【読】2025年11月に読んだ本(読書メーター)
なかなか本を読めない日々が続いていたが、11月になってようやく、本を読むクセが戻ってきた。
11月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3924
ナイス数:122
ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く (単行本)の感想
少し前に読んだ、この著者の新刊『「あの戦争」は何だったのか』(講談社現代新書/2025年7月)に導かれて読んでみた。「国威発揚」<ナショナリズムが再評価され、力を増している文脈において、政治と文化が複雑に絡み合って生じる現象全般を指す(巻末「総論」)>を考えるために著者がとった方法<国内外約35か所を巡っての取材>がユニーク。「安部神像神社」(第三章)を始め、おったまげるような施設や像、記念碑が紹介されていて、興味深い。「上からの統制」を支える「下からの参加」という指摘には、なるほどと思う。読み応えあり。
読了日:11月02日 著者:辻田 真佐憲
村上春樹は、むずかしい (岩波新書)の感想
再読(のはず)。『村上春樹は、むずかしい』は、むずかしい――というのが感想。著者の論の半分も理解できず。この新書が出てすぐの頃、参加した読書会でとりあげられた。その時の参加者の一人が、上の感想を述べたのだった。一度読んでいるはずなのに、内容は新鮮だった。というのも、その後、本書で論じられている村上作品をほとんど読んだせいか、取りあげられている作品に馴染みがあったから(といっても、それらの作品の内容の記憶は、すでにおぼろ)。『神の子どもたちはみな踊る』と『海辺のカフカ』だけは、もう一度読んでみたい気もする。
読了日:11月04日 著者:加藤 典洋
「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史 (講談社現代新書 2705)の感想
最近、この人の著作にハマり、この新書も読んでみた。じつに面白い。帯にあるキャッチ「右派は誇り、左派は恐れる 戦前日本の本当の姿とは?」のとおり、たくさんの例証をあげながら「戦前」の「正体」をていねいに論じており、読んでいて発見が多かった。「大日本帝国は、神話に基礎づけられ、神話に活力を与えられた神話国家だった」(はじめに)。そういえば、この著者の『日本の軍歌』(幻冬舎新書)を読んだことがあった。『天皇のお言葉』(幻冬舎新書/2019年)も読んでみよう。難解そうな『日本書紀』にもチャレンジしようか。
読了日:11月08日 著者:辻田 真佐憲
天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成 (幻冬舎新書)の感想
明治・大正・昭和・平成の天皇が発した公的・私的な「お言葉」から、それぞれの姿を浮き彫りにしている。なかなかの力作。明治天皇が出身地の京言葉で話したという、そのくだけた口調が微笑ましい。昭和天皇が「現憲法の施行後も君主として振舞おうとしていた」との指摘は鋭い。沖縄に関して「米国に『長期貸与』すべしという」発言も(非公式に)あったし。本書は「平成天皇」の譲位が決まり「令和」になる直前(2019年3月)に刊行されている(この年5月から「令和」)。2016年8月の平成天皇「ビデオメッセージ」の分析も興味深い。
読了日:11月12日 著者:辻田 真佐憲
宝島(上) (講談社文庫 し 106-2)の感想
6年ぶりの再読。第二部後半から、がぜん面白くなってきた。が、冒頭からしばらくのあいだ、読みにくさを感じてしょうがなかった(これほどまどろっこしい文章だったっけ?)。ウチナーグチのルビも邪魔な気がした。第二部最後、ヤマコとおばあたちの会話こそ、ウチナーグチにすべきではなかったか? それでも骨太なストーリーにぐいぐいと引き込んでいくのは、さすが。キャラウェイ暗殺未遂事件などは、本当にあったことかと思ったほど。初読の記憶がほとんどないのだが、この先(下巻・第三部)の展開が楽しみ。オンちゃん、生きていてほしい…。
読了日:11月17日 著者:真藤 順丈
宝島(下) (講談社文庫 し 106-3)の感想
壮大な物語がみごとに閉じる。オンちゃんの失踪の謎が、きれいに解ける結末も、さすが。この作品が第160回直木賞を受賞したときの選評(ほぼ満票だったらしい)を見ても、選者たちが寄せた高評価がうかがい知れる。
https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo160.htm
ただ、6年前の初読のときのあの興奮は蘇らなかった。
読了日:11月18日 著者:真藤 順丈
山猫の夏 新装版 (講談社文庫 ふ 30-8)の感想
熱愛する作家・船戸与一の初期長編。数か月前、船戸さんの処女作『非合法員』を読み、この「南米三部作」第一作が読みたくなったところで数か月が過ぎた。いちど読んでいるのかどうか憶えていないが、新鮮だった。文庫で700ページを超える大作。プロットが絶妙で、最後まで目が離せない。「山猫」と呼ばれるじつに魅力的な主人公に引きずられ、ブラジルの架空の町「エクルウ」での抗争に巻き込まれる語り手の「おれ」。文体もいい。次に「三部作」第二作『神話の果て』、第三作『伝説なき地』(いずれも再読かどうか不明)に続けたい。
読了日:11月24日 著者:船戸 与一
神話の果て 新装版 (講談社文庫 ふ 30-9)の感想
船戸さんの初期長編。「南米三部作」第二作。憶えていないが、初読かも。これも、よくできた小説で面白かった。南米ペルーが舞台。登場人物一覧が付いていないため、人名がなかなか頭に入ってこなかったが、簡単な地図が付いているのはありがたい。調子に乗って、第三作『伝説なき地』(上下巻の大作)も読んでみよう。
読了日:11月27日 著者:船戸 与一
日本推理作家協会賞受賞作全集 58 (双葉文庫 ふ 7-2)の感想
『山猫の夏』『神話の果て』に続く「南米三部作」第3作。長らく書棚に眠っていたが、既読かどうかは不明(たぶん読まずに置いてあった)。文庫上下2巻、1100ページにも及ぶ大作。多彩な登場人物たちの動きが、この上巻最後で繋がる予感。ここまでの伏線がみごと。登場人物たちが、みな生き生きしていて、その描写も秀逸。簡単な地図はあるものの、登場人物一覧があると、もっとよかったのだが。
読了日:11月30日 著者:船戸 与一
読書メーター
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