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2024年10月 4日 (金)

【読】痕跡本

面白い本を読んだ。
読んだ本の感想を「読書メーター」というサイト

https://bookmeter.com/
https://bookmeter.com/books/9723303
に書いているが、文字数制限(255文字まで)があるので、ここにもう少し書いておこう。

古沢 和宏 『痕跡本の世界 古本に残された不思議な何か』
ちくま文庫 ふ 49-1 2015/6/10 269ページ
https://amzn.to/3TXbBBH

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『痕跡本の世界』古沢 和宏 | 筑摩書房
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480432803/

ちくま文庫オリジナル(一部、Webマガジン連載)。
巻末に、あの岡崎武志さんの推薦文があるのも、私にはうれしい。

著者は、犬山で古書店を営む、まだ若い人 (1979年生まれ)。

「痕跡本」とは、前所有者による書き込みなどの痕跡が残された本(古本)。
「痕跡本」 と呼ぶことは知らなかったが、よくお目にかかるもの。

この本では、書き込みばかりか、手紙や写真、さらには、少年刑務所の「閲覧票」(刑務所で本を個人所持する際に貼られる票)といった、とんでもない痕跡や、前所有者によって「改造」された本、やたらフセンが貼られたままの本、…等々、興味ぶかい実例が写真入りで紹介されている。

なによりも面白かったのは、著者が、それらの痕跡から妄想するストーリー。いやあ、まいりました。

”古本ライター”の岡崎武志さん
https://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/cat23469761/index.html
も、同じように痕跡本を紹介しているのを読んだことがあるが、いかにも古本愛あふれる内容だ。
書き込みのある古本、ふつうは敬遠されるものだが、そんな痕跡を楽しむのも古本ならでは、なのかもしれない。
古本の世界は奥が深い。

余談だが、私も、図書館本でひどい書き込みを見たことがある。
村上春樹のエッセイ本だったと思うが、あちこちに著者(村上氏)への悪口が書かれてあった。
そんなに村上春樹がキライなら、読まなきゃいいのに……。
それでも書き込みしたくなる心理は、自己主張という形の他者へのコミュニケーションなのか?

この本の著者も、図書館本への書き込みは「最古のSNS」、今ならツイッターにあるような、不特定多数への発信(自己顕示)ではないか、と喝破している。もちろん、許される行為ではないのだが。

巻末の「読んでない本大賞」の話も面白かったな。
買ったまま読んでいない(読めない)本にも、それぞれの理由があるのだ。
わが身に引き比べて、そんなことも思った。

 

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