【読】みちのくの桜
もうすぐ読みおえるこの本から、いろんなことを教わった。
『サクラを救え』
― 「ソメイヨシノ寿命60年説に挑む男たち ―
平塚晶夫(ひらつか・あきひと) 著
文藝春秋 2001年
253ページ 1762円(税別)
私はあいにく訪れたことがないのだが、弘前公園(弘前城)のソメイヨシノがじつにみごとらしい。
この本は、弘前公園のソメイヨシノの美観を陰で支え続けてきた人たちを中心に、サクラの管理に情熱をそそぐ男たちを描いている。
ソメイヨシノは成長が早く、みごとな花をつけることから、明治期以後、日本中に植えられることになった。
しかし、植えたまま放置された樹が多く、それらは、病気やさまざまな理由からどんどんダメになっているらしい。
これまで私は、なんとなく桜の枝を切ることに抵抗があったが、きちんと剪定することで樹の勢いが増すという。
枯枝を放置しておくと、枯れた部分が広がってしまうのだ。
病虫害から守るために薬を散布したり、病気にやられた部分を切ることが必要で、施肥や土壌改良もたいせつなことらしい。
「サクラ切るバカ、ウメ切らぬバカ」 という言葉があるが、これが誤解のもとだという。
すこしばかり、私の桜を見る目がかわった。
また一枚、目から鱗がおちた。
<ソメイヨシノが野生種のヤマザクラなどと比べてはるかに短命であり、忌地(いやち)現象のために植え替えがうまくいかないという事実は、サクラの名所はそう遠くない将来に変わり果ててしまうということを意味している。現にその兆候が各地で見られ、対応に苦慮しているところが多い。>
<ソメイヨシノの樹勢を気にかけて2シーズンを過ごすうちい、サクラに向けられた私の目はすっかり厳しくなってしまった。テング巣病がいくつもついているサクラ、枯れ枝ばかりが目につくサクラ、花がまばらにしかつかないサクラが、気になって仕方なくなってしまったのである。だが、日本のどこへ行っても、そういうサクラの下で盛大に酒宴が開かれている。すると、自分の感覚のほうが異常なのかと思えてくる。……しかし、そうした迷いは、弘前公園へ行くと必ず、跡形もなく吹き飛ばされた。>
(本書 あとがき より)
弘前、角館、北上展勝地、といったみちのくの名所や、上野公園、井の頭公園、荒川堤、小金井などのサクラについてもくわしく言及されていて、とても勉強になった。
弘前公園のサクラは、いちどこの目で見たいものだ。
そんなことを思いながらJRの駅に置いてあった旅のパンフレットを手に取ると、この地のサクラのみごとさを見せつける写真が掲載されていた。
弘前公園 弘前城に咲き誇る桜めぐりを堪能
(JR東日本のパンフレット 「桜の北東北」 2010年 より)
弘前公園の桜は、りんごの剪定技術を活かした独自の管理方法と土壌改良によって、長く大切に守られてきたもの。一般的に一つのつぼみから、平均3~5つの花が咲くのに対し、弘前公園の桜は5~7つとボリューム感が違います。樹齢120年を超える樹や、弘前城でしか見られない桜の品種「弘前雪あかり」など貴重な桜も多く、それぞれの花が魅せる趣きの違いを楽しめます。……
参考サイト
このはなさくや図鑑~美しい日本の桜~
http://hccweb5.bai.ne.jp/nishicerasus/index.html
財団法人 弘前市公園緑地協会
http://www.hirosakipark.or.jp/
社団法人弘前観光コンベンション協会
http://www.hirosaki.co.jp/
※2010/4/18 本書を読了、補筆
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コメント
中学校の修学旅行で広前城に行っているんですよ。桜も咲いていた時期と思うのですが、もう往事茫々ですね・・・。佐賀県の伊万里城跡や高知城の桜も見事でしたよ。お城に桜を植えるのは何かいわれがあるのでしょうか?大阪城も姫路城も津山城も桜の名所ですよね・・・。
投稿: みやこ | 2010年4月18日 (日) 23時33分
>みやこさん
私も中学校の修学旅行といえば、十和田湖のことをうっすらと憶えているぐらい。
お城に桜を植えるのは、こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、「観光」のためでしょう。
古いと言われている弘前城でも、アメリカからリンゴが入ってきて明治政府が全国に配布した、その後に桜を植えるようになったらしいので。
ソメイヨシノが全国の公園に植えられるようになったのは、日露戦争を記念して明治39年とその翌年、と、この本には書いてあります。
お寺や神社のほうが、古い桜が多いのではないでしょうか。
投稿: やまおじさん | 2010年4月19日 (月) 20時53分