4月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4143
ナイス数:187
楊令伝 7 驍騰の章 (集英社文庫)の感想
全15巻のちょうど折り返し前の巻。童貫が率いる宋官軍と梁山泊軍が、ついに対決を始める。めまぐるしい野戦の描写にはイメージがわかず、ついていけないが、戦闘のすさまじさは伝わってくる。最終章に、あっと驚く展開が。呼延灼がついに…。そして楊令が抱え続けるこころの闇があらわになる。その壮絶さ。ひさしぶりに読書で落涙した。
読了日:04月02日 著者:北方 謙三
楊令伝 8 箭激の章 (集英社文庫)の感想
宋官軍と梁山泊軍との激しい戦闘が続く。花飛麟と扈三娘の「悲恋」、扈三娘と張清の戦死、など山場はあったが、戦はまだまだこれから。姚平と牛坤という若者が登場し、この先の役割が気になる。
読了日:04月03日 著者:北方 謙三
楊令伝 9 遥光の章 (集英社文庫)の感想
最初の章は『楊令伝』の中間部のハイライトだろう。『水滸伝』からずっと、梁山泊軍に立ちはだかってきた宋禁軍の総帥・童貫との決戦。躍動感あふれる戦闘の描写。そして、ついに決着が…。感動的な章だ。さらに物語は、遠く日本や西域にまで広がっていく。この後の壮大なスケールが期待される。
読了日:04月05日 著者:北方 謙三
楊令伝 10 坡陀の章 (集英社文庫)の感想
梁山泊をとりまく情勢がめまぐるしく変動していく。楊令が率いる梁山泊も、遠く日本、西域(西夏)との交易に取り組んでいく。大きな戦はない(梁山湖への襲撃はあるが)。続編の主役となるだろう岳飛が魅力的。かつての楊令を髣髴とさせる。あとは、史進があいかわらず面白い人物。この先、梁山泊、金国、南宋、西夏のからみあいが楽しみだ。
読了日:04月10日 著者:北方 謙三
天路の旅人の感想
分厚く読み応えのある本を一気に(といっても三日かかったが)読了。西川一三という魅力的な人物の足跡と人となりが、沢木さんらしい丹念な取材(取材を始めてから書き上げるまで25年)とケレン味のない読みやすい文章で、みごとに描かれている。一年のうち364日、店を休まず、岩手でひっそり生きた西川一三。<西川は、若き日、アジアの大陸に在って、多くを求めることなく、ひとりのラマ僧として、ただ旅を生きた。同じように、岩手の地でも、多くを求めることなく、一店主として、ただ日々を生きることを望んだ。>…こういう人もいたのだ。
読了日:04月13日 著者:沢木 耕太郎
楊令伝 11 傾暉の章 (集英社文庫)の感想
宋が実質的に滅び、南宋が国として立ち上がりつつあるのか。南宋時代の中国を記述した歴史書には岳飛の名があったので、実在の人物だったのだろう(楊令は作者の想像上の人物だろうが)。虚実あい混じった物語が、いよいよ佳境に。西域や日本との梁山泊の交易が興味ぶかい。残り4巻。『岳飛伝』への道は長い。この巻の解説(書評家・吉田伸子)、北方謙三へのオマージュに満ちていて、微笑ましい。
読了日:04月17日 著者:北方 謙三
十円玉の話 (ことばとえ 3)の感想
小平市在住の画家・牧野伊三夫さんの絵本。縁あって、6月に私が所属する小平市の図書館友の会で講演をしていただくことに。牧野さんの本は何冊か手元にあるが、これは図書館本。わずか29ページの絵本だが、牧野さんの味わい深い絵が見飽きない。同じ出版社(あかね書房)から今年発刊された牧野さんの『塩男』も読んでみたい。図書館にリクエスト中。
読了日:04月21日 著者:牧野伊三夫
楊令伝 12 九天の章 (集英社文庫)の感想
南宋という国が実体を持ち始める。西夏と金国の内部も複雑をきわめる。梁山泊の西への交易隊が金軍の一部に襲われるという意外な展開。物語が動き始める予感がする巻。あらためて思うのだが(前作の水滸伝でもそうだったが)、北方謙三が紡ぎだす物語では女性や少年たちが、じつに生き生きと描かれている。この巻では韓成と郤妁とのロマンスに人間臭さを感じる。王定六と鮑旭の死が悲しい。楊令と幹部たちとの”国”に対する考え方の違いが表面化してくる(呉用・宣賛・武松・公孫勝との激論が面白い)。岳飛と張俊の動きも気になる。
読了日:04月22日 著者:北方 謙三
楊令伝 13 青冥の章 (集英社文庫)の感想
この巻で俄然、面白い展開に。国とは何か、民とは? 北方謙三が「大水滸伝」三部作で問いかけ続けるのは、そういうことかと。蕭珪材と岳飛との一騎打ちが圧巻。蕭珪材との戦に勝ったものの、大きな迷いに悩む岳飛が梁山泊を訪れ、楊令・花飛麟・張平と焚火を囲み、胸襟を開いて語りあうシーンが感動的。ずっと昔、楊令の一撃を馬を落ちながらもかわした子どもが、まだ少年だった岳飛だったのだが(楊令に「子どもか」と無視されたことを岳飛は忘れない)、楊令は覚えていないという設定も、いい。そして、南宋に取り込まれていく李英、危うし。
読了日:04月24日 著者:北方 謙三
また会う日までの感想
分量・内容ともに重厚な小説。作者自身の縁者(大伯父)の話なので力がはいっている。過去の作品『静かな大地』に通じる。主人公・秋吉利雄は敬虔なクリスチャンであり、天文学者でありながら海軍軍人という稀有な人物。彼の周辺(兄弟姉妹・二人の妻・子どもたち・軍や職場の同僚など)の人々がたくさん登場する。作者の父・福永武彦(主人公の甥にあたる)や作者・池澤夏樹自身も登場。大正から昭和20年の敗戦にかけての戦争の諸相が、海軍軍人の眼を通して描かれている点(そこには作者の歴史観・戦争観が垣間見える)も興味深い。
読了日:04月30日 著者:池澤 夏樹
塩男 (あじわう絵本 2)の感想
近隣にお住いの画家・牧野伊三夫さんの、こころあたたまる絵本。新作。なんども眺めて味わいたいような。
読了日:04月30日 著者:牧野伊三夫
読書メーター
最近のコメント