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会員おすすめの本 (友の会HPより) 1

【会員の方から頂いた本の紹介】 その1

  1. 図書館読本 ―別冊・本の雑誌―
  2. ネシャン・サーガ
  3. 黄金の羅針盤/神秘の短剣
  4. 口で歩く
  5. 23分間の奇跡
  6. バッハへの旅
  7. まちの図書館でしらべる

『図書館読本』 ― 別冊・本の雑誌 ―

 この世で最も気になるのは人の噂と物事の裏話だろう。
 私もかなり頻繁に図書館に通っているが、静かな雰囲気が漂う図書館の裏側がこんな悲喜交々の騒がしい世界だったとは知らなかった。

 この本は複数の人々が執筆しているのでどこから読んでもどこで止めてもいい気楽さがある。
 例えば「司書匿名座談会」からは友の会や古本市の話から毎年大幅に削減される資料費と逆に増えるリクエストとの調整に悩む話など気になる話が続々と出てくる。

 パート採用を夢見る伸子さんの「一日図書館体験記」とか「図書館職員採用試験問題」には笑いながら勤務の厳しさを知らされる。全国の図書館へアンケートした結果を纏めた「うちの館のこと教えます」は回答率が低いのが残念だが項目が素晴らしい、各々の館の隠語とか怪談まで集めてあって楽しさ一杯の内容だ。

 「21世紀の図書館」で取り上げた新聞・雑誌のオンラインマガジン化や出版物のオンラインデジタル化(これもIT革命か)が図書館の蔵書・情報検索などの悩みを解決し、利用サービスの向上への決め手となろうが私には間に合わないか?

 笑いながら読み終えて、妙に納得する本でした。
 ご用とお急ぎでない方にぜひお勧めします。 

紹介された本について
 「図書館読本」別冊本の雑誌  編集 本の雑誌編集部
 発行所 (株)本の雑誌社
 小平市立図書館喜平図書館
 コード 010.4
 資料番号 11984953

 

『ネシャン・サーガ Ⅰ』  ― ヨナタンと伝説の杖 ―

 正月休みに何か読むものを、と本屋に行き、“エンデが見いだした大型新人”というキャッチコピーについふらっと買ってしまった本。
 493ページ、厚さにして4㎝。 と書くといかにもうんざりしてしまいそうだけれどそんな事はちっともないのです。
 読み終えるのが惜しくなる本ってあるじゃないですか。
 「あー、もう○ページしかない」って。   
 これはその手の1冊なのです。

 「ネシャン」という架空世界を舞台にした13歳の少年ヨナタンの冒険物語と、20世紀はじめのスコットランドに暮らす足の悪い少年ジョナサンの生活が、夢を媒介として交差しだす所から物語りは始まります。

 ヨナタンの使命はネシャンの神イェーヴォーの杖ハシェベルトを第6代裁き司ゴエルのもとへ届けること。闇の王の僕たちのさまざまな妨害と戦いながらヨナタンは旅を続けます。
 それを夢の中から見守り助けるジョナサン・・・。と、まあ、そんな感じでお話しが進むのですが、あとは読んでのお楽しみ。

 著者はコンピュータソフト設計者ということでコンピュータゲームの1つRPG(ロールプレイングゲーム)のイメージが多分に生かされた、ハラハラドキドキのお話し。ちょっと「はまって」みるのも悪くないのでは?

 夢を見なくなった大人たちにもおすすめ。(まだ図書館には入っていないかも)

紹介された本について
 『ネシャン・サーガ Ⅰ』  ラルフ・イーザウ 作/酒寄進一 訳
 あすなろ書房 2,400円+税

 

『黄金の羅針盤』 『神秘の短剣』 ― ライラの冒険シリーズ Ⅰ、Ⅱ ―

 『ハリーポッターシリーズ』といい、先月紹介した『ネシャン・サーガシリーズ』といい、厚手のちょっと大きい人向きファンタジーが海外からぞくぞく上陸しつつあります。これもそのひとつ。

 でも、「ネシャン」よりちょっと入り込みにくいかもしれません。
 SFでいうところのパラレルワールド物(この世界は何100万もの少しずつ異なる世界が同時進行しているとするSF)なのですが、その中のいくつかの世界がある一つの目的のもとに混じりあい、影響しあう物語です。といっても説明が難しいけど。

 発想の意外さは2巻目で否応なく発揮されますが、残念ながら解決に至る第3巻はまだ未発売。
 それってひどいんじゃありません?

 カーネギー賞受賞。全3巻。

紹介された本について
 『黄金の羅針盤』 『神秘の短剣』 ― ライラの冒険シリーズ Ⅰ、Ⅱ ―
 作者 フィリップ・プルマン 
 訳者 大久保寛
 出版社 新潮社 2,400円+税 と 2,100円+税

   

   

 

『口で歩く』

 口で歩く・・・ほっとする本。

 絵本というほどではありませんが、大きな字と、ときどきどこかの本で見かける挿し絵があって、とても読みやすい本です。(つまりいわゆる児童書)
 けれど、中身は大人から子どもまで楽しめる内容だと思います。

 ある男の人のちょっと変わった散歩の様子。
 その中で出会ういろいろな人たちとの心の交流・・・というとちょっと大袈裟かもしれませんが、出会う人それぞれ、いい印象をもったり悪い印象をもったり、さまざまな人生を感じさせるのです。

 内容はあまり深く言えませんが、読みやすく、なごやかなような、あたたかまるようなちょっといい気分にさせてくれる一冊です。

紹介された本について
 『口で歩く』
 作者 丘修三
 絵 立花尚之介
 出版社 小峰書店 1,200+税

 

『23分間の奇跡』 英語原文付き
 (Children's Story… but not for children)

 「新しい歴史教科書をつくる会」編の教科書が議論を呼んでいる。

 7月2日付朝日新聞朝刊社会面に、横浜市の私立中学2年で「大東亜戦争」の学習最後に特攻隊の遺書を朗読するビデオを見せた感想文が載ったがお読みになっただろうか。
 「私が今ここに生きているのは特攻隊のおかげであると思います。日本のために犠牲になって、本当にありがたいことだと思います」という文章である。
 内容の是非はそれぞれの考えがあるとしても、こんなにも教師の教が素直に心に染み込んでしまうということに、なんとも言えない恐ろしさを感じる。

 ここで紹介する『23分間の奇跡』は、1981年当時の作品。ある教室で、新しい教師が来て、たったの23分間で子どもたちがまったく違う世界観を持ってしまうという物語。訳者の青島幸男氏のあとがきを引用してみよう。
 《思えば、この国にも似たようなことがあった。「鬼畜米英われらの敵だ」 、「撃ちてしやまん」、「一億玉砕」のスローガンのもとに育てられた"小国民"たちは、戦が終わってやってきた"進駐軍"の列車にむらがり、「ギブ・ミ・チョコレート」という覚えたての英語を使ったものであった。》

 教育の重さと責任を痛切に感じる。文部省(文部科学省)作成の指導要領「自ら考え主体的に行動できる」ようになる必要があるのは、まず、大人のほうなのだと思わずにいられない。そしてまた、図書館の情報提供という役割がこれからもっともっと必要になってくると強く感じる。

 特攻隊に感動した中学生に、違う情報のひとつとしてもう1冊。

 『本当の戦争の話をしよう』
 ティム・オブライエン 村上春樹・訳
 文春文庫 571円+税

紹介された本について
 『23分間の奇跡』   ジェームズ・クラベル  青島幸男・訳
 集英社文庫

 

 

『バッハへの旅』  ― その生涯と由縁(ゆかり)の街を巡る ―

 なんと美しい本だろう。340頁をこえる堂々たる本なのだが、どの頁も写真入り、美しいカラー写真が印象的である。由縁(ゆかり)の街付近の風景、市街地のたたずまいはもとより、ゆかりの教会の建物、その崇高な内部、そして天井高くにしつらえられているパイプオルガンからは天上の妙なる音楽が響いてきそうな心地にもなる。

 文章も読みやすいし、今から250年位も以前の歴史や社会の状況に触れてあるので、とても理解しやすい。当時の楽器が改良されて、或いは歌手や楽員の実力に、作曲が
左右されるなど現在では想像もつかない。「バッハの音楽は、他の流行作曲家の音楽に比べ、確かに隙のないものだった。」とか、バッハの心情をもくみ取っての解説である。

 この本を読んだ人は誰でも、バッハゆかりの所を訪れたくなるだろうし、文中に出てくる作品をぜひ聞きたくなるだろう。(大沼図書館所蔵)

紹介された本について
 『バッハへの旅』
  加藤浩子 文・若月伸一 写真 
 東京書籍 2000年6月刊 3,000円+税

 

『まちの図書館でしらべる』

 ふだんは、あの本を借りに、新聞や雑誌を読みに、新刊の本棚をみたり、好みのジャンルの書架を巡ってゆくうちに思わぬ本に出会い、読んでみようかなとおもえば借りる……、といったふうに図書館を利用し、またちょっとした調べものをするために参考コーナーにある辞書や事典を引く、ときには中央図書館まで行って2階の参考室でじっくり腰をすえてということもあるかもしれない。

 このような場合は、だいたい図書館の人をわずらわせることなく自分だけですませてしまうことが多い。でも、ひとりではうまく本を探せなかったりするときもあり、聞いてみたりする。

 たとえば、「カール・ブッセの『山のあなた……』を読みたい」、「『暗殺の森』という映画の原作を読みたいのだが、書名がわからない」、「『87分署シリーズ』を最初から順番に読みたい」、また「結婚式のスピーチ集の載っている本を探している」、「エルニーニョ現象と台風の関係について書かれている本は」というように。人によっては、ちょっと尋ねにくいということもあるかもしれないが、こういった質問には当然、図書館の人は答えてくれるべきことだ、とだれしもおもう。

 では、「子どもを少年野球チームの『小平鈴木ファイターズ』に入会させたいので、その連絡先を知りたい」と図書館でききますか。
 「図書館は本を借りるところ」だけではなく「調べるところ」でもある、とはよくわかっているが、まさかこんな質問を図書館でできるのか、とおもっている会員のみなさんが多いのではないだろうか。

 『まちの図書館でしらべる』を読むと「鈴木ファイターズ」の電話番号までも図書館で調べることができるのだ、ということがよくわかります。
 では本書の内容をかんたんに追ってみましょう。

 第1章の「図書館で謎を解く」では、利用者の質問、具体例を15ばかりあげて、図書館員がいろいろな手だてを駆使しながら調べていくさまが、詳細に、しかも興味深く記されています。

 第2章では、まちの図書館とは身近で使いやすく、本を借りるだけではなく、どんな質問でもきいてくれるのだから、図書館を使いこなして情報探索の達人をめざせ、と説き、では書店とどこが違うのか、あなたは書店派? 図書館派? と問いかけながらその区別を解説(NDC分類のそれもある)し、じょうずに使い分けようとすすめています。

 第3章では、それではどのようにして質問をするのか、図書館員のテクニックを紹介し、「レファレンス・サービス」とはどんなものかを説明し、おまけに自分で調べるときにはどうすればよいかを懇切丁寧に教えてくれます。

 第4章の「図書館はつながっている」では、まちの図書館で解決できないからとあきらめてはいけない、図書館というのはネットワークでつながっている、それにユニークな専門図書館もあるとして、アメリカン・センター・レファレンス資料室、証券広報センター証券情報室などを紹介し、大学図書館を利用するにはどうすればよいかにまで触れています。いま問題になっている都立図書館のことも、よそ事ではないことがよくわかります。

 第5章は「図書館は進化する」として、スウェーデン、デンマーク、カナダのまちの図書館のようす、そして日本の現状を、いくつかの魅力的な図書館紹介を交えて、わかりやすくまとめられています。

 さいごに、浦安市立図書館館の常世田館長の「情報社会と図書館」という一文と1998年のEU議会「現代社会における図書館の役割に関する決議」が掲載されています。

 この本は、「しらべる」ということを軸に、図書館員がわたしたちにわかりやすく語りかけてきて、読後、図書館のイメージがはっきり浮かぶようになる、一言でいえばこうなるでしょうか。
 執筆者は、12月の立川の見学の際お世話くださった斎藤誠一さんはじめ多摩地区の市立図書館員の方たちです。「図書館について学ぶ会」の参加メンバーはもちろん、なかなか参加できない会員の方にも、ぜひ読んでいただきたいとおもい、長くなりましたが紹介する次第です。

紹介された本について
 『まちの図書館でしらべる』
 出版社 柏書房 2002年1月刊
 本体価格 2,000円 四六判上製 224頁
 参考図書 URL(ホームページのアドレス)の紹介、索引つき
 コード  ISBN4-7601-2171-4

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