【読】「土偶を読むを読む」を読んだ
一年ほど前に、さんざん持ち上げた本がある。
今年になって、その本への正面切った批判書が出版され、あっと驚いた。
以下、私が所属している小平図書館友の会の交流紙(会員向け)に投稿する予定の駄文。
望月昭秀/縄文ZINE(編著)
『土偶を読むを読む』
文学通信(2023/6/10)431ページ
話題をさらった竹倉史人著『土偶を読む』(晶文社2021)及び、続編のこども向け図鑑『土偶を読む図鑑』(小学館2022)に対する、考古学視点からの正面切った批判書。本の装幀も竹倉氏の上掲書を意識して(皮肉って)います(書影参照)。
私は、以前、交流紙213号(2022年8月発行)に寄せた投稿で竹倉氏の著作を大いに持ち上げました。
本書を読んだあとでは、竹倉説の杜撰さに気づかずに“だまされた!”という思いに至りました。当時は “目から鱗が落ちた”と感激したのですが、いまは“落とした鱗を拾い直した”という思いを強くしています。悲しい。
何にしろ、本に書かれていることを無批判に鵜吞みにするのはいけません。反省。
以下、Amazonの紹介文から(一部補足)
「土偶の正体」は果たして本当に解き明かされたのか? 竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)を大検証!
考古学の実証研究とイコノロジー【注】研究を用いて、土偶は「植物」の姿をかたどった精霊像という説を打ち出した本書(竹倉氏の著作)は、NHKの朝の番組で大きく取り上げられ、養老孟司ほか、各界の著名人たちから絶賛の声が次々にあがり、ついに学術書を対象にした第43回サントリー学芸賞をも受賞。この賞では「『専門家』という鎧をまとった人々のいうことは時にあてにならず、『これは〇〇学ではない』と批判する“研究者”ほど、その『○○学』さえ怪しいのが相場である。『専門知』への挑戦も、本書の問題提起の中核をなしている」(佐伯順子)と評された。
しかし、このような世間一般の評価と対照的に、『土偶を読む』は考古学界ではほとんど評価されていない。それは何故なのか。その理由と、『土偶を読む』で主張される「土偶の正体」、それに至る論証をていねいに検証する。
【注】イコノロジー(iconology)
本来は図像解釈学(ずぞうかいしゃくがく)。
竹倉説においては、有名な土偶の外観写真=図像と、食用植物や貝類との形態の相似に着目し、土偶の正体(何をかたどり、どんな目的で作られたか)を類推(想像)、「土偶の真実」を明らかにした! と高らかに宣言していた。
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