【読】「古事記」の世界
図書館から借りている池澤夏樹訳「古事記」を読みおえた。
『古事記』 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01
池澤夏樹 訳
河出書房新社 2014/11/14発行 400ページ 2,000円(税別)
― Amazonより ―
世界の創成と神々の誕生から国の形ができあがるまでを描く最初の日本文学。神話と歌謡と系図からなる錯綜のテクストを今の我々が読める形に。――池澤夏樹
【新訳にあたって】
なにしろ日本で最初の文学作品だから、書いた人も勝手がわからない。ごちゃごちゃまぜこぜの中に、ものすごくチャーミングな神々やら英雄やら美女が次から次へと登場する。
もとの混乱した感じをどこまで残すか、その上でどうやって読みやすい今の日本語に移すか、翻訳は楽しい苦労だった。(池澤)
日本最古の文学作品を作家・池澤夏樹が新訳する。
原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。
読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
解題=三浦佑之 解説=池澤夏樹
月報=内田樹、京極夏彦 帯装画=鴻池朋子
【目次】
上巻 (はじまり イザナキとイザナミ 神生み ほか)
中巻 (初代神武天皇 神武天皇と久米の子らの歌 神武天皇とイスケヨリヒメ ほか)
下巻 (十六代仁徳天皇 仁徳天皇とイハノヒメの歌 仁徳天皇とお召しを断った女たち ほか)
三浦佑之さんの口語訳も面白かったが、文庫版を読んだので、注釈が別ページにあって読みにくいきらいがあった。
池澤夏樹さんの新訳による、この単行本は、注がページ下部の脚注になっているほか、表記にさまざまな工夫があって読みやすかった。
そのあたりのことは、この本の巻頭「この翻訳の方針――あるいは太安万侶さんへの手紙」に書かれている。
巻末に、三浦佑之さんの書いた「解題」と、池澤さんの「解説」があって、これも面白い。
この本と並行して、三浦佑之さんの古事記解説本を読んでいる。
これまた、刺激的で、すこぶる面白い。
三浦佑之 『古事記を読みなおす』
ちくま新書 876 2010/11/10発行 301ページ 880円(税別)
― Amazonより ―
<古事記は、律令国家の由緒を描く史書として読まれてきた。だが、こうした理解には根本的な誤りがある―。日本書紀には存在しない「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか。この作品の成り立ちを説く「序」は真実か…このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして、古事記をとらえ返す。それにより神話や伝承の生きた姿、魅力がよみがえる。古事記の世界を一望に収める入門書の決定版。 >
これまで、なんとなく敬遠していた「古事記」だが、こんなに面白いものだとは思わなかった。
以前から天皇家の歴史には関心があって、こんなムックをなんとなく買って持っていた。
他にもある。
「サライ」や「歴史人」は、コンビニの雑誌売り場でよく見かけて買う。
戦国武将には興味がないが、ときどき、古事記やら天皇関連の特集があるのだ。
古代天皇家の系図は、かなり眉唾ものだが、古事記に描かれた神々や、天皇家の祖先とされる人物たちは、人間臭くて親しみを感じる。
そういえば、池澤夏樹さんの父親の福永武彦訳「古事記」も、なぜか手放さずに持っていた(読んではいない)。
田辺聖子訳の単行本も持っていたのだが、読まないまま手放してしまった。
これまで「古事記」をまともに読んでいなかったのは、“読まず嫌い”というものだった。
これほど豊穣な物語世界だったとは……。
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