以前から気になっていた三五館シンシャの「〇〇日記」シリーズを、立て続けに読んだ(まだ読んでいる)。
森永卓郎さんの 『ザイム真理教』他の出版社だ。
ちいさな出版社らしいが、意欲的な本を出していて、好感が持てる。
Amazon 三五館シンシャ
https://amzn.to/3XnxHz6
このシリーズのカバー挿画と本文のイラストは、すべて伊波次郎さん。
ずっと前、購読紙(東京新聞」の連載小説「かたばみ」(木内昇)のイラストが、この人だった。
第10回 山中賞受賞!木内昇『かたばみ』 血の繫がらない親子を描く、笑いと涙のホームドラマ | 株式会社KADOKAWAのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000014045.000007006.html
2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1452
ナイス数:158
タクシードライバーぐるぐる日記――朝7時から都内を周回中、営収5万円まで帰庫できませんの感想
この出版社の「〇〇日記」シリーズが、以前から気になっていた。トラックドライバーなど物流業界の窮状を扱った岩波新書『物流危機は終わらない』を流し読みして、同じドライバー経験者のこの本を読んでみようと思った(トラックドライバーの本は見当たらなかった)。著者の人柄が感じられる好著。現役時代の体験を、よくぞここまで覚えていたものだと感心する。読みやすさは編集者の手腕によるところも大きいのではないか。現役時代のさまざまなエピソードが面白いが、お母様の最後や退職後のつつましい年金生活の話が、ジーンと来る。
読了日:02月06日 著者:内田正治
バスドライバーのろのろ日記――本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します (日記シリーズ)の感想
タクシードライバーの次はバスドライバーの日記。47歳のときに高校教師からバスドライバーに転身。あこがれの職業だったという。タクシー同様、お客を乗せて運転するのは大変。そうとう変わった乗客がいる。バス会社の規則も厳しい。会社内の人間関係の難しさは、一般の会社と同様。結局、著者は運行上のミスが重なって59歳で退職。あたらしい職探しの苦労もよくわかる。ヘンな乗客が多いなかで、「歌謡コンサート」の章(P.169)のエピソードに救われる思いがした。この出版社の「〇〇日記」シリーズは面白く、他の本も読んでみたい。
読了日:02月10日 著者:須畑 寅夫
非正規介護職員ヨボヨボ日記――当年60歳、排泄も入浴もお世話させていただきますの感想
〇〇日記シリーズ3冊目。著者はさまざまな職業を経験後、職探しでハローワークの相談員から「このご時世、あなたの年齢で勤められるのは介護職ぐらいでしょうね」と言われ、56歳の時、日給月給の非正規介護職員になったという。入居者10名ほどの小規模施設だが、入居者はそれぞれ個性的。というか、老化とボケの人ばかり。将来、自分は介護施設に入るようにはなりたくないと思ったが、今どき自宅で最期を迎えられる人は幸せなのかも。入居者のあれこれを面白おかしく綴っているが、入居者への愛と敬意も感じられて、いやな感じはしない。好著。
読了日:02月12日 著者:真山 剛
交通誘導員ヨレヨレ日記――当年73歳、本日も炎天下、朝っぱらから現場に立ちますの感想
著者は1949年生まれ。この本が出版されたのが2019年なので、70歳近い年齢で交通誘導員(警備員)の仕事を続けている。本業は出版編集・ライターだが、事情があっての「ダブルワーカー」らしい。著者自身あとがきに書いているように、この本に「感動的な話・ほのぼのとした話」はない。それでも、道路などで見かける警備員の仕事がよくわかり、興味深かった。交通誘導も神経を使うたいへんな仕事だが、人間関係の苦労の多いこともよくわかった。著者より少しだけ年少の私だが、この仕事が務まるかといえば、ムリムリ。
読了日:02月15日 著者:柏耕一
マンション管理員オロオロ日記――当年72歳、夫婦で住み込み、24時間苦情承りますの感想
このシリーズ5冊目。読みやすく面白い本だった。著者は、事業が立ち行かなくなって、夫婦で住み込みのマンション管理員に転身。京都に住んでいたとき阪神淡路大震災に遭遇。著者の仕事(前職)の広告業界も、この震災を契機に大きな影響を受けたという。マンション管理員の仕事は、さまざまな(驚くほど非常識な)住人への対応と、管理会社(管理員の雇用主)との対応で明け暮れる、波乱万丈の毎日。これまで読んだこのシリーズに共通する感想は、世の中ラクな仕事はないなあ、と。それでも、どの本も暗さを感じないところが、いい。まだまだ読む。
読了日:02月17日 著者:南野 苑生
コンビニオーナーぎりぎり日記 (汗と涙のドキュメント日記シリーズ)の感想
コンビニオーナー(夫妻)の女性の日記。日頃お世話になっているコンビニの裏側、オーナーの苦労がよくわかる興味深い本。この出版社の日記シリーズの中でも群を抜いて面白かった。「ファミリーハート」という仮名(バレバレ)がおかしい。著者名も仮名らしいが、ここまであけすけに書いて大丈夫? という心配も。本部との軋轢、とんでもない客の対応(クレーマー、カスハラ)、アルバイト店員の手配、24時間休む間もないオーナーとしての仕事のたいへんさ。コンビニオーナーに転身した事情にも同情。さまざまなエピソードがとても面白い。
読了日:02月19日 著者:仁科 充乃
派遣添乗員ヘトヘト日記――当年66歳、本日も“日雇い派遣"で旅に出ますの感想
添乗員の仕事もたいへんだ。これまで読んだ「〇〇日記」シリーズの著者たちに共通しているのは、中高年になってからやむなく転職し、過酷な労働条件と難しい人間関係の仕事に身を置いている。この著者も本業を持ちながら、派遣添乗員に。添乗員もバスガイドも、そのほとんどが派遣職ということを、はじめて知った。さまざまな困ったツアー客のことは、ツアーに参加した経験から想像できるが、その事例には驚いた。本書の最後に出版社(三五館シンシャ)のことが書かれている。「〇〇日記」シリーズは大当たりで、新刊は図書館でも予約待ちの行列。
読了日:02月23日 著者:梅村達
読書メーター
最近のコメント