「昭和の日」(昭和天皇の誕生日)。
晴れのち曇り。
11度→22度。
暖かい日だった。
布団をちょっとだけ干したが、南風が強くなったので昼頃、取り込んだ。
明日は雨の予報。
仙川の店まで行って、西川郷子さんのバンド「星ノ飛ブ夜」のライブを聴きに行く。
今日は一日、本を読んで過ごした。
池澤夏樹『また会う日まで』595ページまで読んだところ。
ようやく全体の8割ちょっと。
日本の敗戦を迎えたところだ。
まだ読み終えていないが、感想を図書館友の会の交流紙に載せてもらうため、書いてみた。
池澤夏樹『また会う日まで』
朝日新聞出版 2023年3月30日発行
723ページ 3,960円(税込)
池澤夏樹の新刊小説。朝日新聞朝刊に2020年8月1日から2022年1月31日まで長期連載されていたので、ご存じの方も多いと思う。700ページを超す長大な小説。ためしに測ってみると、本文の厚さ4cm、重さ750グラム。読み応えあり。
題名の「また会う日まで」が讃美歌405番の一節であることを冒頭で知る。
主人公は池澤さんの大伯父(母方の祖母の兄)秋吉利雄(1892-1947)。彼が死を目前にして自らの半生を語る形の物語。
秋吉利雄は、海軍兵学校、海軍大学校を経て東京帝国大学で天文学を学ぶ。海軍では南洋諸島のローソップ島で日食観測を成功させ、新聞で大きく報じられた。その後は海図を作製する「水路部」に終戦まで勤務(最後は海軍少将)。
彼は敬虔なクリスチャンでもあった。軍人としては特異な人物。クリスチャンとして戦争での殺戮を強く忌避し、戦争の終結を願いながら、いっぽうで軍人としての職務(実戦に加わらなかったが、それでも戦争遂行の一翼を担う)に悩み、信仰との折り合いをつけようとする。
しかし、彼は「科学の徒」であった。信仰と科学はなんら矛盾しないという強い信念を持っていた。科学者の眼で、米国にはとうてい勝てないことを早くから見越していた。
大正から昭和20年にかけて、この国が勝ち目のない戦争の泥沼にはまっていく様子が、(好戦的ではない)海軍軍人の眼を通して描かれ、日々悪化する戦況への危惧、戦争指導部への批判的心情が吐露される(ここには作者自身の思いも垣間見える)。
秋吉利雄の妹の長男で彼の甥にあたるのが作家の福永武彦(1918-1979)。つまり池澤夏樹の実父。この小説には福永武彦の生い立ち、結婚の経緯、さらに長男・夏樹の誕生(1945年7月7日、終戦の直前)なども描かれている。
伝記(史伝)小説風だが、作者の歴史観・文明観・戦争観がいたるところに顔を出す(池澤さんも大学の理系学部に進んだ科学の徒)。
池澤さんには『静かな大地』(2003年/朝日新聞社)という、自らの先祖(母方の曽祖父一族)をモデルにした長編小説がある。これも、かつて感銘を受けた一冊だ。
■池澤夏樹『静かな大地』
<明治初年、北海道の静内に入植した和人と、アイヌの人々の努力と敗退。日本の近代が捨てた価値観を複眼で見つめる、構想10年の歴史小説。> Amazon より
■もう一冊 池澤夏樹『科学する心』
(2019年/集英社インターナショナル)
科学の徒・池澤夏樹の面目躍如のエッセイ集。先ごろ出版された文庫版(2023年/角川ソフィア文庫)の解説は中村桂子さん。
夕食は、小平のファミレス「COCO'S」まで出かけてみた。
この近辺にはないと思い込んでいたが、ネットで調べて発見。
自宅から片道6キロほど。
それはよかったのだが、帰宅後、小銭入れ(がまぐち)がないことに気づいた。
店に電話したところ、忘れ物として保管してくれていた。
大急ぎで取りに行った(往復45分ほど)。
やれやれ。
財布を置き忘れたり落としたりしたことが、これまでに何度かあった。
気をつけなければ。
(20:20記)