« 【雑】クマさんの ”あっぱれな” 死に方 | トップページ | 【読】2026年5月に読んだ本(読書メーター) »

2026年5月 1日 (金)

【読】2026年4月に読んだ本(読書メーター)

4月も、もっぱら船戸与一さんの「落ち穂ひろい」と称する再読に明け暮れた。

4月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:4362
ナイス数:89

蝶舞う館 (集英社文庫)蝶舞う館 (集英社文庫)感想
「落ち穂拾い」のこれも再読。初読は単行本で2009年。内容は憶えていないまま文庫で読んだ。じつによくできた「東南アジア五部作」の四作目(文庫化は最後)。舞台は2004年のベトナム。ベトナム戦争後も続く国内の被抑圧民族への弾圧。ベトコン――差別語などではない、と登場人物の口を借りて船戸さんは言う――が必ずしも”誤謬のない正義”なんかじゃなかったことが、作中で示される。「南米三部作」といい、船戸与一の現代史(叛史)発掘の作業と、それをエンタメ化する筆力に、あらためて敬服。次は、いよいよ『河畔に標なく』の再読。
読了日:04月04日 著者:船戸 与一

河畔に標なく (集英社文庫)河畔に標なく (集英社文庫)感想
「船戸与一落ち穂ひろい」の27作目。再読だが(初読は2009年)、初読時の記憶はおぼろで、新鮮だった。早大探検部の船戸さんの後輩・高野秀行さんが取材協力。その経緯は高野さんの本に詳しい。よくできた小説。「短いシーンをカットバックさせる手法で目まぐるしく場面転換させつつ、破滅への道行きへと盛り上げていく」(解説:前田哲男)ストーリー展開が秀逸。参考文献にあげられている吉田敏浩『森の回廊』が手元にあり、既読かどうか不明。読んでみたい。高野さんの『アヘン王国潜入記』『西南シルクロードは密林に消える』再読したい。
読了日:04月07日 著者:船戸 与一

海燕ホテル・ブルー (角川文庫 ふ 2-3)海燕ホテル・ブルー (角川文庫 ふ 2-3)感想
本作、再読かもしれないが憶えていない。船戸与一の異色作。珍しく日本国内だけが舞台で、”魔性の女”として描かれる韓国からの密航者(金梨姫)以外は日本人しか登場しない。船戸さんらしく登場人物たち誰もが個性的で魅力的だが、惜しむらくは、金梨姫の過去がもっと描かれていれば、物語の深みが違ったのでは? 1998年に上梓された本作の後『龍神町龍神十三番地』『新宿・夏の死』と国内を舞台にした作品が続く。これから読んでみよう(これらも再読かもしれない)。
読了日:04月09日 著者:船戸 与一

龍神町龍神十三番地 (徳間文庫 ふ 3-14)龍神町龍神十三番地 (徳間文庫 ふ 3-14)感想
昨年末から続いている「船戸与一”落ち穂拾い”」29作目。1998年上梓の『海燕ホテル・ブルー』に続く国内物。たぶん初読。読み応えあり。現実にはあり得ないほどの矛盾と怨念が渦巻く五島列島の架空の孤島が舞台。『海燕ホテル…』が刑務所帰りの孤独な男の個人史だったが、本作は狭い孤島の世界で蠢く人間たちの世界。隠れキリシタンの地という歴史背景も織り込まれていて、まるで「南米三部作」の日本版のような物語。ミステリー的な仕掛けも巧みで、最後の種明かしまで、息つく暇もなく読ませる、船戸さんの20世紀末の傑作。
読了日:04月12日 著者:船戸 与一

新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7)新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7)感想
1998年8月から2001年2月にかけて雑誌に発表された中編8作。2000年5月『虹の谷の五月』で直木賞受賞後の第一作らしい。読み応えあり。作家仲間の大沢在昌による文庫解説が、いい。<真夏の新宿で、出口を失った者たちの姿が描かれている。それにしても、すべての登場人物にフルネームを与え、出身地から経歴、その方言にまでこだわる船戸与一の描写は、まさに精神の前に肉体が存在するという、彼のハードボイルド観が端的に表れている。>(大沢在昌解説)まさに、そのとおり。大沢氏が言うように船戸ワールドの転換期だったのかも。
読了日:04月14日 著者:船戸 与一

三都物語 (新潮文庫 ふ 25-8)三都物語 (新潮文庫 ふ 25-8)感想
再読のはずだが、内容を憶えておらず、新鮮だった。横浜、台中、光州の三都を舞台に、プロ野球がらみの五話が連作になっているという憎い構成。文庫解説の北上次郎いわく。「アジアの複雑な政治情勢を背景に置いて、野球ビジネスの最前線と底辺に蠢く男たちを活写」しており「船戸与一は物語作家として群を抜く力量の持ち主である」と。まったく同感。昨年から続いている船戸作品の”落ち穂ひろい”も、これが31作目。次は2004年の『金門島流離譚』を読もう(これは再読。新潮文庫の解説は、なんと高野秀行さん)。
読了日:04月17日 著者:船戸 与一

ぐうたら原始行ぐうたら原始行感想
幻の単行本(1974年・山と渓谷社)を驚くほど高価な古本で入手したすぐ後、クラウドファンディングで出来上がった文庫。版元は吉祥寺のちいさな喫茶店・ヒロミブックス。この文庫のまえがき執筆が小松由佳さんというのもうれしい。一橋大学探検部在籍中の22~24歳の若者だった頃の、関野さんの初々しさが感じられる。この頃から「好きなことだけをする」という「ぐうたら」思想が芽生えていたことを知った。ペルー・アマゾンのマチゲンガが住む地域の地名や人名が煩雑で、なかなか頭に入ってこなかったが、文庫あとがきの言葉が沁みる。
読了日:04月25日 著者:関野吉晴

金門島流離譚 (新潮文庫)金門島流離譚 (新潮文庫)感想
ずっと以前に読んでいたが、ほとんど内容を憶えていない。この文庫本は手放さずに持っていた(解説が高野秀行さんだったからか)。再読。2004年初刊。この頃の船戸さんは、東南アジアに関心が向いていたのか(2003年『夢は荒れ地を』から2006年『河畔に標なく』に至る「東南アジア四部作」)。そして、大作で遺作となった『満州国演義』(2007年~2015年、全9巻完結)。昨年から続いていた”船戸作品落穂ひろい”も、そろそろ終盤にさしかかてきた。
読了日:04月27日 著者:船戸 与一

読書メーター

| |

« 【雑】クマさんの ”あっぱれな” 死に方 | トップページ | 【読】2026年5月に読んだ本(読書メーター) »

【読】読書日誌」カテゴリの記事

船戸与一」カテゴリの記事

こんな本を読んだ」カテゴリの記事

関野吉晴」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 【雑】クマさんの ”あっぱれな” 死に方 | トップページ | 【読】2026年5月に読んだ本(読書メーター) »