【読】読書会
今日は、二か月に一度の読書会に参加。
(小平図書館友の会 「読書サークル・小平」)
場所は、小平市中央公民館の一室。
昨夜までなんとなく気がすすまず、今回は欠席しようかとも考えていたが、一夜明けてきもちが変わった。
夜、考えることにロクなことはないのだ。
約二時間半、課題本を中心に幅広い話題で楽しめたし、勉強になった。
今回の課題本(主宰者はテキストと呼んでいる)は、内田樹さんの興味ぶかい本。
書名が挑戦的とも思えるもので、あちこちから顰蹙を買いそうな……。
書評もほとんど見かけないのは、なぜなんだろう、という話題もでた。
内田樹 『憲法の「空語」を充たすために』
かもがわ出版 2014/8/15発行 95ページ 900円(税別)
「空語」とは聞きなれない言葉だ。
今日の読書会でも最初にこれが話題になった。
広辞苑には載っているという。
いまネットで調べてみると、こうあった。
空語――根も葉もない言葉。うそ。空言。
(大辞林 第三版)
内田さんがこの本で「空語」という言葉を使っているのは次の箇所。
彼の意図がよくわかる。
<アメリカの独立宣言は 「すべての人間は生まれながらにして平等であり、……(引用者略)」 という堂々たる宣言から始まります。でも、奴隷制が廃されたのは南北戦争後です。独立宣言の発表から90年後です。人種間平等が法的に実現するまでにはそれからさらに100年を要しました。その意味では、アメリカ独立宣言もフランス革命の人権宣言も「空語」なのです。
同じ意味で、日本国憲法も「空語」です。問題はその空隙は事実の積み重ねによって充填しなければならないという強い責務の感覚がアメリカ人やフランス人にはあったが、日本人にはなかったということです。
なぜ、日本人には「空語」としての憲法を長い時間をかけて忍耐づよく現実化するという動機づけが欠けていたのか。僕はその理由は日本の敗戦の様態の異常さにあると思っています。……> (P.24)
つまり、憲法というものは、そもそもが「空語」(理想を語る言葉)である。
しかしながら、日本国憲法がこれほど「軽い」のは、「空語」を充たす努力を日本人がしてこなかったからだ。
私が思うに、いわゆる「護憲」をかかげる人たちも、この努力をしてこなかった。
それだから、「あれはアメリカから押しつけられた憲法だ、改正すべき」という「改憲論者・自主憲法制定論者」の言い分に、まともに反論できず、両者の主張は平行線をたどるばかり。
この本に書かれていること(実際には講演録)は、細かい部分で首をかしげるところもあるのだが、おおむね賛同できる。
■私は内田樹さんの書いているものが好きで、よく読んでいる。
武道家であるというだけでも、信頼できる人物だと思っている。
(これは私だけの判断基準だが)
■
次回の読書会は来年1月で、課題本は、これ。
池上彰 『おとなの教養――私たちはどこから来て、どこへ行くのか? 』
NHK出版新書 431 2014/4/9発行 240ページ 780円(税別)
残念なことに、私はこの本をいちど読んで、古本屋に売り払ってしまったばかり。
また買わなくては。
発売後10万部を超えるベストセラーで(2014/10/25発行 第10刷のカバーによる)、いまでも書店では平積みになっている。
この数字は6月末のもの。
↓
NHK出版新書『おとなの教養』 6万部突破! | 得・得情報 | NHK出版書店様専用コーナー
http://www.biz-nhk-book.jp/shoten/promotion/2014/06/post_1120.html
■
こんなことを書いた後、今日の朝刊(東京新聞)を開いてみたら、内田樹さんの 『街場の戦争論』 の書評(紹介)が。
今日の読書会でもリストにあげられていたもの。
読みたくなって、さっそくネット注文した。
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