【読】勢古さんの中島みゆき論
勢古浩爾さんの本はずいぶん読んだけれど、この本はなかなか手に入らず、ずっと気になっていた。
Amazonで入手。
楽しみな本が、また一冊増えた。
『中島みゆき・あらかじめ喪われた愛』
勢古浩爾 宝島社 1994/2/15発行
219ページ 1700円(税込) 絶版
― 帯より ―
<中島みゆきの「歌」の強さは、喪愛における哀しみが、あたかも暗闇のなかに閃光を放って世界を一瞬の白光のもとに照らしだすかのように、有頂天で無邪気な愛以上に「愛」の意味と強さを逆説的に明示していることにある。 そのとき同時に鮮やかな陰影のもとに浮き彫りにされるのは、その世界のなかに投企した「ひとりの女」の立ち姿である。>
うーん。
このような持って回った文章は好きではないが、それでも興味津津なのは、勢古さんが中島みゆきをどのように論じているかという一点。
上に引用した部分は勢古さんらしからぬ文章ではあるが、中島みゆきに対する思い入れの強さは伝わってくる。
いろんな人たちが、この偉大な歌い手を論じている。
たとえば、呉智英(くれ・ともふさ)さんは、『バカにつける薬』(双葉文庫)という強烈なタイトルの本のなかで、「中島みゆきは中山みきである」と言いきって、中島みゆきを熱く語っている。
呉さんもまた、中島みゆきの熱烈なファンのひとりである。
「中山みき」とは、あの天理教の教祖。
その冒頭部分。
<中島みゆきは中山みきである! これが私の中島みゆき論だ。 中島みゆきには、時代思潮の転換期にあって新興宗教天理教を成立させた中山みきを想起させる。 時代に屹立した精神がある。 しかし、一般には、中島みゆきという類いまれな才能は、完全な無理解や誤解の中にある。……>
たしかに、中島みゆきは熱烈なファンにとって教祖的な存在と言えるし、実際に「教祖」と(なかば冗談で)呼ぶファンもいるらしい。
私もまた、中島みゆきを敬愛し、同時代の歌い手として注目を続けてきた。
私にとっての中島みゆきの魅力をひとことで言うと、「強さ」だ。
音楽は論じるものではない、という意見もあるだろうが、私はそうは思わない。
どんな事象でも、論理的にとらえることは大切だと思うのだ。
ただし、すぐれた音楽は、ちゃちな音楽論をはるかに超えた次元にあることもたしかだ。
呉智英 『バカにつける薬』 (双葉文庫)
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コメント
「強さ」・・・。これが中島みゆきの魅力ですか。瀬古さんの本の帯の文章は抵抗がありますが、私の印象では「怨念の強さ」を感じます。
文学も、絵画も、すべての芸術は論じるものではありませんが、論理的な思考を目指すことは必要ですね。自分が論理的ではないのでそれを痛感します。
投稿: 玄柊 | 2009年7月 3日 (金) 05時04分
中島みゆきは ついつい論じたくなる魅力、魔力を持っているのだと思います。
私も論理的思考は苦手ですが、他人が書いた○○論のたぐいを読むのが好きです。
投稿: やまおじさん携帯 | 2009年7月 3日 (金) 12時43分