カテゴリー「こんな本を読んだ」の710件の記事

2022年10月 3日 (月)

【読】2022年9月に読んだ本(読書メーター)

2022年9月に読んだ本。
「ゴールデンカムイ」全31巻読了。
他に、アイヌ関連の新書2冊も。

9月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:3823
ナイス数:275

ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)感想
この18巻からは初読。樺太のニヴフ民族登場。ロシア革命前のパルチザン。興味深い展開の予感。
読了日:09月01日 著者:野田 サトル

 

 


ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 19 (ヤングジャンプコミックス)感想
キロランケが…。謎は深まる。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル

 

 


ゴールデンカムイ 20 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 20 (ヤングジャンプコミックス)感想
ようやく20巻目。尾形の謎も解けない。鯉登の幼少期の追想(鶴見との出会いシーン)が突飛。ますます混迷をきわめる展開に。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 21 (ヤングジャンプコミックス)感想
物語は急展開をみせて、中盤からいよいよ後半へ。鶴見中尉の陰謀? 杉元とアシㇼパは、鶴見一行から脱出? …<杉元! 相棒なら これからは「するな」と言うな!! 何かを「一緒にしよう!」って前向きな言葉が 私は聞きたいんだ!> アシㇼパ、かっこいいな。
読了日:09月04日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 22 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 22 (ヤングジャンプコミックス)感想
鶴見中尉らの追跡を逃れて樺太を脱出したアシㇼパ、杉元、白石、謎のロシア脱走兵? 北海道に戻って、謎の砂金堀り一行に遭遇。またひとり、刺青人皮の脱獄囚が。
読了日:09月05日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 23 (ヤングジャンプコミックス)感想
またひとり、あらたな刺青の脱獄囚があらわれる(人間離れした潜水技術の持ち主)。新聞記者の石川啄木がチョイ役で登場(あまりいい人に描かれていない)。身重のインカラマッを奪還した谷垣。アイヌコタンでの出産(このシーン、アイヌの出産習俗をよく研究している)。いやあ、面白い。
読了日:09月05日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 24 (ヤングジャンプコミックス)感想
札幌での連続娼婦殺人事件。ロンドンでの”切り裂きジャック事件”(Jack The Ripper)の模倣だと石川啄木記者は喝破する。牧逸馬の「世界怪奇実話」を思い出す。(教養文庫851 牧逸馬『世界怪奇実話Ⅰ 浴槽の花嫁』所収「女肉を料理する男」/光文社文庫 島田荘司・編『牧逸馬の世界怪奇実話』にも所収)
読了日:09月06日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 25 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 25 (ヤングジャンプコミックス)感想
全勢力が札幌に集結。刺青人皮に隠された暗号解読の鍵は、アシㇼパの記憶? 切り裂きジャックの模倣犯?の正体が明かされそうになるところで、次巻へ。この巻でも石川啄木記者が活躍。
読了日:09月06日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 26 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 26 (ヤングジャンプコミックス)感想
札幌麦酒工場での大捕物(切り裂きジャック)。そして、奇想天外な大活劇が繰り広げられる。海賊房太郎に奪われたアシㇼパは、どうなる?
読了日:09月07日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックス)感想
アシㇼパとソフィア・ゴールデンハンドは、鶴見一行に拉致され、監禁される。そこで、鶴見の口から彼の意外な過去と、アシㇼパの父ウイルク、キロランケとの因縁が明かされる。アイヌにとって金塊は必要なのか? 「ゴールデンカムイ」という言葉が鶴見の口から…。いよいよ終焉に向かうのか。残り4巻。
読了日:09月07日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 28 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 28 (ヤングジャンプコミックス)感想
杉本の回想――入隊前にこんなことがあったのか。そして、鶴見とアシㇼパによって、ほぼ同時に、金塊の隠し場所の謎が解ける。残り3巻。どんな結末が待っているのか、期待は高まる。
読了日:09月08日 著者:野田 サトル

 


ゴールデンカムイ 29 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 29 (ヤングジャンプコミックス)感想
舞台は函館五稜郭。アイヌたちと蝦夷共和国(榎本武揚軍)が交わした契約書(北海道=蝦夷地=アイヌモシリの権利書)。そして、ついに金塊が…。鶴見中尉率いる第7師団と、土方・杉元・ソフィアたちとの攻防。終わりの始まり。
読了日:09月08日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 30 (ヤングジャンプコミックス)感想
壮絶な五稜郭攻防戦。沖合からの艦砲射撃と、函館山からの応戦(函館戦争の時に隠された大砲!)。鶴見の兵に包囲された五稜郭から、かろうじて脱出したアシㇼパたち。それを追う鶴見ら。最後まで防戦していたソフィアが命を落とす。アシㇼパが持ち出した土地の権利書は、はたして無事か? いよいよ最終巻へ。
読了日:09月09日 著者:野田 サトル


ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックス)感想
最終巻、読了。8月25日から通読、約2週間で全巻一気読み。この最終巻では、五稜郭から逃れ函館行きの列車に乗り込んだアシㇼパ一行と、それを追う鶴見一行の乱闘が、これでもかと展開される。土方と鶴見は、とうとう死亡。土地権利書は、なんとかアシㇼパの手元に。後日譚として、アイヌが得たとされる土地の一部は、のちの国立公園・国定公園になったというが、このあたりの史実は? 最後は大団円。生き残ったアシㇼパ、杉元、白石らのその後が描かれていて、めでたしめでたし、といったところか。読後感はよいが、たぶん再読はしないだろう。
読了日:09月09日 著者:野田 サトル


アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書)アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書)感想
再読。3年前に一度読んでいるが、内容は忘れている。コミック版全31巻を通読した後で読んでみた。あとがきにあるように、「ゴールデンカムイ」を読んでアイヌ文化に興味を持った人には、おすすめ。巻末のブックガイドや、本文中のウェブサイト紹介も役立つ。私の場合は、以前からアイヌの歴史・文化、アイヌ語に関心が深く、コミックは最近になって読んだ(3年前に途中まで初読)。本書は2019年3月刊行なので、「ゴールデンカムイ」完結の3年前。カバーのアシㇼパの絵が、たまらなくいい。
読了日:09月15日 著者:中川 裕


カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史 (宝島社新書)カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史 (宝島社新書)感想
瀬川拓郎さん(旭川市博物館学芸員から旭川市博物館館長を経て、現在は札幌大学教授)が監修しているので読んでみた。しっかりした内容、カラー図版が豊富。「ゴールデンカムイ」への言及も多い。「第6章 アイヌと縄文人」「第7章 アイヌの歴史」が興味深く、新鮮だった。「ニブタニ文化(時代)」という、瀬川氏が提唱した時代区分には、なるほどと思わせられる。巻末の「厳選アイヌ・ライブラリー」「アイヌを学べる博物館」の紹介が役に立つ。
読了日:09月22日 著者:


かもめ食堂 (幻冬舎文庫)かもめ食堂 (幻冬舎文庫)感想
挿画が牧野伊三夫さん(牧野さんとは、ちょっとしたご縁がある)ということで、だいぶん前に買ってあったのを、ようやく読んだ。群ようこの本は、昔、何冊か読んだ記憶がある。この短い小説は、映画のためのストーリー(シナリオ)のようで、映像が目に浮かぶ、巧みな描写。映画化されたものは観ていない。根っからの悪人が出てこなくて、読後感はさわやか。やや物足りなさも感じるが、佳作。
読了日:09月25日 著者:群 ようこ


ふたりの老女ふたりの老女感想
内澤旬子さんのツイッター投稿で知った本。近くの図書館にあった。アラスカからカナダにかけて先住するアサバスカ系語族「グウィッチン・グループ」。遊動生活をする彼らのグループから捨てられたふたりの老女の話。飢餓にみまわれて、"姥捨て"のように置き去りにされたふたりが、潜在的に持っているサバイバル能力を発揮して、生き延び、やがて元のグループと和解するまでのいきさつが、淡々と描写されていて感動的。現代の私たちには真似できそうもない、真の意味での”サバイバル”生活に驚く。著者はアラスカ生まれのネイティブ・アメリカン。
読了日:09月30日 著者:ヴェルマ ウォーリス

読書メーター

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2022年9月 8日 (木)

【読】「ゴールデンカムイ」31巻通読

野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社)が、今年、2022年7月24日発行の第31巻で完結した。

私は、1巻目から17巻目までを、2019年5月2日から9日にかけて、一気に読んでいた。
ただ、内容は、もう覚えていない。

それ以降も、刊行されるたびに、おもに新刊書店で買い続けてきた。
今年、31巻が勢ぞろいしたこともあり、1巻目から通読してみようと一念発起。

ちょうど、桐野夏生作品をひと通り読み終えたところだったし。

【読】桐野夏生 萌え(続): やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2022/08/post-a64db9.html

今日までに、29巻目まで読み終えた。
残り2巻。
毎日、読み続けた足跡は、以下のとおり。
※左端の日付は読んだ日。かっこ内日付は発行日。

●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 1』 集英社 (2015/1/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 2』 集英社 (2015/2/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 3』 集英社 (2015/5/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 4』 集英社 (2015/8/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 5』 集英社 (2015/12/23) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 6』 集英社 (2016/2/23) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 7』 集英社 (2016/4/24) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 8』 集英社 (2016/8/24) ※再読
●8/26~8/27 野田サトル 『ゴールデンカムイ 9』 集英社 (2016/11/23) ※再読
●8/27~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 10』 集英社 (2017/3/22) ※再読
●8/28~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 11』 集英社 (2017/8/22) ※再読
●8/28~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 12』 集英社 (2017/12/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 13』 集英社 (2018/2/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 14』 集英社 (2018/6/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 15』 集英社 (2018/9/24) ※再読
●8/31~8/31 野田サトル 『ゴールデンカムイ 16』 集英社 (2018/12/24) ※再読
●8/31~8/31 野田サトル 『ゴールデンカムイ 17』 集英社 (2019/3/24) ※再読
●9/1~9/1 野田サトル 『ゴールデンカムイ 18』 集英社 (2019/6/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 19』 集英社 (2019/9/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 20』 集英社 (2019/12/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 21』 集英社 (2020/3/24) ※初読
●9/5~9/5 野田サトル 『ゴールデンカムイ 22』 集英社 (2020/6/24) ※初読
●9/5~9/5 野田サトル 『ゴールデンカムイ 23』 集英社 (2020/9/23) ※初読
●9/6~9/6 野田サトル 『ゴールデンカムイ 24』 集英社 (2020/12/23) ※初読
●9/6~9/6 野田サトル 『ゴールデンカムイ 25』 集英社 (2021/3/23) ※初読
●9/7~9/7 野田サトル 『ゴールデンカムイ 26』 集英社 (2021/6/23) ※初読
●9/7~9/7 野田サトル 『ゴールデンカムイ 27』 集英社 (2021/9/22) ※初読
●9/8~9/8 野田サトル 『ゴールデンカムイ 28』 集英社 (2021/12/22) ※初読
●9/8~9/8 野田サトル 『ゴールデンカムイ 29』 集英社 (2022/4/24) ※初読
(未読、これから読む)野田サトル 『ゴールデンカムイ 30』 集英社 (2022/6/22)
(未読、これから読む)野田サトル 『ゴールデンカムイ 31』 集英社 (2022/7/24)

『ゴールデンカムイ コミック 全31巻セット』

全巻まとめて買うと、1万円以上するんだ!
私は「ブ」で古本を買っていたが、やがて新刊書店で買うようになった。
DVD・ブルーレイのアニメ版もあるようでが、私は見ていない。

このコミックは、アイヌ文化・アイヌ語に詳しい中川裕氏(現・千葉大学名誉教授)の監修を受け、アイヌの文化や自然観が濃厚に描かれている。
なんといっても主人公のアイヌ少女 アシㇼパ が、凛々しく、魅力的だ。
もうひとりの主人公、日露戦争の帰還兵 杉元佐一もいい。

もちろん、史実からかけ離れた架空の物語ではある。
が、明治期の歴史背景を巧みに盛り込み、アイヌ民族だけでなく、北方のニヴフ、ウィルタといった少数民族(樺太・沿海州)についても、生き生きと描かれている。

公式ファンブック(2020年11月24日発行)も、なかなか参考になる。

『ゴールデンカムイ公式ファンブック 探究者たちの記録』
 (ヤングジャンプコミックス) コミック – 2020/11/19

もう一冊、これも一度読んだのだが、中川裕氏の本。

『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』
 (集英社新書) 新書 – 2019/3/15

もういちど、読み直してみたい。

ちなみに、「カムイ」は、「ムイ」と「カ」にアクセントを置くのではなく、「カイ」と「ム」にアクセントを置くのが、アイヌ語の正しい発音。――ということを、NHKEテレ「100分de名著」(知里幸恵「アイヌ神謡集」)に出演していた中川裕氏の話で知った。
私も、アクセントを間違っていたかも。
でも、北海道では「カイコタン」と、私たちも言っていたな。

名著123「アイヌ神謡集」知里幸恵 - 100分de名著 - NHK
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/blog/bl/pEwB9LAbAN/bp/pw2yRjpRjm/

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2022年9月 1日 (木)

【読】2022年8月に読んだ本(読書メーター)

桐野夏生と「ゴールデンカムイ」に嵌った月。
桐野夏生の既刊作品は、ごく一部を除いて読破した。

「ゴールデンカムイ」は、31巻まで通して読むつもり。

8月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:6068
ナイス数:288

I'm sorry, mama. (集英社文庫)I'm sorry, mama. (集英社文庫)感想
これもタイトルが謎のまま読み始めた。強烈なモンスターの主人公”アイ子”をとりまく人間たちが、次々と連鎖するように登場して、息もつかせない。よくできた小説。世間のモラルを蹴とばす女たちを描かせたら敵うものなし。そんな桐野夏生の傑作。文庫解説(島田雅彦)に<アイ子のごときモンスターにさえも憑依できる桐野夏生はテレビで人気の巫女などよりもはるかに強い霊能力を持っているのではないか?(中略)彼女は平然と、女たちの怨嗟と欲望を解き放ち続けている。>とあるが、言い得て妙。
読了日:08月02日 著者:桐野 夏生

緑の毒 (角川文庫)緑の毒 (角川文庫)感想
桐野夏生らしい、人間の内面をこれでもかとさらけ出す、気味悪さに満ちた作品。よくできている。これぞ桐野夏生の世界。ここしばらく桐野作品を読み続けているが、いよいよ残り3作品。桐野夏生は癖になる。
読了日:08月04日 著者:桐野 夏生

 

IN (集英社文庫)IN (集英社文庫)感想
メタフィクションというのだろうか、重層的な構造の物語。これまで読んだ桐野作品とは違う味わいの作品だった。主人公の女流作家"タマキ"と、その恋人だった編集者"青司"とのドロドロした関係は、じつは桐野自身の体験だったのでは?(ネット検索でそのようなゴシップ的記事を読んだ)。この物語のモデルといわれる島尾敏雄・ミホ夫妻の話や島尾の小説『死の棘』にも興味が湧く(『死の棘』は未読)。「小説とは皆の無意識を拾い集めて、物語という時間軸とリアリティを与え、さらに無意識を再編すること」という"タマキ"の独白が印象的。読了日:08月06日 著者:桐野 夏生

現代女性作家読本⑰ 桐野夏生現代女性作家読本⑰ 桐野夏生感想
図書館本。鼎書房という、私がこれまで聞いたことのない出版社から刊行されている「現代女性作家読本」シリーズの17巻目(2013年刊)。桐野夏生作品論31篇を収録。書き手は大学の研究者や学生がほとんどで、いわゆる書評を生業にしている人は少ない。作品論じたいは、さほど面白くなかったが、膨大な数の桐野作品をまとめて読んだ私には、内容を思いだせない作品も多く、あれはこんな内容だったなと思い出すのに役立った。巻末の「桐野夏生 主要参考文献」に並んだ一覧を見て、この作家を論じたくなる評者が多いことに、あらためて驚いた。
読了日:08月09日 著者:現代女性作家読本刊行会(編)

パンとサーカスパンとサーカス感想
図書館本。長い予約行列に並んでようやく順番到来。東京新聞連載時に小間切れで読んでいたが、通して読むことで作者の狙いがひしひしと伝わってくる。読みごたえあり。日本の情けない現状が戯画化されている。リアリティあふれる、この空想物語のように、”メシア”が現れなければ日本という国は救われないのかな?
読了日:08月14日 著者:島田 雅彦

 

カヨと私カヨと私感想
長く愛読してきた内澤旬子さんの新作。福音館書店の月刊誌(母の友)2016年4月号から2021年3月号まで長期連載していたもの。『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(2012年)での養豚奮戦に続き、移住先の小豆島でのヤギとの生活(格闘と呼んでいい)が、内澤さんらしい動物への優しいまなざしをもって描かれている。ヤギたちのイラストも可愛らしいし、なによりも文章がいい。上質紙を使った装幀(ハードカバーだ)も素晴らしい。ヤギの生態をこれほどまで親身になって綴り、まるで人格ならぬ”ヤギ格”が描かれていることに感銘を受けた。
読了日:08月15日 著者:内澤旬子

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)感想
中盤まで主人公マイコが七海という謎の女性(その素性は物語が進むにつれて明らかになるが、モデルらしい人物に心当たりがある)に宛てた手紙で構成されている。桐野さんの小説に多いのだが、始めは抵抗があって読みにくくても、謎が解き明かされていく展開にぐいぐい引き込まれる。終盤の急展開、最後のどんでん返し。これぞ桐野ワールド。傑作だ。解説(芥川賞作家:金原ひとみ)も必読。ずっと桐野さんの作品を後追いしてきて、読み終えた本は処分してきたが、この本だけは手元に置いておきたいと思うほど。あと一冊『デンジャラス』を残すのみ。
読了日:08月17日 著者:桐野 夏生

デンジャラス (中公文庫 (き41-2))デンジャラス (中公文庫 (き41-2))感想
谷崎潤一郎と彼をとり巻く女性たちをモデルにした、生々しい小説。谷崎の最後の妻(松子)の妹(重子)の視点からの一人称単数の語りが延々と続いて、ちょっと気怠かったが、なんとか読了。谷崎潤一郎という文豪の”怪物性”にあらためて驚く(谷崎作品を読んでいないので、イメージだが)。島尾敏雄・ミホ夫妻とモデルにした『IN』や林芙美子をモデルにした『ナニカアル』に通じる、作家桐野夏生の強い思いがひしひしと伝わってくる。この作品で、ひと通り桐野作品を読み切った。新作を待つ。
読了日:08月23日 著者:桐野 夏生

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)感想
再々読。既刊30巻目まで手元にあり、31巻(既刊)で完結するらしいので、あらためて通して読んでみよう。この1巻目は3度目だが、あんがい大きな流れを覚えていない(印象に残るシーンは多いが)。文字が小さいので老眼にはつらいな。最終巻、買わなくては。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。1巻目から通して読み直しているところ。明治末の小樽が思った以上に栄えていたことがわかる。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。狼煙が文字通り狼の糞を燃やして出る煙だったとは!(硝酸分が多く含まれているため燃焼温度が高く、煙が散ることなくまっすぐ高く上がるとか/第27話)。アイヌやマタギの風習・文化を知る。勉強になるなあ。ストーリーの展開もみごと。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。鰊漁、ニシン御殿、アイヌのフンペ(鯨)漁。ニシン御殿には、小学生のときに見学に行ったことを思い出した。辺見和雄という不気味な連続殺人鬼が登場し、次巻からの物語の展開が楽しみ。コミックはすいすい読める。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。アシㇼパの和名と出自が明らかに。舞台は網走へ。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)感想
この巻からは再読。舞台は札幌のホテルへ。謎の女装脱獄囚・家永登場。そして茨戸(現在の札幌市北端、河港の街)でのニシン場と賭場を巡る抗争。話が複雑になってきたが、刺青人皮の謎で読者を引っ張っていく。興味が止まらなくなってきた。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。苫小牧競馬場から日高へ。獰猛な羆退治。開拓期の北海道の様子が描き込まれていて、これまた勉強になる。物語は奇想天外だが、歴史背景やアイヌ風俗・アイヌ語については、よく調べられていると思う。アイヌ語については中川裕氏が監修しているし、作者・野田サトル氏のアイヌ理解も深い。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。夕張炭鉱が明治末期からあったことを知る。なかなか網走に向かわない一行。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読(1巻目から最終巻31巻目まで通読チャレンジ中)。月形の樺戸監獄が出てくる。”脱獄王”白石のスパイ行為がバレて、さて、どうなる?
読了日:08月27日 著者:野田 サトル



ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。今回は最終巻31巻目まで通読中。旭川第7師団(北鎮舞台)と大雪山超え。飛行機が普及する前に気球を軍事用に開発していたとは! 旭川にある「北鎮記念館」、また訪ねてみたいな。 参考サイト<北鎮記念館 ゴールデンカムイと第七師団 旭川 北の防衛と開拓の歴史|北海道ひとり旅@ぼっち旅ブログ> https://boccitabi.xyz/asahikawa-hokuchin/
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。白石を奪還した杉元・アシㇼパ一行。大雪山系から十勝を経て釧路に向かう。北海道の動植物のアイヌ語名がたくさん紹介されている。アイヌがどのように食べていたかも、よくわかる。巻末の参考資料一覧から、作者はアイヌ文化をよく調べて理解していることがうかがえる。「稲妻強盗と蝮のお銀」という実在だったらしい二人も登場(映画「俺たちに明日はない」のモデル、ボニーとクライドの日本版か)。
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。このあたりになると、以前読んだ内容も憶えていない。舞台は道東・釧路。有名な蝗害の描写も。釧路新聞社に勤務していた石川啄木も突然登場。次巻で網走に到達できるのか?アシㇼパの父親の謎は、依然として明かされず。
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読中(17巻目まで)。18巻から最終巻31巻は、初見。まだまだ先は長い。登場人物がどんどん増えてきて、その関係も複雑。一行はついに網走監獄に潜入。そして、第7師団も加わって大きな戦闘に。はたして”のっぺら坊”の招待は?
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 14 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 14 (ヤングジャンプコミックス)感想
これも3年ぶりの再読。網走監獄での攻防戦から脱出した一行は、樺太に渡る。次巻から舞台は樺太に移るのか。物語の舞台の広がりに期待。この巻で、ついに”ノッペラ坊”の正体が明かされた。
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。舞台は樺太へ。樺太・千島交換条約→日露戦争→南樺太が日本領に。こういう国家間の領土のやりとりに、樺太アイヌは翻弄される。北海道(蝦夷地と呼ばれていた頃)もそうだが、アイヌ(千島アイヌ・北海道アイヌ・樺太アイヌ)にとって、国境などなかった。そんなことを、あらためて思い起させる、この巻。
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 16 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 16 (ヤングジャンプコミックス)感想
17巻目までは再読(初読は3年前)。舞台は樺太。キロランケに連れられて北樺太に近い敷香(シスカ)まで北上したアシㇼパ一行。この巻で、北樺太に住むウィルタ、ニヴフという先住民族が紹介される。物語は北海道アイヌから樺太アイヌ、樺太先住民族の世界まで広がっていく。アシㇼパたちを追う杉元一行は、曲芸団一行に出会い、例によってドタバタが繰り広げられる。全31巻の中盤にさしかかって、ますます先行きの展開への期待が広がる。
読了日:08月31日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 17 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 17 (ヤングジャンプコミックス)感想
この巻までは再読。樺太を舞台に物語は進む。アシㇼパ、キロランケ、尾形、白石の一行は、国境を越えて北樺太のアレキサンドロフスクサハリンスキー(亜港)へ。この地の監獄を襲撃する計画を立てる。アシㇼパの父ウイルクの過去が、少しずつ明かされてきた。杉元たちは彼らを追う。灯台守の行方不明の娘スヴェトラーナとキロランケ、ウイルクとの因縁…。次巻18巻目からは初読。この後の展開に期待。
読了日:08月31日 著者:野田 サトル

読書メーター

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2022年8月19日 (金)

【読】桐野夏生 萌え(続)

桐野夏生の作品を読み始めたのは、最近のこと。
昨年2021年3月だった。

『アンボス・ムンドス』という短編集(文春文庫)。
「読書メーター」に、記録がある。

https://bookmeter.com/books/14845471

<タイトルに惹かれて手に取った文庫。表題作「アンボス・ムンドス」は、以前、アンソロジー「日本文学100年の名作第10巻」(新潮文庫、池内紀・川本三郎・松田哲夫/編)に収録されていたのを読んで感銘を受けた作品だった。読後に余韻を残す7つの短・中編集。桐野夏生という作家が紡ぎ出す世界は、一作ごとに違う貌を持っていて、あらためてその才能に感心する。人間の心の闇に気づかされる。小説の醍醐味を味わった。>

そうか、そういうきっかけで読み始めたのだったか。

いや、その前に『柔らかな頬』(直木賞受賞作)を文庫(上下2巻)で読んでいたっけ。

→ 【読】桐野夏生 萌え!: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2022/05/post-57c606.html

その後、おもに新古書店(ブ)で文庫本を買い集めては、断続的に読んできた。
読み終えた本は、次々と”ブ”へ売却。

新古書店で見つからなかった本は、図書館からも借りた。
なかには文庫化されていない最近の単行本もあるが、文庫を優先するのは、巻末の解説を読みたいから。

このたび、ようやく、これまで発表された桐野作品を、ほぼすべて読了しそう。
ただし、『ファイアーボール・ブルース』という、女子プロレスを扱った2作だけは、読んでいないし、本格テビュー前のロマンス小説も見たことがなく、未読。
数えてみると、40作を超える作品を読んでいる。
私にとって、それほど魅力ある作家なのだ。
(もちろん、桐野夏生は好き嫌いが大きく分かれる作家ということは承知しているが)

桐野夏生HP -BUBBLONIA-
http://www.kirino-natsuo.com/

桐野夏生 | ダ・ヴィンチWeb
https://ddnavi.com/person/2327/

最後に今読んでいるのは、これ。

以下、私がこれまでに読んだ桐野作品の記録。
たぶん、単行本の刊行順。
個人的なメモです。

***

【2022/8/19現在】 ●読了 ▲読了(図書館本) ・未読

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
 【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫) ※未読
OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】) ※第51回日本推理作家協会賞受賞作
錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
 所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心
ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
 所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】) ※1999年第121回直木三十五賞受賞作
光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫) ※図書館 3/26- (文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫) ※未読
リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社文庫) ※図書館 3/27- (文庫)
グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年12月 新潮文庫【上・下】) ※Amazon購入
冒険の国(2005年10月 新潮文庫) ※図書館 3/26- (文庫)
アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
 所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス
メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】) ※図書館4/23~
緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫) ※図書館 3/26- (文庫)
 所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?
抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎) ※図書館4/23~
日没(2020年9月 岩波書店)
インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)
砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)
燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

【小説 村野ミロシリーズ】
顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】) ※図書館 3/26- (1997版文庫)
水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】))
 収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル
ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】) ※図書館

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

【エッセイ集】
蛇教異端審問(2005年1月 文藝春秋 / 2008年1月 文春文庫) - エッセイ集
The cool!桐野夏生スペシャル(2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)- 書き下ろし作「朋萌え!」や未発表作「プール」他、25ページにわたるカラーグラビア等、桐野夏生の基本情報が掲載

【対談集】
発火点(2009年9月 文藝春秋 / 2012年12月 文春文庫)

 

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2022年8月 1日 (月)

【読】2022年7月に読んだ本(読書メーター)

7月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:6128
ナイス数:201

ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡感想
トミー・コールドウェルの『ザ・プッシュ』で知ったクライマー アレックス・オノルド(ホノルドと表記するのが正しいらしいが)とデイヴィッド・ロバーツとの共著。ロープやギヤ類をいっさい使わず、いわば裸一貫で岸壁を登る”フリーソロ”。考えてみれば、きわめて原初的な岩登りのスタイルで、そこに魅力を感じる。もちろん、落ちてしまえば一巻の終わりで、ふつうの人には真似できないことだ。コールドウェルもそうだったが、このオノルドも人間的な魅力に富む人物。手に汗握る映像も見てみたいものだ。
読了日:07月01日 著者:アレックス・オノルド,ディヴィッド・ロバーツ


日本国憲法日本国憲法感想
先日読んだばかりの小説『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)の著者が、2007年に上梓した本。この小説のベースになっているフジテレビの深夜番組「NONFIX」で試みようとしてできなかったことの顛末が、詳しく書かれている。憲法一条と九条への著者の思い・考えが綴られていて、あらためて憲法について考えさせられることが多かった。日本国憲法の最初の単語が「朕(ちん)」だという指摘にハッとした。「朕は、…帝国議会の決議を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」
読了日:07月03日 著者:森 達也


戦争の日々(上)―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント戦争の日々(上)―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント感想
週刊金曜日2022/4/8号に掲載されていた『千代田区一番一号のラビリンス』の著者・森達也氏へのインタビュー記事を読んだ。そこに現代書館社長の菊地泰博氏へのインタビュー記事もあり、この本が紹介されていた。先の戦争についてはさまざまな本があるが、朝倉喬司氏による上下2巻のこの著作は知らなかった。まさに「戦時下日本のドキュメント」で、当時の指導者たちから巷間の無名の人びとにいたるまで、新聞記事などをたんねんに追って、その実相に迫っている。日米開戦に至る両国の交渉の裏話(米大使グルーの日記など)が興味深い。
読了日:07月07日 著者:朝倉 喬司


戦争の日々〈下〉天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント戦争の日々〈下〉天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント感想
当時の日記や手記(有名無名を問わず様々な人が遺した)、新聞・雑誌記事、市井の噂や流言飛語などを構成することで、あの戦争の姿をあぶり出す。まさに「実況ドキュメント」。下巻では1941年12月の開戦から、緒戦の勝利に沸く熱狂とそれに続く劣勢、敗戦までの日々が綴られている。終章、沖縄戦での幼女のエピソード(母親と二人で逃げ回っていて母親が死亡、通りがかりの人に拾われて壕に連れて来られたが、食べ物も一切受け付けずひと言も発しなかった)が胸に迫る。昭和18年生れの著者は、この幼女に自分自身を重ね合わせている。
読了日:07月11日 著者:朝倉 喬司


燕は戻ってこない (集英社文芸単行本)燕は戻ってこない (集英社文芸単行本)感想
ひさしぶりに桐野夏生作品を読んだ。2022年3月刊行の最新作。代理母(代理出産の一種)という、きわめて現代的なテーマ。実質的なデビュー作『OUT』につながる「女性たちの困窮と憤怒」(帯の惹句)が描かれる。終幕、主人公リキの決断に、何やら救われる思い。いい後味だった。物語の展開にかかわる「りりこ」の強烈な個性が印象的。
読了日:07月12日 著者:桐野夏生


ロンリネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)ロンリネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)感想
『ハピネス』の続編とは知らず先に読んでしまった。タワーマンションとか、ママ友とか、縁遠い世界だが、主人公女性の懊悩は理解できる。結末にもう少しひねりがあるかと思ったが、これはこれで桐野夏生らしいクロージングかもしれない。『ハピネス』も読まなくては。
読了日:07月14日 著者:桐野 夏生


ハピネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)ハピネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)感想
先に読んでしまった『ロンリネス』につながる作品。高級タワーマンションに暮らすプチセレブと呼ぶべき主婦たち=ママ友どうしの見栄の張り合いに翻弄される主人公、彼女と親しいヤンママ風の美雨ママ、お受験に奔走する3人のママたち。そこにダブル不倫や主人公と夫との軋轢がからむ。なかなか面白い。作品として未完の感が否めないのは、続編を想定して書かれたからか。文庫解説(斉藤美奈子)の指摘が鋭い。未完ということなら、続編の『ロンリネス』も、その先の展開が気になるところ。光文社のプチセレブ向け女性誌「VERY」連載とのこと。
読了日:07月16日 著者:桐野 夏生


魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)感想
感想は下巻読了後に。文庫上下2巻に分けるほどの分量ではないのに、と思う。たしかに文庫1冊にすると600ページを超える長編だが。
読了日:07月17日 著者:桐野 夏生

 

魂萌え!〔下〕 (新潮文庫)魂萌え!〔下〕 (新潮文庫)感想
桐野夏生らしい作品。文庫解説(星野智幸)によれば、桐野作品には「ホワイト桐野ワールド」と「ブラック桐野ワールド」があるという。たしかに。この小説は「ホワイト」、つまり平凡な専業主婦の平凡な日常からの微妙な脱出(夫の急死であきらかになる事実と彼女の変化)の物語だ。これまで読んだ作品の中では『だから荒野』を連想させる。ラスト、ちょっとしたどんでん返し的エピソードをもってくるあたり、さすがの小説巧者。
読了日:07月18日 著者:桐野 夏生


抱く女 (新潮文庫)抱く女 (新潮文庫)感想
予備知識なく読んだので、タイトルからどんな小説かと思ったが、1972年の時代の匂いが濃厚。桐野さんは私と同年生まれで、内ゲバ時代の当事者世代だったことを思い起す。冒頭、雀荘にたむろする無気力な若者たちの姿にうんざりしながら読んでいたが、女性ジャズシンガーとの出会いあたりから懐かしい思いがした。酒癖の悪いジャズピアニストなど、いかにも居そうで笑ってしまった。主人公直子に頑張れよと声をかけたくなった。時代の色が濃厚だが、普遍的なテーマを内蔵する青春小説といえるだろう。またしばらく桐野ワールドにのめり込みそう。
読了日:07月19日 著者:桐野 夏生


猿の見る夢 (講談社文庫)猿の見る夢 (講談社文庫)感想
これも予備知識なしで読んだが、タイトルが秀逸。自己中心的でいながら、とんでもなく間抜けな主人公(一見、社会的な地位もあり金銭的にも恵まれている会社役員)の破滅へ向かうドジな道のりが、コミカルに描かれている。文庫解説・関川夏央が言うように、こういうサラリーマンは巷にありふれているのかも。物語の展開のテンポが巧妙で、いっきに読ませる。狐につままれたようなラストが不気味。
読了日:07月20日 著者:桐野 夏生


メタボラ (文春文庫)メタボラ (文春文庫)感想
タイトルが謎のまま、予備知識なしで読んだこの小説は、桐野作品の中でも何本指かに入る傑作だと思う。舞台は沖縄。それだけでも私にはうれしいのだが、副主人公ともいえる宮古島出身の男の島言葉が、この男のキャラクターを巧みに現わしていて、さすが桐野夏生だと感心した。主人公の過去が徐々に明かされていく展開も巧み。2005年11月から2006年12月にかけて朝日新聞に連載。現代沖縄の姿がよく描かれている。
読了日:07月22日 著者:桐野 夏生


優しいおとな (中公文庫)優しいおとな (中公文庫)感想
これも傑作。文庫解説で雨宮処凛が「熱烈な桐野ファン」と告白している。雨宮さんには秘かに注目しているので、嬉しい。この小説も、桐野作品らしく現代日本の深刻な問題(貧困問題、家族問題)を、これでもかと抉り出していて、強烈なのだが、どこか人の”優しさ”を信じたくなる、温かなまなざしが感じられる。巻末にあげられている参考文献(学術的で難しそうな書名)を見ると、この作品にこめられた作者の熱意が伝わってくる。
読了日:07月24日 著者:桐野 夏生


路上のX (朝日文庫)路上のX (朝日文庫)感想
桐野夏生作品には「ブラック桐野ワールド」と「ホワイト桐野ワールド」の2種類があるという説を読んだことがあるが、これはブラックもブラック、真っ黒な、現代の女子高生たちをとりまく世界。文庫版解説(仁藤夢乃=Colabo代表)を読むと、これが現代日本の生々しい現実なのだと納得。絶望的な気分になる。少女たちを食い物にする男たち、自分の子どもたちを見捨てるどころか虐待する親たち、隔離施設に閉じ込めることしかしない・できない行政。この現実を直視させられた。物語の展開は、さすが桐野さん。最後の種明かしが秀逸。傑作だ。
読了日:07月26日 著者:桐野 夏生


グロテスク 上 (文春文庫)グロテスク 上 (文春文庫)感想
<名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。>(文庫カバー)とあるが、表題どおり”グロテスク”な世界。ちょと辟易しながら、なんとか読了。上巻ではさまざまな謎が解かれておらず、下巻での展開が楽しみではある。
読了日:07月29日 著者:桐野 夏生

 

グロテスク 下 (文春文庫)グロテスク 下 (文春文庫)感想
下巻の冒頭「張(チャン)の上申書」で物語の流れがガラッと変わり、桐野夏生らしい凝った構成。悪意に満ちた独白と登場人物たちの手記・日記で構成されるおどろおどろしい世界。あまり好きではないが、最後まで読者を引っ張るところは、さすが。好悪が分かれる問題作だと思う。文庫版解説(斉藤美奈子)がなかなか鋭い。
読了日:07月31日 著者:桐野 夏生

読書メーター

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2022年7月 1日 (金)

【読】2022年6月に読んだ本(読書メーター)

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3560
ナイス数:170

日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで感想
山好きにはたまらない一冊。1971年の松浦輝夫・植村直己による日本人初登頂から、近年の栗城史多まで、通史的に紹介されていて、エベレストに向けられる憧憬がひしひしと伝わってくる。それにしても、公募隊というガイド登山によって一般の人でも登れるようになったとは、驚きだ。ノーマルルートに張り巡らされたフィックスロープをたどって行けば(数々の難所はあるにしても)頂上にたどり着けるらしい(もちろん体力が必要だし、酸素ボンベは必須だが)。414ページに掲載されている頂上直下の大渋滞写真にも驚いた。
読了日:06月02日 著者:

ぼくは冒険案内人ぼくは冒険案内人感想
先に読んだ『日本人とエベレスト』(山と渓谷社/2022年)で、この著者(国際山岳ガイド)を知った。元気いっぱいのガイドさん。ヒマラヤの高山やヨーロッパアルプスの登山の実態もよくわかった。たとえば、ヒマラヤの8千メートル峰には放置されたままの遺体がたくさんあること、エベレスト登頂後にお客さんを死なせてしまった経験など…。著者が目指している山岳ガイドの姿には共感した。こういう人にガイドしてもらえば、2009年のトムラウシ山遭難事故(旅行会社主催で雇われガイドが率いたツアー登山だった)などは起きなかったと思う。
読了日:06月08日 著者:近藤 謙司

近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山感想
Kindle版を読むことはめったにないのだが、カラー写真がきれいだし、拡大表示もできるのがよかった。2011年、あの東日本大震災の直後、エベレストへのガイド登山のルポ。近藤ガイドの現地からのブログ投稿と、日本の事務所からの投稿によって、臨場感あふれる登頂記録になっている。
読了日:06月08日 著者:近藤謙司

 

「おくのほそ道」をたどる旅: 路線バスと徒歩で行く1612 キロ (999;999) (平凡社新書 999)「おくのほそ道」をたどる旅: 路線バスと徒歩で行く1612 キロ (999;999) (平凡社新書 999)感想
芭蕉の「おくのほそ道」を路線バスと徒歩で行く、と銘打っているが、列車やタクシー、レンタカーまで使って、できる限り芭蕉と曾良が歩いた道を探る紀行文。ところどころで昔の旧街道をみつけたり、田んぼから新幹線が超高速で走り去る姿を見て感慨にふけったり、地元の人が利用する100円均一の市営バス(コミュニティバス)に乗るのを申し訳なく思ったり…と、バックパッカーらしい視点が好ましい。芭蕉の同行者曾良の苦労を思いやる著者の優しさにも好感が持てる。著者にはアジアや沖縄の寄稿文が多数ある。読んでみたい気分になった。
読了日:06月09日 著者:下川 裕治

You are what you read あなたは読んだものに他ならないYou are what you read あなたは読んだものに他ならない感想
ひそかに敬愛する服部文祥さんが書いた読書ガイド(「本の雑誌」連載書評)をまとめた本。59冊の興味深い本が、文祥さんらしい硬質で巧みな文章で紹介されている。私は池澤夏樹さんの文章を連想した。どれも読みたくなる本ばかりだ。"サバイバル登山"を実践し、都市でのサバイバル生活を続ける(その様子は配偶者服部小雪さんの『はっとりさんちの狩猟な毎日』河出書房新社2018年)この人らしい選書もあれば、まんが本や科学書もあって、いったい彼の読書の幅はどうなってるんだ、と驚くが、「岳人」編集者らしい見識なのだろう。
読了日:06月16日 著者:服部文祥

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)感想
東京都東久留米市の滝山団地は私の住まいから近く、この本に出てくる土地には馴染みがある。著者原武史さんの皇室関係の本をわりとよく読んでいて好きな書き手なので、以前から気になっていた。「滝山コミューン」とは「国家権力からの自立と、児童を主権者とする民主的な学園の確立を目指したその地域共同体」だった。1974~75年頃のことだ。当時、この団地のマンモス小学校の生徒だった原少年が抱いていた強い違和感・疎外感が、本書を著す契機になっている。文庫版解説は桐野夏生。原さんは桐野作品の解説を書いたり対談もしている。
読了日:06月16日 著者:原 武史

千代田区一番一号のラビリンス千代田区一番一号のラビリンス感想
書評家岡崎武志さんの書評(東京新聞2022年6月12日)を読み、がぜん読みたくなった小説。実在の人物(山本太郎氏、さかなクン、一水会代表木村三浩氏、等々)の逸話がリアル。天皇皇后(現上皇ご夫妻)の日常生活と皇居地下のラビリンス(迷宮)探検と幻想的な展開は、作者の”妄想”(作者がインタビューでそう表現している)。天皇制とは? 憲法一条がいう"象徴"とは何?(憲法では何も説明していないし、日本国民の総意というが国民投票をしたわけでもない)。さまざまな問題提起を孕みながらも、上皇ご夫妻に対する好意がうかがえる。
読了日:06月20日 著者:森達也

空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)感想
作家の桐野夏生さんが、この著者ジョン・クラカワーを愛読していると知り、何冊か買い求めたなかの一冊。服部文祥さんも書評を集めた『You are what you read』(本の雑誌社)のなかで言及している。1996年のエベレストでの大量遭難については、少し前に読んだ『日本人とエベレスト』(山と渓谷社)で知ったばかり。エベレストの高所(デスゾーン)の過酷さが伝わってきて息をのむ展開。プロの登山家でなくてもガイドに率いられて登頂できるようになった「公募登山」の実態がよくわかる。この文庫版の解説は石川直樹氏。
読了日:06月24日 著者:ジョン・クラカワー

ザ・プッシュ:ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡ザ・プッシュ:ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡感想
服部文祥さんの著作(書評集)で知った本。フリークライミングで”ドーン・ウォール”と呼ばれるヨセミテ エル・キャピタンの長大な岸壁を初完登した著者の自伝。息詰まる展開。文章・訳文が良く、抵抗なく読み通せた。頻出するクライミングの専門用語もネット検索で補足理解できた(ごく初歩のクライミング体験があったので)。もっと写真があるといいのにと思った。「The Dawn Wall」という映像作品にこのクライミングの様子が写されているというので見てみたいが、本書では著者の内面の葛藤が克明に描かれている。
読了日:06月27日 著者:トミー・コールドウェル

増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)感想
ずっと気になっていた人の本。少し前に読んだ『空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日』 (ヤマケイ文庫)の解説が、この石川直樹さんだった。少年少女向けシリーズ(よりみちパン!セ)なので、漢字にルビが振ってあったりして読みやすい。角幡唯介さんの2年後輩(早稲田大学)だったことを知る。服部文祥さんいわく「服部・角幡・石川三兄弟」。じつは、過去にこの石川直樹さんのこと(ある事故)をネット記事で読んだことがあって、なんとなく敬遠していたのだが、著書を読んでみて好感の持てる人だと感じた。先入観はいけないな。
読了日:06月28日 著者:石川直樹

ぼくの道具ぼくの道具感想
登山道具やキャンプ用具が好きなので、この本は楽しめた。外国の高山でしか使わないような羽毛服や高所靴、写真家らしいプロ向きカメラの数々など、私には縁遠い品物も、豊富な写真(巻頭のカラー写真が美しい)と文章で、とても興味深かった。失敗に終わった「2015年夏 K2登攀記」も、いい。靴紐をいちいち結ぶかどうかの話(P119)に出てくる「人生指南の量産している作家」「何を言ってるんだこの人は」とは五木寛之氏のことだろうと想像して、クスっと笑う。「ポメラ」という簡易な文書入力機器を初めて知った。これは便利そうだ。
読了日:06月29日 著者:石川直樹

読書メーター

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2022年6月14日 (火)

【読】服部文祥さんの書評本

"サバイバル登山家"を自称する服部文祥さんの、書評を集めた本を図書館でみつけて、読んでいる。

『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』
 本の雑誌社 2021/2/19 264ページ

まだ読みかけだが、たいへん面白い本なので、ここに記録しておこうと思う。

英語圏には "You are what you ate (eat).” という慣用句があるそうだ。
服部文祥さんは、まえがき(はじめに)で、この書名の由来を語っている。

(はじめに、より)

<本書の主題は、私のライフワークに影響を与えたり、資料として参照したりした「面白本」を紹介することである。私が憧れる世界観を上手に表現している愉快な作品や過去の探検記、パラダイムシフト的発見を報告するサイエンスノンフィクションなども取り上げる。
 私のライフワークは登山であり、その登山はサバイバル登山である。サバイバル登山とは食料や燃料を現地調達しながら、できるだけ現代装備や現代文明に頼らずに、長期間野生環境(山岳地帯)を旅する登山である。>

そして、最後に――

<食べたものが自分自身を作る、と先に書いた。同時に私は、これまで読んできた書物からも作られている。(中略)そういう意味で、I am what I read 私は読んできたものに他ならない。>

そこらの書評とちがうのは、著者の個人的な関心(人間や生きものの生死とは何か)に引き寄せて、読んできた書物から受け取ったエッセンスを綴り、考察を続けているところ、と言ったらいいか。

辛辣な言葉も多いが、いかにも服部さんらしい。
まだ半分しか読んでいないが、読んでいてハッとした文章を拾いだしてみる。
(駄洒落じゃないが、文祥さんの文章は巧みだ)

<何かを食べることは後ろめたいことなのだろうか。食べ物に対する感謝や「いただきます」という言葉が免罪符のようになっているのはなぜなのだろう。/すべての生き物が「生き続けたい」(死にたくない)という思いを持っている(ように見える)。「生きたい」と思っている動物の命を、自分が生き続けるために終わらせて食べる。それは自分の「生きたい」を優先させていることに他ならない。我ながらその自分の傲慢さに心が痛む。ならば少なくとも、自分のために死んだ命に感謝くらいしよう、ということで「いただきます」。/やっぱりそれはそれでいいのかもしれない。>
(P.16 『極北 フラム号極北漂流記』)

服部文祥さんは、狩猟もする。
猟師ならではの実感がこもった言葉だ。

<仲良くなったヒグマを勘違いから撃ち殺してしまうアイヌ猟師の話が心に残る。(中略)死は悲しい。獲物の死であっても悲しさは付随する。だが、かつて生きて今はいない命を回想する切なさは、否定すべきではない。それは人生を豊かにしてくれる。それが命(生+死)に触れるということだと私は思う。> 
(P.27 『秘境釣行記』『羆吼ゆる山』『アラシ』)

<登山者が死ぬような思いをしないで強くなる方法。効いたときは魅力的に見えたその提案を、最近の私は疑っている。登山者は結局、リスクを求めて山に行っているからだ。だが、戦争は違う。本書には武勇伝がひとつもない。その点が戦記物と決定的に違っている。ただ静かに戦前戦中戦後を生きた人生の無常と機微を報告する。そして激しく心を揺さぶられる。> 
(P.31 『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』)

小熊英二氏が父親、小熊謙二氏(シベリア抑留から生還した)を描いたこの新書を、私も読んで感動したことを覚えている。
内容はすっかり忘れているが。

<死んでしまったら意味がない、死んだらつまらない、死んだらおしまいだなどと人は口にする。/まるで生き続けていれば、人生は意味があり、面白く、終わらないかのようだ。/生きるとは何だろうか。/登山を志して道半ばで死んでいった人々の人生を、夢を完遂できなかったという意味で、もったいない、ということはできるかもしれない。だが、山を舞台に自分とは何かを突き詰める行為に人生を費やし、そこで死んでいった仲間を私は否定することができない。>
(P.77 『夜間飛行』『人間の土地』)

***

きりがないので、これぐらいにしておこう。
半分弱の107ページまで読んで、私のきもちを動かした文章が、これらだ。

読み終えたら図書館に返却してしまうので、この本で取り上げられている書物(目次)を、Amazonから転載しておこう。
ちなみに、この書評集は、雑誌「本の雑誌」に、2015年7月号から2020年8月号まで連載されていた書評を集めたもの。

これらのなかには、いつか読んでみたい本が、いくつかある。

(数字はページ番号)

目次
はじめに 一個一四円の卵から考える食と読から作られる我 11

史上最高の人類ナンセンの究極の旅『極北』を読む 16
『極北 フラム号北極漂流記』フリッチョフ・ナンセン著/加納一郎訳

現象はすべて命だデルスーを世に知らしめたアルセーニエフ 20
『デルスー・ウザーラ』アルセーニエフ著/長谷川四郎訳

攻撃の直前ヒグマは立ち上がるモンゴロイドよその隙をつけ 24
『秘境釣行記』『羆吼ゆる山』『アラシ』今野保著

究極のサバイバル道具は針とナベ無常機微機知シベリア抑留 28
『生きて帰ってきた男 ─ある日本兵の戦争と戦後』小熊英二著

悟りたいのは面白いから登りたいのも面白いから 32
『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』魚川祐司著

野生獣食らうにふさわしいヤツなんていない切ないならばなぜ狩る 36
『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ著/小川高義訳

最悪はまだまし最期の報告は語る者なくメモと屍 40
『世界最悪の旅:悲運のスコット南極探検隊』 アプスレイ・チェリー・ガラード著/加納一郎訳

邦訳の読者は知らない驚愕の後日談「だれが裏切ったんだ?」 44
『凍える海 極寒を24ヶ月間生き抜いた男たち』 ヴァレリアン・アルバーノフ著/海津正彦訳

死んでいない状態それは生きている? 空を飛ぶもの山を行くもの 48
〈スカイ・クロラ〉シリーズ 森博嗣著

狙われる気持ち知りたい動物の感覚探る先で見るもの 52
『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』 テンプル・グランディン著/キャサリン・ジョンソン著/中尾ゆかり訳

来しかたを調べ行く末を描くもわからず終了試験落第 56
『私たちはどこから来て、どこへ行くのか 科学に「いのち」の根源を問う』 森達也著

いのちを知るために外から観察す視点アンディ何を見るのか 60
『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩著

自分以外になぜかなれないこの世界命の起源哲学降参 64
『存在と時間 哲学探究1』永井均著

文明はしあわせですか生きていますかアマゾンの最奥地より 68
『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』 ダニエル・L・エヴェレット著/屋代通子訳

いつか来る終末世界タフで繊細私の銃もレバーアクション 72
『極北』マーセル・セロー著/村上春樹訳

よたよたと大地を離れた飛行機は登山者と似て野望を乗せて 76
『夜間飛行』『人間の土地』サン=テグジュペリ著/堀口大學訳

文無しになるまで自分を追い詰めて乗るマグロ漁船刺身特売 80
『漂流』角幡唯介著

情熱を失わないのが才能と羽生は言うけど藤井どうなの 84
『棋士という人生 傑作将棋アンソロジー』大崎善生編

時に食べ時に食べられぐるぐると命とはまわるディストピア考 88
『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美著

命懸け価値があるのかないのかは命懸けなきゃわからない斬る 92
〈ヴォイド・シェイパ〉シリーズ 森博嗣著

飲み過ぎて迎えた朝にうなだれてたどる記憶に似た人類史 96
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

ベストセラー読んでいない人のためスーパーダイジェスト我らどこ行く 100
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 下』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

撃つ前は獲物を想い己を殺す猟師ケモノの夢を見るのか 104
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック著/浅倉久志訳

かけがえのないはずの命消費してうねる世界で我は食うなり 108
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

生態系の向こうに行くか近未来 意志にはかたち嵩重さなし 112
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

人類をここまで導く好奇心 誰も死なない明日は明日か 116
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

アムンセン隊去ったあとのイヌイット青い目の子をつぎつぎと産む 120
『最後のヴァイキング ローアル・アムンセンの生涯』 スティーブン・R・バウン著/小林政子訳

読書感想文書きたくない娘 「本の雑誌」を敵として見る 124
『マヤの一生』椋鳩十著

アラスカ版デルスー、シドニー・ハンチントンその人生を表す題なし 128
『熱きアラスカ魂』 シドニー・ハンチントン著/ジム・リアデン編/和田穹男訳

体験は善も悪もなくそこにあるあの時の我いまどこにいる 132
『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア著/伊藤典夫訳

狩猟とはなにかド直球で問いただす狩りの言葉のSFラブコメ 136
『明日の狩りの詞の』石川博品著

天稟のすべてを出すのが犬の幸せリスク見積もる人にわからず 140
『犬物語』ジャック・ロンドン著/柴田元幸訳

ネタバレの心配がないネタがない でも面白い文字列の意義 144
『光の犬』松家仁之著

西部劇のように荒野を旅したい犬とライフルを相棒にして 148
『オンブレ』エルモア・レナード著/村上春樹訳

便利安全快適な今日予定調和でつまらない明日 152
『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ著/布施由紀子訳

最強のコマンチ族文明と戦って最後の族長数奇な運命 156
『史上最強のインディアン コマンチ族の興亡』S・C・グウィン著/森夏樹訳

戦慄の光景それは風景でなく情景である色即是空 160
『孤島の祈り』イザベル・オティシエ著/橘明美訳

入れ子式の夢を見ている夢を見る自ら死を待つ番になるとき 164
『休戦』プリーモ・レーヴィ著/竹山博央訳

年老いた少年レバーアクションを手にアメリカ南部文学を読む 168
『ねじれた文字、ねじれた路』 トム・フランクリン著/伏見威蕃訳

アラスカの森で独り脱化石燃料試すオッサン魂 172
『独りだけのウィルダーネス アラスカ・森の生活』 リチャード ・プローンネク著/サム・キース編/吉川竣二訳

アンディに地位を奪われ家畜と堕すデジタル未来をアナログで読む 176
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

死にたくはないけどいつか死ぬいいえゆっくり死んで戻る生前? 180
『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』 シェリー・ケーガン著/柴田裕之訳

水垢離息止め鍛える代謝免疫いま健康は辛く厳しい 184
『サバイバルボディー 人類の失われた身体能力を取り戻す』 スコット・カーニー著/小林由香利訳

唯一無二の人生映す発想はそのまま人格避けて進めず 188
『NORTH 北へ アパラチアン・トレイルを踏破して見つけた僕の道』 スコット・ジュレク著/栗木さつき訳

〝ただ生きる〞ために殺す必然性開拓時代の老猟師手記 192
『ヒグマとの戦い ある老狩人の手記』西村武重著

末端の物資生活人員が映す敗戦兵の惨状 196
『日本軍兵士 ─アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕著

獲物になったり戻ったり猟師的視野新人類学 200
『ソウル・ハンターズ シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』 レーン・ウィラースレフ著/奥野克巳、近藤祉秋、古川不可知訳

感じない機械に世界はあるのだろうか五蘊皆空とブッダ言うけど 204
『人工知能はなぜ椅子に座れないのか情報化社会における「知」と「生命」』松田雄馬著

まだ死ねない現生人類に科せられた幸福な報い介護と看取り 208
『死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者』小堀鷗一郎著

食肉は迷宮にありひも解いてケモノと共に影と闘う 212
『いのちへの礼儀 国家・資本・家族の変容と動物たち』生田武志著

生まれ出ていままで生きてきたなかで一番きれいな約束だから 216
『流砂』ヘニング・マンケル著/柳沢由実子訳

自己矛盾感じ己を否定するとき スタンドバイミーハニーハンター 220
『HONEY HUNTERS OF NEPAL』Eric Valli, Diane Summers著

命とは流動系のひとつのかたち特別でなく物理法則 224
『流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則』 エイドリアン・ベジャン、J・ペダー・ゼイン著/柴田裕之訳

意識ある存在であるこの奇跡「いつか消える」と必ずいっしょ 228
『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』高村友也著

北海道無銭二ヶ月旅のあと十二国を二ヶ月旅す 232
『図南の翼』小野不由美著

名犬であれと信じて旅をした 駄人駄犬と気づかないまま 236
『ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』島泰三著

外界はそのまま己鍛えて登れ世界とフェアに向き合う命 240
『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡』 トミー・コールドウェル著/堀内瑛司訳

セイウチに父を殺されエスキモー少年皮嚙み雪原をゆく 244
『北のはてのイービク』 ピーパルク・フロイゲン著/野村泫訳

給料の代わりにもらった銃を手に森に入った猟師リア充 248
『俺のアラスカ 伝説の〝日本人トラッパー〟が語る狩猟生活』伊藤精一著

あとがきにかえて 私と山岳書 252

 

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2022年6月 1日 (水)

【読】2022年5月に読んだ本(読書メーター)

5月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1635
ナイス数:67

ポリティコン 上 (文春文庫)ポリティコン 上 (文春文庫)感想
読み応えのある長編。濃密。描かれている東北の共同体が、井上ひさしの「吉里吉里人」を連想させるが、こちらはもっとドロドロした人間関係で、息もつかせない。下巻の展開が楽しみ。
読了日:05月02日 著者:桐野 夏生

 


ポリティコン 下 (文春文庫)ポリティコン 下 (文春文庫)感想
週刊文春2007年から2008年連載、2011年2月(東日本大震災の直前に)上梓。図書館の文庫本(上下2巻、2014年刊)で読んだ。重厚な長編小説だった。物語は意外な結末を迎えて一種のカタルシスをおぼえた。文庫の解説は原武史氏(この解説が小説の背景を読み解いていて実にいい)。『文藝春秋』2011年3月号所収の桐野・原両氏の対談「無縁社会 日本を生き続ける知恵」で、この作品の背景が語られているらしい。
http://eight-half.shop-pro.jp/?pid=98146659
読了日:05月05日 著者:桐野 夏生


海外メディアは見た 不思議の国ニッポン 新しい世界 (講談社現代新書)海外メディアは見た 不思議の国ニッポン 新しい世界 (講談社現代新書)感想
世界中のメディアから厳選した記事を日本語で提供している会員制ウェブメディア「クーリエ・ジャポン」の記事からの抜粋。日本は海外(といっても欧米の大手メディアばかりだが)からどう見られているかとか、日本独特の制度・風習・社会現象が取り上げられているが、さほど目新しいものはないかな、という印象。ちょっと期待外れ。ただ、第5章「日本の深奥」(平成日本と天皇、女性後続の苦悩)だけは面白かった。海外から日本の皇室・天皇はこんなふうに見えているのか、ということがわかり、日本人の「目から鱗」を落としてくれる内容。
読了日:05月08日 著者:


「問う」を学ぶ 答えなき時代の学問「問う」を学ぶ 答えなき時代の学問感想
ウエブサイト「トイビト 学問する人のポータルサイト」で配信されたインタビューの書籍化。サイトを立ち上げた加藤哲彦氏が12人の論客にインタビューし、それぞれの持論を引き出している。全体に知的刺激を受ける内容だったが、社会学分野の話には付いて行けない(理解しがたい/同意しがたい)ものもあった。なかで、興味深くおもしろかったのは、中村桂子(生きものとして生きるということ)、池内了(宇宙はどうはじまったのか)、内田樹(ユダヤ学入門)、野矢茂樹(この世界は他者にどう現れているか)。図書館本(他市からの借用資料)。
読了日:05月22日 著者:中村 桂子,島薗 進,辻 信一,中村 寛,奥村 隆,吉澤 夏子,江原 由美子,広井 良典,池内 了,内田 樹,小川 隆,野矢 茂樹

読書メーター

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2022年5月19日 (木)

【読】桐野夏生 萌え!

現代日本の流行作家を熱心に追いかけているわけではないので、知らない作家は数多い。
図書館や書店で名前をよく見る現代作家でも、読んだことのない作家がほとんど。
あたりまえといえば、あたりまえだ。

そんななか、桐野夏生という多作で魅力的な作家に出会えたことは、貴重な読書体験といえる。
私の肌に合う作家だった。
最初に読んだのは『柔らかな頬』(直木賞受賞作)。

 

これにはショックを受けた。
読んだのはつい最近、昨年2021年3月。
それから1年ちょっとのあいだに、かなりたくさんの作品を読み続けている。
まさに、桐野夏生”萌え”である(※)

※萌え(もえ)とは、日本のサブカルチャーにおけるスラングで、主にアニメ・ゲーム・アイドルなどにおける、キャラクター・人物などへの強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちをいう俗語。意味についての確かな定義はなく、対象に対して抱くさまざまな好意の感情を表す。(Wikipedia)

”萌え”と表現するのはいかがなものか、という気もするが、桐野さんには『魂萌え』という小説もあるので、なんとなく使ってみた。

◆桐野夏生作品リスト◆
あまりにもたくさんあるので、備忘録として、下に掲げるリストを作っている。
読み終えたもの、これから読むもの、手元にないもの、がわかるようにしている。
さすがに、初期の「ロマンス小説」群は入手困難ということもあって読んでいない。

文庫はブックオフで購入して、読み終えた本は、どんどんブックオフに持って行っている。
ほんとうは、新刊書店で購入して著者の印税収入に貢献しないといけない、と思うのだが。

文庫化されていない近作は、単行本を図書館から借りたり(予約待ち行列が長い)、待ちきれなくて自腹で買ったものもある。

【2022/5/19現在】 〇持っていて未読 ●読了 ▲読了(図書館本)

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫)
●OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】) ※第51回日本推理作家協会賞受賞作
●錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
[所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心]
●ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
●柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】)
 ※1999年第121回直木三十五賞受賞作
●光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
▲玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫)
▲リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社文庫)
〇グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
●残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
〇I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
〇魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年12月 新潮文庫【上・下】)
▲冒険の国(2005年10月 新潮文庫) ※東大和市立図書館 3/26- (文庫)
●アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
[所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス]
〇メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
●東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
●女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
〇IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
●ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
〇優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
▲ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】)
〇緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
〇ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
●だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
〇夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
▲奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫)
[所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?]
〇抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
●バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
〇猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
●夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
〇デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
〇路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
〇ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
▲とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎)
●日没(2020年9月 岩波書店)

 

●インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)

 

●砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)

 

・燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

 

【小説 村野ミロシリーズ】
▲顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
▲天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】)
●水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
●ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】)
[収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル]
▲ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】)

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

【エッセイ集】
●蛇教異端審問(2005年1月 文藝春秋 / 2008年1月 文春文庫) - エッセイ集
〇The cool!桐野夏生スペシャル(2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)- 書き下ろし作「朋萌え!」や未発表作「プール」他、25ページにわたるカラーグラビア等、桐野夏生の基本情報が掲載

【対談集】
●発火点(2009年9月 文藝春秋 / 2012年12月 文春文庫)

こうしてみると、まだまだ未読作品が残っているし、最新作『燕は戻ってこない』も図書館の予約待ち。
楽しみがあって、いいのだ。

「病膏肓に入る」などと、いかめしい”たとえ” (※)を使ってしまいたくなるが、古い雑誌(ムック)の特集号やら、原武史さんとの対談が掲載されている「文藝春秋」のバックナンバー(2011年3月号)まで、ネットでみつけて手に入れた。

※病膏肓に入る(読み)やまいこうこうにいる
病気が重くなって、治る見込みがなくなること。転じて、あるものごとに極端に熱中して、手のつけられないほどになることのたとえ。
[由来] 「春秋左氏伝―成公一〇年」に見える話から。紀元前六世紀、春秋時代の中国でのこと。晋しんという国の君主、景公は、病気が重くなったので、隣国から医師を呼ぶことにしました。すると、景公の夢に、病気が二人の子どもになって出て来ました。一人が「名医から逃れるには、どこに隠れればいいかな」と言うと、もう一人は「肓こうの上、膏こうの下に居おらば、我を若何いかんせん(横隔膜の上、心臓の下に入れば、おれたちをどうにもできないよ)」と返事していました。その後の医師の診断は、「病気の原因が横隔膜の上と心臓の下に入ってしまっているから、治療できない」とのこと。景公は、「彼は名医だ」と言って、謝礼をたくさん与えて帰らせたのでした。 (コトバンク)

【書影】
(左)The cool!桐野夏生スペシャル
   (2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)
(右)「文藝春秋」2021年3月号
   対談(桐野夏生✕原武史)無縁社会 日本を生き延びる知恵
   ※『ポリティコン』(2011年2月刊行)について語っている

Thecool20050928 20113

  *****

小平図書館の交流紙(毎月、会員に配布)に、「おススメの本」として、次のような文章を寄稿した。

桐野夏生『夜の谷を行く』
文春文庫 2020年3月 329ページ

 

桐野夏生(きりの・なつお)の小説が好きで、ときどき文庫の古本を買ったり、新刊を図書館から借りて読んでいます。
ペンネームから男性作家だと思い込んでいたのですが、私と同年生まれの女性作家と知り、親しみを感じています。1984年にデビュー。いまや膨大な著作のある人気作家なのですが、好き嫌いは分かれるところかもしれません。
『夜の谷を行く』は、1971年から72年にかけて世間を震撼させた連合赤軍事件(群馬県山中におけるリンチ殺人事件)を軸に、彼らの生き残りの女性の40年後を描いた小説です。ちなみに、この連合赤軍による「あさま山荘事件」から今年で50年。先日、山荘攻防戦の映像とその後の山荘の様子が放映されていました。
この小説、実際の事件をベースに永田洋子や森恒夫といった有名な幹部たちが実名で出てきますが、主人公とその周辺の人物は作者の仮構。とはいえ、2011年の震災前後の時代設定にリアリティがあります。
主人公は、事件後5年9カ月の刑期を務めて出所し、私塾を経営。それも5年前に閉めて、今は週に4日のスポーツジム通い(月に6500円のささやかなコース)と図書館通いを楽しみに、過去の事件とのかかわりを避けて、鉄階段の古いアパートに一人でひっそりと暮らしています。そこにある日、昔の“同志”から思わぬ電話がはいって、にわかに身辺が慌ただしくなります。否が応でも過去の事件を反芻することになり、昔の“同志”たちとの関わりが始まります。
そればかりか、数少ない肉親(事件のために親戚からは絶縁されています)である妹(やはり事件のせいで夫と離婚)、そのひとり娘である姪との関係も、ぎくしゃくし始めます。そんな折、ライターを名乗る若い男から取材の申し込みがあって・・・。物語の最後、あっと驚く意外な結末までもっていく展開は、さすが。
文庫版の解説は、連合赤軍事件を担当した女性弁護士(大谷恭子氏)。永田洋子の異常な性格がもたらした事態と言われ、一審の判決でもそう断定されたこの事件の別の側面を鋭く指摘しています。作者はこの弁護士から当時の“兵士”たち、とくに若かった女性たちを紹介されて取材したとのことです。

最後に、これまで読んだ桐野夏生作品のうちで私が面白かったと思うものを――。
・『柔らかな頬』(1999年4月 講談社/2004年12月 文春文庫)―幼児誘拐を軸に平穏な生活の裏に潜む闇を描く長編サスペンス。1999年直木賞受賞作。
・『アンボス・ムンドス』(2005年10月 文藝春秋/2008年11月 文春文庫)―短編集。表題作が秀逸。
・『ナニカアル』(2010年2月 新潮社/ 2012年10月 新潮文庫)―林芙美子の知られざる一面を描く伝記的なフィクション。
・『バラカ』(2016年3月 集英社/2019年2月 集英社文庫)―幼児売買というショッキングな現実と、東日本大震災・原発事故後の“こうだったかもしれない”日本の惨状をベースに展開する、ひとりの少女(薔薇香)の流離譚。
近作では『日没』(2020年9月 岩波書店)、『インドラネット』(2021年5月 KADOKAWA)、『砂に埋もれる犬』(2021年10月 朝日新聞出版)など。

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2022年5月 1日 (日)

【読】2022年4月に読んだ本(読書メーター)

4月も"桐野夏生"月間。
一冊だけ、筒井康隆の作品集を約半世紀ぶりに(というのも1970年代に夢中になって読んでいたので)読んでみたが、さすがに色褪せた感じは否めなかった。
発表当時、実験的な作風が新鮮だったのに。
SF作品は、時代とともに色褪せていくものなのかもしれない。

4月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3254
ナイス数:120

玉蘭 (文春文庫 き 19-22)玉蘭 (文春文庫 き 19-22)感想
はじめの章、読んでいてさほど面白さを感じなかったが、読み進むにつれて、俄然、面白くなってきたのが、桐野作品らしい。ただ、主人公のひとり、広野有子の心理と行動には違和感あり。私が男性だからなのかもしれないが…。反対に、有子の恋人である松村の、医師としてのある種の誠実さには共感。日中戦争前に生きた、有子の大伯父 広野質と恋人の切羽詰まった関係が胸をうつ。作者の大叔父がモデルだというが(あとがき)、終章の思わぬ展開には温かいものを感じて、ホッとした。物語の構成が凝っているのも、さすが。
読了日:04月03日 著者:桐野 夏生


新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)感想
1984年『愛のゆくえ』でデビュー後、9年目の作品。第39回江戸川乱歩賞受賞がうなづける優れたハードボイルドミステリー。女探偵「村野ミロ」が誕生する前の彼女の活躍。友人の失踪事件に巻き込まれて、探偵としての素質を開花していく。彼女自身の悩み、過去へのこだわりが、単純な「探偵物」にはない共感を呼ぶ。最後に意表をつく結末が待っていて読者を圧倒する。「村野ミロ」シリーズの後続作品を先に読んでいたが、じゅうぶん楽しめた。後の桐野作品につながる構成の妙、作者の力量を感じた。
読了日:04月06日 著者:桐野夏生


ダーク (上) (講談社文庫)ダーク (上) (講談社文庫)感想
「村野ミロ」シリーズ最終作(2002年単行本刊行)。ミロをとりまく人間関係が大きく破綻。あたらしい人物も登場して、互いに憎みあうさまが不気味。なによりもミロの変化が、これまでのシリーズ作品から想像できないほど大きい。これほど人格が変わるものだろうかと、驚きながら読む。舞台も韓国の釜山にまで広がり、過去の光州事件もからんで、読み進むうちにぐいぐい引き込まれながら、下巻へ。はたしてシリーズは完結するのだろうか?
読了日:04月09日 著者:桐野 夏生


ダーク (下) (講談社文庫)ダーク (下) (講談社文庫)感想
これまでの「村野ミロ」シリーズの世界からは予想もつかない、大きく踏み出した展開に驚きながらも、ワクワクしながら読了。ラストのどんでん返しのようなミロの行動に、彼女の強さを感じた。桐野夏生は「小説には毒がある」(『はじめての文学 桐野夏生』著者あとがき)と言っているが、これほど”毒”を含む作品だとは…。文庫解説で福田和也が指摘しているように「崇高なる憤怒から発射された致命的な一撃」に震撼した。ますます桐野夏生作品の世界に嵌ってしまいそう。余談だが、シリーズの他の作品を先に読んでいてよかった。
読了日:04月10日 著者:桐野 夏生


錆びる心 (文春文庫)錆びる心 (文春文庫)感想
1993年単行本刊行の初期短編集。収録作品6編のうち、巧妙なタイトルの「ジェイソン」は、筒井康隆の短編を連想させるユーモアと面白味があって感心した。読者の予想をいかにはぐらかすか、というところにも短編の妙味があるのだが、その意味では「ネオン」(このタイトルも意味深)も面白い。書名にもなっている「錆びる心」は、桐野作品全般に濃厚な”毒”の薄い、しんみりとした後味を残す佳作。他の3編「虫卵の配列」「羊歯の庭」「月下の楽園」は、桐野夏生らしい不気味な世界が描かれている。長編に力を発揮する作家だが、短編もいい。
読了日:04月11日 著者:桐野 夏生


おれに関する噂(新潮文庫)おれに関する噂(新潮文庫)感想
図書館には文庫版がなく、1974年発行の新潮社版単行本。70年代に、好きでよく読んでいた筒井康隆だが、さすがに古めかしく色褪せた感じは否めない。五木寛之選のアンソロジー『音楽小説名作選』(集英社文庫/1979年)に収録されていて読んだことのある「熊の木本線」の不気味さが、いい。他では「おれに関する噂」「通いの軍隊」「心臓に悪い」が、いかにも筒井康隆の初期の傑作らしい面白さ。
読了日:04月13日 著者:筒井 康隆


対論集 発火点 (文春文庫)対論集 発火点 (文春文庫)感想
1999年から2009年にかけて「オール讀物」他雑誌に掲載された12人との対談集(対論集と銘打っている)。桐野夏生の創作に向かう姿勢、目指しているものに触れた気がする。作家相手よりも、政治学者の原武史、映画監督の西川美和との対談が面白い。とくに、原武史との対談では、桐野夏生『女神記』を引き合いに出して現在の天皇制を論じているのが、とても興味深い。
読了日:04月16日 著者:桐野 夏生


光源 (文春文庫)光源 (文春文庫)感想
「柔らかな頬」で直木賞受賞後の、いわゆる受賞後長編第一作(雑誌連載)。力作だ。映画製作現場を舞台に、女性プロデューサー、新人監督、撮影監督、主演男優とアイドル出身女優などが、人間関係をもつれさせていく。桐野作品らしい先の読めない展開に引き込まれながら一気に読了。桐野さんは映画好きらしい。映画って、こういうふうに作られていくんだ、と興味を惹かれた。作中の架空の映画が実際にできると面白いのになあ。映像が目に浮かぶ作品。
読了日:04月17日 著者:桐野 夏生


とめどなく囁くとめどなく囁く感想
これは傑作。物語の展開に無理がなく、登場人物たちの貌が見える小説だった。ミステリーっぽい話なのだが、最後にしっかりと種明かしされるところは、桐野作品のなかでは珍しいのではないだろうか。余談だが、私が購読している新聞に連載されていたと知り、しかも挿絵が私の好きな内澤旬子だったと。(内澤旬子さんのブログ https://kemonomici.exblog.jp/27924384/) 連載当時(2017年8月~2018年9月)、この作家に関心がなかったことが悔やまれる。
読了日:04月26日 著者:桐野 夏生


白蛇教異端審問 (文春文庫)白蛇教異端審問 (文春文庫)感想
デビュー12年目(2005年)に上梓された初のエッセイ集。コラムやエッセイの他、書評・映画評、短編(ショート・ストーリー)を収録。表題作「白蛇教異端審問」は、桐野さんに対する匿名批評への抗議と、関口苑生『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』の記述への抗議(連載エッセイ)。桐野さんの気迫を感じる。エッセイ「リアル」では、自作小説に臨む姿勢が綴られていて興味深い。書評でとりあげられている作品は、どれも読んだことのないものばかりだが、面白そう。東野圭吾氏による解説もいい。東野さんの小説、未読だが読んでみようか。
読了日:04月30日 著者:桐野 夏生

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