【読】原武史『一日一考 日本の政治』
面白そうだったので購入、そのまま本棚に眠っていた新書。
読みやすそうだったので、読んでみることにした。
原武史 『一日一考 日本の政治』
河出新書 (2021/6/20) 398ページ
―Amazonの紹介文―
<歴史の深い闇に埋もれた言葉は、私たちの日常を読み解く鍵になる。公表時に話題にされても忘れ去られた名言、無名の人たちが残していた言葉、一つの出来事に対して異なる見解を示す文章……一日ひとつ、366人の言葉と今の体制のつながりを通して、この国の政治とは何か、考える。>
新書としては分厚い本だが、
「うるう年の2月29日を含む1年366日の1月1日から12月31日まで、1日ごとに政治とは何かを考えるための文章や言葉を配置し、それぞれの文章や言葉に対する筆者の解説を加えたもの」(はじめに)
とあるように、1ページ1項目で読みやすそう。
ちなみに、1月1日の項では、阿満利麿(あま・としまろ/1939-/宗教学者)の文章がとりあげられている。
阿満利麿という人物は、知らなかった。
この阿満利麿の文章を引用したあと、筆者の原武史さんは、こう解説している。
<1946(昭和21)年元日、昭和天皇は詔書により自らを「現御神」とする「架空ナル」観念を否定し、いわゆる人間宣言を行った。だが阿満利麿は言う。大部分の国民は、天皇が「神」だろうが「人間」だろうが、依然として崇拝の対象にしている。それは自分たちの生に究極的な意味を与える存在を、日常生活と同じ時間と空間のなかに求めたいという願望があるからだ。この願望がある限り天皇制はなくならないどころか、天変地異などで自分たちの生が危険にさらされたときほどその崇拝は強まることになる。> (P.16)
天皇や皇室に詳しく、たくさんの論考がある原武史さんらしい、鋭い指摘だと思う。
この本に出てくる人物、私の知っている人は少ないが、あたらしい発見がありそうで、楽しみな本だ。
(2024/4/16 記)
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