【読】柳葉魚(続)
きのうの続き。シシャモについて。
「シシャモ」はアイヌ語からきている。
まあ、なんとなくそんな感じのすることばだ。
「トナカイ」「コンブ」もアイヌ語。
それぞれ、tonakkai、konpuがアイヌ語の発音らしい。
手許に、なぜかアイヌ語辞典が二冊ある。
『萱野茂のアイヌ語辞典』 (草風館)
『アイヌ語千歳方言辞典』 中川裕 (草風館)
「シシャモ」のアイヌ語は、susu-ham(ススハム)。
「スス」は柳、「ハム」は葉を意味する。
萱野さんの辞典には、スス【susu】ヤナギ:神に捧げるためのイナウを作る材料とある。 「イナウ」は、木で削った御幣のようなもの、という説明もあるが、わりとよく知られているはず。
削りかけ、と言うほうがイメージがわくだろう。
祭壇を飾るための削り花(北海道大百科事典)、という説明もある。
『北海道大百科事典』 (北海道新聞社)という、上下二巻の百科事典が、なかなかのすぐれものだ。
「シシャモ」をひいてみると、三分の一ページにわたって説明がある。
これを読んで、いろいろとわかった。
シシャモは、ニシン目キュウリ魚科の魚。 同類の魚は他に2種類あり、いずれも北米沿岸に分布。 太平洋の日本側に分布し、しかも北海道の太平洋岸にだけ見られる純道産子の魚、とある。
【アイヌ知識】 として、アイヌ語のスス・ハムのなまりで、上に書いたようにヤナギの葉の意味、とも書いてある。
凶漁の年に天上の神の国の柳の葉に生命を与えて川に流したという伝説があるそうな。
いかにもアイヌの人たちの自然観らしい、いい話だ。
ヤナギの葉の散る初雪の頃に産卵のため川をのぼるので、初雪のことを 「シシャモ・ウパシ」 と言う (ウパシ upasは雪)。
また、雪虫のことを 「シシャモ・キキリ」 と言う(キキリ kikirは虫)。
こんなことを性懲りもなく調べていると、アイヌの人々の伝統的な考え方、生き方、自然観、といったものがわかってきて、興味深いのだ。
よく 「豊かな自然観」 と言うが、掛け値なしにそうだと思う。
シシャモの料理法も 『北海道大百科事典』 に載っている。
生干しをあぶって食べるのが最もうまい、とある。 もっともだ。
生は刺身、素焼き、塩焼き、揚げ物、甘露煮、こぶ巻きにする、とも。
よだれがでそう。
もう一冊、紹介しておこう。
『聞き書 アイヌの食事』 (農文協・日本の食生活全集48)
アイヌ語学者で、知里幸恵さんの弟さんだった知里真志保さんの、そのまた晩年の奥様だった萩中美枝さんが、この本の執筆者として名を連ねている。
ざっと見た感じでは、アイヌの人たちがシシャモをどのように料理していたか、見つけられなかったが、この本もまたいい本だ。
今夜は、ぼくがかねがね関心をもって読んだり調べたりしている、アイヌの世界の一端にふれてみた。
まだまだ勉強途中だし、ほんとうは北海道のアイヌの人々の生きた姿、暮らしや文化に接したいのだが・・・。
参考として、ぼくのウェッブ・サイトのアイヌ・コーナーのようなものへのリンクも書いておきます。
「晴れときどき曇りのち温泉」 資料蔵 アイヌ資料編
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/k_ainu.html
http://yamaoji.web.fc2.com/k_ainu.html
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コメント
北海道といえば・・・
いま読んでいる『浅草弾左衛門』という、とても面白い長編小説の第三部が、ちょうど明治の初めの頃で、松浦武四郎や榎本武揚などが同時代人として登場します。
イザベラ・バードという英国の女性が北海道(蝦夷地)に足を踏み入れたのも、ちょうどこの頃です。
これまで興味をもって調べてきたことが、つながってきています。
投稿: やまおじさん | 2006年11月10日 (金) 22時27分