【読】池澤夏樹さんの新聞連載
今日、小平図書館友の会の会合に出席。
会員のおひとりから池澤夏樹さんの新聞連載記事をいただいた。
私が池澤さんのファンであることをご存じで、会うたびに切り抜きをくださる。
ありがたいことだ。
朝日新聞に月一度連載している 「終わりと始まり」。
あいにく、私は朝日新聞を購読していないので、図書館にでも行かなければ読めない。
池澤夏樹「終わりと始まり」コラム一覧 - カルチャー:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/culture/columns/ikezawa_index.html
朝日新聞 2014/2/4(火)
池澤さんは、現在の政治についても忌憚のない意見を書いている。
それが爽快であり、偉いと思う。
私が敬愛する所以だ。
2月4日の記事では、こう書いている。
結論部分は割愛した。
まったく同感で、我が意を強くした。
引用中の太字部分は私が施した。
<……一月二十二日、安部首相はダボスで第一次世界大戦から百年目の今年、領土問題をきっかけに日中間に「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だと思う」と言った。
言うまでもないが、ぼくと首相では立場が違う。同じ歴史を踏まえた発言であるが、首相はそういう展開があり得ることを承知で、そうなってもしかたがないと明言したのだ。
別の場で彼は「残念ながら今、(緊張緩和の)ロードマップがあるわけではない」とも言っている。あるわけではないって、あなた、それを作るのがあなたの仕事でしょうが……>
<今、事態はものすごく危ないことになっている。安倍首相は自分の靖国詣でをアメリカ大統領のアーリントン墓地参拝になぞらえ、アメリカは怒った。それは当然、アーリントンに戦争犯罪人は葬られていない。死者を汚すことになると人は誰も感情的になる。それとこれとを一緒にするなと憤る。
第二次世界大戦で我々は負けた。アメリカに負け、中国に負けた。この事実を踏まえての戦後世界の運営なのだ(今更言うまでもないが「国連」とはあの大戦の「戦勝国連合」であり、中国はその一員である)。この構図を引っ繰り返すにはまた戦争をする覚悟が要る。安倍さんにはそれがあるのかもしれないが、ぼくには無い。中国との戦争なんてまっぴら御免。
今の段階ではことはパブリシティーの戦いに納まっているが、そこでも日本は負けている。ぼくはそれに荷担するつもりはないから、日本政府・官邸・安倍首相がぼこぼこに負けていると言おうか。
中国政府が、安部首相の靖国参りはドイツの首相がヒトラーの墓に詣でるようなものだと言った。もちろん間違い。ドイツ人はヒトラーの墓を造らなかった。今に至るまで徹底してあの男を忌避している。彼の罪について再考の余地はない。>
この国の今の首相は、危険な人物だと思う。
そんな首相の「高支持率」が続いていることが無気味だ。
「永続敗戦」 という言葉をおもいだす。
先の大戦の総括については、ドイツを見習わないといけない。
もちろん、戦後アメリカに支配された日本の事情はあるものの、それを含めて今からでも遅くはない。
「敗戦」の意味を考えないといけないのだが、どうやら日本人は、あの戦争を自然災害と同じように思って、きちんと向き合ってこなかったようなのだ。
この国には「水に流す」という言葉があったな。
あれだ。
水に流す――過去のいざこざなどを無かったことにして、和解する。
(新明解国語辞典 第五版)
1945年以来、われわれはずっと「敗戦」状態にある。
「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ。
「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対しては敗北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く――それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。
(白井 聡 『永続敗戦論』 Amazonより)
【関連記事(このブログの過去記事)】
2013年8月21日 (水) 【読】名誉を重んじること
https://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-777e.html
単行本 『終わりと始まり』 (池澤夏樹/朝日新聞出版/2013年7月発行)には、朝日新聞連載記事の2009年4月から2013年3月分までが掲載されている。
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