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2026年2月 1日 (日)

【読】2026年1月に読んだ本(読書メーター)

昨年12月から、船戸与一の「落ち穂ひろい」と称して、古い作品から読み続けている。

そろそろ既読の作品の再読にかかっているが、過去に読んだはずの作品も、その内容をほとんど憶えていなかったので、新鮮。

1991年の『砂のクロニクル』を読み終えて、今は、1997年の『午後の行商人』を読んでいる。

1996年『蟹喰い猿フーガ』、『かくも短き眠り』、1998年『流沙の塔』以降は、図書館に文庫本があるようなので、今後、借りてきて読んでみたい。

1月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:5131
ナイス数:154

蛮賊ども (角川文庫 ふ 2-3)蛮賊ども (角川文庫 ふ 2-3)感想
昨年から続いている船戸作品”落穂拾い”(未読だった初期作品を読む)の12冊目。1980年のアフリカ・ジンバブエ(旧ローデシア)が舞台。当時のアフリカの政治状況が複雑で、それが地の文で説明されているのが、ややうっとうしい。登場人物が多岐にわたっていて複雑だが、ダイナミックな展開は、さすが船戸さん。文庫解説(井家上隆幸)で紹介されている大岡昇平編『ミステリーの仕掛け』に、豊浦志朗名義で書かれた「ハードボイルド試論」が掲載されていると知り、読んでみたくなり古本を注文。船戸与一の世界にどっぷりと浸かっている。
読了日:01月01日 著者:船戸 与一

シロくんとパレスチナの猫シロくんとパレスチナの猫感想
パレスチナ難民キャンプに何度も足を運んできた写真家・高橋美香さんの写真絵本。ガザについての報道の陰で忘れられがちなヨルダン川西岸地区の難民キャンプへのイスラエルの侵攻。そればかりか、パレスチナ人が住む土地を奪い、”入植地”を拡大し続けているイスラエルの非道。この本では、美香さんの愛猫”シロ”くんの目を通して、美香さんがパレスチナで体験した近年のパレスチナの人々と猫たちの姿が描かれている。けっして”声高”ではないが、イスラエルの非道を訴える好著。
読了日:01月02日 著者:高橋 美香

血と夢 増補新版 (徳間文庫 ふ 3-13)血と夢 増補新版 (徳間文庫 ふ 3-13)感想
無薬莢弾丸の自動小銃は、いまや現実に存在するらしい。元自衛官で個人的事情から金を必要としている主人公(かなりナイーブな男)が国際的な謀略に巻き込まれていくハードボイルド小説。2001年徳間文庫版のこの「増補新版」には、著者によるアフガニスタンの当時の状況解説(ムジャヒディン取材記)が付いているので、大いに参考になる。また、巻末解説を、船戸さんから依頼を受けた写真家・長倉洋海さんが書いていて(長倉さんが追い続けていたマスード将軍のこと)、それもうれしい。この小説でも船戸さんの冒険小説の定番=主人公は死ぬ。
読了日:01月05日 著者:船戸 与一

銃撃の宴 (徳間文庫 140-2)銃撃の宴 (徳間文庫 140-2)感想
船戸与一さんの初期作品を追い続け、これが14冊目。アメリカ合衆国(アラスカを含む)を舞台にした七つの短編。文庫書き下ろしらしい。どの作品も意表をつく結末が用意されていて面白い。なかでも「灰色の猟犬」の思いがけない結末には感心した。巻末の北上次郎氏による文庫解説では、船戸作品の魅力が的確に指摘されている(解説文など読まなくていいという意見もあるが、この人の解説は好きだ)。そろそろ初読作品がなくなってきたが、『蝕みの果実』(短編集、1996/10講談社)は既読かもしれない。読んでみよう。他の既読作品も。
読了日:01月07日 著者:船戸 与一

蝕みの果実 (講談社文庫 ふ 30-13)蝕みの果実 (講談社文庫 ふ 30-13)感想
1986年から96年にわたって雑誌連載された短編7編。第4短編集。著者自身によると「舞台がアメリカ合衆国」「主要登場人物が何らかのスポーツに関係している」という共通項を持つ。ずいぶん前に読んだかもしれないが、例によって憶えておらず、新鮮だった。船戸さんのストーリーテリングが冴えている。なかでも、野球選手を扱った「セレクション・ブルー」、陸上競技者たちの「ミセス・ジョーンズの死」が秀逸。他の5編も、いい。船戸作品の”落ち穂拾い”は、まだまだ続く。次は、1987年の傑作長編『猛き箱舟』(再読)にとりかかる。
読了日:01月09日 著者:船戸 与一

猛き箱舟 上 (集英社文庫)猛き箱舟 上 (集英社文庫)感想
文庫上下巻それぞれ600ページにもなる大作の上巻を読了。ずいぶん前に単行本で読んだ朧げな記憶があるが、内容はおとんど憶えておらず、新鮮だった。頼りなげな”チンピラ”ともいえる香坂正次が過酷な体験を通して大きくなっていくドラマともいえる。プロローグ、南アルプスで射殺される隻腕の男との繋がりが気になる。非情さの塊のような”グリズリー”(隠岐浩蔵)が不気味。文庫解説(佐々木譲氏)がこの上巻にも付いているのは珍しい。さすがに佐々木譲さんらしい的確な分析でおおいに参考になる。
読了日:01月13日 著者:船戸 与一

猛き箱舟 下 (集英社文庫)猛き箱舟 下 (集英社文庫)感想
初期の傑作長編。単行本で読んだ憶えもかすかにあるが、記憶の彼方。あらためて新鮮だった。多彩な登場人物たちの予測不能な運命に、夢中になって読み進んでいった。ただ、結末は作品のまとまりとしてどうなのか。若干の不満が残った。それでも私にとっては『蝦夷地別件』に並ぶ船戸作品のベストと言える。文庫下巻の解説は逢坂剛氏。ハードボイルド系の作家らしい的確な船戸評は、おおいに参考になる。逢坂氏があげている『叛アメリカ史』、手元にあって未読だと思う。他の船戸さんの小説をひと通り読み終えたら、開いてみたい。
読了日:01月15日 著者:船戸 与一

凪の人 山野井妙子凪の人 山野井妙子感想
山岳関係の本が好きで、この本を知り、すぐに図書館から借りて一気に読んだ。著者は自身も海外の山に登るほどで、山野井夫妻と中国の山にも行ったらしい。妙子さんからよほどの信頼を寄せられていなければ、これほど内容の濃い”評伝”は書けなかったろう。妙子さんの登山歴を含む人生は「表立った歴史だけを見ると、けっして凪いではいなかった」(本書エピローグ)が、その人柄はまさに「凪の人」。なんとも魅力的な人だ。泰史さんも凄いクライマーだが、それを支える”姉さん女房”の妙子さんも凄い。彼女も今年、古希を迎えると知り、驚いた。
読了日:01月17日 著者:柏 澄子

炎流れる彼方 上 (集英社文庫 ふ 7-5)炎流れる彼方 上 (集英社文庫 ふ 7-5)感想
舞台が広大なアメリカ合衆国のためなのか、カラット突き抜けるような明るさを感じる。すこし前に読んだ『夜のオデッセイア』を思い出す。盛りを過ぎたボクサー”ムーニー”とその家族、それに主人公の”ラッキー”の魅力的な4人が、この後、ポンコツ車で北米大陸を移動していく予感。ところで、船戸与一は格闘技にも造詣が深いという話を読んだ記憶がある。少林寺拳法の技や、ボクシングの試合の描写に迫力がある。謎をはらんだまま、下巻へ。1990年発表、デビュー後11年目の長編傑作。
読了日:01月18日 著者:船戸 与一

炎流れる彼方 下 (集英社文庫 ふ 7-6)炎流れる彼方 下 (集英社文庫 ふ 7-6)感想
この小説、ずいぶん前に読んだかもしれないが、憶えていない。下巻にはいって物語が大きく展開。結末にいたっては読者の予想だにしないことになる。船戸ワールドらしく登場人物たちの大半は死んでしまう。ひとり残った主人公の視点から物語が語られる。文庫を選んで船戸作品を読み続けているのは解説を読みたいためだ。この文庫の解説・野崎六助氏は知らない人だったが、日本推理作家協会所属の小説家・評論家らしい。この解説の船戸論も興味深い。なるほど、『夜のオデッセイア』の系列に連なる「ロード・アドヴェンチャー・ノヴェル」だった。
読了日:01月21日 著者:船戸 与一

砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)砂のクロニクル〈上〉 (新潮文庫)感想
ずいぶん前に単行本で読んだはずだが、内容をまるで憶えていなかった。評判どおりの傑作。プロットが巧みで、物語作者としての船戸さんの力量が感じられる。1980年代、イラン・イラク戦争後の複雑な中東情勢を舞台に、クルド人ゲリラたちの独立闘争が描かれる。主要な登場人物たちの因縁にみちた絡み合いにわくわくしながら、この上巻を読み終えた。この当時、私にとっては遠い世界のことだったが(関心が薄かった)、現代につながる、抑圧され続ける民族の”叛史”を描き続けた作者は、私には魅力的だ。船戸作品を追う読書は、とうぶん続く。
読了日:01月25日 著者:船戸 与一

砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)感想
20年も前、船戸作品を読み始めた頃、単行本で読んだはずの長編小説。単行本が上梓された1991年時点で、この小説が船戸さんの最高傑作だったと、今にして思う。この文庫の解説は辺見庸氏。「正史」に対して「外史」という言葉を使っているが、船戸さん一流のすぐれた「叛史」だ。舞台となる国・地域のスケールの大きさ、多彩な登場人物たちの魅力、結末に向かってなだれ込むような部物語の展開。どれをとっても船戸作品の金字塔といえよう。複雑な登場人物一覧がKindle版(サンプル)で見ることができる。文庫版には簡単な地図しかない。
読了日:01月29日 著者:船戸 与一

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