【震】映画「祝の島」をみる
昨夜、雷鳴のなか、電車に乗ってJR中央線の武蔵境駅へ(国分寺から三駅目)。
北口駅前にある「武蔵野スイングホール」。
ここで、「第17回 むさしの市民平和のつどい」 という集まりがあったので、参加。
私の目当ては、映画だった。
ネットの公式サイトで上映予定を調べたところ、この集会で上映されることを知り、予約しておいたのだ。
150人ほどはいる小さなホールは、8割方埋まっていた。
第1部 18:55~
語り 「リュドミーラ・イグナチェンコの話」
~ 『チェルノブイリの祈り―未来の物語り―』 より ~
語り:稲葉純子さん
音楽 「世界のお母さん」 ほか
演奏:国分寺エクスプリエンス
第2部 19:35~
映画 「祝の島」 (ほうりのしま)
2010年 纐纈あや(はなぶさ・あや)監督
ポレポレタイムズ制作 105分
撮影データ(パンフレットより)
撮影期間 2008年7月21日~2009年12月20日
撮影日数 131日
撮影時間 198時間
撮影機材 SONY HVR-Z1J
映画 『祝の島』 公式サイト
http://www.hourinoshima.com/
コメント(この映画に寄せられたコメント)
http://www.hourinoshima.com/ > コメント
池澤夏樹、ピーター・バラカン、坂田明、中川敬、小室等、他
我々はテクノロジーに振り回されている。
もっと便利になりますよ、
と耳元で囁く声にうかうかと乗っている。
目を覚ますためにはこの映画を見るのがいい。
おっとりとした日々の記録の中に
とても大事なことが隠されているのに気づいた時、
あなたは慄然とするだろう。
老人たちの顔に過去ではなく未来を読み取るだろう。
池澤夏樹(作家)
祝島ホームページ
http://www.iwaishima.jp/
【映画 「祝の島」 パンフレット】 絵:西村繁男
瀬戸内海に浮かぶ「祝島」(いわいしま、山口県熊毛郡上関町祝島)に暮らす人々を描いた、ドキュメンタリー映画。
この島の対岸4km先 「田の浦」 に、「上関(かみのせき)原子力発電所」の建設予定地がある。
― Wikipedia 「上関原子力発電所」 より ―
<上関原子力発電所(かみのせきげんしりょくはつでんしょ)は、中国電力が、瀬戸内海に面する山口県熊毛郡上関町大字長島に建設計画中の原子力発電所である。長島西端の田ノ浦の山林を切り開いて14万平方メートルの海面を埋め立て、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基の建設が計画されている。稼働後に発電される電力は、50万ボルト送電線で同県周南市まで引かれ、既存の高圧線を経て主に広島・関西方面に供給されるものと見られている。
2009年に建設に向けた諸準備(公有水面埋立作業など)が進められているが、長年にわたって町内を二分するほどの根強い反対運動が繰り広げられており、事業としては現在小康状態にある。>
― Wikipedia 「祝島」 より ―
<室津半島の東端である四代地区(上関原発の予定地でもある)から西に約4キロ、上関港から16キロ離れた海域にある。属島として島の西側約200mの海域に小島、同じく西側約1kmの海域に小祝島(祝島現地では「こいよう」あるいは「こいおう」と読む)がある。
島の周囲は12キロで、面積は7.67平方キロメートル。島を東側の対岸・上関町四代上空からみるとハート型にみえる。海岸線付近は急峻な傾斜地が多いものの、島の中央部はなだらかで全域が台地状の丘陵地帯となっており、遠くから見るとスープ皿を伏せたような地形となっている。>
<戦後の最盛期には人口は5000人いたとされるが、現在は500人(2010年6月末現在)で、65歳以上が69%以上を占めるいわゆる高齢化がすすむ過疎地域となっている。>
祝島は、上掲画像の映画パンフレットに素晴らしい絵で描かれているように、豊かな自然に恵まれた美しい島だ。
島の人びと(老人が多い)の暮らし、地道な原発反対運動、美しい自然、四年に一度の「神舞」(かんまい)という神事。
そういったものが、気負いなく描かれた、いい映画だった。
― Wikipedia 「祝島」 より (続き) ―
<神舞神事 神舞(かんまい)は、祝島に古くから伝承される神事である。4年毎の閏年に旧暦の7月1日から5日にかけて、三隻の御座船あるいは神様船とも呼ばれる神船を、大漁旗で飾った百余隻に及ぶ奉迎船が出迎えて祝島で行われる。入船神事、祈願神楽(岩戸神楽、夜戸神楽)、参拝(お宮参り)、出船神事などの催しを全島を挙げ、手作りで行なう祭祀である。島外で生活する祝島出身者がこの日に帰島して参加するため、神事期間中の人口はふだんの数倍に膨れ上がるとされている。
20人が櫂で漕ぐ櫂伝馬船(かいてんません)や大漁旗をたなびかせた100隻以上の漁船など、出迎えの護衛船を従えた神船が、大分県国東半島の最北端にある伊美別宮八幡社から国東市国見町伊美港を出発。いわゆる御神体とともに乗り込んだ二十余名の神職、里神楽師、伊美の郷の氏子代表や漁師を祝島に迎え、三十三種類の神楽舞が、新しいカヤで編んだ苫を小屋掛けした仮神殿で奉納。祝島を斎場として神恩に感謝する行事である。山口県は、県の無形文化財に指定。2005年2月には農林水産省の外郭団体である都市農山漁村交流活性化機構が主催する第4回むらの伝統文化顕彰で、「小屋掛けから神舞までを一体として伝承し、また、祭り前の海岸のゴミ拾いなど住民一人一人が一役を担い、共同作業で信仰と郷土芸能を支えている」ことが評価され、農林水産大臣賞を受賞している。
2007年5月にハワイの航海カヌー「ホクレア」が日本を訪問した際には、祝島島民の強い要望を受けて急遽、この島に立ち寄り、島民は櫂伝馬船でこれを迎えた。 >
<練り壁 石積みに土を詰め漆喰で固めたの練り塀が今も残る。周辺はおろか瀬戸内海でもこの練り壁は見ることはできないが、韓国の済州島では今も残っている。>
原発は、豊かな自然のなかで暮らす島の人びとの生活を、一気に破壊するものだ。
原発の温排水は海をダメにする。
北は北海道の泊原発から、南は鹿児島の川内原発まで、日本の原子力発電所は人口の少ない僻地を選んで建設されている。
その理由は、明らかだ。
原発のまわりでは、まともな生活ができないのだ。
とくに、原発周辺の海は漁場として使えなくなる。
それだから、多額の「補償金」と引き換えに、地元の「合意」を強引に得ようとする。
本土(上関町)の推進派は、島を捨てて本土に移住すればいい、と言う。
こう言ってはなんだが、利権や、目先の利益、「恩恵」に目がくらんでいる。
今度の福島の原発事故で、目がさめるといいのだが……。
映画に描かれた祝島は、すばらしい島だった。
春、山の上から見おろす風景。満開の桜、海、まわりの島々。
山の斜面を巧みに利用した、棚田。
豊かな漁場。
元気な、島のおばあちゃんたち。
訪ねてみたくなる。
上掲パンフレットには、作家の池澤夏樹さんと、渡辺一枝さんが寄稿している。
「老人たちの未来の顔」 池澤夏樹(作家)
「島人の言葉に思いを重ねたい」 渡辺一枝(作家)
渡辺一枝さんは、この島の特産品のひとつである、枇杷の葉茶とひじきを 『祝島市場』 から取り寄せて、愛好しているという。
また、池澤夏樹さんはこう書いて、映画を絶賛している。
<この『祝の島』を見て、これこそゆっくりとした考えのお手本であると思った。/祝島では毎日を暮らすことがそのまま古代から未来へ向かう時の流れに乗っている。その一方で今の日本の問題が全部出ている。どういうからくりでそんなことができるのか、手品を見ているような思いで映画を見た。>
監督を含む制作者側と島の人たちとの交流が目に見えるようだ。
自然で気負いのない映像だった。
監督の纐纈さんの文章(上掲パンフレットより)。
<祝島は決して人が住むのに恵まれた自然環境とはいえない。掘っても掘っても出てくる岩を切りだし、台風が直撃する度に家を直し、海に漕ぎ出すときは、いつだって命懸けだった。自然の中においては、厳しいということと豊かであるということは同じ意味を持っていた。自然の前では、人の力で得られるものなど、たかが知れていた。>
<……対岸に建設されようとしている原発が、人間の分を見誤った文明の、いかに浅はかで愚かな産物であるかを思わずにはいられない。>
<古代、瀬戸内海を航行する船が危難に瀕したとき、祝島に向かって一心に祈ると、島は霊光を発し行く先を照らしたという。自然の中でつましく暮らし、様々な痛みを抱えながら28年もの間、原発建設反対を訴え続けてきた島の人々は、力強く、温かく、潔い。混迷する現代社会において、祝島とそこに暮らす人々の存在は、よりいっそう輝きを増し、私たちが進む方向を照らし出すまさに灯台となるだろう。その光に導かれ、本作は完成した。
天と地と海とをつなぐ祝島に、今日も彼らは暮らしを紡いでいる。>
【蛇足】
なぜ「ほうりのしま」というタイトルなのか、気になっていた。
古語辞典に行きついて、私なりに納得。
この島の起源伝承に因んだ呼び方か。
― 岩波古語辞典 補訂版 (1990年) より ―
はぶり 【祝】
≪ハブリ(放)と同根。罪・けがれを放る人の意≫ 神主・禰宜(ねぎ)に次いで、神に仕える人。また、広く神職。(以下、略)
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コメント
祝島、映画鑑賞うらやましい。漁民(パンフレット)の顔が実にいいですね。神舞、この次はいつでしょう。何時かではなくぜひ行きたいところ。「行きたい」場所、わたしにそんな渇望を与えてくれるところはなかったので、実現したいなあ。いろいろな情報、いつも楽しみにして待っています。ありがとうございます。
琵琶茶はわたしも手作りしています。おいしいですよ。摘んで洗って切って鉄なべで乾煎りして保存。種は焼酎とお酢に漬けてかじる。
武蔵境北口近辺、就職したてのころ半年ばかり風呂なし共同便所のアパートに住んでいたことがあったよ。懐かしいというか、ああそうだったのか、と複雑でしかし、忘れてはならない場所。そんな駅の名前。
投稿: ろくろくび | 2011年8月10日 (水) 07時47分
>ろくろくび さん
都内や横浜も含め、全国で上映を続けているようですので、ぜひご覧いただきたい映画です。
中央線沿線の駅前もずいぶん変わりつつあります。
再開発、というやつで。
投稿: やまおじさん | 2011年8月10日 (水) 10時14分