【読】北方謙三版「水滸伝」に嵌る
年末に観た「新宿梁山泊」の芝居がきっかけで(劇団名に刺激されて)、大作「水滸伝」を読み始めた。
民間説話がベースになっている物語なので、定本といったものはない。
わが国では、吉川英治の「新・水滸伝」、柴田錬三郎の「われら梁山泊の好漢」といった翻案があり、原典(中国語版)を忠実に翻訳したものも多数あるようだ。
中国語版も、七十回本、百回本、百二十回本と、さまざまなバージョンがあるという。
若い頃、平岡正明や竹中労に関心を持っていた時期があり(今でも関心はある)、その影響から「水滸伝」を手に取ったことも。
ただ、読むことはできなかった。
いい機会だ。
北方謙三版「水滸伝」は、ブックオフなどで安く簡単に手に入るので、試しに読み始めたところ、これが面白くてたまらない。
集英社文庫で全19巻の大長編。
その第1巻の文庫解説が北上次郎(目黒孝二の別名)。
この北方版「水滸伝」の魅力を余すところなく紹介している。
その後、年末から年始にかけて第3巻まで読み進めて、いまは第4巻。
ちなみに、第2巻の解説は大沢在昌、第3館は逢坂剛。
錚々たるハードボイルド畑の作家たちが、北方版を絶賛している。
北方謙三版は、原典のテキストをベースにしながら、それを大胆に解体し、あらたな小説として作りあげている。
北上次郎の解説によると、
<二百数十年に渡って語り継がれてきた民間説話なので、中国語版は「ヘンな物語」> なのだそうで。
<人物のキャラクターがはっきりしないし、バランスも悪く、物語として壊れているといってもいい> とまで。
中国語版原典を翻訳しただけの版に手を出さなくてよかったと思う。
(若い頃、読もうと思ったのも駒田信二訳の、このてのものだった)
ただ、この北方版でも登場人物の多彩さ、人数の多さ、地名の煩雑さは障害になっている。
文庫の各巻冒頭に、登場人物一覧と当時の中国の簡単な地図が載っているが、なかなか頭にはいってこない。
第3巻あたりで、ようやく主要な人物の名前が区別できるようになった。
そんな悩みを抱えていたところ、同じ作者(北方謙三)が著した「読本」があることを知り、文庫の新本を年末に注文した。
書店が営業を始める頃には届くことだろう。
さらに、平岡正明が書いたこんな本も発見。
こちらはすでに絶版のようなので、中古を発注。
まもなく手元に届く。
『中国 水滸伝・任侠の夢 (世界・わが心の旅)』
単行本 – 1996/4/1
日本放送出版協会
平岡 正明 (著), 黄 波 (著)
「水滸伝」への思い強く、「水滸伝」を行動する男である著者が、乱世を生きた好漢の末裔が住む山東省へ旅立つ。徹底的に現地を取材した水滸伝研究書でもある。世界・わが心の旅シリーズ。
昨年、たて続けに読んだ「ゴールデンカムイ」(コミック、全31巻)のときのように、この小説に嵌りそうな予感。
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