆)。どこにでもいそうな人たちなのだが、<自分の持ち場を丁寧に照らしている>と著者が言う、その「達人」ぶりを掬いあげる妙技に感心した。文庫版あとがきに記された、ラジオ子ども相談室に寄せられた少女の悩みへの回答のくだりでは、不覚にも涙が。いい本です。
読了日:12月20日 著者:金井 真紀

トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)感想
二か月かけて他の本と併読しながら、ようやく読了。中身の濃い新書だった。120ほど前のトラクターの誕生から、その後の発達・改良、将来への展望まで、世界史的な視点で綿密に調べあげている。人や牛馬の力で土を耕すことから解放した一方、「ダストボウル」(化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって土壌の団粒構造が失われ、さらさらの砂塵になり、強い風に煽られて空気中に舞う現象=砂塵の器/P.62)、騒音・振動が運転者に及ぼす悪影響など、初めて知った。戦車への技術流用という歴史も興味ぶかい。(続く)
読了日:12月22日 著者:藤原 辰史

水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)感想
なかなか手が出なかった「水滸伝」。北方謙三版なら読めそうだと思って着手。この文庫1巻目の解説(北上次郎)が、その魅力をよく伝えている(先に解説を読んだ)。登場人物がやたら多くて混乱するが、最終章「地霊の星」の手に汗握る展開がすばらしい。2巻目が楽しみ。
読了日:12月27日 著者:北方 謙三

 

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)感想
二巻目にはいって、なんとか主要な登場人物の顔が浮かぶようになってきた。この巻の冒頭、武松のエピソードは悲しい。最終章で、ついに「替天行道」の旗印を掲げた「梁山泊」が誕生する。今年2022年最後に読了した本。
読了日:12月31日 著者:北方 謙三

読書メーター

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2022年12月25日 (日)

【読】いつも読みたい本ばかり(2022年総集編に代えて)

毎年、年末に「総集編」と題して一年間の振り返りをしている。

今年は、「読書メーター」というサイトでの毎月のまとめ記事をアップしてきたこともあり、別の形でここにまとめておこう。

読書メーター(読んだ本)
https://bookmeter.com/users/466409/books/read

「いつも読みたい本ばかり」、これは渡辺一枝さんの本の題名。

 

 Photo_20221225215601  

私も「読みたい本」が手元に山のようにある。
一生かけても読み切れないほどの「つんどく本」がありながら、図書館から借りたり、新刊・古本を買い求めたりしている。
「読みたい本」は増え続けるのに、読める時間には限りがある、このジレンマ。

増え続ける蔵書については、手元にあることの効用、ということも信じているのだが、はたして。

死ぬ前までには整理しなくては。
もしも、整理できずにぽっくり逝ってしまったら、馴染みの古本屋さんにまとめて引き取ってもらおう。
残された人たちには、なんでここまで溜め込んだのかと、呆れられることだろうな。

さて、今年一年間に読んだ本。
作者別にまとめてあげておこう。
なかには、読めなかったが、いつか読みたい本も混じっている。

★印は図書館本 ●印は手元にあって未読

岸政彦 ・・・今年知った人
『街の人生』 勁草書房 (2014/5/20) 306ページ ★
『マンゴーと手榴弾 -生活史の理論-』 勁草書房 (2018/10/20) 341ページ ★

五木寛之 ・・・この先、あまり読まないかも(昔の本で再読したいものはある)
『一期一会の人びと』 中央公論新社 (2022/1/10) 222ページ ★
『捨てない生きかた』 マガジンハウス新書 (2022/1/27) 197ページ ★
『重箱の隅』 文春文庫 (1984/11/25) 367ページ (単行本1979/5文芸春秋社刊)
 ※1975/12/10~1976/4/11夕刊フジ連載

『僕はこうして作家になった―デビューのころ―』 幻冬舎文庫 (2005/9/30) 255ページ ●未読
『にっぽん漂流』 文春文庫 (1977/11/25) 236ページ ※単行本をAmazonで購入 ●未読

■桐野夏生 ・・・たくさん読んだ(既刊の小説は、ほぼすべて)

桐野夏生: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat24350732/index.html

『砂に埋もれる犬』 朝日新聞出版 (2021/10/30) 494ページ ★

『バラカ(上)』 集英社文庫 (2019/2/25) 400ページ
『バラカ(下)』 集英社文庫 (2019/2/25) 468ページ
『夜の谷を行く』 文春文庫 (2020/3/10) 329ページ
『だから荒野』 文春文庫 (2016/11/10) 459ページ
『ジオラマ』 新潮文庫 (2001/10/1) 294ページ ※自著あとがき(解題)あり
『残虐記』 新潮文庫 (2007/8/1) 255ページ
『水の眠り 灰の夢』 文春文庫 (2016/4/10) 476ページ ※村野ミロシリーズ
『ローズガーデン』 講談社文庫 2003/6/15 279ページ ※短編集
『はじめての文学 桐野夏生』 文藝春秋 (2007/8/10) 273ページ ★
『リアルワールド』 集英社文庫 (2006/2/25) 282ページ
『奴隷小説』 文春文庫 (2017/12/10) 187ページ ※解説 白井聡 ★
『冒険の国』 新潮文庫 (2005/10/1) 166ページ ★
『天使に見捨てられた夜』 講談社文庫 (1997/6/15) 420ページ ★
『玉蘭』 文春文庫 (2005/6/10) 388ページ ★
『顔に降りかかる雨』 講談社文庫 (1996/7/15) 404ページ ★
『ダーク(上)』 講談社文庫 (2006/4/15) 296ページ ★
『ダーク(下)』 講談社文庫 (2006/4/15) 349ページ ★
『錆びる心』 文春文庫 (2000/11/10) 397ページ
『対論集 発火点』 文春文庫 (2012/12/10) 278ページ
『光源』 文春文庫 (2003/10/10) 428ページ
『とめどなく囁く』 幻冬舎 (2019/3/25) 445ページ ★
『白蛇教異端審問』 文春文庫 (2008/1/10) 303ページ ※エッセイ集
『ポリティコン(上)』 文春文庫 (2014/2/10) 494ページ ★
『ポリティコン(下)』 文春文庫 (2014/2/10) 468ページ ※解説:原武史 ★
『燕は戻ってこない』 集英社 (2022/3/10) 445ページ
『ロンリネス』 光文社文庫 (2021/8/20) 504ページ
『ハピネス』 光文社文庫 (2016/2/20) 450ページ
『魂萌え!(上)』 新潮文庫 (2006/12/1) 335ページ

『魂萌え!(下)』 新潮文庫 (2006/12/1) 292ページ
『抱く女』 新潮文庫 (2018/9/1) 362ページ
『猿の見る夢』 講談社文庫 (2019/7/12) 609ページ
『メタボラ』 文春文庫 (2011/8/10) 684ページ (ブックオフ 2022/3/21 ¥520)
『優しいおとな』 中公文庫 (2013/8/25) 371ページ
『路上のX』 朝日文庫 (2021/2/28) 510ページ
『グロテスク(上)』 文春文庫 (2006/9/10) 397ページ
『グロテスク(下)』 文春文庫 (2006/9/10) 453ページ
『I'm sorry, mama』 集英社文庫 (2007/11/25) 262ページ
『緑の毒』 角川文庫 (2014/9/25) 332ページ
『IN』 集英社文庫 (2012/5/25) 376ページ
『夜また夜の深い夜』 幻冬舎文庫 (2017/8/5) 430ページ
『デンジャラス』 中公文庫 (2020/6/25) 330ページ

【関連本】・・・桐野さんに凝って、こんな本にまで手を出した
現代女性作家読本刊行会(編)
『現代女性作家読本⑰ 桐野夏生』 鼎書房 (2013/11/15) 163ページ

松岡理英子・江國香織・角田光代・町田康・金原ひとみ・島田雅彦・日和聡子・桐野夏生・小池昌代
『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』 新潮社 (2008/10/30) 285ページ ★ ●未読

佐々木敦
『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 メディア総合研究所 (2011/7/24) 389ページ ★
 ※第10章 桐野夏生 「作家がものを書く」

阿川佐和子/東浩紀/岩田健太郎/桐野夏生/他
『私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2』 朝日新書831
(2021/8/30) 192ページ ★ ◎一部読

『小説新潮別冊 Shincho Mook The COOL! 桐野夏生スペシャル』 (2005/9/28) 159ページ ◎一部読

■原武史 ・・・この人の本は、今後も少しずつ読みたい
『最終列車』 講談社 (2021/12/8) 328ページ ★
『滝山コミューン一九七四』 講談社文庫 (2010/6/15) 343ページ ※解説:桐野夏生

『増補新版 レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史』 新潮選書 (2019/5/20) 442ページ ★ ●未読

■森達也 ・・・話題になった新作、他
『千代田区一番一号のラビリンス』 現代書館 (2022/3/20) 382ページ ★

『日本国憲法』 太田出版 (2007/1/30) 276ページ ★

■島田雅彦 ・・・東京新聞連載で読んでいたものを、単行本でいっきに
『パンとサーカス』 講談社 (2022/3/22) 597ページ ★

■朝倉喬司 ・・・この人にも関心がある
『戦争の日々―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント―(上)』 現代書館 (2009/1/25) 230ページ ★
『戦争の日々―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント―(下)』 現代書館 (2009/12/8) 238ページ ★

■左巻健男 ・・・何で知ったのか覚えていないが、たまにはこういう本も面白い
『こんなに変わった理科教科書』 ちくま新書1644 (2022/4/10) 257ページ

■藤原辰史(ふじはら・たつし) ・・・この人にも注目、読みたい本がたくさんある
『食べるとはどういうことか 世界の見方が変わる三つの質問』 農文協 (2019/3/1) 175ページ ★
『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』 中公新書2451 (2017/9/25) 270ページ
『[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』 共和国 (2016/7/10) 477ページ ●未読

『カブラの冬 第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆 レクチャー第一次世界大戦を考える』
 人文書院 (2011/1) 154ページ ●未読

■岡崎武志 ・・・ひさしぶりに読んだオカタケさんの近刊
『ドク・ホリディが暗誦するハムレット――オカタケのお気軽ライフ』 春陽堂書店 (2021/11/20) 238ページ ★

■南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ) ・・・岡崎武志さんつながり
『古本マニア採集帖』 皓星社 (2021/12/15) 271ページ ★

■河田桟 ・・・与那国島在住、馬と猫と暮らす人
『ウマと話すための7つのひみつ』 偕成社 (2022/10) 47ページ ★ ※池澤夏樹さんのネット記事で知った

■高野秀行 ・・・私の好きな高野さんの新刊、大ヒットして入手困難だった
『語学の天才まで1億光年』 集英社インターナショナル (2022/9/10・2022/10/26第3刷) 334ページ ★

高野秀行: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21181618/index.html

■向井透史(むかい・とし/古書現生店主) ・・・これもネットと新聞書評で知った

『早稲田古本劇場』 本の雑誌社 (2022/9/5) 377ページ ★

東京新聞書評(評者:内澤旬子) 2022年10月30日 掲載
<書評>『早稲田古本劇場』向井透史(とうし) 著 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
https://www.bookbang.jp/review/article/743416

■内澤旬子 ・・・私が大好きな内澤旬子さんの新刊、大ヒットらしい
『カヨと私』 本の雑誌社 (2022/7/16) 252ページ ★

<書評>『カヨと私』内澤旬子 著 2022年9月25日 (評者:服部文祥
https://www.tokyo-np.co.jp/article/204405

内澤旬子: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21379484/index.html

【関連本】
ヴェルマ・ウォーリス/亀井よし子(訳)
『ふたりの老女』 草思社 (1995/2/20) 190ページ ★ ※内澤旬子さんのツイッターで知った

宮田珠己/網代幸介(画)
『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』 大福書林 (2021/10/10) 367ページ
 ※内澤旬子さんのブログで知った ●未読

■群ようこ/牧野伊三夫(挿画)
『かもめ食堂』 幻冬舎文庫 (2008/8/10) 216ページ

■小松由佳
『人間の土地へ』 集英社インターナショナル (2020/9/30) 251ページ ※再読

小松由佳: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat24342002/index.html

■関野吉晴
『えほんのひろば 草原の少女プージェ』 小峰書店 (2006/12/26) 35ページ ★

関野吉晴: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat21692270/index.html

■金井真紀(文・絵) ・・・今年の収穫
『日本に住んでる世界のひと』 大和書房 (2022/11/30) 239ページ ★

『世界はフムフムで満ちている――達人観察図鑑』 ちくま文庫 (2022/6/10) 237ページ

■奥野克巳 ・・・この本もネットで知った
『一億年の森の思考法 人類学を真剣に受け取る』 教育評論社 (2022/5/26) 279ページ ★

■野田サトル ・・・今年、シリーズ完結を機に、一気読み
『ゴールデンカムイ 1』 集英社 (2015/1/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 2』 集英社 (2015/2/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 3』 集英社 (2015/5/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 4』 集英社 (2015/8/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 5』 集英社 (2015/12/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 6』 集英社 (2016/2/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 7』 集英社 (2016/4/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 8』 集英社 (2016/8/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 9』 集英社 (2016/11/23) ※再読
『ゴールデンカムイ 10』 集英社 (2017/3/22) ※再読
『ゴールデンカムイ 11』 集英社 (2017/8/22) ※再読
『ゴールデンカムイ 12』 集英社 (2017/12/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 13』 集英社 (2018/2/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 14』 集英社 (2018/6/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 15』 集英社 (2018/9/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 16』 集英社 (2018/12/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 17』 集英社 (2019/3/24) ※再読
『ゴールデンカムイ 18』 集英社 (2019/6/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 19』 集英社 (2019/9/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 20』 集英社 (2019/12/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 21』 集英社 (2020/3/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 22』 集英社 (2020/6/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 23』 集英社 (2020/9/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 24』 集英社 (2020/12/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 25』 集英社 (2021/3/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 26』 集英社 (2021/6/23) ※初読
『ゴールデンカムイ 27』 集英社 (2021/9/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 28』 集英社 (2021/12/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 29』 集英社 (2022/4/24) ※初読
『ゴールデンカムイ 30』 集英社 (2022/6/22) ※初読
『ゴールデンカムイ 31』 集英社 (2022/7/24) ※初読

【関連本】
中川裕
『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』 集英社 (2019/3/20) ※再読 (初読:2019/5/13)

瀬川拓郎(監修)
『カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史』 宝島社新書 (2019/6/24) 223ページ

アイヌ民族・アイヌ語: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat20297702/index.html

山岳関係、旅の本

高橋大輔
『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』 朝日新聞出版 (2020/8/30) 259ページ ★

山と渓谷社(編)
『日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで』 山と渓谷社 (2022/3/1) 446ページ ★

近藤謙司
『ぼくは冒険案内人』 山と渓谷社 (2014/12/5) 237ページ ★

『近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山 Kindle版』 ゴマブックス (2014/4/25) 115ページ
下川裕治
『「おくの細道」をたどる旅 路線バスと徒歩で行く1612キロ』 平凡社新書999 (2022/3/15) 235ページ ★

服部文祥
『You are what you read. あなたは読んだものにほかならない』 本の雑誌社 (2021/2/22) 261ページ ★

服部文祥: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat22703334/index.html

『お金に頼らず生きたい君へ 廃村「自力」生活記』 河出書房新社(14歳の世渡り術シリーズ)
(2022/10/30) 270ページ ※10/21「地球永住計画」トークイベント会場で購入(著者サイン本)


ジョン・クラカワー/梅津正彦(訳)
『空へ 悪夢のエヴェレスト 1996年5月10日』 ヤマケイ文庫 (2013/8/1) 509ページ

トミー・コールドウェル/堀内瑛司(訳)
『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡』 白水社 (2019/8/15) 449ページ ★

石川直樹
『 補新版 いま生きているという冒険』 新曜社 (2019/5/15) 311ページ ★

『ぼくの道具』 平凡社 (2016/1/20) 217ページ ★
アレックス・オノルド/デイビッド・ロバーツ/堀内瑛司(訳)
『ALONE ON THE WALL 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡』 山と渓谷社 (2016/3/5) 342ページ ★

以上、全部ではないが、主な本をあげてみた。
今日12/25現在、今年読んだ本は130冊
コミックで稼いでいるが、これは私の年間新記録。

そして、来年にかけて読破したいのが、北方謙三版「水滸伝」(全19巻)。
20代の頃から、何度も読もうとしたが果たせず。
「水滸伝」にはいろいろな版があるようだが、物語性に富んでいそうな北方版を選んでみた。
中古の文庫本を、とりあえず2冊買ってきて読み始めた。
こういう大河小説を読み通すには、気合と根気が必要。

北方謙三
『水滸伝 一 ―― 曙光の章』 集英社文庫 (2006/10/25) 388ページ ※解説:北上次郎

<北宋末、中国。砂塵をまいて、泥河をこえて、英雄たちが奔る! 原典を読み込み大胆に再構築、中国古典英雄譚に新たな生命を吹き込んだ、21世紀に蘇る決定版「水滸伝」いよいよ登場!> Amazonより

【了】

 

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2022年12月 4日 (日)

【雑】小松由佳さんのこと

このブログに詳しく書くのは、はじめて。
フォトグラファー 小松由佳さんのことを書いておきたい。

まずは、小松由佳さんのプロフィール。
集英社インターナショナル刊人間の土地へ(2020.9.30)より。

<フォトグラファー。1982年、秋田県生まれ。高校時代から登山に魅せられ、国内外の山に登る。
2006年、世界第2位の高峰K2(8611m/パキスタン)に、日本人女性として初めて登頂(女性としては世界で8人目)。
植村直己賞受賞、秋田県民栄誉賞受賞。草原や沙漠など自然と共に生きる人間の暮らしに惹かれ、旅をするなかで知り合ったシリア人男性と結婚。
2012年からシリア内戦・難民をテーマに撮影を続ける。著書に『オリーブの丘へ続くシリアの小道で ふるさとを失った難民たちの日々』(河出書房新社)がある。>

2年前のプロフィールなので、その後の活動に触れられていないが、コンパクトにまとめられている。

※プロフィール補足
登山・山岳遭難対策制度|jRO(ジロー)日本山岳救助機構
 https://sangakujro.com/
 12月【東京・大阪・名古屋】jRO会員講演会開催のお知らせ より
PROFILE
1982年秋田県生まれ。フォトグラファー。高校在学中から登山に魅せられ、国内外の山を登る。2006年、世界第2の高峰K2(8611m / パキスタン)に日本人女性として初めて登頂。植村直己冒険賞受賞(2006年)。
草原や沙漠を旅しながらフォトグラファーを志す。2011年からシリア内戦・難民の取材を始める。
著書に「人間の土地へ」(集英社インターナショナル/2021年9月)。2021年、山本美香記念国際ジャーナリスト賞受賞。シリア人の夫と二人の子供と東京都八王子市在住。
《写真展》
2008年までカフェ・ギャラリーなどで多数開催
2015年「国境の街に生きる 〜あの山を越えた故郷へ〜 」
2017年「ヨルダン 子連れパニック取材行 ~ シリア難民に助けられた一カ月 ~ 」
2019年「シリア難民の肖像 〜Borderless people〜」

小松由佳さんのウェブサイト
https://yukakomatsu.jp/

私が小松由佳さんを知ったのは、何年か前(定かではないが2019年9月だろうか)に開かれた「アフガニスタン山の学校支援の会」総会の会場で、ちらしを配っていらしたのを見かけたときだったと思う。

当時、まだ、あかちゃんだった次男を背負い、長男はステージに登ったりして、やんちゃぶりを発揮していたことを覚えている。
その頃は、この方のことを知らなかったが、配っていたちらしは、ご自身のトークイベントの案内だったと、うっすら覚えている。

その後、はじめて参加した小松さんのトークイベントが、これ。
関野吉晴さん主催の「地球永住計画」トークイベント(2022.1.22 三鷹 武蔵野美術大学三鷹ルーム)。

2020年1月22日(水): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2020/01/post-ad51b4.html

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日記はつけておくものだなあ。

その後は、著作2冊も読み、写真展やトークイベント、講演会にも足繁く通うようになった。
ときおり開催されるオンライン(ZOOM)での講演も、できるだけ参加するようにしている。
つまりは、すっかり小松由佳さんのファンになってしまったのだ。

『オリーブの丘へ続くシリアの小道で ふるさとを失った難民たちの日々』
小松由佳/著
出版社名 河出書房新社
出版年月 2016年3月 ※現在、新本は入手困難
ISBNコード 978-4-309-24755-7
税込価格 2,090円
頁数・縦 127P 21cm
2011年から2015年にかけての激変の中、難民になったシリア人の日常や子どもたちの暮らしぶりなどを写真とともにとらえる。

『人間の土地へ』
小松由佳/著
出版社名 集英社インターナショナル
出版年月 2020年9月
ISBNコード 978-4-7976-7389-0
税込価格 2,200円
頁数・縦 251P 20cm
日本人女性として初めてK2に登頂した著者とラクダと共に生きるシリアの青年。沙漠で出会った二人を待ち受けていたのは、「今世紀最悪の人道危機」、内戦の勃発だった。徴兵された青年は政府軍から脱走を試みるが…シリア内戦を内側から描くノンフィクション。

 

2022/11/26(土) 亜細亜大学武蔵野キャンパスでの帰国報告会

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知り合いにも、機会があれば小松さんの著作を紹介している。

ここからは、余談。
ややプライベートなことだが、書いておこう。

昨夕、有楽町で会った旭川の高校時代の同期生。
卒業いらいの再会をはたした女性。
彼女はアイルランドのダブリン在住で、このたび北海道新聞社主催の文学賞を受賞して、その授賞式に出席するため帰国していた。
(今年の春には、自費出版の詩集で小熊秀雄賞も受賞していて、なんとダブル受賞)
今夜の便でアイルランドに戻るという。

同じ高校の同期生(彼とは数年前まで何度も同期会で会っている)が仲介してくれて、実現した再会。
もうひとりの同期生も遅れて来て、4人で3時間にわたって会食、談笑したのだった。
いい時間だった。

その彼女とは、ひょんなきっかけで昨年からメールのやりとりを続けるようになったが、ずっと会えずにいた。

昨夜、話の中で小松由佳さんの名前が出て、うれしかった。
小松さんの『人間の土地へ』を読み、感銘を受けて、まわりの日本人の友人に薦めているという。
なんだか「人間の輪」が広がっていくなあ、と感慨深かったのだ。

(とりあえず、ここまで)

 

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2022年12月 1日 (木)

【読】2022年11月に読んだ本(読書メーター)

2022年11月、なんとか5冊、読了。

11月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1216
ナイス数:87

食べるとはどういうことか: 世界の見方が変わる三つの質問 (かんがえるタネ)食べるとはどういうことか: 世界の見方が変わる三つの質問 (かんがえるタネ)感想
著者の『トラクターの世界史』(中公新書)をなかなか読み終えることができず(面白い本だが)、読み易そうなこの本を図書館から借りて読んでみた。9人のティーンエイジャーとの公開座談会での議論をまとめたもの。食や農業にまつわる興味深い本が紹介されていて、読んでみたいと思わせるものばかり。『カブラの冬』は最寄りの図書館になく、新刊を注文。『餓死した英霊たち』『土と内臓』『家政学の間違い』など、探して読んでみたい。
読了日:11月06日 著者:藤原辰史

お金に頼らず 生きたい君へ: 廃村「自力」生活記 (14歳の世渡り術)お金に頼らず 生きたい君へ: 廃村「自力」生活記 (14歳の世渡り術)感想
10月に関野吉晴さんの「地球永住計画」トークイベント(ゲスト:服部文祥さん)会場で、著者サイン入り本を購入。「14歳の世渡り術」シリーズの一冊とあって、平易な文章。読み易く、内容も興味深い。「ガソリンにも保険・年金にも頼らずに生きること」を目指す、山奥の廃村・廃屋での自力生活は、とても魅力的。著者が実践してきたことが正直に書かれているし、その生活(都会生活との二重生活)で考え続けてきた”文明論”的な要素もあって、読み応えあり。もちろん大人が読んでも面白い。中高生あたりが読んで、どう感じるのかも興味深い。
読了日:11月09日 著者:服部 文祥

ウマと話すための7つのひみつウマと話すための7つのひみつ感想
池澤夏樹さんの書評(毎日新聞)で知った絵本。
毎日新聞 2022/11/5 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20221105/ddm/015/070/029000c
これまで河田桟さんの本を何冊か読んだが、この本も著者のあたたかい、馬への愛情に満ちたまなざしが伝わって来て、ほのぼのとした気持ちになった。
読了日:11月09日 著者:河田桟

語学の天才まで1億光年語学の天才まで1億光年感想
高野秀行さんの書いたものは、どれも面白くハズレがない。この最新刊も評判を呼んだようで、すぐに品切れになって入手できず、図書館にリクエストしてから一か月以上待って、ようやく3刷が届いた(Amazonでも発注、まだ届かない)。20代のコンゴ「ムベンベ」探検にはじまり、第五章の”ワ州”での体験談まで、高野さんらしい軽妙な語り口で面白おかしく綴られているが、言語学的にもいい加減なことは書かれていない(専門学者のチェックをしっかり受けたという)。エピローグにある「世界中の言語は、どれも美しく優劣などない」に納得。
読了日:11月15日 著者:高野 秀行

早稲田古本劇場早稲田古本劇場感想
早稲田の「古書現世」二代目店主の徒然日誌。内澤旬子さんが書いた新聞書評で知り(著者は内澤さんと懇意にしているらしい)、俄然、読んでみたくなった(図書館本)。「暇」「売れない」連発の古書店商売のなかで、珍奇なお客や、郵便局で見かけたヘンな人、買取先でのエピソードなど、面白い話が満載。持ち主の思い入れの詰まった本であっても、その思い入れに値段は付けられない。そこにある本の今現在の価値に値を付けるのが古本屋、という記述にハッとさせられた。古本屋さんとの付き合いの長い私にとって、とても身近に感じられる内容だった。
読了日:11月29日 著者:向井透史

読書メーター

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2022年10月 3日 (月)

【読】2022年9月に読んだ本(読書メーター)

2022年9月に読んだ本。
「ゴールデンカムイ」全31巻読了。
他に、アイヌ関連の新書2冊も。

9月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:3823
ナイス数:275

ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)感想
この18巻からは初読。樺太のニヴフ民族登場。ロシア革命前のパルチザン。興味深い展開の予感。
読了日:09月01日 著者:野田 サトル

 

 


ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックス)感想
キロランケが…。謎は深まる。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル

 

 


ゴールデンカムイ 20 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 20 (ヤングジャンプコミックス)感想
ようやく20巻目。尾形の謎も解けない。鯉登の幼少期の追想(鶴見との出会いシーン)が突飛。ますます混迷をきわめる展開に。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス)感想
物語は急展開をみせて、中盤からいよいよ後半へ。鶴見中尉の陰謀? 杉元とアシㇼパは、鶴見一行から脱出? …<杉元! 相棒なら これからは「するな」と言うな!! 何かを「一緒にしよう!」って前向きな言葉が 私は聞きたいんだ!> アシㇼパ、かっこいいな。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 22 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 22 (ヤングジャンプコミックス)感想
鶴見中尉らの追跡を逃れて樺太を脱出したアシㇼパ、杉元、白石、謎のロシア脱走兵? 北海道に戻って、謎の砂金堀り一行に遭遇。またひとり、刺青人皮の脱獄囚が。
読了日:09月05日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックス)感想
またひとり、あらたな刺青の脱獄囚があらわれる(人間離れした潜水技術の持ち主)。新聞記者の石川啄木がチョイ役で登場(あまりいい人に描かれていない)。身重のインカラマッを奪還した谷垣。アイヌコタンでの出産(このシーン、アイヌの出産習俗をよく研究している)。いやあ、面白い。
読了日:09月05日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックス)感想
札幌での連続娼婦殺人事件。ロンドンでの”切り裂きジャック事件”(Jack The Ripper)の模倣だと石川啄木記者は喝破する。牧逸馬の「世界怪奇実話」を思い出す。(教養文庫851 牧逸馬『世界怪奇実話Ⅰ 浴槽の花嫁』所収「女肉を料理する男」/光文社文庫 島田荘司・編『牧逸馬の世界怪奇実話』にも所収)
読了日:09月06日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 25 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 25 (ヤングジャンプコミックス)感想
全勢力が札幌に集結。刺青人皮に隠された暗号解読の鍵は、アシㇼパの記憶? 切り裂きジャックの模倣犯?の正体が明かされそうになるところで、次巻へ。この巻でも石川啄木記者が活躍。
読了日:09月06日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 26 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 26 (ヤングジャンプコミックス)感想
札幌麦酒工場での大捕物(切り裂きジャック)。そして、奇想天外な大活劇が繰り広げられる。海賊房太郎に奪われたアシㇼパは、どうなる?
読了日:09月07日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックス)感想
アシㇼパとソフィア・ゴールデンハンドは、鶴見一行に拉致され、監禁される。そこで、鶴見の口から彼の意外な過去と、アシㇼパの父ウイルク、キロランケとの因縁が明かされる。アイヌにとって金塊は必要なのか? 「ゴールデンカムイ」という言葉が鶴見の口から…。いよいよ終焉に向かうのか。残り4巻。
読了日:09月07日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 28 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 28 (ヤングジャンプコミックス)感想
杉本の回想――入隊前にこんなことがあったのか。そして、鶴見とアシㇼパによって、ほぼ同時に、金塊の隠し場所の謎が解ける。残り3巻。どんな結末が待っているのか、期待は高まる。
読了日:09月08日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 29 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 29 (ヤングジャンプコミックス)感想
舞台は函館五稜郭。アイヌたちと蝦夷共和国(榎本武揚軍)が交わした契約書(北海道=蝦夷地=アイヌモシリの権利書)。そして、ついに金塊が…。鶴見中尉率いる第7師団と、土方・杉元・ソフィアたちとの攻防。終わりの始まり。
読了日:09月08日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)感想
壮絶な五稜郭攻防戦。沖合からの艦砲射撃と、函館山からの応戦(函館戦争の時に隠された大砲!)。鶴見の兵に包囲された五稜郭から、かろうじて脱出したアシㇼパたち。それを追う鶴見ら。最後まで防戦していたソフィアが命を落とす。アシㇼパが持ち出した土地の権利書は、はたして無事か? いよいよ最終巻へ。
読了日:09月09日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックス)感想
最終巻、読了。8月25日から通読、約2週間で全巻一気読み。この最終巻では、五稜郭から逃れ函館行きの列車に乗り込んだアシㇼパ一行と、それを追う鶴見一行の乱闘が、これでもかと展開される。土方と鶴見は、とうとう死亡。土地権利書は、なんとかアシㇼパの手元に。後日譚として、アイヌが得たとされる土地の一部は、のちの国立公園・国定公園になったというが、このあたりの史実は? 最後は大団円。生き残ったアシㇼパ、杉元、白石らのその後が描かれていて、めでたしめでたし、といったところか。読後感はよいが、たぶん再読はしないだろう。
読了日:09月09日 著者:野田 サトル


アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書)アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書)感想
再読。3年前に一度読んでいるが、内容は忘れている。コミック版全31巻を通読した後で読んでみた。あとがきにあるように、「ゴールデンカムイ」を読んでアイヌ文化に興味を持った人には、おすすめ。巻末のブックガイドや、本文中のウェブサイト紹介も役立つ。私の場合は、以前からアイヌの歴史・文化、アイヌ語に関心が深く、コミックは最近になって読んだ(3年前に途中まで初読)。本書は2019年3月刊行なので、「ゴールデンカムイ」完結の3年前。カバーのアシㇼパの絵が、たまらなくいい。
読了日:09月15日 著者:中川 裕


カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史 (宝島社新書)カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史 (宝島社新書)感想
瀬川拓郎さん(旭川市博物館学芸員から旭川市博物館館長を経て、現在は札幌大学教授)が監修しているので読んでみた。しっかりした内容、カラー図版が豊富。「ゴールデンカムイ」への言及も多い。「第6章 アイヌと縄文人」「第7章 アイヌの歴史」が興味深く、新鮮だった。「ニブタニ文化(時代)」という、瀬川氏が提唱した時代区分には、なるほどと思わせられる。巻末の「厳選アイヌ・ライブラリー」「アイヌを学べる博物館」の紹介が役に立つ。
読了日:09月22日 著者:


かもめ食堂 (幻冬舎文庫)かもめ食堂 (幻冬舎文庫)感想
挿画が牧野伊三夫さん(牧野さんとは、ちょっとしたご縁がある)ということで、だいぶん前に買ってあったのを、ようやく読んだ。群ようこの本は、昔、何冊か読んだ記憶がある。この短い小説は、映画のためのストーリー(シナリオ)のようで、映像が目に浮かぶ、巧みな描写。映画化されたものは観ていない。根っからの悪人が出てこなくて、読後感はさわやか。やや物足りなさも感じるが、佳作。
読了日:09月25日 著者:群 ようこ


ふたりの老女ふたりの老女感想
内澤旬子さんのツイッター投稿で知った本。近くの図書館にあった。アラスカからカナダにかけて先住するアサバスカ系語族「グウィッチン・グループ」。遊動生活をする彼らのグループから捨てられたふたりの老女の話。飢餓にみまわれて、"姥捨て"のように置き去りにされたふたりが、潜在的に持っているサバイバル能力を発揮して、生き延び、やがて元のグループと和解するまでのいきさつが、淡々と描写されていて感動的。現代の私たちには真似できそうもない、真の意味での”サバイバル”生活に驚く。著者はアラスカ生まれのネイティブ・アメリカン。
読了日:09月30日 著者:ヴェルマ ウォーリス

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