【読】2024年9月に読んだ本(読書メーター)
9月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2426
ナイス数:96
JAL123便墜落事故 自衛隊&米軍陰謀説の真相の感想
著者は元日航パイロットでボーイング747の操縦経験者。書名にあるように、自衛隊や米軍の関与を否定し、後部圧力隔壁破壊による(急減圧とは呼べないものの)ゆるやかな減圧を事故原因と主張。青山透子氏らの説を「陰謀論」「妄想」と一蹴する。自身でボイスレコーダーの音声も聞いたことがあり、不自然さを感じなかったというが、本当か? (改竄されていないと言い切れるのか)。また、事故調報告書別冊に書かれているはずの「異常外力着力点」については、まったく触れていない。著者が考えた海上着水のシミュレーションは迫力があったが…。
読了日:09月01日 著者:杉江 弘
日航ジャンボ機墜落: 朝日新聞の24時 (朝日文庫 あ 4-36)の感想
日航123便墜落事故発生当時の朝日新聞社記者たちの苦労話。さまざまな情報が錯綜するなかで、墜落現場の特定が遅れ、捜索が遅れ、記者たちも右往左往した様子がよくわかる。記者たちの所属・氏名が次々と出てきて、頭が痛くなった。墜落現場推定情報については、8月12日の午後8時過ぎ、通報者氏名不詳の「北相木村ぶどう峠付近」という怪情報(文庫版P.40)と「自衛隊が最後まで長野側を主張」(P.208)と記載されていて気になる。巻頭の無線交信記録が役に立った。1985年11月に単行本、この文庫版は1990年8月に刊行。
読了日:09月04日 著者:
私はヤギになりたい ヤギ飼い十二カ月の感想
好著『カヨと私』(2022年・本の雑誌社)の続編。月刊「山と渓谷」連載「ヤギ飼い十二ヵ月」(2020年9月~2022年3月)をまとめたもの。なによりも、随所に挟まれた内澤さんによるカラー版イラストが、いい。そして、気取りのない文章にも好感がもてる。<小豆島の四季折々の雑草と雑木、畑の作物の盛衰をヤギを通じて眺める愉しみと、多頭飼いしているヤギたちの個性豊かな生きざま>(あとがき)が、伝わってくる。『カヨと私』同様、最寄りの図書館にリクエストして入れてもらった本だが、手元に置いておきたくなる良書。
読了日:09月07日 著者:内澤 旬子
日下を、なぜクサカと読むのか: 地名と古代語の感想
在野の民俗研究者による地名研究の本。小地名(小字)に注目し、現地の地形調査(フィールドワーク)を踏まえて語源を探る。地名考察の手法としてコトバの意味だけをあれこれ考える机上の空論を排し、地名にあてられている漢字に惑わされることなく、地形から語源を推察。目から鱗の考察、多々。全国津々浦々、現地踏査を重ねているところも凄い。ただ、地名がたくさん出てきて煩雑なきらいあり(読み流した)。この著者には、他にも”サンカ”やアイヌ語地名、古代語に関する著書がたくさんあるようで、読んでみたい気がする。
読了日:09月12日 著者:筒井 功
奴隷と家畜: 物語を食べるの感想
難解なところも多かったが、とても刺激的な内容。著者の赤坂さんの論考が好きで、これまで何冊か読んできた。私が所属する市民団体(図書館友の会)で講演をお願いしたこともある。この本は内澤旬子さんのブログで偶然知った(内澤さんの『飼い喰い』が好意的に取りあげられていることに感謝する内容)。桐野夏生『燕は戻ってこない』が取りあげられているのも嬉しかった。他にも大江健三郎の初期の小説や『家畜人ヤプー』『自発的隷従論』『ロビンソン・クルーソー』などが取りあげられていて、これらの本を読んでみたい誘惑に駆られる。
読了日:09月20日 著者:赤坂憲雄
新装版 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+アルファ文庫 G 55-3)の感想
1985年8月12日の日航123便墜落事故。墜落現場から次々と運ばれる遺体を”検屍”、身元確認を続けた現場の凄まじい状況。著者は当時、高崎署刑事官。遺体が運ばれた藤岡市民体育館の現場指揮官。事故直後は不眠不休に近い毎日を送った(8月14日から12月18日まで身元確認作業は続いた)。指一本だけとか、炭化して塊になった遺体…想像以上の惨状が細かく描写されている。機長の遺体の一部(下顎部と歯牙数本だけ)が8月29日に発見されたとの記述あり(p.251)。青山透子『隠された遺体』にある”新事実”との整合性は?
読了日:09月23日 著者:飯塚 訓
日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえすの感想
再読。外務省の公文書(事故当時の中曾根康弘首相とロナルド・レーガン大統領とのやりとり)に記載されていた「日航機墜落”事件”」のタイトルから、著者は、外務省では”事件”と認識していたはずという。もうひとつ、事故調査報告書の別冊(2013年2月、外務省のホームページで公開)にある「異常外力の着力点」(事故機垂直尾翼に強い外圧がかかったことを示唆)の発見。これらから、著者は、事故が自衛隊による誤射が垂直尾翼を破壊したことが直接の原因、という説を力説している。国産ミサイル開発の動きとの関連から自説を展開。
読了日:09月28日 著者:青山透子
クライマーズ・ハイ (文春文庫 よ 18-3)の感想
2003年8月発行、評判になった小説の文庫版(2006年発行)。遅ればせながら、日航123便墜落事故がらみで読んでみることにした。ストーリー展開が巧み。ぐいぐい引き込まれ、最後は一気読み。著者については、元・上毛新聞記者で映画化された『64』の原作者として知っていたが、初めて読む作家。地方新聞社の生き馬の目を抜くような社内権力争い、記者たちの気骨、暗い過去を引きずる主人公、等々、じつに巧みに描かれている。クライミング・シーンは、ちょっと迫力に欠ける印象。だが、ひさしぶりに小説を読んで涙が出る体験をした。
読了日:09月30日 著者:横山 秀夫
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